2016年3月23日水曜日

☢#フクシマ5周年☢【海外論調】ロバート・ハンジカー「フクシマの放射能は人を殺す」

2016322

フクシマの放射能は人を殺す

ロバート・ハンジカー ROBERT HUNZIKER

自信満々な核推進派連中は、フクシマは地震と津波によって母なる大自然が命を召した例であり、その一方で、発電所の事故は原子力が不必要な死や病気もなく最悪事態に耐えることができることを証明したと喧伝した。死亡(16,000人)はすべて、放射能ではなく、母なる自然の落ち度だった。

とどのつまり、科学ジャーナリスト、ジョージ・ジョンソン(George Johnson)の記事“When Radiation Isn’t the Real Risk”[放射能が現実のリスクでない時]が2015921日付けニューヨーク・タイムズ紙に掲載され、「フクシマ核事故から4年後の今春、科学者の小グループが東京に集い、生死に関わる余波を評価した」と告げたのは、ほんの1年足らず前のことだった。

「放射能によって、誰ひとり殺されなかったし、病気にもならなかった――これが先月、国際原子力機関が確認した要点である。フクシマ作業員の場合でさえ、今後の歳月に発症する追加的な癌症例の数は、検出できないほど少なく、バックグラウンド統計ノイズから判別するが不可能な些末な異常である」(ジョンソン記事)。これは憶えておいて損はない物言いである。

記事は、さらにこう言う――「しかし、約1,600人の人たちが避難によるストレスで死亡した――日本の原発における、かなり穏やかな放射能レベルで正当化されないと一部の科学者たちが信じている犠牲である」(ジョンソン記事)。ああ、お願い、吐き気がする!

病気と死亡

だが、日本の街路にいたり、地に足をつけたりしている人たちは、放射能のリスクについて、別のストーリーを語る。彼らは病気と死亡について話す。

舞台裏を覗きさえすれば、死と病気の蔓延のイメージが顕になり、国家の失策が曝露され、残酷な真実が把握されるので、おそらく放射能による疾患と死亡は隠蔽の「幕裏」に追いやられているのだろう。

シェルドリック(Sheldrick)、フナコシ(Funakoshi)による2016311日付けロイター記事“Fukushima’s Ground Zero: No Place for Man or Robot”[フクシマ曝心地~人間もロボットも耐えられない]によれば、「今日、フクシマ原発の放射能は非常に強烈であり、その最深部に潜りこみ、極度に危険で、何百トンもの重量がある溶融燃料棒の遺物を見つけ、除去するのは不可能だとわかっている。反応炉の内部に送り込まれた5台のロボットは帰還できなかった」という。ロボットを殺している!

東京電力・廃炉カンパニーのプレジデント、増田尚宏氏は、「原発の内部に到達するのは極めて困難です。最大の障害は放射能です」(前出記事)という。

だが、やはり前出のニューヨーク・タイムズ記事の主張を再掲させてもらうと――「…(人びとは)避難によるストレスで死亡した――日本の原発における、かなり穏やかな放射能レベルで正当化されないと一部の科学者たちが信じている犠牲である」。

だれかさんの頭が混乱している。東京電力・廃炉プレジデントかニューヨーク・タイムズ記事のどちらかが、間違っているのだ。両方ともに正確であることはありえず、不可能だ。

現状を見るかぎり、東京電力自体が放射能による疾患をほとんど報告しておらず、放射能が原因である死亡をまったく報告していないが、何段階にも重なった下請けや孫請けに雇われた労働者たちが有毒汚物の浄化作業にあたっているので、そもそもの初めから東京電力の責任ではないと考えられる。「下請けの作業員が死んだ」としても、それがどうした?

