2014年7月31日木曜日

サイエンティフィック・リポーツ【環境】福島第一原発の近くに生息するサルの血球数が少ない


Scientific Reports
2014724
Environment: Blood changes in monkeys near Fukushima


福島市の森林地域に生息する野生のニホンザルの血球数が、青森県のサルと比べて少ないことを報告する論文が掲載される。この結果は、ニホンザルの血球数の変化の一因が、福島第一原子力発電所事故後の放射性物質の被曝であった可能性を示唆しているが、正確な原因は証明されていない。
今回、羽山伸一(はやま・しんいち)たちは、福島第一原子力発電所から70 kmの地点に生息している61匹のサルと同発電所から約400 km離れた下北半島に生息している31匹のサルを比較した。今回の研究では、福島のサルの赤血球数、白血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値が、いずれも下北半島のサルより有意に少ないことが判明した。また、福島のサルの筋中放射性セシウム濃度(放射線被曝の指標の1つ)は、生息地の土壌汚染レベルと関係していたが、下北半島のサルの筋中放射性セシウム濃度は、いずれも検出限界以下だった。福島のサルの場合、未熟なサルの白血球数が筋中放射性セシウム濃度と負の相関関係にあったが、成熟したサルには、そのような関係は見られなかった。この点について、羽山たちは、若いサルの方が放射性物質に脆弱である可能性が示されていると考えている。また、血球数の少ないことについては、免疫不全の徴候であるとし、そのためにサルが流行性感染症にかかりやすくなる可能性があるという見方を示している。
羽山たちは、福島のサルの血球数が少ない原因が、感染症や栄養不良ではないとするが、放射線障害が原因であることを確認するためには、さらなる研究が必要なことも指摘している。
the Guardian【海外報道】

DOI:10.1038/srep05793 | 英語の原文
野生ニホンザルにおける

福島第一核惨事後の

血球細胞計数値の低下

Scientific Reports 4, Article number: 5793 | doi:10.1038/srep05793
Received 06 February 2014 | Accepted 24 June 2014 | Published 24 July 2014
われわれは20124月、福島市の森林地に生息する野生のニホンザルに対する1年間の血液学的研究を実施した。この地域は、2011年東日本大震災のあと、大量の放射性物質を環境中に放出した福島第一原子力発電所(以後、原発と表記)から70 kmの距離に位置している。比較のために、原発から約400 kmの距離にある青森県の下北半島に生息しているサルも検査した。福島のサルの場合、総筋肉セシウム濃度は781778ベクレル/㎏の範囲内にあったが、それに対して、下北のサルの場合、セシウム濃度レベル値はすべて検出限界を下回っていた。福島のサルは下北のサルに比べ、赤血球および白血球細胞の計測数値、ヘモグロビン値およびヘマトクリット(赤血球容積率)が有意に低く、幼体サル白血球細胞の計測数値は筋肉セシウム濃度と逆相関関係にあった。これらの結果、なんらかの形態の放射性物質による被曝のために、福島のサルに血液学的な変異が起こったと考えられる。
2011311日、巨大地震が東日本を襲ったあと、福島第一原子力発電所で炉心メルトダウン事故が発生した。原発事故のあと、福島市における土壌の放射性セシウム濃度は10,000300,000 Bq/m2の範囲内におよび1、積算線量計で計測した20114月以降2年間の積算空中放射線量は7.5 mSvになった2
1986年のチェルノブイリ事故など、原発事故は何回か起こっているが、野生霊長類動物の健康に対する放射性物質の作用に関する研究はこれまで実施されたことはなかった。そこでわれわれは、福島県の東部、原発から70 kmに位置する福島市(図1)に生息する野生のニホンザル(Macaca fuscata)個体群の健康作用と長期放射性物質被曝の関連を調べた。ニホンザルは日本の固有種であり、その寿命は20年を超える3。福島市のニホンザル個体群において、5歳以上の成体雌は晩秋に妊娠し、春に出産する4
1.今回の調査実施地、福島と下北の位置図
本地図は日本地理院提供の自由使用が許される白地図を加工したもの。
葉山たち520114月から20126月にかけて、福島市に生息するサルの筋肉中セシウム濃度の経時変化を調べた。ニホンザルは通常、50100個体の母系集団を形成し、それぞれの集団は降雪地に約831 km2の行動域を保持する6。土壌汚染レベルが100,000300,000 Bq/m2の範囲内である地域で捕獲されたサルの平均筋肉中放射性セシウム濃度は、それが10,000100,000 Bq/m2 の範囲内である地域で捕獲されたサルのそれよりも有意に高かった(P < 0.0015
チェルノブイリ事故による健康への影響について調べた研究は大量にある7, 8。とりわけ汚染地域に居住する人びとの血球細胞計測数の減少などの血液学的な変異は、低線量放射線被曝による長期的な影響として報告されている8。福島の場合、放射線量がシジミチョウ科蝶の形態異常発現と相関し9、また鳥類、蝶類、蝉類の生息数減少と相関していると報告されている10, 11
よって、本研究では上記のような放射線被曝にまつわる血液学的な記録を用いて、放射線被曝による健康への作用を解明するために、福島市(以後、「福島」と略記)に生息するニホンザルに対する血液学的な調査を実施した(図1)。対照区として、当該原発から約400キロに位置する青森県下北半島(以後、「下北」と略記)に生息するニホンザルを検査した(図1)。ヒト以外の霊長類――分類学上、ヒトの最近縁種――から得られるデータは、ヒトにおける放射線被曝による健康への作用に関する将来の研究に顕著な貢献をするはずである。
結果
1に、血液学データ値、放射性セシウム濃度、脂肪指数を示す。福島のサルの場合、総筋肉セシウム濃度は781778ベクレル/㎏の範囲内にあったが、それに対して、下北のサルの場合、セシウム濃度レベル値はすべて検出限界を下回っていた。両地域の血液検査値を比較すれば、白血球計数値(WBC)、赤血球計数値(RBC)、ヘモグロビン値(Hb)、赤血球容積率(Ht)において有意な違いが示されていた(両地域における作用に関する双方向分散分析、p0.01、表2)。しかしながら、年齢層または地域ごとの年齢層による、これらのデータ値に対する有意の差異効果は見いだせなかった(表2)。福島および下北それぞれの個体群で有意の差異を示す4種の血液検査値(WBCRBCHbHt)をさらに分析するために、チューキー=クレイマー法を用いて、下北のサルと福島のサル2集団それぞれのデータに対する複数の比較検討を実施した。その結果、すべての福島のサルにおける血液検査値が下北のサルの場合よりも有意に低く(p0.0001)、福島のサルの2集団のあいだには有意の差異は認められなかった。血小板計数値、白血球計数値、脂肪指数には、有意の差異は認められなかった。
1.福島および下北で捕獲されたニホンザルの血液検査値
【 PDFリンク 】
2.地域および年齢を要因とする双方向分散分析による地域および年齢に相関した血液検査値および脂肪指数の偏差

