2013年3月31日日曜日

【お知らせ】4.6救援連絡センター定期総会で講演します。


1980年代後半、日本赤軍がらみの旅券法違反を口実に、全国的に弾圧の嵐が吹き荒れ、ごく普通の市民の居宅にさえも前触れもなくガサ入れ(家宅捜索)が入ったことがあります。筆者が「救援連絡センター」の存在を知ったのは、そのころでした。センターの電話番号(03-3591-1301)は、家宅捜索や逮捕の憂き目にあうさい、まず一番の連絡先として「さあ、獄入り意味多い」の語呂合わせで記憶しておくことが、一種の流行になっていました。
その歴史ある反弾圧・人権団体の定期総会で講演することになりましたので、下記のようにお知らせします。参考資料も併録しておきます。
yuima21c
救援連絡センター 定期総会
4月6日(土)午後1時開場
谷区勤労福祉会館 第1洋室
150-0041 東京都渋谷区神南1-19-8 電話:03-3462-2511

プログラム
第1部 総会
第2部 講演
『フクシマからの報告』 井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会代表)

『新たなる捜査手法とは何か』 遠藤憲一(弁護士)
以上
【参考資料】
新たな捜査手法導入を許すな! 遠藤憲一氏 201197
蠢動する「新たな捜査手法」の法制化
「新たな捜査手法」=室内(会話)盗聴、司法取引、刑事免責、おとり捜査・潜入捜査などを法制化させる動きが急展開している。
本年6月に震災後のどさくさに乗じて成立したいわゆる「コンピューター監視法」も通信履歴の保全要請などの新たな捜査手法を認める先駆けである。
「新たな捜査手法」の導入は、有効な組織的犯罪対策、テロ対策としてかねてから政府、治安当局の狙うところであり、組織的犯罪対策強化の国際的圧力下でその1部は、通信傍受(盗聴)やマネーロンダリング規制を認める組対法3法の成立(998月)によって実現をみた。しかし、政府が2000年に締結した国際組織犯罪防止条約には「共謀罪」のほか「特別の捜査手法」、「司法取引」、「司法妨害の犯罪化」等まだ国内法化されていない多くの内容が規定されており、20016月の司法制度改革審議会最終意見書にも刑事免責制度や参考人の協力確保策などが「新たな時代に対応しうる捜査・公判手続きの在り方」として検討対象とされている。その後、裁判員制度、公判前整理手続、司法支援センターという刑事司法大改悪の3本柱を成立(20045月)させるために沈静化していた「新たな捜査手法」を巡る議論は、この間の冤罪事件や大阪地検特捜部問題を契機とした「取調可視化」論議を最大限利用しながら一挙にその正当性を押し出しつつあるのだ。
概要
ベトナム反戦運動安保闘争全共闘運動などの活動が激化していた1969に発足。これら運動の参加者と警察の衝突が発生して、おびただしい被逮捕者が出た。当時、被逮捕者と負傷者の救援を目的とした団体は日本各地に数多く存在し、それぞれ独自の活動を行なっていたが、諸団体の連絡・連携をはかるため、同センターが設立された。原子核物理学者で反原発活動家の水戸巌が初代事務局長に、外務省国際協力局職員としてラストヴォロフ事件で逮捕された経験を持ち、のち弁護士に転じた庄司宏が代表弁護士に就任している。
単に「救援センター」と呼ばれることもあるが、上下関係を嫌い、諸組織は対等であるという考え方から、敢えて「連絡」を挿入した名称となっている。映画監督山際永三がこの名称の提案者である。
その一方で、下記のような二大原則があるため、ときには右翼や元公安関係者(公安警察公安調査庁の元職員)の救援活動も行なう。これに対し、左翼団体から批判の声が挙がることもある。オウム真理教の起こした一連の事件について、これを救援の対象に含めるかどうかが議論となり、結局「オウム裁判対策協議会」という別組織がたちあげられた。
二大原則
·       「国家権力による、ただ一人の人民に対する基本的人権の侵害をも、全人民への弾圧であると見なす。」
·       「国家権力による弾圧に対しては、犠牲者の思想的信条、政治的見解の如何を問わず、これを救援する。」
逮捕される前に読んどく本『救援ノート
 
