2014年3月28日金曜日

[Live Science]チェルノブイリの木樹は朽ちない




チェルノブイリの木樹は朽ちない
マーク・ララニラ編集補佐 Marc Lallanilla, Assistant Editor
2014
324
チェルノブイリ周辺の森林は、いまだに1986年チェルノブイリ核惨事による放射能で重度に汚染されている。Credit: Sergey Kamshylin / Shutterstock.com View full size image

30年近くまえ、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所が爆発して、世界最大級の核惨事となり世界の目を釘付けにした。
1986年のその大惨事から世界は変転してきたが、チェルノブイリでは、たいして変化しないことがひとつ――研究者らの知見によれば、汚染現場で枯れ死んだ木樹、植物、木の葉が、他の場所に比べて腐食しないのだ。
「最初の爆発時に枯れ死んだ木樹が地上に横たわっているのを踏み越えていきました」と、サウス・キャロライナ大学の生物学教授、ティム・ムソーは語った。「何年もたっているのに、その木樹の幹はとても良好な形状のままでした。拙宅の裏庭で、木が倒れると、10年かそこらで粉々になってしまうでしょう」
画像集:チェルノブイリ、凍りついた時間
ムソーとパリシュド大学のアンダース・モラーは、チェルノブイリやフクシマといった放射能汚染地域における生物学の研究を重ねてきた。
彼らの作業の多くは、枯れ死するまえの木樹が不気味な赤茶色に変色し「赤い森」の汚名をこうむったチェルノブイリ周辺の森林地域でなされた。おふたりは、20年以上経過しても木の幹がそれほど変化していないのに気づいた。
「初めて木を見たとき、アリが何匹かいたにしても、木の幹はほとんど無傷のままでした」と、サウス・キャロライナ大学チェルノブイリ・フクシマ研究主導グループの共同主任でもあるムソーはスミソニアン誌に語った。
研究チームは、なにが起こっているか――または、もっと正確には、なにが起こっていないのか――を調べるために、放射能で汚染されていない森林床から落葉試料を何百件も集め、それを(防虫のために)パンティストッキング生地で裏打ちした袋に詰めた。そして彼らは、それをチェルノブイリの周辺に配置し、9か月のあいだ、そのままにしておいた。
驚くべき結果がえられた。高度に汚染された地域に置かれた落葉試料の分解程度は、非汚染地点に置かれた試料に比べて40パーセント低かった。Oecologia誌に掲載の研究報告によれば、腐食度は放射能汚染度に比例していた。
放射線は、バクテリアや菌類といった微生物に悪影響をおよぼすことが知られている。最近の研究によって、放射線療法が腸内の有益バクテリアの生息数を減少させることによって癌患者に深刻な合併症をもたらしかねないことが判明した。
Infographic: How Radiation Affects the Human Body
ムソーら研究チームは、森林床に蓄積した落葉が現実的な危険を招くことを心配している。「今後、破局的な火災が発生するのではと懸念がますます募ります」とムソーはいう。
森林火災となれば、腐食していない28年分の落葉が理想的な火災燃料となり、地域全体に放射能を拡散しかねない。「結果的に、放射性セシウム、その他の汚染物質が煙に乗って居住地域に運ばれることになるでしょう」とムソーはいった。
「わたしたちの調査した落葉堆積は、おそらく微生物による腐食作用の減退の直接的な結果であり、まるで焚き付け材料みたいになっています。乾燥して軽く、全く簡単に燃えます。火を煽る燃料になるだけでなく、おそらくもっとありうることとして、破滅的な規模の森林火災の発火材料になります」
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Original article on Live Science.


【関連記事】

2014年3月20日木曜日

 【スミソニアン誌】チェルノブイリ周辺で森林腐食に異変が…

チェルノブイリの放射線被曝で、人間、動物、樹木のみならず、昆虫、微生物、菌類も影響を受けていた。

2017年5月14日日曜日

NaturalNews429日の夕刻、機能を喪失した福島第一核発電所の近隣の山林で山火事が勃発した。毎日新聞英文記事によれば、火災は福島県浪江町の標高448メートルの十万山で発生した。陸上自衛隊が福島県の支援要請に応えて、ヘリコプター8機を派遣し、火災現場に散水した。この火災は通常の山火事とは大きく違って、現場から大気中浮遊放射性物質が拡散する懸念を招いた。この地域は2011年福島第一核惨事からこのかた「帰還困難区域」に指定されている。核発電所に由来する高レベル放射線のため、当局は入域禁止措置を余儀なくされた。住民に不安を掻きたてたのは、この高レベル放射能である。