平均平方
F
d.f.
p
白血球計数値




地域
32624.89
14.94
2, 70
<0.01
年齢
1083.38
0.50
1, 70
0.48
地域×年齢
1714.51
0.79
2, 70
0.46
赤血球計数値




地域
47339.27
6.93
2, 70
<0.01
年齢
258.46
0.04
1, 70
0.85
地域×年齢
13876.56
2.03
2, 70
0.14
ヘモグロビン値




地域
76.98
18.13
2, 69
<0.01
年齢
0.78
0.18
1, 69
0.67
地域×年齢
6.37
1.50
2, 69
0.23
赤血球容積率




地域
0.17
6.72
2, 86
<0.01
年齢
0.01
0.47
1, 86
0.50
地域×年齢
0.02
0.72
2, 86
0.49
血小板




地域
860.60
2.65
2, 53
0.08
年齢
138.10
0.43
1, 53
0.52
地域×年齢
1020.18
3.14
2, 53
0.05
リンパ球




地域
0.00
0.23
2, 86
0.80
年齢
0.01
1.13
1, 86
0.29
地域×年齢
0.00
0.21
2, 86
0.81
顆粒球




地域
0.00
1.20
2, 86
0.31
年齢
0.00
0.11
1, 86
0.74
地域×年齢
0.00
1.70
2, 86
0.19
単核白血球




地域
0.00
2.51
2, 86
0.09
年齢
0.00
0.00
1, 86
0.95
地域×年齢
0.00
0.00
2, 86
1.00
脂肪指数




地域
101.68
1.94
2, 86
0.15
年齢
77.52
1.48
1, 86
0.23
地域×年齢
104.28
1.99
2, 86
0.14

福島のサル個体における4種の血液検査値(WBCRBCHbHt)と筋肉中セシウム濃度の関係が評価されたさい、幼体群において、赤血球計数値における有意の逆比例関係が認められた(ピアソン相関係数:r = −0.52, p = 0.011、表3、図2)が、成体群の場合、相関性は認められなかった(r = 0.029, p = 0.887)。他には、筋肉中セシウム濃度との有意の相関関係を示す血液検査値はなかった。4種の血液検査項目はやはり相互に相関していた。
3.福島のサルにおける筋肉中セシウム濃度と血液検査値の相関関係

