2014年9月18日木曜日

救援連絡センター【焦点】郡山市からの報告「不可視の放射能と不可視の戒厳令」



救援連絡センター:ニュースレター『救援』 
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郡山市からの報告
不可視の放射能と不可視の戒厳令
悪性ないし悪性疑い104人(手術58人:良性結節1人、乳頭癌55人、低分化癌2人)…824日に開催された福島県「県民健康調査」第16回検討委員会で公表された子どもの甲状腺検査の結果である。検査が福島第一原発に近い浜通り地方から始められ、中通り、会津へと、ほぼ一巡して、検査済み約30万人のうち、104人!
WHO傘下の国際癌研究機関が公表している日本の子ども甲状腺癌の罹患率は100万人あたり1.1人。これが国際認識であり、検討委員会の元座長、山下俊一福島医大非常勤副学長も一昨年、調査が始まったころ、「100万人に一人か二人」と明言していたのだ。ところが、検討委員会は今回も「被曝の影響とは考えにくい」。福島医大の鈴木真一教授は「がんが見つかった理由は、症状のない人も含めて精度の高い検査を行っているため…」(NHKニュース)と説明し、いわゆる「スクリーニング効果」にその理由を求める。そうであれば、リンパ節や肺組織などに転移したものを含め、日本全国でいったい何人の子どもたちの甲状腺癌が見過ごされていることになるのだろう?
911日で、福島第一原発事故から3年半。チェルノブイリ被災地の場合、事故後34年目ごろから、福島県の大半と同程度の低レベル放射能汚染地で子どもの甲状腺癌だけでなく、全身の様々な疾患が急増したという。だが、福島県で本格的な健康調査を実施しているのは、事故時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査だけである。
環境省は来年度の予算要求に、福島県民の放射線被曝に関する健康『不安』対策費を、本年度の4400万円から約18倍の大幅増となる78000万円を盛り込んだという。本格的な疾患急増に備えたリスク・コミュニケーション活動、パンフの作成・配布、講演会の開催、人材の育成など「安全・安心」キャンペーンの強化策だろう。
7月に開催された環境省の「原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」で、参考人の津田敏秀・岡山大学教授が疫学調査の必要性を強調すると、長瀧重信座長が「がんが増えているということが、ここの委員会の結論になると、大変なまあ…」と、はしなくも本心をさらけ出している。
放射能は物理的に「見えない」だけではない。政治的・社会的に「見させない」し、心理的にわざわざ「見たくない」。これは、すなわち汚染地『戒厳令』状況である。これもまた、警察力・軍事力の形では「見えない」、メディアを駆使して「見させない」、生きづらくなるので「見たくない」というわけだ。
「風評被害払拭!食べて応援」ふくしま復興キャンペーン、避難住民の帰還促進とそれに伴う除染目標放射線値の引き上げ策謀、「金目」にものをいわした中間貯蔵施設の大熊・双葉両町への受け入れ強要、福島第一原発に程近い広野町での中高一貫校「ふたば未来学園高」の来春開校など、命と健康を無視した動きが目白押しだが、変革を期待させる蟻の一穴もなくはない…
ü  731日、東京第五検察審査会が、業務上過失致死傷の疑いなどで告発され、東京地検が不起訴とした東京電力の勝俣恒久元会長ら元東電幹部3人について「起訴相当」と議決。
ü  826日、一時帰宅中に焼身自殺した女性の遺族が東電に賠償を求めた訴訟で、福島地裁が、東電に約4900万円の支払いを命じる判決。
ü  829日、ふくしま集団疎開・第二次「子ども脱被ばく裁判」、福島県の親子延べ100以上が、①安全な場所での教育の実施、②国と福島県が信頼を裏切り、精神的な打撃を与え続けている慰謝料の支払いを求めて福島地裁に集団提訴。

