2014年3月28日金曜日

[Live Science]チェルノブイリの木樹は朽ちない




チェルノブイリの木樹は朽ちない
マーク・ララニラ編集補佐 Marc Lallanilla, Assistant Editor
2014
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チェルノブイリ周辺の森林は、いまだに1986年チェルノブイリ核惨事による放射能で重度に汚染されている。Credit: Sergey Kamshylin / Shutterstock.com View full size image

30年近くまえ、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所が爆発して、世界最大級の核惨事となり世界の目を釘付けにした。
1986年のその大惨事から世界は変転してきたが、チェルノブイリでは、たいして変化しないことがひとつ――研究者らの知見によれば、汚染現場で枯れ死んだ木樹、植物、木の葉が、他の場所に比べて腐食しないのだ。
「最初の爆発時に枯れ死んだ木樹が地上に横たわっているのを踏み越えていきました」と、サウス・キャロライナ大学の生物学教授、ティム・ムソーは語った。「何年もたっているのに、その木樹の幹はとても良好な形状のままでした。拙宅の裏庭で、木が倒れると、10年かそこらで粉々になってしまうでしょう」
画像集:チェルノブイリ、凍りついた時間
ムソーとパリシュド大学のアンダース・モラーは、チェルノブイリやフクシマといった放射能汚染地域における生物学の研究を重ねてきた。
彼らの作業の多くは、枯れ死するまえの木樹が不気味な赤茶色に変色し「赤い森」の汚名をこうむったチェルノブイリ周辺の森林地域でなされた。おふたりは、20年以上経過しても木の幹がそれほど変化していないのに気づいた。
「初めて木を見たとき、アリが何匹かいたにしても、木の幹はほとんど無傷のままでした」と、サウス・キャロライナ大学チェルノブイリ・フクシマ研究主導グループの共同主任でもあるムソーはスミソニアン誌に語った。
研究チームは、なにが起こっているか――または、もっと正確には、なにが起こっていないのか――を調べるために、放射能で汚染されていない森林床から落葉試料を何百件も集め、それを(防虫のために)パンティストッキング生地で裏打ちした袋に詰めた。そして彼らは、それをチェルノブイリの周辺に配置し、9か月のあいだ、そのままにしておいた。
驚くべき結果がえられた。高度に汚染された地域に置かれた落葉試料の分解程度は、非汚染地点に置かれた試料に比べて40パーセント低かった。Oecologia誌に掲載の研究報告によれば、腐食度は放射能汚染度に比例していた。
放射線は、バクテリアや菌類といった微生物に悪影響をおよぼすことが知られている。最近の研究によって、放射線療法が腸内の有益バクテリアの生息数を減少させることによって癌患者に深刻な合併症をもたらしかねないことが判明した。
Infographic: How Radiation Affects the Human Body
ムソーら研究チームは、森林床に蓄積した落葉が現実的な危険を招くことを心配している。「今後、破局的な火災が発生するのではと懸念がますます募ります」とムソーはいう。
森林火災となれば、腐食していない28年分の落葉が理想的な火災燃料となり、地域全体に放射能を拡散しかねない。「結果的に、放射性セシウム、その他の汚染物質が煙に乗って居住地域に運ばれることになるでしょう」とムソーはいった。
「わたしたちの調査した落葉堆積は、おそらく微生物による腐食作用の減退の直接的な結果であり、まるで焚き付け材料みたいになっています。乾燥して軽く、全く簡単に燃えます。火を煽る燃料になるだけでなく、おそらくもっとありうることとして、破滅的な規模の森林火災の発火材料になります」
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Original article on Live Science.


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2017年5月14日日曜日

NaturalNews429日の夕刻、機能を喪失した福島第一核発電所の近隣の山林で山火事が勃発した。毎日新聞英文記事によれば、火災は福島県浪江町の標高448メートルの十万山で発生した。陸上自衛隊が福島県の支援要請に応えて、ヘリコプター8機を派遣し、火災現場に散水した。この火災は通常の山火事とは大きく違って、現場から大気中浮遊放射性物質が拡散する懸念を招いた。この地域は2011年福島第一核惨事からこのかた「帰還困難区域」に指定されている。核発電所に由来する高レベル放射線のため、当局は入域禁止措置を余儀なくされた。住民に不安を掻きたてたのは、この高レベル放射能である。

2017年5月16日火曜日

2017512日更新】浪江町は、「十万山火災が510155分に鎮火となりました」と広報した[「お知らせ」削除済み]。町の職員がわれわれの電話に応えて、50ヘクタールが全焼したと述べた。住宅地の放射線モニタリング・ポストは放射線レベルの上昇を検知しなかったが、毎日新聞[510日付け福島版記事]が、近隣の集落3か所で58日に実施したモニタリングの結果、大気中を浮遊するちりの放射性セシウム137の濃度が約39倍に上がったことが判明したと報じた。その3か所のデータは次のとおり――

▽浪江町井手のやすらぎ荘(十万山から約2㎞):空中浮遊Cs1371立方メートルあたり3.59ミリベクレルで3.23倍上昇、
▽双葉町の石熊公民館:同7.63ミリベクレルで8.98倍、
▽大熊町の野上一区集会所が同1.35ミリベクレルで3.86倍。



2017年6月14日水曜日

郡山通信

浪江町「十万山」森林火災
――フクシマ被曝地戒厳令

フクシマ核惨事グラウンドゼロから西北西、わずかに一〇キロあまり、浪江町・十万山の山頂北側の山林で四月二九日、火災が発生した。

現場は放射性粒子プルームがまともに通過した帰宅困難区域とあって、一般人である消防団員は入れず、林道も崩れて消防車が進入不能であり、消火の主力は陸上自衛隊ヘリに任せ、陸上では消防隊員が水タンクを担ぎ上げて散水を試みるなど、折からの強風もあって、消火活動は困難を極め、翌月一〇日になって、ようやく鎮火したと発表された。焼失面積は、南に隣接する双葉町内の延焼部分を含め、東京ドーム一六個分、七五ヘクタールに達したという。



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