2017年5月16日火曜日

2017512日更新】浪江町は、「十万山火災が510155分に鎮火となりました」と広報した[「お知らせ」削除済み]。町の職員がわれわれの電話に応えて、50ヘクタールが全焼したと述べた。住宅地の放射線モニタリング・ポストは放射線レベルの上昇を検知しなかったが、毎日新聞[510日付け福島版記事]が、近隣の集落3か所で58日に実施したモニタリングの結果、大気中を浮遊するちりの放射性セシウム137の濃度が約39倍に上がったことが判明したと報じた。その3か所のデータは次のとおり――

▽浪江町井手のやすらぎ荘(十万山から約2㎞):空中浮遊Cs1371立方メートルあたり3.59ミリベクレルで3.23倍上昇、
▽双葉町の石熊公民館:同7.63ミリベクレルで8.98倍、
▽大熊町の野上一区集会所が同1.35ミリベクレルで3.86倍。



2017年6月14日水曜日

郡山通信

浪江町「十万山」森林火災
――フクシマ被曝地戒厳令

フクシマ核惨事グラウンドゼロから西北西、わずかに一〇キロあまり、浪江町・十万山の山頂北側の山林で四月二九日、火災が発生した。

現場は放射性粒子プルームがまともに通過した帰宅困難区域とあって、一般人である消防団員は入れず、林道も崩れて消防車が進入不能であり、消火の主力は陸上自衛隊ヘリに任せ、陸上では消防隊員が水タンクを担ぎ上げて散水を試みるなど、折からの強風もあって、消火活動は困難を極め、翌月一〇日になって、ようやく鎮火したと発表された。焼失面積は、南に隣接する双葉町内の延焼部分を含め、東京ドーム一六個分、七五ヘクタールに達したという。



2014年3月23日日曜日

【スミソニアン誌】チェルノブイリ27年後のいまも森林に放射能(フクシマでも…)

チェルノブイリ27年後のいまも森林に放射能(フクシマでも…)
27 Years Later, Radiation Still Hides Out in Chernobyl’s Trees (Fukushima’s Too)
樹のなかに封じこめられたチェルノブイリの放射能が森林火災で再放出の恐れ
コリン・シュルツ Colin Schultz
smithsonianmag.com
2013
628
Photo: Timm Suess
凡例:(原注)[訳注]
1986426日のチェルノブイリ原発メルトダウンは、東ヨーロッパの58,000平方マイル[150,200平方キロメートル]にわたって放射性物質を撒き散らした。破壊された原発を中心に半径18マイル圏内[約29キロメートル、通常「30キロ圏」と呼び習わす]は、当局によってチェルノブイリ立入禁止区域――何人も居住していないとされる地域――に指定された(それでも暮らしている人がいるのはもちろんだが)。サイエンティフィック・アメリカン記事によれば、事故が起こってから幾歳月もの時を経たいまでも、放射能は廃物となった原発の周辺の広大な地域に残存したままである――そして、いつ環境中に再放出されても、おかしくない。
チェルノブイリ周辺の森林では、木樹が放射性降下物の一部を吸収した。雨によって空気中から洗い落とされた放射性核種は、木樹に吸収され、長期間にわたり貯蔵されている。サイエンティフィック・アメリカン記事によれば、森林火災が発生して、この放射能が環境中に再放出されるおそれがある。
閉鎖された原発の周辺にある森林は、1986年の炉心爆発が残した汚染物質を吸収してきた。いま気候変動と管理の不行き届きのため、厄介な難局が差し迫っている。ドイツ、スコットランド、ウクライナ、米国の科学者らが実施した「チェルノブイリ立ち入り禁止区域における森林火災の人間の健康に対する影響」に関する分析によれば、こうした森林が炎上すると、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム、その他の放射性核種が放出される。
最近の研究によれば、フクシマ第1原発周辺でも同じことが起こりうる。同地では、木樹が放射性セシウムおよびヨウ素を吸収し、樹冠部に蓄積している。同研究によれば、樹木中の放射能の「半減期」は2年程度であり、すなわち放射能蓄積量は2年ごとに半減する。
さて、樹木が放射能に地域内残存能力を付与していることになる。だが、真の問題として、そのような放出はどれほど危惧すべきことなのか?
最近のWHO[世界保健機関]報告によれば、フクシマ事故当初の放射能拡散ですら、大した問題を引き起こすほどのものでないという。サイエンティフィック・アメリカン記事によれば、チェルノブイリの森林が炎上すれば、風下居住民の発癌リスクが低率ながら上昇しかねない。それはそうとしても、放射能と化した樹木のため、火災と戦う消防士の元より危険な職務は、さらに危険になるだろう。
【筆者】 Colin Schultz
コリン・シュルツは、カナダ、トロント在住のフリーランス科学記者・編集者。Smart Newsに記事を執筆、アメリカ地球物理組合に投稿。物理学および哲学の学士、ジャーナリズム修士。