RBC
Hb
Ht
Cs

n
r
p
n
r
p
n
r
p
n
r
p
幼体












WBC
22
0.430
0.045
21
0.501
0.021
22
0.526
0.012
23
−0.520
0.011
RBC



22
0.967
<0.001
23
0.964
<0.001
23
0.011
0.959
Hb






23
0.982
<0.001
22
0.037
0.870
Ht









23
0.015
0.947
成体












WBC
23
0.430
0.041
23
0.415
0.049
23
0.430
0.041
26
0.029
0.887
RBC



23
0.980
<0.001
23
0.971
<0.001
23
−0.342
0.110
Hb






23
0.985
<0.001
23
−0.363
0.089
Ht









23
−0.400
0.058

ピアソン相関係数はそれぞれの年齢群ごとに筋肉中セシウム濃度と血液検査値の相関関係をしめすために計算された。
WBC:白血球計数値 RBC:赤血球計数値 Hb:ヘモグロビン値 Ht:赤血球容積率
Cs
:筋肉中セシウム濃度 pp
2.福島で捕獲されたニホンザル幼体における白血球計数値と筋肉中セシウム濃度 

考察
本研究において、福島のサルの場合、WBCRBCHbHtが下北のサルの場合よりも低かった。血液試料採取の方法と場所が血液特性に影響すると報告されている12ので、本研究をこれまでの諸研究と直接比較するのは問題かもしれないが、本研究における下北のサルの血球細胞計数値はこれまでも報告されているもの1314と相似している。ニギ他14は、ヤクシマザル(Macaca fuscata yaku)亜種を除き、ニホンザル個体群の血球細胞計数値に個体ごとの差異が大きいが、地域個体群間の差はないと報告した。野生のニホンザルの血球細胞計数値を観測した、これまでの研究は件数こそ少ないものの、個体群間の血液検査値に違いがあるとする証拠を示していない。福島のサルの血球計数値が低い原因が感染症や栄養不良であるとすることも可能である。しかしながら、われわれの研究グループは2008年からこのかた、福島で捕獲された1000頭以上のサルを検査し、検死してきたのであるが、血球細胞計数値を低下させるような地域固有の感染症を観測していない。さらにまた、福島と下北のサルのあいだに脂肪指数の有意な差異がなく(表12)、これは血球細胞計数値が低い原因は栄養不良でないことを示唆している。
下北のサルの筋肉中にセシウムが検出されなかったので、福島のサルにおける低い血液検査値は、他の放射性物質による影響のためであるとも考えうる。ステパノワ他は1986年のチェルノブイリ事故のあと、1998年から1993年にかけてウクライナの子どもたちに対する血液学的研究を実施した15。ステパノワらは、血球計数値、ヘモグロビン値、血小板計数値の低下を観測し、子ども各人における数値低下の程度が居住地域における放射性セシウムのレベルに相関していることを明らかにした。これは本研究で観測されたことと同様である。福島と下北の個体群のあいだで血球細胞計数値が有意に異なっていたが、福島の土壌汚染レベルの異なる地域で捕獲されたサルの2個体群間の有意な差は認められなかった。ウクライナで実施された上記の研究もまた、土壌汚染レベルの異なる2地域の境界の近くでは、白血球計測値に有意な違いがないことを示している15。土壌汚染レベルの高い地域に生息するサルを調査するために、さらなる研究が必要である。さらにまた、福島のサルにおける筋肉中放射性セシウム濃度には、季節変動があることがわかっており、冬期に23倍の上昇をする5。このことから、本研究で示されているように、同じ地域で捕獲されたサルのあいだで筋肉中セシウム濃度が大きく変動することがわかる(表1)。サルの体内におけるセシウムの生物学的半減期は約21日である5。たとえ放射線障害が本論文で観測する低い血球細胞計数値の原因であるとしても、放射性物質の摂取と放射線障害の発現には時間差があるために、因果関係を証明することは困難である。放射線被曝量がかなり同等である地域間で比較する場合、この困難さはさらに増幅する。
