2011年12月31日土曜日

行政の都合を郡山の子どもたちの命に優先させた福島地裁郡山支部

郡山市の小中学生14名が郡山市を相手に、年1ミリシーベルト以下の安全な場で教育を実施するように求めた仮処分を申し立てたのに対して、20111216日、福島地方裁判所郡山支部は「却下」の決定を下した。
申し立てが624日であり、福島地裁は、仮処分訴訟としては6か月近くという異例の長期にわたる時間を費やしたことになる。この間に審尋(法廷)も3度にわたり開かれている。この間、債権者(原告)弁護団は、医師・松井英介、名古屋大学名誉教授・沢田昭二、琉球大学名誉教授矢ヶ崎克馬各氏の意見書、ECRR科学事務局長クリス・バズビー氏の論文など数々の証拠を重ね、郡山市における現状レベルの放射線被曝の健康におよぼす危険性について実証に意を尽くしている。また、学校集団疎開は行政に関わることであり、民事仮処分申し立てにはそぐわないとする債務者(被告)側の抗弁に対して、これはあくまでも14名の債権者本人たちの処遇に関わる申し立てであると債権者側は反論し、その趣旨を裁判所・債務者両者も了解していた。
ところが蓋を開けてみると、裁判所は、この仮処分申し立ての実質的な目的は郡山市内3万人の小中学生全員の強制的な疎開であると一方的に決めつけた。民事訴訟における仮処分に関わるのは、あくまでも14名の債権者なのだ。その他の郡山市の小中学生の疎開を考えるのは行政の問題である。
しかも裁判所は、郡山市の大半の地域の被曝量がチェルノブイリ事故後の強制移住基準値を超えているという債権者側の主張と、それを立証する数々の証拠をなんら検討することなく、「100Sv.未満の放射線量を受けた場合の癌などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実証的に確認されていない」、「直ちに生命身体に対する切迫した危険性が発生するとまでは認めることができない」と、どこかで聞いたような言い草を繰り返し、生身の小中学生たちの申し立てに却下を申し渡したのだ。
裁判所による棄却決定が破壊したのは、第一義的には、債権者である小中学生14名をはじめ、郡山市の子どもたち、被曝地で教育を受けているすべての子どもたちの生命身体を放射線被曝から守るための施策を政府や行政に要求する機会である。さらには、福島県における法の支配である。裁判所は法治主義をかなぐり捨て、いわゆる原子力ムラに群がる人治主義者たちにみずからを連ねてしまった。
郡山市だけでなく、原発震災被曝地・福島県は政・官・産・医・メディア複合体による、放射能のように目には見えない戒厳令体制の暗闇に閉ざされている。裁判所は、暗闇に光をもたらすどころか、いよいよ暗さを深めてしまった。だが、かつて田中正造が「辛酸入佳境」と喝破したように、希望の灯火は暗闇のなかでこそ明るく光る。
1227日、債権者14名のうち10名は即時抗告を仙台高等裁判所に申し立てた。
子どもたちの命を守るための闘いの鍵は、日本の市民たち、そして世界の市民たちの注目と関心にあるはずだ。正月には、KBS(韓国放送公社)の特別報道番組がTV放映され、フランスの代表的な女性誌『マリークレール』が福島取材に入る予定である。ふくしま集団疎開裁判の会、および弁護団は、年初早々から広報に注力し、世界に向けてメッセージを発信する準備を進めている。

