2013年10月14日月曜日

グレゴリー・ヤツコ元NRC委員長「アメリカの核産業は消えてゆく」

IEEE SPECTRUM



グレゴリー・ヤツコ元米原子力規制委員会委員長
「アメリカの核産業は消えてゆく」
エリザ・ストリックランド
20131010

フクシマ第1事故1のとき、米原子力規制委員会の委員長だったグレゴリー・ヤツコ(2)氏はIEEE Spectrumによるインタビューのさい、慎重にことばを選ぶようなことはしなかった。氏は、アメリカが原子力から撤退しつつあり、世界の他の国々もやがて同じ方向に向かうものと期待するといった。
「時代が200年後の未来であり、世界の動力源が核分裂炉であると設定されている映画をわたしは見たことがありません――だれもそのような未来を思い描いていないのです」とヤツコ氏はいう。「これは未来技術ではありません。古い技術であり、有益な目的に役立っています。しかし、その目的は、そのコースを駆け抜けています」
アメリカ核産業に対するヤツコ氏の評価は、カレンダーを単純に読むことにもとづいている。アメリカにある104基の商業用原子炉は老朽化3していて、それらの原発が20年間の運転免許延長を認可され、60年間の稼働が可能になったとしても、その全期間の稼働実績を達成することは無理だろうと氏は考える。補修と改良にかかる経費のため、安価な天然ガスに対する競争力が低下しているため、原子炉の経済性確保がますます困難になっている。エンタジーによるヴァーモント・ヤンキー原発の閉鎖4決定が、その適例であると氏は付け加えた。
「この業界は消えてゆきます」と、氏はズバリといった。「4基の原子炉が建設中ですが、それ以上の原発の建設に投入する資金もその意欲もまったくありません。ですから、20年か30年もすれば、この国にはごくわずかな原発しか残っていないでしょう――これが単純な事実です」
ヤツコ氏は、フクシマ第1事故から学びうる教訓について議論するため、ニューヨーク市で開催された反原発イベント(5)に出席したのにつづいて、IEEE Spectrumの取材に応じた。その集会の論者たちには、他にも日本の元総理大臣であり、フクシマ事故のさい政府を率いていた菅直人(6)、それにラルフ・ネイダ―(7)両氏らがいた。数人の論者たちがニューヨーク州のインディアン・ポイント原子力発電所(8)について論じ、ヤツコ氏は、同原発を閉鎖すべきであると、個人的見解を表明した。
ヤツコ氏は、世界が現在のタイプの核分裂炉に頼りつづけるなら、フクシマと同じタイプのさらなる事故は避けられないと主張し、社会は現状の原子力を容認しないと信じている。「原子力発電所が安全であると受け取るには、このような事故を起こさないものであるべきです」と氏は語った。「“あるべき”といったのは、可能性が低いということではなく、ただ単に、このような事故を(まったく)起こすことができないということです。このことを、一般社会は実に明確にいっています。これこそは、原子力利用を進めるために必要な新しい安全基準なのです」。氏は、小型モジュラー〔標準規格〕原子炉94世代原子炉10といった新型原子炉なら、そのような安全基準に合致すると考えうると認めたが、乗り気ではないような口ぶりだった。
【原文に付されたリンク】
(1)   24 Hours at Fukushima

(2)   Gregory Jaczko


(6)   Naoto Kan
(7)   Ralph Nader

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