2013年10月19日土曜日

【#海外論調】#PBS(全米ネット公共放送)「フクシマ氷結壁が溶けてしまえば、なにが起こるか? 日本の実験を検証する」

PBS NEWSHOUR






解説 放映日:201393
フクシマ氷結壁が溶けてしまえば、なにが起こるか?
日本の実験を検証する
What if the Fukushima Ice Wall Defrosts? Looking at Risks of Japan's Experiment




PBS NewsHour



ジェフリー・ブラウンJEFFREY BROWN:
さて、継続中の危機を追うのを、これまで助けていただいてきたお二人にご登場願いましょう。アージャン・マーキジャーニさんは専門エンジニア――核分裂がご専門のエンジニアです。エネルギー環境研究所の所長です。ケンジ・クシダさんは、スタンフォード大学で日本研究をご専門になさっています。
お二方に再度ご出演いただき、ありがとうございます。
アージャン、まずあなたからお願いします。汚染水について新たに明らかになったことは、どれほど深刻なのでしょうか。
アージャン・マーキジャーニARJUN MAKHIJANI、エネルギー環境研究所
そうですね、前回、わたしたちが話しあったのは――漏出、そして作業員が12分間で年間放射線量を受けかねない放射線レベルについて話し合いました。
さて、最近になって、もうひとつ別のタンクの近くで放射線レベルが1時間あたり1,800ミリシーベルトになったという報告がありました。これは極めて高いレベルの放射線です。23時間で基本的に致死線量になります。だから、わたしたちはいま、これらのタンクの放射能汚染について、これらタンクのなかの液体について話していますが、非常に高いレベルの放射能を帯びています。ですから、こういう漏れは、作業員たちにとって、管理にとって、極めて問題になります。
ジェフリー・ブラウン:
では、これは彼らが見つけたばかりのもの、あるいははるかに深刻な線量のレベルに突然なった原因はなんでしょうか?
アージャン・マーキジャーニ:
さて、あちら側にある混乱した情報のすべてから、わたしに理解できる最良の答えは、最初の測定が最大100ミリシーベルトまで計測できるにすぎない機器を用いて実施され、振り切れてしまったというものです。
ジェフリー・ブラウン:
そうですか。
アージャン・マーキジャーニ:
ですから、彼らはいま、もっと多くの測定をして、もっと多くの汚染スポットがある、それに明らかにもっと多くの漏れがあることを見つけているのです。
だから、その時、会社が知っていたことが、わたしにはまったくハッキリとはわかりません。しかし、情報は小刻みに出てくる類いです。そして、政府は明らかに、状況がますます制御不能になっていると懸念しています。
ジェフリー・ブラウン:
さて、ケンジ・クシダさん、企業がいて、政府が登場するとなれば、あなたの出番ですね。今や明らかに、もっと力のある政府が乗り出してきた。そうでしょ?
ケンジ・クシダ、スタンフォード大学:
ええ、まったくそうです。なぜなら、3年後の次回選挙が、この核問題への政府の対応を間違いなく反映するからであり、与党が地滑り的な選挙戦の勝利を得たばかりの核推進政党であるからです。
そこで、政府が原発運営会社による修復作業を確実に管理できなければ――しかも、運営会社は明らかに状況の最悪局面に対処できないようですから――すると、政府が窮地に立たされることになります。
ジェフリー・ブラウン: 
ですが、外部から見て、なんだか汚染レベルを理解するだけでも、時間がずいぶんかかっている――まだやらなければならない、もっと容易ならない作業にまで気が回らない――そのように思えます。わたしにはわかりませんが、自棄(やけ)になる、あるいは現地の切迫さのレベルについて、あなたのいえる限りでは、日本ではどのような感覚なのでしょうか?
ケンジ・クシダ:
はい。
そうですね。前回、話し合ったのと似たようなものですが、運営会社の評判と国民の信頼はすでに、いつも低いままですが、いま、さらに低くなっています。約1年前、政府が運営会社を基本的に実質上の国営企業にし、経営トップを入れ替えましたので、国民は、これらの問題の一部なりとも、運営会社が対処する能力が強化されたと期待しました。
だが、日本から伝わるメディア報道では、請負業者らが情報を漏らしており――文字通りに情報漏れなのですが――タンク、彼らが組み立てた1000基のタンクが、事故のすぐ後に国営化される前の東電からの厳しいコスト削減圧力のもと、大急ぎで設置しましたので、ボルトで組み立てられ、溶接ではなかったといっています。