だが、これからの見通しを左右する最大の焦点は109日告示・26日投開票の福島県知事選挙になるだろう。8月末時点で出馬を表明している有力候補は、自民党福島県連が担ぐ元日銀マンの鉢村健氏と、無所属で福島県出身、元宮城県宮古市長の熊坂義裕氏。
佐藤雄平現知事は心労を理由に立候補しない意向を表明したり、連合福島の出馬要請に「継続性が重要なのは理解している」と答えたり、ノラリクラリ…週明けに最終的な態度を表明するという。自民党本部は県連と別に佐藤氏の動向に注目し、鉢村氏の推薦を留保中。
ともあれ、10月の福島県知事選挙は、福島県のみならず、沖縄県知事選挙とともに国の将来を占うものとして目が離せないものになるはずである。
原発いらない金曜日@郡山・世話人
井上利男



【福島県知事選挙、その後の進展】
朝日新聞デジタル 201494
福島県佐藤雄平知事(66)は4日、県庁で記者会見し、10月にある知事選に立候補しない考えを正式に表明した。さらに副知事の内堀雅雄氏(50)を「施策の継続性があり、私の意志を引き継いでくれる」と評価し、後継者にふさわしいとの考えを示した。
自民党本部は内堀氏を念頭に民主党などとの相乗りを検討しており、今回の表明を受けて調整が加速化する可能性がある
毎日新聞 20140910
自民党の谷垣禎一幹事長は10日、党福島県連の岩城光英会長らと党本部で会談し、任期満了に伴う福島県知事選(10月26日投開票)で、県連が擁立した元日銀福島支店長、鉢村健氏(55)の推薦を見送る方針を伝えた。県連はこれを受け入れ、鉢村氏の擁立を断念する意向を示した。民主党などが支援予定の内堀雅雄副知事(50)は11日、立候補を正式に表明する。自民党執行部も内堀氏に相乗りする方針だ。
谷垣氏は県連幹部との会談で、鉢村氏について「大きな県民の支援を得る枠組みをつくるのは極めて厳しく、党本部として推薦は難しい」と述べ、支援は困難との認識を伝えた。杉山純一県連幹事長は「苦渋の決断だが、了承したい」と擁立を断念する考えを示した。
毎日新聞 20140911
 任期満了に伴う福島県知事選(10月9日告示、26日投開票)に、内堀雅雄副知事(50)が11日、無所属で立候補すると表明した。表明に先立ち、民主、社民両党県連などが出馬要請。自民党も相乗りで支援するとみられる。一方、自民党県連の要請を受けて8月に出馬表明していた元日銀福島支店長の鉢村健(たけし)氏(55)は同日、出馬を取りやめると発表した。
再生の針路: ‘14知事選 /福島
鉢村氏「残念でならない」 内堀氏、県政継続性アピール  
毎日新聞 20140912日 地方版
 知事選(10月9日告示、26日投開票)に立候補を表明して1カ月弱で突如、最大の支持母体の自民党県連と自民党本部からはしごをはずされた元日銀福島支店長の鉢村健(たけし)氏(55)。11日に出馬断念を表明し、「手足をもぎ取られた。残念でなりません」と無念の思いを語った。一方、内堀雅雄副知事(50)は同日、自民や民主などによる相乗り支援に向けた構図が整う中、出馬を正式に表明した。
 「あなたでは戦えなくなりました」。10日午後5時ごろ、仮設住宅でのあいさつ回りを終えていわき市を走っている車中、鉢村氏は自民党県連の杉山純一幹事長から電話で連絡を受けた。これまで築き上げた信頼関係が崩れた瞬間だった。
朝日新聞デジタル 2014916
10月9日告示の福島県知事選で、同県双葉町の井戸川克隆・前町長(68)が16日、無所属で立候補する意向を表明した。一方、脱原発弁護団全国連絡会代表を務める弁護士の河合弘之氏らが、立候補表明している前岩手県宮古市長の熊坂義裕氏(62)を支援する勝手連をつくることになった。
井戸川氏は記者会見で「放射線量を正確に測り直し、県民を被曝(ひばく)させない環境をつくる」と述べた。東日本大震災前の2005年12月から昨年2月まで町長を務め、現在は埼玉県加須市で避難生活を送っている。
YouTubeビデオ】
佐藤知事勇退表明 「新しいリーダーのもとで進めてほしい」


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