これら複雑な要因が絡むにもかかわらず、福島のサル幼体において白血球計数値と筋肉中放射性セシウム濃度のあいだには有意の逆相関関係が認められた(表3)。それに加えて、福島のサルの場合、下北のサルよりも低いWBCRBCHbHtそれぞれの数値が相互に有意の正相関関係にあって、もっと多くの試料がありさえすれば、これら4種の血液検査値と筋肉中放射性セシウム濃度のあいだに正比例関係があることを事実として証明することが可能になるはずである。福島のサル幼体において、白血球計数値は筋肉のなかのセシウム濃度に関して逆相関していたが、福島のサル成体の場合、血液検査値と筋肉中セシウム濃度のあいだの相関関係は認められなかった。サル幼体は放射性物質による影響を受けやすいので、白血球計測値が低下したとしてもおかしくない。モイジッチ他16はチェルノブイリ災害に被災したヨーロッパ人の白血病発症リスクを調べるための疫学研究を実施し、幼い子どものほうが成人よりも明白に発症リスクが高いことを明らかにしたのであり、これは放射線被曝の血液学的な影響が年齢によって異なることを示唆している。
福島のサルの血液検査値変化は、なんらかの形の放射性物質による被曝の結果であるかもしれないが、本研究では放射性セシウム濃度だけしか測定されていない。福島のサルと下北のサルで白血球計測値に違いがないので、これらの血液検査値の変化は、骨髄の造血機能の低下に原因があるのかもしれない。それ故、われわれは将来の研究において、ストロンチウム90など、他の放射性物質を検出する目的で、隠れたメカニズムを詳細に追究する計画を立てている。現時点において、入域が規制されている高度の汚染された地域に生息するニホンザルを調査することは困難である。しかしながら、われわれは適正な許可を得られしだい、血液検査およびその他の測定を実施する意向である。
血球細胞計数値が低いことは、サル個体の健康が危うくなっていることを必ずしも意味しない。しかしながら、これがある程度の免疫系損傷を示唆しているのかもしれず、そうであれば、動物の個体や群全体が潜在的に、たとえば、流行性感染症に影響されやすくなる。したがって、福島のニホンザル個体群に対する免疫およびその他の健康に関連する長期研究を実施する必要がある。
手法
動物と倫理
ニホンザルの血液および筋肉試料は、20124月から20133月のあいだに92頭(福島で61頭、下北で31頭)から採取された。各個体は農用地に近い森林地帯で箱罠を用いて捕獲された。本研究の実験に用いたサルの捕獲は、「鳥獣保護及び狩猟管理法」にもとづいて策定された「ニホンザル保護管理計画」に則り、福島・青森両県知事による許可を得てから実施した。サルの捕獲および屠殺の方法は、京都大学霊長類研究所が発行したガイドライン17に従っている。さらにまた、同地域に生息するニホンザルは環境省の日本版レッド・データ・ブック2012年版18に記載される絶滅危惧種に登録されていない。
土壌汚染レベルが100,000300,000 Bq/m2である地域で捕獲されたサルの平均筋肉中放射性セシウム濃度は、10,000100,000 Bq/m2の地域で捕獲されたサルのそれより有意に高かった(p0,0015。それ故、われわれは試料採取地の土壌汚染レベルを100,000300,000 Bq/m2および10,000100,000 Bq/m22範疇に区分し、それにもとづいて、福島のサルを2集団に分けた。そのうえで、福島のサルの2集団および下北のサルの血液検査値を比較した。
本論文で研究対象にしたサルのうち、20144月から6月のあいだに捕獲した個体は、以前に発表した研究5の対象にしたものと同じ個体である。この前回の論文の目的は、サルの筋肉中に徐々に蓄積したセシウムの濃度と土壌汚染レベルのあいだの相関関係を確立することにあった。しかしながら、今回の研究の狙いは、サルの筋肉中のセシウム濃度を放射能被曝の指標として、血液検査値と放射能被曝のあいだの相関関係の有無を判定することにあり、前回の研究の意図とは明確に違っている。さらにまた、野生動物の場合、長期にわたる放射能被曝量を確定するのは困難である。蓄積放射線被曝量とその健康に対する作用に関する前回出版の研究の場合、捕獲地点の土壌汚染レベルと捕獲時点における体内放射能蓄積量とが放射能被曝の指標に用いられた。今回の研究では逆に、筋肉中に蓄積したセシウムの量が指標に用いられた。
血液試料および筋肉資料
