【資料】福島「県民健康管理調査」をめぐる主なできごと

つい先日（9月20日）、出版された岩波新書『福島原発事故　県民健康管理調査の闇』がとても評判が高いようです。わたしもTwitterで知って、さっそく福島市中央図書館に購入をリクエストしました。

まだ読書中の感想ですが、タイトルにある『闇』が示唆するミステリーそのものの実態が暴かれる過程には、一種の爽快さとともに、暗い世界を覗き見る恐怖すら感じます。スイス、ヴァーゼル大学のミシェル・フェルネックス名誉教授は、ジャック・ロシャールが主導したベラルーシのエートス・プロジェクトを「医学的惨事」と名指しましたが、ここ福島県で同じような事態が否応なく目に見える形になるのは、これからまもなくのことでしょう。

本稿では、同書の目次に付された「県民健康管理調査」をめぐる主なできごとのタイムラインを紹介しておきます。

みなさんには、購入されるなり、図書館にリクエストされるなりして、ぜひご一読なさるようにおすすめいたします。

（@yuima21c 記）

笑 RT @yuima21c: @Kumi_japonesa 郡山市中央図書館サイトでも、『福島原発事故／県民健康管理調査の闇』受付を確認しました。品川萬里市長も褒め倒さねば。 @miso0422 pic.twitter.com/lWAy9ktpRM
— 白石草 (@hamemen) October 6, 2013

『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』岩波新書
【内容紹介】
未曾有の原発事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県の調査の裏で、専門家、行政担当者たちは一体、何をしていたのか。秘密裏に会議を繰り返し、事前に調査結果に対する評価をすりあわせ、議事録までも改竄――。一人の記者が、 闇 に立ち向かい、調査報道でその実態を明らかにする。
【著者】日野行介
1975年生まれ。九州大学法学部卒。毎日新聞社入社後、大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、科学環境部を経て東京社会部。大阪社会部では司法担当が長く、和歌山県談合・汚職事件、薬害イレッサ訴訟や泉南アスペスト訴訟、郵便不正事件などを取材。敦貧駐在や科学環境部では原発を中心に取材した。

【以下、同書p.xiiiより転載】

福島「県民健康管理調査」をめぐる主なできごと

2011年

03月末　　 政府、住民の被曝線量評価と健康調査の実施を検討

04月下旬 　県、健康調査の枠組み案を作成

05月01日　県担当者、県立医大と健康調査について打ち合わせ

05月13日　放医研、外部被曝推計システムを｢20日に公開｣と、HPに掲載

同日　｢ふくしま健康調査検討委員会準備会｣(第１回秘密会)

05月20日　放医研、推計システムの公開延期と、ＨＰに掲載

05月27日　第1回検討委員会、開催(冒頭のみ公開)

06月12日　第２回秘密会、開催

06月18日　第２回検討委員会、開催(冒頭のみ公開)　調査の具体的内容がほぼ固まる

06月30日　基本調査、始まる

07月15日　長崎大の山下俊一教授、県立医大の副学長に就任

07月17日　第３回秘密会、開催

07月24日　第３回検討委員会、開催（報道陣にのみ公開）

10月09日　詳細調査の「甲状腺検査」、始まる

10月17日　第4会秘密会、および第4会検討委員会（一般公開、以下同）開催

2012年

01月　　　詳細調査の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」「妊産婦に関する調査」始まる

01月25日　第５回秘密会・検討委員会、開催

04月26日　第６回秘密会・検討委員会、開催

06月12日　第７回秘密会・検討委員会、開催

07月20日　毎日新聞、県がインターネット調査を活用せずと報道

09月11日　第８回秘密会・検討委員会、開催。甲状腺がんの患者が１名見つかったと発表

10月03日　毎日新聞、秘蜜会で見解をすり合わせと報道

10月05日　毎日新聞、進行表(シナリオ)があったと報道。県部長、存在を認める

10月09日　毎日新聞、検討委員会の第1～3回の議事録が公開請求後に作成成されたと報道

同日　県、内部調査の結果を公表。隠蔽や意見調整は否定。

10月11日　毎日新聞、第4回検討委員会の進行表案に「準備会で意見集約」と記載と報道。

11月14日　毎日新聞、秘密会で重要方針を議論と報道

11月18日　第９回検討委員会、開催

11月19日　県、第1～3回検討委員会の改負前の議事録を情報開示。内部被曝議論の削除が発覚

11月26日　国連人権理事会・特別報告者のグローバー氏、日本記者クラブで記者会見

11月30日　県、担当部長ら4人を、訓告処分したと発表

12月10日　県弁護士会、検討委員会への推薦要請を断り、抜本的改革を求めたことを発表

12月19日　毎日新聞、乳歯保存の呼びかけを拒否する見解を出すよう県が検討委員に求めたと報道

2013年

02年13日　第10回検討委員会、開催。新たに甲状腺がん患者２人（計3人）、疑い例７人と発表

同日　検討委員会座長の山下俊一副学長、辞意を表明

05月24日　県、山下氏ら検討委員４名の解職と、調査目的から「不安解消」を削除と発表

05年27日　グローバー氏、国連人権理事会で報告書を公表

06年05日　第11回検討委員会、開催。新たに甲状腺がん患者9人（計12人）、疑い例13人（同15人）と発表

08月20日　第12回検討委員会、開催。新たに甲状腺がん患者6人（計18人）、疑い例10人（同25人）と発表

【リンク】福島県：「県民健康管理調査」検討委員会について