2011年12月25日日曜日

『疑ってはいけない』

~ふくしま集団疎開裁判
12.16 福島地方裁判所郡山支部による
「棄却」決定を受けて~


3.11東日本大震災に端を発した東京電力第一発電所の大崩壊からこのかた、わたしたちの福島県は放射性プルームによる汚染に覆われただけでなく、政界・財界・学会が三位一体となった利権集団、いわゆる「原子力ムラ」勢力による放射能汚染地・戒厳令体制にも覆われてしまいました。利益共同体の一翼を担うマスメディアの協力によって、この戒厳令体制は、放射能や放射線と同じように不可視、裸の目には見えなくされています。
福島県内では、戒厳令体制下にあって、憲法や教育基本法、放射線健康障害防止法などのあらゆる国内法規、国連人権宣言、子どもの権利条約など、あらゆる国際法が無視され、県民の命、とりわけ子どもたちの身体生命が放射線被曝による危険にさらされたまま、顧みられることはありません。
1216日の福島地方裁判所郡山支部による決定――郡山市内の小中学生14人が安全な場所での教育の実施を求める仮処分の申し立てに対して、裁判所は①御用学者たちの言説に頼って、「100ミリシーベルト未満の放射線量を受けた場合の癌などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実証的に確認されていない」と一方的に断定し、また、②訴訟の趣旨である債権者14人の生存権救済の訴えに対して、郡山市内の小中学生約3万人全員の強制疎開を求めるものであると勝手気ままに曲解して、「棄却」決定で応えました。法の番人たちが民事法制の原則をねじ曲げた結果、暗闇の戒厳令体制を照らすはずだった一筋の光が漏れでる扉が閉ざされてしまいました。
世も末だといいますが、3.11原発大震災以降のこの国は暗闇 …… 一寸先も見えない暗闇に閉ざされてしまいました。司法までもがグルになった戒厳令下の暗闇にあって、未来は見えない。しかし、一寸先が見えない世界だからこそ、希望の胚芽も宿るはずです。
1955121日のことです。アメリカ・アラバマ州モンゴメリーの混みあった市営バスのなかで、42歳の黒人女性、ローザ・パークス夫人が、白人に席を譲るために立つように運転手に命じられましたが、彼女は屈服することにうんざりして拒否しました。運転手が警察を呼び、彼女はモンゴメリー市条例違反で逮捕されました。
この時、彼女は予見していたでしょうか? この事件がマーティン・ルーサー・キングJrの目に止まり、やがて市バス・ボイコット運動が燃え上がって、全米規模の公民権運動が勃興するきっかけとなることを…
あるいは、19891221日、ルーマニアの首都ブカレストの共産党本部庁舎前広場の官製集会で、一人の青年が得意顔のチャウシェスク大統領に向かって「人殺し!」と叫びました。この一声が広場を埋め尽くす民衆の抑圧された怒りに火をつけ、次々と波及した結果、ルーマニア革命の流れが決定し、やがて独裁者は銃殺されるまでになりました。
また、20101217日、チュニジア中部の街シディ・ブジドで一人の青年が警察の横暴に抗議して焼身自殺を図りました。この事件が、ジャスミン革命勃発のきっかけとなり、アラブの春を経て、現在でもオキュパイ運動として全米各地、さらにはヨーロッパ、プーチンのロシアに飛び火し、そしてこの日本でも虐げられた人びとの運動に影響を与え続けています。
一寸先は闇。でも、明日には、世界がどのように動き出すのか、わたしたちの誰にも予測することができません。わたしとしては、予見不可能性のなかにこそ、希望の胚芽を見つけだしたいと思います。
たったいま、わたしたちを覆い尽くしている暗闇の只中で、たったいま身体の内外から放射線で撃たれている子どもたち、孫たちを守るために、新たな一歩を踏み出しましょう。
米国の人類学者、マーガレット・ミードの言葉「疑ってはいけない。思慮深く、献身的な市民のグループが世界を変えられるということを。かつて世界を変えたものは、実際それしかなかったのだから」――この言葉にならって、わたしたちは子どもたち、孫たちが生きてゆける世界を要求し、またみずからの手で創造してゆきましょう!
マーティン・ルーサー・キングJrはワシントン記念塔広場で「I have a dream! わたしは夢を見ている。ある日、不正と抑圧という熱で苦しんでいる不毛の州、ミシシッピーでさえ、自由と正義というオアシスに変わることを」と訴えました。
わたしたちも夢見ようではありませんか。1216日、福島地方裁判所郡山支部が下した不正と抑圧を告げる棄却決定でさえ、いつか、子どもたちの命を守れと叫ぶ声が天下に満ちるきっかけだったと振り返る日の来ることを。
yuima21c

2011年12月22日木曜日

週刊金曜日 2011.12.23(877号)記事

http://www.kinyobi.co.jp/


ふくしま集団疎開裁判申立て却下される!

