2014年3月20日木曜日

【スミソニアン誌】#チェルノブイリ☢惨事で森林腐食に異変が…

  チェルノブイリの悪名高い赤い森の倒木。写真:T.A.Mousseau & A.P. Møller

チェルノブイリ周辺で森林腐食に異変が…
Forests Around Chernobyl Aren’t Decaying Properly
チェルノブイリの放射線被曝で、人間、動物、樹木のみならず、昆虫、微生物、菌類も影響を受けていた。
レイチェル・ニュワー Rachel Nuwer
smithsonianmag.com 2014314
チェルノブイリ原発が爆発し、未曾有の核惨事を引き起こしてから、30年近くの時が流れた。しかし、その破局的惨事の影響はいまだに感じられる。グラウンド・ゼロを取り巻く広大な立ち入り禁止区域では、住む人間がいなくとも、動物たちと植物はいまだに放射性毒物の徴候を示している。
チェルノブイリ周辺の鳥類は、放射性毒物にさらされていない地域の鳥類に比べて、かなり小さな脳を有している。樹木の成長が遅い。クモ類と昆虫類――蜂、蝶、バッタなど――の生息数が少ない。おまけに、立ち入り禁止区域の外側で捕らえられた――ドイツほど遠く離れた地で捕獲されたものも含めて――イノシシなどの狩猟動物は、いまだに異常で危険なレベルの放射能の影響を示している。
だが、環境のなかでは、さらにもっと基本的な事象が進行している。Oecologia誌掲載の新研究によれば、分解者――腐食プロセスを推進する、微生物、菌類、ある種の昆虫といった生物――もまた汚染の影響をこうむっている。これらの生物は、いかなる生態系においても基本的な構成要素としての役割を担っており、有機物を土壌に還元している。論文の著者らが考えるに、このように基本的なレベルのプロセスにおける事象は、生態系全体に対して複合的な影響をおよぼしえたはずである。
研究チームは、一つには特異な野外観察結果を得たことから、この疑問を吟味することを決定した。「われわれは1991年からチェルノブイリで調査を実施し、やがて散乱物がかなり蓄積していることに気づいた」と著者らは書く。さらにまた、悪名高い「赤い森」――事故のあと、松の木がすべて赤く変色し、速やかに枯れ死んでしまった地域――の木樹は、メルトダウンから15ないし20年たっても、腐食していないようだった。
「わたしたちが枯れ死んだ木樹に初めて出くわしたとき、少数の蟻は別ですが、その幹の大部分は無傷のままでした」と、米コロンビア州サウス・カロライナ大学の生物学者で論文の主筆、ティモシー・ムソーはいう。「わたしの居住地の森林では、10年も地面に横たわっている倒木の大部分が粉々になることを考えれば、あれは驚くべきことでした」 
ムソーと研究仲間たちは、森林の床に枯葉の堆積が一見して増大していること、そして松の木が石化したように見えることが、もっと大掛かりななにかを示唆しているのではと考え、ある種の野外実験を実施することを決定した。立ち入り禁止区域内のさまざまな地点で枯葉残存物を測定すると、放射能毒性が最大であるチェルノブイリの「最高レベル」汚染地域において、残存物層そのものが2ないし3倍も厚いことがわかった。だが、これだけでは、この違いが放射能のせいであることを証明するには不足だった。
彼らは予想を確認するために、小さな網袋を600枚ばかり作成し、非汚染地点で収集した4種の樹木、カシ、カエデ、カバ、マツのなかから一種ずつの葉を、それに詰めこんだ。当初から袋のなかに昆虫がいないか、手間をかけて確かめてから、半分の袋に外部から虫が侵入しないように婦人用パンティストッキング生地で裏打ちをかけ、広い網目の袋と区別した。
  チェルノブイリ立ち入り禁止区域のいたるところに枯葉袋を配置するムソー。写真: Gennadi Milinevsky