ご好評頂いている『救援ノート』最新版(第8改訂版)がついに完成しました。 今回の改訂では、頻発する職務質問への対応、家宅捜索時のパソコンなどの押収をどう考えるか、受刑者処遇新法下の刑事施設での過ごし方を追加し、これまで のように、逮捕されたらどうすればいいか、黙秘とはなにか、留置場生活はどのようなものか、日常的に心がけることはなにかなどについて詳細に紹介しています。逮捕される前にぜひ読んで下さい!
ご注文は、郵便振替口座00100-3-105440「救援連絡センター」に1500円と送料を足した額を振り込んでください。また模索舎などミニコミ書店でも取り扱っています。
送料:192円、2132円、3164円(10冊以上は無料)
プリントしてお守りにどうぞ
警察に逮捕された場合、最初の48時間は警察の裁量によって被疑者(犯罪の疑いをかけられて逮捕された人)を留置することができます。警察はこの間に検察に送致するか釈放するかしなければなりません。……
逮捕された直後に警察署の取調室で「弁解録取書」という書類を作成されます。この書類の作成の前に、取調べの警察官は必ず「弁護士を呼びたければ呼ぶことができる」と被疑者に告げますから、この時「救援連絡センター(TEL 03-3591-1301)の指定する弁護士を選任する。代表弁護士は葉山岳夫(はやまたけお)である」と告げます。そうすると警察署から救援連絡センターのほうに必ず連絡が来ます。それから弁護士を探して会いに行ってもらうという段取りになっています。
万が一「弁解録取書」の段階で弁護士を呼ぶことができなくても、いつでも呼ぶことができることも覚えておいてください。日本国憲法34条には「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留または拘禁されない。」、刑事訴訟法30条には「被告人または被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。」とあります。弁護士を呼ぶことは、すべての人が持っている権利です。しかし実際に誰か弁護士を知らないと 呼ぶことができません。そこで救援連絡センターが弁護人選任の窓口となっているわけです。
つづきを読む…

【追記】
おかげさまで、無事に講演を終えることができました。
当日のプレゼンテーションを再現しています――

2013年3月28日木曜日

『STOP!核の焼却処分場』 鮫川村焼却炉問題連絡会リーフレット



焼却で濃縮・拡散される放射能
国は、福島第一原発事故による放射能ゴミの処理のため、県内外の市町村に焼却炉を設置しようとしています。その皮切りとなる実験炉を福島県南部にある鮫川村に建設し、全国のモデル事業として2013年3月より稼働予定、ここで得られた実験結果を基に他市町村へ建設を進めようとしています。

1キロ8,000ベクレル以上の高濃度汚染落ち葉等を焼却、減容化し、焼却灰を10万ベクレル以下に抑えて、管理型処分場(一般廃棄物最終処分場)に埋め立てる計画です。

焼却によって放射性物質は10倍以上に濃縮され、あらゆる処理過程で環境中に放出される恐れがあり、また焼却灰を埋めることにより土壌や地下水を長期にわたり汚染するとして専門家からも危険性が指摘されています。

住民に知らされない計画
(環境省)と村はこの計画を秘密裏に進めてきました。建設地の地権者を含む周囲30軒の同意を得たのみで、村民への説明は着工後というお粗末さ、しかも隣接する塙町、いわき市、北茨城市の住民にはまったく知らせす、建設地住所も「風評のため非公開」としています。3年間で7億円超もかける大型事業でありながらこのようなことが許されるのでしょうか?

環境省は何をしているのか?
設置される炉は法の適用を受けない小型であるという理由で環境影響評価(アセスメント)を行わず、ほとんど何の規制も受けずに建設されています。アセスを行えば、現地が水源地であり、希少な生物の生息地であるため建設できないためです。環境を守るはずの役所が自ら脱法的行為を犯してまで強行する理由はどこにあるのでしょうか?