ですから、彼ら請負業者のなかに、そうですね、長期的には、むしろ中期的でさえ、弾けるように漏れ始めると予想されるという人たちがいます。だから、運営会社が状況を掌握しているわけでは明らかにありませんでしたし、このことについて、国民はかなり神経質になっています。
ジェフリー・ブラウン:
では、アージャン・マーキジャーニさん、この氷結壁について、ご説明ください。正確には、これがどれほど実効的なのでしょうか? また、これまで、どれほど使われたのでしょうか?
アージャン・マーキジャーニ:
はて、これまで、これが試された例をわたしは知りません。
これは、地下ダムの建造のようなものですが、しかし、氷で、土壌中の乏しい水を凍らせることによって築くというのであり、すべての土壌には――高地の方から水が流れ下り側面を通ってから、海中へと流入するのですが、このすべて、地下でのことです。これは帯水層なのです。その水の一部が溶けた核燃料に接触し、汚染されてしまいます。
そして、彼らは造りたい――土壌を凍結するのに、基本的にいって、巨大な冷凍機、みなさんのご家庭にあるフリーザーとまさしく同じものを、土壌中に冷却コイルを、たくさん、たくさん設置して造るのです。膨大な量の電力を消費して、凍らせるのです。もちろん、それは、ダムのように、背面に水を堰き止めますが、以前もそうだったように、やがて水はダムの上から溢れてしまいます。
彼らは別の壁を造りました。土壌に化学剤を浸透させ、固めるというものです。これは上から1日あたり300トンの水を海へと溢れさせる代物でした。ですから…
ジェフリー・ブラウン:
では、これを以前にもやったが、これほどの規模ではなかった、とお考えですか? そこで、これは――どういいましょうか? これは実験ですか? これは一種のなにかの挑戦ですか?
アージャン・マーキジャーニ:
実験です。
ジェフリー・ブラウン:
そうですか。
アージャン・マーキジャーニ:
それに、これは危険な実験だと思いますが、電源が故障すれば、おわかりでしょうが――お家の冷蔵庫に電力が来なくなれば、中のものはすべて溶けてしまいますので――フリーザーは解凍します。
ですから、この氷がいきなり溶けると、背面に膨大な量の汚染水を堰き止めていましたので、厄介なことになります。同時に、おわかりでしょうが、タンクも、それら自体が脅威であり、また地震になると、この高濃度に汚染された水が海中に流れてしまいます。だから、彼らは非常に――水を封じこめるという、非常に、非常に厳しい問題を2側面で抱えています。
ジェフリー・ブラウン:
では次に、ケンジ・クシダさん、前にお話したように、長期的な、たとえば、原発の解体に数十年かかるというお話でしたね。
ケンジ・クシダ:
そうです。
見積もりのいくつかでは、原発解体に最短40年かかるとされています。そこで、この地下氷結壁のアイデア、革新的な基盤構築プロジェクトに大金を投入するのは、いいことかもしれません。しかし、これが、ほとんど対処不能な問題に対する恒久的な解決策として考案された最後の防衛線となると、一般国民としては、潜在的に危険なうえ、未知であり、実地に試されてもいない、有効か否かもわからない解決策にすべてを託すよりも、いくつかの選択肢を示されたほうが、安心できると思います。
ジェフリー・ブラウン:
あなたは前に政治のお話をしておられました。お話のような何十年もつづくこれに耐え抜く意志について、なにか不確かな点はあるでしょうか?
ケンジ・クシダ:
そうですね。選択の余地はありません。
政党が核推進派であり、3年間、選挙に直面しないことを考えますと、彼らの利益にかなうことは間違いなく、できることはなんでもやることです。なぜなら、いまよりも長期的な意味で、これがほんとうに手に負えなくなれば、彼らは――そして彼らの幹部たちは――次回の選挙で俎(まないた)の鯉になりますし、そのような事態を避けたいだろうからです。
そうはいっても、選ぶことができ、楽に実行できるような幾通りもの技術的解決策があるというわけではありません。ですから、非常に長い目で見て、彼らには権力の座を維持しようとする必要がありますから、できるだけの資源を投入するだろうと期待してもよいでしょう。いま見ているように、彼らは動いていますが、ずっと機敏に動く必要があって、おおかたの一般大衆もそう思うでしょう。
ジェフリー・ブラウン:
わかりました。ケンジ・クシダさん、アージュン・マーキジャーニさん、お二方とも、ありがとうございました。
アージャン・マーキジャーニ:
とてもありがとうございました。
ケンジ・クシダ:
ありがとうございました。


0 件のコメント:

コメントを投稿