そのうえで彼らは復活祭の卵をあさる分解者よろしく、(まったくの非汚染地点を含め)多様な程度の放射能汚染を示す、立ち入り禁止区域の数多くの地点にその袋を配置してまわった。彼らはそのまま袋を放置し、1年近く待った――順当なら、微生物、菌類、昆虫が死んだ有機物を片付けるのに十分な時間であり、パンティストッキング生地で裏打ちした袋が、昆虫と微生物のどちらが主として枯葉の分解の担い手であるかを見極めるのに役立つはずだった。
結果は明確だった。放射能のない地域では、1年後に枯葉の70ないし90パーセントが消失していた。だが、放射能が存在する地域の枯葉は、当初の重量の60パーセント内外を保持していた。パンティストッキング生地で裏打ちした袋と比較することによって、昆虫類が枯葉の除去に相当な役割を担っているが、微生物と菌類がずっと重要な役割を担っていることがわかった。彼らはとても多くのさまざまな地点にとても多くの袋を配置したので、湿度、気温、森林・土壌タイプといった外的要因を照合することによって、放射線レベルを措いて、枯葉の分解に対して影響を与える要因がないことを確認することができた。
「わたしたちが得た結果の要点をいえば、土壌表層にある枯葉残存物の微生物分解を放射線が妨げていたということです」とムソーはいう。これは、栄養素が効率的に土壌に還元されないことを意味しており、チェルノブイリ周辺の樹木の成長が遅くなっていることの原因の一つになっているのかもしれないと、彼は付言した。
*印は枯葉袋の配置地点を示す。色分けは放射能レベル区分。図: Mousseau et al., Oecologia
ほかの研究によって、チェルノブイリ地域が火災の危険にあることがわかっており、ムソーと彼の研究仲間は、27年間分の枯葉残存物がそのような森林火災に格好の燃料源になりうるだろうと考えている。このことは、単なる環境破壊にとどまらずに憂慮すべき問題を投げかけている。火災は立ち入り禁止区域の外の場所に放射能汚染を再分配しかねないと、ムソーはいう。「今後数年のうちに破滅的な火災が発生するのではと心配が募ります」
目下のところ残念なことに、立ち入り禁止区域に最大限の注意を払って、いかなる火災も速やかな消火を試みること以外に、明白な解決策は手中にない。研究者らは日本でも研究チームと協力して、フクシマでも同じような微生物死滅地帯の出現をこうむっているか否かを確認しようとしている。 
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【筆者】 Rachel Nuwer
レイチェル・ニュワーはSmart News記者であり、Smithsonian.comに科学記事を投稿。ブルックリン在住のフリーランス科学ライター。



2014年3月12日水曜日

2014年3月11日、パリの #エートス 非公開セミナーに結集した核事故被災地代表と専門家たち(案内書・試訳)


フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)および
フランス原子力防護評価研究所(CEPN)主催
1回セミナー
Espaces Cap 15
1-15 Quai de Grenelle, 75015 Paris
http://www.cap15.com/en
パリ 2014311
背景
福島第1原発事故のあと、国際放射線防護委員会(ICRP)は日本の「放射線安全フォーラム」と共同で、事故の影響を受けた地域で暮らす人びとの生活条件を改善する可能性を明確にするために、すべてのステークホルダー(利害関係者)による一連のダイアローグ(対話集会)を実施した。ダイアローグは201111月以降、ほぼ4か月ごとに開催されている。
この集会と平行して、また関連して、市民たちのグループが、被災地住民、専門家、地域職業人、当局が交流して、放射線状況をよりよく理解し、汚染の影響を受けている国土にとどまる選択をした人びとの生活条件を改善するための地域社会レベルの行動を促進する目的で、みずから団体を組織した。
IRSNCEPNは利害関係者関与および事故後管理の分野で経験を積んでいることから、フランス原子力安全局(ASN)、ノルウェー放射線防護局(NRPA)、放射線防護・公衆衛生委員会/OECD原子力機関CRPPH/NEA)とともに、ICRPダイアローグ主導に参加・支援している。
IRSNCEPN分析
この状況において、IRSNCEPNは共同で、次のような項目に関して、行動からの経験フィードバックの分析を開始した――
-            地域レベルの事故後管理における日本のさまざまな利害関係者(当局、専門家、専門職、NPO、市民…)による関与の条件
-            地域、国家および国際的な専門家を、住民の毎日の生活における関心と期待に応えるための奉仕に動員するための様式(相互専門化)
-            事故後の状況にあわせた実用的放射線防護文化の発生と発達
この分析は、専門家と専門職、ならびに事故被災地の生活条件の再建に関与する日本の市民社会の代表による緊密な協力のもとに行われる。
この経験交流の目的は、一方には、事故後の状況における市民社会のさまざまな当事者を交えて、意識を高め、専門知識を用意するための提案を開発すること、他方では、放射線防護および放射線生態学の分野における研究・開発作業オリエンテーションにおいて人間的次元を考慮することである。
ICRPダイアローグ・イニシャティヴに参画している日本人参加者を交えた2回の作業セミナーによって、この分析が豊かなものになり、考察の正当性を確保することになる。第1回のセミナーは20143月、第2回は2014年遅くに開催される。
2014311日開催セミナーの目的
この第1回セミナーの目的は、被災民とのみずからの取り組みの問題に関して、日本人参加者の証言を提示し、議論することである。また、ICRPダイアローグ・イニシャティヴから学んだ教訓、ならびに地域住民が専門家と専門職の支援を受けて地域社会レベルで実施した最初の行動の分析における、これまでに達成された前進を提示し、議論することも目的とする。
2回セミナーは、同じ日本人参加者を迎え、フランスの市民社会代表の参加枠を拡大して、2014年の秋に開催される。
参加者
セミナーは、事故後管理に関与するフランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の役員および上席専門家、ならびに国際放射線防護委員会(ICRP)ダイアローグ・イニシャティヴに参加するフランス原子力安全局(ASN)、ノルウェー放射線防護局(NRPA)、放射線防護・公衆衛生委員会/OECD原子力機関(CRPPH/NEA)の専門家のために設定されている。
日本人参加者――
Ÿ   安東 量子
    NPO “Ethos of Fukushima”
リーダー
Ÿ   伴 信彦 教授
   
東京医療保健大学教授
    ICRP1委員会委員
Ÿ   早野 龍五 教授
   
東京大学教授
   
欧州原子核研究機構(CERN)の反物質研究者
Ÿ   勝見 五月(かつみ さつき)
   
福島県内小学校の元校長
   
現職、市の教育問題顧問
Ÿ   黒田 祐次郎
   
東京大学病院・緩和医療科助教授
Ÿ   丹羽 太貫 教授
   
国際放射線防護委員会(ICRP)主委員会委員
   京都大学教授、福島県立医科大学准教授
    ICRP
ダイアローグ・イニシャティヴ・コーディネイター
Ÿ   多田 順一郎
    NPO
「放射線安全フォーラム」会員
   
伊達市顧問
セミナー・プログラム
09000930 IRSN開会挨拶および参加者紹介
09301100 日本人証言および質疑
            -            勝見五月「富成小学校の除染・再建に関する報告」
            -            伴信彦「人びととの情報交換:日本保健物理学会Q&Aウェブサイトおよび飯舘村における経験」
11001130 コーヒー・ブレイク
11301300 日本人の証言および質疑
            -            多田順一郎「3年間の経験および福島の一NPO会員としての視点」
            -            黒田祐次郎「生活条件を改善するための地域住民との協力:新米科学者のいくばくかの経験」
13001430 ランチ
14001645 日本人の証言および質疑
            -            早野龍五「フクシマ後の社会との相互関与:個人的経験」
            -            安東量子「人が帰属する場所:3.11以前と以後」
            -            丹羽太貫「放射線生物学で福島の人びとに奉仕する」
16451700 コーヒー・ブレイク
17001800
     -            ティエリー・シュナイダー「ICRPダイアローグ・イニシャティヴからすでに得られた教訓とは、なにか?」