『市町村に処理施設』は何故?
国は3.11後、それまで100ベクレルであった処理基準を8,000ベクレルとし、これ以下を市町村で処理できる「安全な」基準としています。放射性物質を取り扱う専門知識も技術も経験もない市町村に処理を押し付けるのは、国(最終処分)の負担軽減のためであり、国の責任放棄であると見なされてもやむを得ないのではないでしょうか?
鮫川村はスタートに過ぎません。県内ではすでに新地町、相馬市に焼却炉が設置され、川内村、南相馬市、飯舘村、広野町、塙町にも建設が予定されています。

東電の責任は、なぜ問われない
民間企業が引き起こした世界史上有数の大事故にも関わらす、未だに東電の責任が追求されないのは何故なのでしょうか。放出された放射性物質は排出者の責任で回収し、排出元で厳重に管理されなければならないはずです。
国が肩代わりして処理し、事故を隠ぺいする。そして、国民を被曝させた事実まで闇に葬ろうとしているのではないでしょうか。
(2013年3月現在)

鮫川村をはじめ各市町村での放射性ゴミの焼却処理に断固反対し、白紙撤回を求めます。
このため情報公開請求、署名活動、チラシ製作、専門家による現地調査および勉強会などを行なっています。
フクシマから、これ以上の汚染を日本中へ拡散させてはなりません。私たちと一緒に声をあげていきましょう。

鮫川村焼却炉問題連絡会
連絡先 080-6010-3750
Facebookで情報発信中!
URL  https://www.facebook.com/JiaoChuanShaoQueLuWenTiLianLuoHui
ブログ 

ふくしまの里山を次世代に



【資料】 鮫川村からの報告

      

環境大臣 石原伸晃 殿
鮫川村仮設焼却炉建設の白紙撤回を求める署名
国・環境省は、福島県鮫川村に高濃度に汚染された稲わら等の焼却処分場を建設しています。焼却物にはキロ当たり8,000ベクレルを超える指定廃棄物が含まれ、二次汚染の発生が懸念されます。環境省の資料では、排ガスはバグフィルターを通し放射性物質をほぼ100%除去できるとしていますが、根拠薄弱で信用できません。
環境大臣 石原伸晃様鮫川村長 大樂勝弘様
  国が市町村で進めようとしている8,000ベクレル/kg超の放射性廃棄物を燃やす焼却炉建設に反対します。今回の鮫川村でのモデル実験をもとに今後福島県各市町村で焼却事業が進められます。福島県が新たな二次汚染地帯となり、健康被害や農作物への影響、風評を招くことにつながります。

2013年3月25日月曜日

ふくしま集団疎開裁判支援者のメッセージ「一人から二人へ、心から心へ」

筆者の手元に1通の書状が届きました。大阪府は北摂地方、関西都市圏の緑豊かなベッドタウンの街で投函されたものです。
お手紙によれば、差し出し人はかなりご年配の女性であり、40年ばかり前から市民運動に関わり、その御縁により「ふくしま集団疎開裁判」の会の活動を知るにおよび、ご自身にできることとして、ブックレット『いま子どもがあぶない~福島原発事故から子どもを守る「集団疎開裁判」』、リーフレット『一刻も早く!子どもたちを被曝から守ろう!』および裁判チラシをセットにして、昔仲間(団体・個人)で呼びかけ合って広く配送なさっています(現在、180セットのブックレット、リーフレット、チラシが「一人から二人へ、心から心へ」と、フクシマ現地の“今”を伝えています)。
書状に、配布物に添えられたメッセージの写しが同封されていました。とても達筆、しかも簡潔で論理の整った文章で、いま放射線被曝障害の危機にある子どもたちに寄せる心情がつづられています。
福島の子どもたちに思いを寄せてくださる人たちに、なんとしても、このメッセージをシェア(分かち合い)したいと思い、ご本人にお願いしたところ、幸いブログ掲載の承諾をいただくことができましたので、以下にタイピングし、ご本人に校閲をいただいて掲載します。
(井上・記)

北海道を突然に襲った超風雪がウソのように、花の便りが届きます。複雑な思いで明け暮れる日々に課題が山積して行きます。(憲法、原発、TPP……)
お元気に、それぞれのテーマでご活躍のことと拝します。