血液試料は、10 ml注射器および18ゲージ注射針を用いて、屠殺直後に心臓から採取した。血液は、ガラス瓶中のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二カリウム塩二水化物と混合した。血液試料採取および資料搬送の方法は、どのサルの場合でも、どの採取地域の場合でも同じであった。屠殺体と血液試料は冷蔵状態でわれわれの研究室に搬送され、血液採取後2日以内に解剖および血液検査が実施された。血液検査項目は、白血球計数値(WBC)、赤血球計数値(RBC)、ヘモグロビン値(Hb)、赤血球容積率(Ht)、血小板計数値、白血球特異形(リンパ球、単球、顆粒球)計数値であった。血液検査結果はシスメックス株式会社(神戸市)血球計XT2000型を用いて得た。エチレンジアミン4酢酸(EDTA)血液塗抹試料はギームサ染料で仕上げ、顕微鏡を用いた手仕事で精査された。サル各個体の体重はグラム単位で計測された。検死に際して、放射性セシウム成分の測定のために、後肢から5001,000グラムの筋肉組織が採取された。放射性セシウムの測定には500グラムまたはそれ以上の臓器を要するので、骨格筋が試料に選ばれた。採取された筋肉組織は、放射能測定に用いるまで-30℃以下で冷凍保管された。
年齢判定と脂肪指数
解剖のさい、イワモト他19が記述した方法で歯牙萌出の状態が調べられ、各個体の年齢推測に用いられた。推定年齢は、動物を幼体(04歳)集団と成体(>5歳)集団に区分けするのに用いられた。さらにまた、われわれはサルの栄養状態を判定するために脂肪指数を計算した。前回の研究20では、ニホンザルの場合、体重に対する腸間膜脂肪重の比率は、体脂肪の比率に正比例していた。脂肪指数は、腸間膜脂肪重(グラム)を体重で割り算し、それを1000倍にした計算の解と定義された。
放射能測定
筋肉の放射性セシウムの放射能は、ゲルマニウム半導体分光計(キャンベラ社GC2020-7500SL-2002CSL、米国コネチカット州メリデン)およびNalT1)シンチレーション検出器(アトムテック社AT1320A、ベラルーシ国ミンスク)を使用して分析された。データは、測定環境の背景放射線量にもとづき必要に応じて校正された。セシウム134は、604.70 keVおよび795.85 keVガンマ線エネルギーを用いて検出され、セシウム137は、661.6 keVガンマ線エネルギーを用いて検出された。放射性セシウムの放射能は、その物理的半減期にもとづき、捕獲時点の日にちに応じて補正された。検出限界値は10ベクレル/㎏であった。筋肉中セシウム濃度は、セシウム134、セシウム137の生体筋肉重1 kgあたり合算値として計算された。
統計処理
データはSPSS10.0ウィンドウズ版(SPSS社、米国イリノイ州シカゴ)を用いて分析した。地域および年齢区分を因子として、血液検査値および脂肪指数を比較するために双方向分散分析法を用いた。集団間の血液検査値の複合比較を実施するためにチューキー=クレイマー法を用いた。
The Tukey–Kramer method was used to perform multiple comparisons of hematological values between groups. Pearson's correlation coefficient was used to examine correlations between muscle cesium concentration and hematological values.
参照文献
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謝辞
本研究は、福島市、Mr. Hideharu YamazakiDr. Noriaki Shibataにご協力を賜り、可能になった。著者らは、本研究に関わったすべての皆さまに心からの感謝を表明する。また、日本獣医生命科学大学職員の皆さまには本研究に不可欠な助力を賜り、深甚な感謝を申しあげる。今回の研究は、京都大学霊長類研究所の共同研究プログラムおよび日本私立学校振興・共済事業団の学術研究振興資金による交付金援助をいただいている。
著者情報
所属および氏名
1.      日本獣医生命科学大学、東京
Kazuhiko Ochiai, Shin-ichi Hayama, Sachie Nakiri, Naomi Ishii, Taiki Uno, Takuya Kato, Shuichi Tsuchida & Toshinori Omi
2.      NPO法人どうぶつたちの病院、東京
Setsuko Nakanishi
3.      JA新ふくしま、福島
Humiharu Konno
4.      京都大学霊長類研究所、愛知
Yoshi Kawamoto
分担
試料採取:Sa.N., Se.N., N.I., T.U. and F.K.
研究方針策定:Y.K., S.T. and T.O.
データ分析:K.O. and T.K.
論文執筆:S.H.
利益相反開示
著者らは利益相反不存在を言明する。
連絡先
著者代表Eメール・リンク: 


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