18302000 カクテル・パーティ



☆ ★ ☆ ★ ☆
【付録 1】
今日は311日、東北原発大震災の三周年である。パリは快晴で心地よい小春日和だ。
エッフェル塔、パリ日本文化会館のあるすぐ脇の、国際鉄道会館(予定されていた会場CAP15が急に変更になった。ここは過日、愛知万博の開催が決定された場所で、そのとき、万博に反対の環境派の人たちがデモった場所でもある) で非公開に開催されたIRSN(仏放射能防護・安全研究所)とCEPN (核防護評価研究センター:仏原子力ロビーによって作られたNPO)によって開催された非公開セミナーだが、コーヒー・ブレークの隙を見計らって、闖入した。54人ほどの参加者が入るちいさなホールで、皆学生のように、おとなしく聞いている。
しばらく多田順一郎センセ(放射線安全フォーラム)のお説を拝聴した後、ちょうど,ロシャール氏が立ち上がったところで、仲間のI女史が、 彼に向かって最後列から呼びかけた。
「ロシャールさん、ロシャールさんはあなたですか。あなたはチェルノブイリでエトスをやった。福島でもやろうとしている。放射能に防護も安全も存在しないのに、あたかもそれが出来るように吹聴している。あなたは犯罪的で、ここにいる人たちも共犯者だ」。会場は騒然となった。ロシャールせんせは近づいてきた。共同主催者であろう丹羽センセもブットンできた。丹羽先生はすごい剣幕で、<ここは非公開のセミナーだ、静かに聞いている分には許すが、会議を混乱させるなら、出て行ってくれ>と。例の自称<市民運動>のアンドーさんも、かけ参じた。私の顔をみて、<コバヤシさんですね。よくもでたらめをたくさん書いてくれましたね>と。ハハァ、なるほど拙著を読んでいる!<アンドーさん、あなたもよく色々なさってますね。ところで、今回はどなたのお金で、こちらにいらしたんですか?>と私。<そんなこと、応えられません。返事する必要ありません>と言って、私を睨みつけている。まあ、盗人猛々しい風の人だ。こういう風の人だから、<福島イン・エートス>が出来るのだと、合点した。我々はしばらく留まることにして、多田せんせのご講演を拝聴した。なるほど、彼ら推進派の放射線防護の人たちは、除染すれば放射能は低くなり、飯舘村も除染したので、だいぶ低くなったと測定図を開陳する。

そして、事故後、しばらく混乱が起こっているのは、反原発派の様々な異論や、いい加減な知識を持つ人々が、いい加減な情報を振りまき、世相を混乱させたからで、きちんとしたステークホルダーが必要だ、と結論。
相変わらずの独善的な結論で、原子力ロビーの専門家たちというのは、あたかも、自分で自分を納得、正当化しているような、他の考え方に対して理解してもらおうなどとは思わない。自分が一番正しくて、その価値観をきちんと普及させれば、すべてが解決すると言った風なのであった。
私は、他の用事があったため、会場を後にした。
アンドーさんは、ツイッターで、あちこちパリ見物をして、グルメ三昧の生活を書き送っているそうだ。震災の三周年で、皆被災者は悲しみを新たにしているというのに、バチあたりなことである。そもそもこのような、原子力を推進するために放射線管理を検討し合う推進派のセミナーを開催すること自体が、バチあたりなことである。
参加者の大半は、どうやらIRSNの研究者や専門職員のようだ。まったくあきれ果てた組織である。他に、CEPN, OECD, ASNの職員、そして、ロシャールせんせとシュネイデールせんせだ。彼らのなかに良心のかけらを持った人さえもいないのだろうか。

コリン

日本側の招待パネラー:
安東量子(エートス・イン・福島)
伴信彦(東京保健大学)
早野龍五(東京大学)
勝見五月(伊達市、前富成小学校校長)
黒田佑次郎(東大病院)
 
丹羽太貫(ICRP主委員会委員 京都大学名誉教授)
多田順一郎(放射線安全フォーラム)
 
Publié il y a 13 hours ago par EchoEchanges
☆ ★ ☆ ★ ☆
【付録 2】