311フクシマに三度(みたび)の春がめぐります。
源地では、一日400トンの汚染水を2日余りでタンク満杯にして立錐の余地なく並んで行きます。その先は恐怖しかありません。
(今日はお願いごとをさせていただきます。ご賛同いただければ幸甚に存じます)
一昨年、ウクライナ政府報告書は『未来のための安全』と題して、4半世紀を過ぎたチェルノブイリ事故の実態報告をあらわして、深刻な健康被害を明らかにしています。
国立記録センターには、2364538人が登録されて、健康と被曝の因果関係を追跡し、非常事態省では被災者情報が丁寧に一括管理されています。30キロ圏の立入は制限され、60キロ圏でも甲状腺ガン、白内障、心臓疾患、脳血管障害などの発症が増加しています。
現場を担ってきた医師団は、放射線被曝を根拠とする230万人のデータを明らかにされています。
26年を経て、尚、成人の発症が増え、最も危惧されるのが、事故後156年で生まれた子どもたちの現状です。甲状腺などの内分泌疾患が48%、骨格異常が22%、全校生徒485人中、14人のみが正規の体育授業を行える現状です。
 小学7年生の少女の血圧は160、時々、意識を失う、と言います。
 保健室の教師は、『13回も救急車を呼ぶことがある』と案じています。
 事故当時、幼かった人々が社会を担う年令に達して、8時間労働も耐えられない、という惨状を観ます)。
「低線量被ばくによる発症」。大人も子どもも発症が止まらないのは、被曝し続けている状況による、とされます。
本当は、本当は「いのちの未来」に心を据えれば、科学の明らかにできるギリギリの安全圏まで撤退するほか「いのちの未来」はまもられないのだ、と思い知ります。現地の医師や教師も「今のままでは、悪化をくいとめられない」としつつも、「研究はまだこれから」と、踏み出しておられます。
(国際機関は白血病、白内障、小児甲状腺ガン以外の因果関係を認めないそうです)。
チェルノブイリは、人類史上、最大の人間実験場となった、と思っています。そして4半世紀を経て、これからも人間が壊れていく過程(スロー・デス)をあきらかにしていくほかありません。
そして、これからのフクシマは、合せ鏡です。幾らかの人々(健康な)は、余計なことをしている、と冷笑しますが、この狭い列島では、共に生きているのです。永い将来の危機から逃れる術は、チェルノブイリに学び尽くすこと、国家は果断迅速に抜本復興を展開することと思います。

国と社会、親と子は、子どもたちの健全な成長のために、新しい生活拠点を定め、開拓し、子どもたちはその間、安全圏に「集団疎開」して心身の健康を回復し、安全、安心の故郷へ帰還することと思います。本当はそれが一番と、私は思い到りました。
「集団疎開」は、生命の再生に現在の英知が行きつくところと考えています。国と社会と親と子が協力すれば、それははやばやと実現するのではないでしょうか。
道筋に困難はありましょうが、共に拓くことができれば、と。
光明をひたすら念じます。(私たち一人ひとりが、どのように道をつけるかです)。

(これらの情報は、「ふくしま集団疎開裁判の会」、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」、「仙台アクション・東北教区センター」「ふくしま集団疎開裁判の会(光前法律事務所)」などを経由して集められた情報・資料です)。
署名
2013.3.8

