2015年9月17日木曜日

ヒューストン・クロニクル紙「ネヴァダ核廃棄物処分場提案、公聴会が再開」

ヒューストン・クロニクル

ネヴァダ核廃棄物処分場提案、公聴会が再開

ケン・リッター Ken Ritter, AP通信
2015916 

この201549日撮影の資料写真は、ネヴァダ州マーキュリー近郊に提案されているユッカ・マウンテン核廃棄物処分場の内部を示す。久しく行き詰まっているユッカ・マウンテン国営核廃棄物処分場計画をネヴァダ州で再開すべきか否かをめぐって、連邦規制当局者らは915日、ラスヴェガスで決定的に重要な公聴会を開催する。Photo: John Locher, AP

南側入り口。Photo: John Locher, AP

ラスヴェガス【AP通信】 数十年間にわたり核実験が実施されていた現場の近くの砂漠で提案されている国営核廃棄物処分場によって、地下水が放射能で汚染される可能性をめぐる論争が915日、ネヴァダで再開された。

ユッカ・マウンテン処分場そのものの山陰の農村で予定されている原子力規制委委員会(NRC)の公聴会に先立って、処分場をめぐる数十年間もの長い戦いでお馴染みの顔触れと主張がNRCのラスヴェガス公聴会に出揃った。

「答えられなければならない唯一の質問は、『ユッカ・マウンテンに置かれた廃棄物が隔離され、地下水を汚染しないと言えるのか?』というものです」と、1980年代以来の事業反対派であり、ネヴァダ核廃棄物タスクフォースという団体の代表者、ジュディ・トレイチェルが述べた。「答えは『ノー』です」。

ラスヴェガスの現市長、キャロライン・グッドマンは、夫の元市長、オスカー・グッドマンが10年前、ハイウエーに横たわって罪の町(ラスヴェガスの別称)を通る放射性廃棄物輸送トラックを止めると脅したことを回顧した。

元上院議員、リチャード・ブリアンは1982年にユッカ・マウンテン現地調査がはじまったとき、州知事であり、現在、事業阻止を担当する州政府機関の代表を務めており、反対論を陳述した。

ネヴァダ州選出、民主党の上院議員、ダイナ・タイタスは公職に選出されるまえ、大学教授として、核問題について学び、著述し、授業しており、「善政ではなく、悪政」の産物と名指しした。

しかし、かつて処分場に反対する民衆戦線は団結していたが、バラク・オバマが大統領に選出され、ネヴァダ州のハリー・リードが上院多数派、民主党の院内総務に就任して、連邦議会が予算を打ち切るにおよび、事業が頓挫してから久しくなるうちに、その団結もほころびてしまった。

原子力規制委員会は予算打ち切りを受けて、免許手続きを中断し、エネルギー省はラスヴェガスから90マイル北西の現場から保全要員を除く全員を撤収した。

処分場の予定地、ナイ郡の被選挙理事、ダン・シンホーフェンは、目下、国中の核反応炉敷地に積み上がっている77,000トンの使用済み核燃料の埋葬を引き受ける見返りに、ネヴァダ州が受け取る経済的利益を考える潮時であると述べた。

「これは国家安全保障問題なのです。わが郡のことなのです。支持があります。わたしたちは話しあうべきです」と、シンホーフェンは訴えた。

リードはユッカ・マウンテン事業を死に体であると名指しした。だが、連邦控訴裁判所は2013年、NRCはエネルギー省の免許申請を承認するか却下するか決定しなければならないと裁定した。当局者らは、免許公聴会の全日程をこなすのに少なくとも3年はかかるかもしれないと話した。

今週の公聴会の焦点は、アマーゴサ渓谷耕地の地下からデス・ヴァレー国立公園に向かって流れる古代帯水層の地下水に、放射能が処分場から漏出する可能性に関する環境調査である。

NRC8月に公開した報告は、汚染のわずかな可能性があると認めているものの、人が1日あたり2リットルの地下水を飲みつづけても、自然およびバックグラウンド放射線源によるものほどの線量を蓄積しないと記述している。

ネヴァダ州の事業反対方針を預かる州政府職員、ロバート・ハルステッドは、「みなさんは全員、地下水について話しにここに来たとおっしゃいます。もっと大きな問題は、これの全体像なのです」と語った。

提案によれば、トラックや貨車の何万台分もの廃棄物がネヴァダ州に運びこまれ、古代火山の稜線の地下に掘削されたトンネルのキャスクに収めて埋葬される。

ネヴァダ州と連邦の職員らは、核廃棄物処分場が1982年に初めて提案されて以来、久しく反対してきた。処分場は2002年に連邦議会の承認を受けている。

しかしながら、ごく最近になって、シンホーフェンのような郡の被選挙代表や、クレセント・ハーディ、マーク・アモディ両連邦議会議員など、州と連邦の選良たちのなかに、国内で最も危険な廃棄物を受け入れる見返り利得を交渉してもいいと表明する向きが増えてきた。

反対派は、核廃棄物埋葬技術が実証されておらず、大気、水、土壌が汚染される恐れがあまりにも大きく、処分場の建設を受け容れるわけにはいかないと断固として主張する。

州政府職員らはまた、34州にまたがる70か所から高レベルの放射性廃棄物を動かせば、そのままの状態で安置しておく場合に比べて、リスクが大きくなると説いている。

この議論の再開は、ワシントン、サウスカロライナ両州に加えて、サウスカロライナ州エーケン郡、ミネソタ州のプレイリー島インディアン自治体、全米法定公益法人協会が、使用済み核燃料を搬出する約束を連邦政府が履行していないと申し立てる訴訟に打って出て、勝ち取ったものである。


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