日本の情報源によれば、死亡は宙に浮いているそうなので、次に見てみよう。

AP通信配信、ABC[オーストラリア放送協会]ニュース掲載、2016310日付け南相馬市発記事、山口真理“Decontamination Troops’ Often Exploited, Shunned”[除染部隊員はしばしば搾取され、疎んじられている]から――

「損壊したフクシマ原発のすぐ北にある、この町の仏教寺院が、氏名不詳作業員6人の遺灰の終の居場所になっている。死亡した男たちの何人かは書類を持たず、その他の男たちは非常連絡先も残していなかった。その人たちの名前は確認されておらず、手がかりを追って、遺骨の引き渡しを求める遺族もいなかった。彼らは単に『除染部隊員』――放射能が肥沃な農村地帯を汚染してから5年たって、フクシマを居住可能地に復旧するための日本の大掛かりな浄化キャンペーンの無名兵士――とだけラベル付けされていた……僧侶、木ノ下秀昭さんは、白い布で包まれた木箱に収められた無名労働者の遺灰を寺に安置している。

「この男たちは、汚染された表土を剥ぎ取って、黒い袋に詰め込み、それを野原や道沿いに何万袋と並べる仕事を課せられた――多くは、特別な技能をもたず、家族との縁も薄い、社会の底辺に属する50代から60代の――労働者26,000人の一部だった。彼らは屋根を拭き、溝の泥を除き、木樹を木っ端に刻み、その仕事は果てしなく単調である……日本全国各地からやってきて、汚く危険な、喜ばれない仕事に就く労働者たちは、久しく労働法違反を批判されてきた、国家の淀んだ城塞めいた下請けシステムの最底辺層を形成している」

日本の地方公務員たちは、放射能の恐れのある遺灰や作業員のなにがしかを特定することはできないかもしれないが、その同じ役人たちは、AP通信記者たちの監視にかけては大した仕事をする――

「公務員たちはジャーナリストを掴んで放さない。AP通信の記者らが南相馬市の作業員ら何人かとおしゃべりして、数分もすると、市の職員が電話してきて、除染作業員らに話しかけないように警告した」(前出記事)

(前出のニューヨーク・タイムズ紙ジョージ・ジョンソン記事に先立って報道された)2014421日付けRT[ロシア・ツデー]記事“Fukushima Disaster: Tokyo Hides Truth as Children Die, Become Ill from Radiation – Ex-Mayor”[フクシマ核惨事:前町長、子どもたちが放射能で死んでも、病気になっても、日本政府は事実を隠す]から、双葉町の元町長、井戸川克隆氏のインタビューの一部を引用してみよう。

SSフクシマ由来の放射能フォールアウトに関する国連報告によれば、労働者と被曝した一般人の放射能関連死や急性疾患は観測されないといいますが――結局、それほど危険でないのではないでしょうか? 適切な評価のために入手できる情報が不十分なのでしょうか? どのように、お考えですか?

井戸川克隆氏:この報告は完全にウソです。報告は、日本の代表――早野龍五教授――によって作成されました。彼は日本国を代表し、世界全体にウソをつきました。わたしが町長だったとき、心臓発作で亡くなった大勢の人たちを知っていましたし、その当時の福島県では、当然死する人たちが、若い人たちでさえ、大勢いました。当局者たちが、世界に、国連に真実を隠しているのは、ほんとうに恥ずかしいことです。わたしたちは、じっさいに大勢の人たちが死んでいると認める必要があります。わたしたちはそう言うのを許されておりませんが、東京電力の職員たちもまた死んでいます。しかし、彼らはそれについて口をつぐんでいるのです。

(前出のニューヨーク・タイムズ紙記事の1年前にドイツでインタビューを受けた)日本の自由報道協会の理事、おしどりマコ氏は、数例の労働者の死亡(そうだ、正しく死亡)を調査し、東京電力を辞めた元看護師にインタビューしており、次のようにいう――

「事故のあと、福島第一核発電所で働いていた看護師を相手にした、わたしのインタビューについて、お話したいと思います…彼は2013年に東京電力の仕事を辞めており、わたしがインタビューしたのはその時のことです…目下のところ、死亡した原発労働者は複数名いますが、仕事中に亡くなった人たちの場合だけ、公表されています。彼らの何人かは、たとえば週末とか睡眠中といった、就業時間外に突然死していますが、誰ひとりとして報告されていません。