本の泉社 通販サイト
Amazon: いま子どもがあぶない (マイブックレット)
リーフレット(ダウンロード

【資料】福島県鮫川村からの報告


 2013年3月24日、福島市「チェンバおおまち」で開催された「原発いらない地球(いのち)のつどい」で、鮫川村焼却炉問題連絡会のメンバーが報告が焼却試験について臨場感あふれる報告をなさいました。この問題は、単に人口3800の小さな村にとどまらず、原発事故被災地全体に影響がおよぶものであり、全国的にも注目を集めています。当日配布された連絡会作成の資料を、ここに再録して、全国のみなさんの参考に供します。(yuima21c)
【資料1】
 2013218
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
廃棄物対策課長 山本昌宏 様
鮫川村村長 大樂勝弘 様
抗議声明
去る212日(月)鮫川村青生野地区住民が、焼却炉建設への同意取り消しを求める要望書を村長に提出しました。これを受け、村長は同意を得るよう努力し、得られるまで稼働しないと言明しました。
そして早速、223日(土)に青生野地区で環境省より説明の場を設けると聞きましたが、驚くことに対象が青生野地区住民のみであり、報道機関を受け入れないということです。
7億3千万円もの国費を投じながら秘密裏に進めてきたことに、地域住民はもとより全国的な批判を集めていることは周知の通りですが、まだ懲りずにこのような密室での手続きを改めようとしない姿勢に強い憤りを覚えます。民主主義を全く無視する横暴で卑劣なやり方であり国民の理解は到底得られません。
環境省及び鮫川村長は鮫川村、北茨城市、およびいわき市での説明会の場において「説明が遅れた」ことを謝罪し、また北茨城市長から「これだけ地域住民が反対しても工事を行うのか」との質問にも回答していません。あの謝罪は一体何だったのでしょうか。そして回答もしないうちから青生野地区住民のみを対象とした説明会を企画するとは、あまりにも近隣自治体や住民を愚弄していると言わざるを得ません
上記の通り青生野地区の住民の大半は反対を表明しました。そして隣接市、町住民も大反対しています。まずはこれらの声に答えて下さい。
高濃度放射性廃棄物という超危険物を大量に扱う施設を建設するのであれば、少なくとも自治体を超えた地域住民の合意を得るのが筋であり、巨額の国費を使う公共事業であるなら、広く国民のコンセンサスを得るのは当然です。
私達はこれまでの不当で不公正な進め方、及び危険な本焼却炉に強く抗議し、密室での手続きを改めること、および本焼却炉を白紙撤回するよう改めて強く要求します
鮫川村焼却炉問題連絡会
【資料2】




東京電力は13日までに福島県鮫川村に対し、福島第一原発事故の損害賠償として約3800万円を支払った。同社が自治体に対し賠償金を支払うのは初めて。
原発事故以降、県内では牧草から基準値を上回る放射性物質が検出されたため、同村は3月から米国産の干し草を購入し、村内約140戸の畜産農家に配布している。今回は4月から6月までに購入した干し草約750トンの購入費などについて同社と交渉を続けていた。8月29日に村役場で行われた交渉で同社が全額負担することで合意し、5日に村に入金された。
2012/09/14 11:18 カテゴリー:福島第一原発事故
【資料3】