市川はるみ

福島県都山市の児童・生徒一四人と保護者らが郡山市を相手に疎開を求めていた裁判で、野田首相の事故収束宣言と同じ二一月一六日、福島地方裁判所郡山支部が仮処分の申立てを却下した。

「一〇〇ミリシーベルト未満の放射線量を受けた場合における晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがないことや、四月一九日付文科省通知において年問二〇ミリシーベルトが暫定的な目安とされていたことを踏まえると、過去の被曝量と併せて年間一ミリシーベルトを超える被曝量が見込まれるとしても、これによりただちに生命身体に対する切迫した危険性が発生するとまでは認めることはできない」などが却下の理由。

一二月二日には琉球大学名誉教授矢ケ崎克馬氏が、郡山市が測定した空間線量に基づき「申立人の子どもたち全員がチェルノブイリなら住民を強制的に避難させる移住義務地域(人工放射線量年間五ミリシーベルト以上) で教育を受けている」ことを明らかにする意見書も新たに提出していたが、行政判断に従うだけの決定となった。

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いちかわ はるみ フリージャーナリスト

2011年12月21日水曜日

#ふくしま集団疎開裁判 見殺し判決不服従          12.23アクション in 郡山


【急告!】困難視されていたフォト・ジャーナリスト、『DAYS JAPAN』編集長、広河隆一さんの講演が急遽、実現することになりました。それに伴い、イベント予定表は次のように変更になります――
  
  13:00~14:30 吉野裕之さん報告
  14:30~15:30 裁判報告
  15:30~17:00 広河隆一さん講演


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「債権者らの生命身体に対する具体的に切迫した危険性は認められない」「100ミリシーベルト未満の放射線量を受けた場合の癌などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実証的に確認されていない」…このような論理を連ねて、福島地方裁判所郡山支部による「仮処分棄却決定」は行政の都合を優先して、子どもたちの生命身体に対する危険性を否認しました。日本国憲法や放射線健康障害防止法などの国内法規、さらには世界人権宣言や子どもの権利条約などの国際人権規程を無視する行政と司法。3.11大震災からこのかた、この日本という国は野蛮な人治主義の暗黒状況にあることが目にも明らかになるばかりです。
わたしたちは黙っているわけにはいきません。裁判所による不当判決に対して不服従の決意を表明するアクション第一弾として、「ふくしま集団疎開裁判」の会は、次のようなイベントを挙行します。


判決不服従アクション in 郡山
ふくしま集団疎開裁判報告「16日の裁判所の決定について」&
『放射能からいのちを守る全国サミット』キックオフミーティング報告
日時 20111223(金)13001700
会場 JR郡山駅西口 郡山ビッグアイ7F 全大会議室
        (郡山市駅前二丁目11-1  0249312700 地図
     会場のビッグアイは今回の講演会とは関係がありませんので、問い合わせは下記の連絡先までお願いします。
定員 先着160名(事前予約はしていません。当日会場にお越しください)
ネット中継 USTREAM IWJ (チャンネルは未定)

第1部 報告 13:00~14:30
講師  吉野裕之さん(放射能からいのちを守る全国サミット 事務局長)
演題   「子どもたちを救え!――チェルノブイリと福島――」(仮題) 
 「つなぎたい~~避難・疎開・保養~~つながりたい『放射能からいのちを守る全国サミット』キックオフ ミーティングの報告」

第2部 ふくしま集団疎開裁判報告 14:30~15:30
報告者 弁護団 
 安藤雅樹(長野県松本からスカイプ) 
 井戸謙一(滋賀県彦根からスカイプ) 
 柳原敏夫 
発言者 矢ヶ崎克馬さん(琉球大学名誉教授 沖縄からスカイプ)

 松井英介さん (岐阜環境医学研究所 ベルリンからスカイプ) 
    武藤類子さん(ハイロアクション福島
    黒田節子さん(ハイロアクション福島
    井上利男さん(ふくしま集団疎開裁判の会 代表)
    駒崎ゆき子さん(郡山市議)
    酒井恭子さん(会津放射能情報センター
    橋本好弘さん(須賀川)

