2017年9月2日土曜日

BBC【ヨーロッパ】ドイツ西部のアーヘン市、ベルギーの原発事故を恐れてヨウ素剤を無料配布

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ベルギー原発事故の恐れのさなか
ドイツ西部アーヘン 市民にヨウ素剤を無料配布

1 September 2017 Europe

ティアンジュ核発電所は、ベルギー国境近辺のドイツ国民の心配の種。Photo: AFP

ドイツ西部の都市、アーヘンはベルギーの核発電所がリスク要因になると見て、近辺に居住する約500,000人を対象にヨウ素錠剤の無料配布をはじめた。

市民はアーヘン市ウェブサイトで登録して、薬局に備蓄されている錠剤と交換可能なクーポンを受け取ることができる。

放射能放出のあと、ヨウ素を服用すれば、甲状腺癌リスクを減らすことができる。

アーヘンから70キロ(43マイル)ほどの距離にあるベルギーのティアンジュ核発電所に対して、ドイツ人の抗議活動がおこなわれてきた。

同発電所および他にもアントワープ近くのドール核発電所の核反応炉は、安全点検のための運転停止を繰り返してきた。両所合わせて、反応炉が7基ある。

何基かの反応炉で、水漏れしたり、微小亀裂が見つかったりしたので、稼働が停止されたのである。

ベルギーの連邦原子力機関(AFCN)は、国際的な有識者らが関与した微小亀裂の科学的な点検の結果、放射能漏れの可能性は示唆されなかったという。

ドイツは、2022年までに核反応炉全基のスイッチを切ることを目指している。

ベルギーは、2022年にドール3号炉、2023にティアンジュ2号炉、2025年に残る5基の閉鎖を計画している。だが、その計画で予測される6,000メガワットの電力不足をどのようにして穴埋めするか、懸念されている。

ドイツの当局筋は、ベルギーに対し廃炉予定を早めるように呼びかけた。

 




アーヘン市がヨウ素錠剤を配布する動きは、特定の緊急事態に急き立てられてのことではないので極めて異例である。今回のアーレン市の方針は、ノルトライン・ヴェストファーレン州政府の承認を得ている。

ヨウ素は、人体の自然作用によって甲状腺に集積する。錠剤を服用することによって、甲状腺がヨウ素で飽和状態になり、発癌性のある放射性ヨウ素が入りこめなくなる。

アーヘン市の人口は約150,000人だが、周辺3地域の住民も無料錠剤の受取資格が与えられている。各人はブリスター包装の6錠を確保できる。

Image copyright AACHEN.DE 【画像キャプション】アーヘンの人びとはブリスター包装されたヨウ化カリウム錠剤を無料で受け取ることができる

緊急時服用

ヨウ化カリウム錠剤はドイツで集中的に備蓄されており、民間防衛にかかわる非常時にだけ活用される。

だが、アーケン市当局筋は、ティアンジュ核発電所がとても間近に所在しているので、緊急時にすべての所帯に錠剤を配布するのは――夜間に核事故が勃発すれば、なおさら――困難であると主張した。

服用量は、各人の年齢によって異なる。当局筋は、年齢が46歳以上の人びとが服用すれば、深刻な副作用のリスクが放射性ヨウ素による癌のリスクよりも大きくなるので錠剤を与えられないという。その人たちには代わりになる甲状腺薬――イレナット――が処方される。

ヨウ化カリウムの初回服用量は、成人または13歳以上の児童の場合、2錠である。

3歳ないし12歳の児童では1錠、幼児で半錠、乳児で1錠の4分の1である。

アーケン市当局の代理広報官、リタ・クルーチェスは、「わたしどもは2年間以上も核反応炉の亀裂が大きくなっていると心配してきました。住民は非常に心配しています」と述べた。

彼女は、「わたしどもは、この件についてベルギー側と協議を重ねてきました。アーケンの市長も関与しました。それでも、ベルギー側に反応炉を停止していただけませんでした」とBBCに語った。

ドイツで924日に議会選挙の投票が実施されるが、ミズ・クルーチェスは、ヨウ素剤の配布は「選挙となんの関係もない」と強調した。「このことがいま進行しているのは、偶然に過ぎませんし、影響がおよぶ範囲はドイツの小さな地域に過ぎません」と、彼女は述べた。

Related Topics: Germany Nuclearpower Belgium

【クレジット】

BBC, “Germans in Aachen get free iodine amid Belgium nuclear fears,” posted on September 1, 2017 at http://www.bbc.com/news/world-europe-41121761.