(別添4)
Ⅰ 仕様書(骨子)
1.業務の目的
平成23311日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質により汚染された農林業系副産物(稲わら、牛ふん堆肥、牧草、バーク、きのこ原木、果樹剪定枝等)が大量に保管されている。これらは長期保管による性状の悪化や臭気問題も懸念されており、早急に処理を行わなければならない状況にある。
その対応策として、焼却処理によって減容化、安定化させることが有効な手段であるが、8,000Bq/kg超の農林業系副産物を焼却した事例が少なく、焼却処理における放射性物質の挙動等に関する知見の蓄積を図るとともに、焼却処理の安全性等を確認していく必要がある。
本業務は、上記の状況を踏まえ、8,000Bq/kg超の農林業系副産物(以下、「焼却対象物」という。)の減容化と安定化を図るため、仮設の小型焼却炉(付帯施設その他本業務の実施に必要な施設を含む。以下、「仮設焼却システム」という。)を設置し、焼却による減容化に関する実証実験を行うものである。
2.業務の内容
(1)仮設焼却システムの基本計画
仮設焼却システムの概要(別紙)を踏まえ、安全性、効率性及び経済性を考慮した仮設焼却システムの基本計画を策定する。計画の策定に当たっては、放射性物質の取り扱いに対する安全性、仮設焼却システム周辺への飛散防止等の措置を講じた構造・仕様を検討する。
(2)仮設焼却システムの設計
基本計画で策定した内容をもとに、焼却対象物の収集・運搬に応じた焼却対象物の仮置き場、前処理設備、焼却方式、焼却炉の構造、排ガス処理設備、管理型処分場での処分を前提とする焼却灰処理設備、焼却灰貯留設備等を検討し、施設仕様を決定する。
また、作業全体の流れを踏まえ、作業の安全性、効率性及び経済性のほか、放射性物質の飛散防止、作業員の被爆低減及び周辺環境への影響を考慮した機器仕様を決定し、仮設焼却システムを設計する。なお、本業務実施場所入口の公道から焼却施設(煙突含む)が見えないように設計すること
(3)仮設焼却システムの施工
設計成果に基づき、各種法令を遵守して、仮設焼却システムを設置する。
設置場所の造成を行う場合は、必要に応じ、地元自治体及び環境省と協議するものとする。
また、送電施設、用水施設、公道入口から施設までの搬入路等のインフラを必要な範
囲で整備する。
(4)仮設焼却システムの運転・管理
a)       作業の安全性、効率性及び経済性を考慮した上で、仮設焼却システムに係る運転管理計画書を放射性物質汚染対処特措法、電離放射線障害防止規則等の各種法令に基づいて作成する。また、実証試験計画書を作成し、焼却対象物を用いた実証試験を実施する。
b)       実証試験計画書の作成に当たっては、排ガス濃度、焼却灰等の性状及び放射性セシウム濃度、運転管理データ等を計測し、安全に運転されていることを確認するとともに、焼却対象物を組合せ、焼却灰等の放射性セシウムが高濃度とならず(管理型最終処分場での処分を想定)、安全で安定的な処理が行える条件の調査について計画するものとする。
c)       焼却対象物のうち、収集・運搬の対象となるのは、稲わら、牛ふん堆肥、牧草とし、地元自治体の保管場所から仮設焼却システムへ収集・運搬を行うこととする。なお、収集・運搬は、放射性物質汚染対処特措法等関連法令及び廃棄物関係ガイドラインに基づき適切に行うものとする。
(5)焼却灰の管理
焼却灰は、仮設焼却システム設置場所又はその隣接地に、管理型最終処分場での処分を想定し、放射性物質汚染対処特措法令及び廃棄物関係ガイドラインに基づき必要な処理をし保管する。
(6)打合せ協議
各年度に、環境省担当官と事業着手時、業務完了前及び事業実施期間中の必要な時期に行うものとし、打合せ後速やかに、請負者は打合せ記録を環境省担当官に提出する。
(7)報告書等の提出
a)       実証試験の調査結果について、随時報告する。
b)       各年度事業における成果を整理し、報告書としてとりまとめる。
なお、平成24年度業務対象は、上記(1)から(7)とする。
また、平成25年度及び26年度対象業務は、上記(4)から(7)の業務とする予定
である。
3.業務履行期間
契約締結の日から平成25年3月31日までとする。


【資料4】
(別紙)
1.設置場所
福島県東白川郡鮫川村大字青生野字江堀320
2.敷地面積
1,600
㎡(40m×40m)程度
3.焼却炉能力
処理能力:200kg/時間未満かつ火格子面積が2㎡未満
4.運転条件
稼働時間:原則として平日 8:00から17:00(焼却処理時間 7.5時間/日程度)焼却期間:平成269月までに終了するとして計画のこと。
その他 :排ガス中の放射性セシウム濃度は、鮫川村との協議により、放射能濃度等測定方法ガイドライン(平成2312月)に定める分析条件の検出下限値(2Bq/m3)以下とする。
 また、本業務実施場所入口の公道から焼却施設(煙突含む)が見えないように設計すること。


5.焼却処理対象物
表1 焼却対象物別の処理量 単位(トン)
副産物の種類
汚染濃度
合計
備考
8,000Bq/kg
8,000Bq/kg以下
稲わら
20
0
20
4,500Bq/kg
牛ふん堆肥
0
8
8
水分70~80%
9,900
11,000Bq/kg
牧草
200
0
200
水分50%程度
2,380
3,700Bq/kg
堆肥原料落葉
10
20
30
網袋にて保管
1,000
30,000Bq/kg
庭木・立木
342
0
342
1m×1~20cm(径)
合計
572
28
600