第3部  講演会 15:30~17:00
講師   広河隆一さん (フォト・ジャーナリズム月刊誌『DAYS JAPAN』責任編集者)
演題   「子どもたちを救え!~チェルノブイリと福島~」


主催   「ふくしま集団疎開裁判」判決前夜アクション実行委員会
連絡先   ふくしま集団疎開裁判の会
     代表/井上利男  電話 024-954-7478
 国・県への対応部会
     世話人/駒崎ゆき子 携帯 090-2608-7894
     メール office.sokai@gmail.com
以上

不当判決後の『#ふくしま集団疎開裁判』ハッシュタグ付きツイート集


 鈴木博喜(フリー記者) 
神保哲生「避難させるのが正当かどうかではなく、避難させることによる影響が大きいかどうかで裁判所が結論を出している。『あんたたちの避難を認めてしまったら、他の人も避難させなきゃいけないじゃないの』と」   
 鈴木博喜(フリー記者) 
神保哲生「裁判に訴えても公正な審判を得られないのではないかと考えている人が多いのではないか。司法不信は根深い。これは深刻な問題だ」   
  
子供を粗末にする国に未来はない! RT  福島地裁郡山支部「仮処分却下」決定に対するコメント:債権者(原告=14人の小中学生)弁護団、柳原俊夫さん「未来は子どもを大切にする国作りの中にしかない」 
 inoue toshio(脱原発に2票) 
 福島地裁郡山支部「仮処分却下」決定に対するコメント:債権者(原告=14人の小中学生)弁護団、柳原俊夫さん「子どもを粗末にするような国は廃炉にするしかない。未来は子どもを大切にする国作りの中にしかない」 
 なななにゃ。 
@ 
  鼻血が止まらないとか具体的な身体的危険でしょうに。裁判官には「自分ちの孫や子供だったら」位の想像力もないの?RT:命身体に対する具体的に切迫した危険性があるとは認められない!?「却下」決定に対するコメント~不当決定批判!
 inoue toshio(脱原発に2票) 
 - 福島地裁郡山支部の判断「生命身体への切迫した危険性は認められない」  「ただちに健康への影響をあたえるものではない」の別バージョンですね。RT
  
清水響裁判官をリコールしましょう!いえ、清水響裁判官を訴えましょ! RT  「却下」決定に対するコメント~不当決定批判!  心あるみなさん、心の底から怒れ!
  
生命身体に対する具体的に切迫した危険性があるとは認められない!?具体的に癌など病になってからでは遅いのよ! RT 「却下」決定に対するコメント~不当決定批判!  心あるみなさん、心の底から怒れ!
 inoue toshio(脱原発に2票) 
 【速報】 福島地方裁判所郡山支部のまれに見る不当審判!「100ミリシーベルト被曝による健康障害は実証されていない」…子どもたちが身をもって実証するまで待てというのか!RT
 Indignez-vous! 
完全にやられた。奴らの思うつぼ。。。「集団疎開裁判」は「統合会見」の時間にぶつけられた。完全にやられた。 
 motohashi kazumi™(男) 
@ 
緊急拡散!収束宣言と同日に却下が下された  ふくしま集団疎開裁判の”却下”理由書類です!    
 あきあき@郡山→岡山県に自主避難 
冷温停止の発表と  の判決が同じ日 疑うよねー さらに郡山では、市民による除染も始まってからの 線量下がったから差し迫っての危険性はないって 国、県、市、司法すら死んだ
 あきあき@郡山→岡山県に自主避難 
 仮処分が却下…理由は、除染で線量が下がったから…え?下がるの待ってた?除染?高圧洗浄機のこと?はぁー司法は、市民の味方ではなかった… こんな判断ならすぐ下せよ!(怒)
 いとうえみこ 
@ 
 ふくしま集団疎開裁判の”却下”理由書類です!  
 inoue toshio(脱原発に2票) 
 今日、福島地裁郡山支部の判断決定!急遽、記者会見を設定しました。12月16日18:30~郡山市橘地域公民館・集会室 出席者:柳原敏夫弁護士 俳優の山本太郎さん