2015年4月9日木曜日

ウッズホール海洋学研究所【ビデオ】フクシマ、そしてわたしたちの放射能の海 #WHOI

フクシマ、そしてわたしたちの放射能の海
Fukushima and Our Radioactive Ocean


ウッズホール海洋学研究所


2015/03/30 に公開

このビデオは、米国海洋大気庁(NOAA)の「球面上の科学」(SOS)システムで上映するために、ウッズホール海洋学研究所と太平洋水族館(the Aquarium of the Pacific)によって共同制作された。この作品は、福島第一原子力発電所から放出された放射性核種および海洋生物と人間に対する放射能の影響に関する知見を解説している。

海洋の放射能とフクシマからの放射能について、詳しくは次のウェブサイトを参照のこと:

トラスクリプト
0:14
20113月、記録史上で最大規模の地震が6分間近くにわたり日本を揺るがし、破壊的な津波を引き起こし、それが300キロ以上におよぶ日本の沿岸部に押し寄せました。16,000人近くの人びとが命を奪われました。
0:30
津波はまた、福島第一原子力発電所を冠水させ、原子炉制御システムと予備電源を破壊しました。
0:42
原子炉が過熱して爆発し、大量の放射性物質が大気圏と海に放出されました。
0:52
海水を使って原子炉を冷却しようと試みた結果、さらに大量の放射性物質が海に洗い流されました。フクシマは、最大規模の放射能の海洋放出という不測の事態を招いた歴史に前例のない事件だったのです。
1:10
フクシマの影響を理解するためには、わたしたちが自然由来の放射性物質のある惑星で生きていることについて学ぶ必要があります。
1:18
放射性物質の大部分は地球の地殻に含まれる岩に由来しています。人間によって造られる放射性物質もあります。
1:24
放射線は、不安定な原子が崩壊するさいに放出されるエネルギーです。これは主として高速で飛ぶ粒子です。この放射線は目に見えませんし、音もなく、味も匂いもありません。
1:38
フクシマについて、わたしたちがしなければならない質問とは、「どれだけの放射能が放出されたのか?」、そして「どのようなリスクを人間と海洋生物にもたらすのか?」という問いになります。
1:50
大量の放射能は命取りになりえます。ある種のものは、呑みこめば、少量であっても危険になるかもしれません。
1:58
わたしたちは常に低レベル放射線に被曝しています。吸引する空気、飲用する水、摂取する食べ物のすべてに、極微量の放射性元素が含まれています。あまりにも少量ですので、害にはなりません。
2:14
実は、癌やその他の疾患を治療するためにも、放射線が使われています。放射線が命を救っているのです。
2:22
科学者たちは、放射線量を1秒間あたりの崩壊事象の数として測定しています。
2;27
海水中に最も大量に存在する放射性元素がカリウム40であり、天然のカリウムは常に生成されています。1,000リットル(約260ガロン)の海水のなかで1秒間に12,000回のカリウム40崩壊が起こっています。これはとても大きな数値ですが、人間や海洋生物の健康に影響をおよぼすとは考えられています。
2:53
フクシマ以前に環境に持ちこまれる人工放射能の主だった発生源は、1960年代に最盛期に達した大気圏内の核兵器実験でした。
3:04
時間の経過とともに、核実験の放射能が減衰し、今日では平均して、天然発生源に由来する放射能の1,000分の1になっています。
3:18
フクシマが爆発したとき、放射性の気体と粒子が大気圏内に漏出しました。そのほとんどが近くの土地と海に降下しました。少量のものが大気中に残りました。そして、数日のうちに地球を周回したのです。
3:35
フクシマに近い海域では、漏出したなかで最も大量に含まれていた2種類の放射性物質であるセシウム137134のレベルが、最大値で自然レベルの1500万倍以上にまで達しました。
3:50
原発に近い海域の漁業は休漁を余儀なくされました。放射能レベルが数千分の1にまで下がってからでさえ、放射能で汚染された魚を食べてしまう不安のため、原発に近い海域で休漁がつづきました。
4:07
フクシマの近海を回遊するマグロ、その他の魚類が被曝しましたが、きれいな海水のなかを長距離にわたり回遊しているうちに放射性セシウムが魚の体内から洗い流されました。
4:21
津波によって海に流されたガレキは、ほとんど放射能に汚染されていませんでした。
4:30
フクシマから放出された放射性物質のプルームは海流に運ばれ、太平洋を横断します。放射性物質が拡散すると、ますます希釈されて、濃縮度が低くなりますが、それでもやはり検出することができます。
4:51
プルームの動きをモデル化した科学者たちは、北米西岸沿いの放射能が増加するが、そのレベルは人間と海洋生物を脅かすほどにはならないと予測しています。
5:04
この予測は、検証されています。市民と科学者たちが海水試料を収集していますので、研究者らは先端的な装置を使って試料の測定を実施することができます。

5:17
今日、得られている結果によれば、北米西岸沿いとハワイのセシウムのレベルが、フクシマ以前に比べて、ほんの少しだけ上昇していることが示されています。
5:27
1年間毎日、海で泳ぐ人がいれば、歯科レントゲン検査1回分、またはロサンジェルス・ニューヨーク間のフライト1回分で受ける放射線量に比べて、100分の11,000分の1の線量をセシウムから受けることになるでしょう。
5:44
このような低レベルでは、魚、その他の海産物は人の飲食基準に適合しています。
5:53
あらゆる放射能は危険であるかもしれませんので、慎重なモニタリングが欠かせません。わたしたちは放射性の惑星で生きていますので、常になにかから被曝していることを忘れないでおきましょう。

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