注 1)村内にある焼却対象物を焼却することとし、数量は見込みである。
2)牧草は1個あたり300500kg程度のロールにこん包、フィルムでラップして保管中。
3)収集のための運搬距離は平均10km。なお、堆肥原料落葉は、業務開始後にまとめて搬入されるほか、庭木・立木は、実施期間中発生の都度搬入される。
6.実証試験計画書
実証試験計画書の作成に当たっては、以下の調査事項を必須とする。なお、管理型処分場での処理を前提とし、焼却灰の放射性セシウム濃度が高濃度にならないようにすること。
【調査事項】
焼却対象物のうち、焼却灰等の放射性セシウム濃度が高濃度にならないと考えられるものについて単独で焼却し以下の調査を行う。
(1)燃焼等についての基礎的データ
・焼却対象物、焼却灰、ばいじんについて、下表の○のデータを収集する。

重量
水分
灰分
発熱量
熱しゃく減量
含有量及び溶出量
焼却対象物


焼却灰



ばいじん




(含有量及び溶出量は、重金属、ダイオキシン、放射性セシウムについて調査する。)
・排ガス中の、NOxSOx、HCl、ダイオキシン、ばいじん、放射性セシウムの濃度(ダイオキシン、ばいじん、放射性セシウムは集じん装置出入口で計測)
※燃焼温度、排ガス中のばいじん濃度は連続して測定・監視を行う。
(2)セシウムの挙動等に関する基礎データ
・元素組成分析(焼却対象物、焼却灰、ばいじん)
C
HONSCAlCaFeKMgNaPSiZnCs(安定)


【資料5】

5.除染方法(3)可燃物の焼却試験・・【飯舘村】
○焼却試験対象物: 枝葉・刈草・落葉
○焼却炉: 固定床式、焼却能力;毎時29kg、焼却温度800℃以上
○排気ガス処理: バグフィルター及び消石灰・活性炭投入、HEPAフィルター
試験結果: 重量減容率:85~98%、体積減容率:96%以上
焼却前試料の放射能濃度: 約24,000~ 91,000Bq/kg
焼却後の灰の放射能濃度:約500,000~2,000,000Bq/kg
排気ガス中の放射能濃度:
バグフィルター通過後:最大で1.31Bq/m3※
HEPAフィルター通過後:全6回の試験とも不検出
※)原子炉周辺監視区域外の空気中濃度限度:50Bq/m

 
大成・間組・日本国土・三菱マテリアル・アトックス・関場共同企業体

【資料6】

【資料7】

鮫川村に建設中の高濃度放射性廃棄物焼却処分場に反対する住民組織『鮫川村焼却炉問題連絡会』のメンバーによるブログです。
2013322

報道関係者様 各位
3回目青生野地区限定説明会開催について
本日322日鮫川村地域整備課長より青生野地区で3回目の住民説明会が開催されることを確認致しました。
日時は327日(水)1830より、場所は前回と同じ集落センターになります。今回も村は青生野地区住民のみを対象とし、報道関係者の方々も一切入れないという姿勢を貫いています。
当会には青生野に職場を有し事業者として村に納税する者もおりますが、非住民であるとして参加を認められていません。これらの不当性について、当会は改めて近日中に抗議声明を出す予定です。
報道関係者の皆様は前回の説明会会場において、報道の自由の侵害であり由々しき事態である、村は都合の良い情報しか出さないと鮫川村の不当性を訴えておられましたが、全くその通りだと思います。もとよりこの事案は、環境省が主体となっている事業なのです。税金を使って国が行なう事業に報道の制限を課すことは到底許されません。したがって、この報道規制については、環境省を説得するほうが容易なのではないかと考えますが如何でしょうか。
大樂村長が民主主義のルールをことごとく破ってきたことは、周知のとおりです。恐らく同じような政治が全国各地でもまかり通っていることが想像されます。地方自治が掛け声だけで終わっているのはこのような構造的な問題が大きいのではないでしょうか。大樂村長に見られる村長権限の乱用などを端緒にして、地方自治の闇に切り込むような取材もぜひ進めて下さるようお願い致します。
本焼却実証実験事業については、上記の非民主的なプロセスを始め、焼却炉の危険性、経済的非合理性、近隣市町住民を無視し、青生野地区住民のみの了解を以って意思決定しようとしている同意形成プロセス無視の行政手法など、挙げればきりがない程に問題が山積しています。
そしてそのしわ寄せは、事業も始まっていないというのに、地域住民の分断、避難を余儀なくされる人々など、深刻な問題をすでに生み出しているのです。焼却炉から拡散される放射性汚染物質による二次被害とは別の、福島原発事故由来の二次被害はすでに始まっています。これらについてもぜひ皆様のお力で世の中に伝えて下さるようお願い致します。
 