「それだけでなく、彼らは労働者死亡数に含まれていません。たとえば、一部の労働者たちは放射能にたっぷり被曝したあと、仕事を辞めます…そして、1か月後に亡くなるのですが、こうした死亡例のどれひとつとして、報告されたり、死亡者数に含まれたりしていません。これが、原発労働者の現実なのです」(おしどりマコ氏)

おしどりマコ氏は、インタビューで次のようにコメントした――

「ご当地、ヨーロッパで、実に驚くべきことがひとつあります。それは、ご当地の人たちが日本は非常に民主的で自由な国だとお考えになっているという事実です」

おしどりマコ氏講演“The Hidden Truth about Fukushima”[フクシマの隠された真実]英訳テキスト全文のリンク先

悲しいかな、米空母ロナルド・レーガン乗り組みの米国水兵ら200名が、東京電力、その他を相手どって、白血病、潰瘍〔かいよう〕、胆嚢〔たんのう〕除去、脳の癌、脳腫瘍、精巣癌、機能不全性子宮内出血、甲状腺疾患、胃病、その他、彼らのように若い成人の場合、極めて珍しい疾患にすでにかかっていると申し立てて提訴した。1名の水兵は放射線合併症ですでに死亡していた。

申立人のなかに、任務中に妊娠していた水兵がいた。彼女の赤ちゃんは複数の遺伝性変異を抱えて出生していた。

水兵たちは、2011311日のフクシマ核惨事のあと、放射能レベルは問題ないという保証にもとづいて、人道援助目的の「オペレーション・トモダチ」に参加していた。申立人側の弁護士団によれば、核の放射能による晩発性の影響の嵐が最終的に階級を超えて暴発するので、さらに多くの水兵らが訴訟団に加わることになるという(放射能の「蓄積効果」が癌として発現するまで何年もかかることがある。それでもなお、数名の米国水兵らに症状がすでに現れている)。

水兵らの訴訟は、ジョンソン氏の前出ニューヨーク・タイムズ紙記事よりずっと前に提起された。じっさい、“Judge: Sailors’ Class-Action Suite Can Proceed Over Alleged Radiation Exposure”[判事、水兵らの被曝申し立て集団代表訴訟の続行を妥当と裁定]と標題された記事は、前出ニューヨーク・タイムズ紙記事より12か月前の20141030日付けで星条旗新聞に掲載されている。

「弁護団が公開した談話によれば、ポール・ガーナーをはじめとする水兵らの代理人、ボナーら弁護士たちは、放射能による深刻な疾病を抱えた申立人が次々と現れているという」(前出記事)

フム、放射能による影響のランク付けについて、混乱があるようだ。日本国内の複数の情報源によれば、放射能が人を殺しているとすると、事実の隠蔽はフクシマ労働者と日本国民に対する陰険な不敬であり、同時に国際社会をペテンにかけるものであって、ほとんど犯罪的である。東京都は確かに2020年オリンピック大会を開催しようとしており、国としても、最善の一歩を前に踏み出す必要があるが、オリンピック大会参加見込者の目から尋常でなく有害なシナリオを隠したり、秘密にしたり、避けようとしたりしてはならない。それでは、最悪の一歩を踏み出すことになる。

安倍政権は最後の仕上げをするために(また、これは手痛い仕上げだが)、「間違った嗅ぎ付けかた」をすれば、10年の刑期で脅す、いやまあ、それほどまでに深刻ではないだろうが、精神においては確かに厳しい、笑うべき秘密法を施行した。

それでもなお、有毒食品を輸出し、海水に毒を流し、周辺の町、村、田園地帯に毒素を撒き散らし、人びとが死んでいくリスクを考えれば、死の放射能のリスクについて社会に真実を語る責任が政府にあるのではないだろうか?


Robert Hunziker
ロバート・ハンジカーはロサンジェルス在住。連絡先:roberthunziker@icloud.com
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【クレジット】

CounterPunch.org, “Fukushima Radiation: a Killer,” by Robert Hunziker, posted on March 22, 2016 at; http://www.counterpunch.org/2016/03/22/fukushima-radiation-a-killer/.




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