鮫川村焼却炉問題連絡会


お知らせ1
農林業系副産物の焼却施設計画について
昨年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により、放射性物質が広範囲に拡散したため、深刻な影響が広がっています。本村においても、放射性物質により汚染された家畜飼料、落ち葉などの農林業系副産物の処理が大きな問題となっています。
現在、村内にある放射性物質で汚染された農林業系副産物は、農家の敷地内に一時保管されている稲わら、堆肥など30㌧、現地に仮置きされている牧草サイレージ、落葉など230㌧、これから行う住宅除染で発生する草木類など340㌧、合計で600㌧を見込んでいます。それらを国が整備する中間貯蔵施設等へ搬入するまでの間、放置しておくことはできず、少ない面積で仮置きするためには減容化を図る必要があります。
このため村では、環境省が行う焼却実証事業を導入することにしました。農林業の一刻も早い復興と、より安心して暮らせる生活環境を取り戻すために、皆様のご理解とご協力をお願いします。
n         設置場所 地元の意向を考慮して、地区名は公表していませんのでご理解をお願いします。
n         焼却期間 平成25年2月~平成26年9月までの20カ月間の予定
n         焼却炉稼働時間 原則として、平日の午前8時~午後5時
n         焼却炉構造 焼却能力は1時間当たり200㎏です。放射性物質が外部に放出しないための高度の機能を持つバグフィルターを設置します。このフィルターの性能は、すでにほかの地域で実施された焼却炉の実証実験で 99.9%以上の放射性物質が除去されたことが確認されています。
n         監視体制 ①排ガス出口(煙突の手前)でダストモニターによる連続監視で排ガス処理が適正に行われていることを監視します。村が独自に設定した基準値は、検出下限値以下とします。基準値を超える可能性がある場合は、焼却作業を中止して点検と確認を行います。/②焼却施設周辺の空間線量率を定期的に測定します。/③村内にあるモニタリングポストの数値を監視し、焼却前の数値と比較します。
 放射能濃度および空間線量率の測定結果は随時公表します。
n         焼却灰管理 焼却により減容化した焼却灰は、セメントと混合、固化物にして防水性のフレコンパックに詰め遮水シートで覆い、遮へい効果(98%減)があるとされる 30cm 以上の覆土をして、焼却施設敷地内に保管します。保管期間は中間貯蔵施設等へ搬入するまでの5年程度を想定しています。
※参考事例…バグフィルターの性能・放射能濃度基準値は、独立行政法人「日本原子力研究開発機構」が除染モデル実証事業で実施した相双地方の2町村の焼却試験結果です。

【リンク】

『STOP!核の焼却処分場』 鮫川村焼却炉問題連絡会リーフレット


【署名】 

      

環境大臣 石原伸晃 殿
鮫川村仮設焼却炉建設の白紙撤回を求める署名
国・環境省は、福島県鮫川村に高濃度に汚染された稲わら等の焼却処分場を建設しています。焼却物にはキロ当たり8,000ベクレルを超える指定廃棄物が含まれ、二次汚染の発生が懸念されます。環境省の資料では、排ガスはバグフィルターを通し放射性物質をほぼ100%除去できるとしていますが、根拠薄弱で信用できません。
環境大臣 石原伸晃様鮫川村長 大樂勝弘様
  国が市町村で進めようとしている8,000ベクレル/kg超の放射性廃棄物を燃やす焼却炉建設に反対します。今回の鮫川村でのモデル実験をもとに今後福島県各市町村で焼却事業が進められます。福島県が新たな二次汚染地帯となり、健康被害や農作物への影響、風評を招くことにつながります。