放射能に汚染された地下水の海への流出と高レベル汚染水のタンク漏れは連日のように報道されはしていますが、もはや事故当事者の東京電力の手に負えないようです。原子力規制庁が関与を表明し、菅官房長官が予備費の流用を明言しましたが、肝心の安倍首相がトップセールス外交に勤しむなど、国として全力をあげて事態に対処する姿勢は疑問であるといわざるをえません。
目下の緊急事態を海外メディアはどのように報道しているでしょうか? ここにBBCニュースのオンライン記事を緊急に翻訳して紹介します。
(yuima21c記)
BBCニュース 2013年8月22日
フクシマの汚染水漏出は
「われわれが信じこまされてきたことよりもずっと深刻」
Fukushima leak is 'much worse than we were led to believe'
「われわれが信じこまされてきたことよりもずっと深刻」
Fukushima leak is 'much worse than we were led to believe'
マット・マックグラス BBCニュース環境通信員
By Matt McGrath Environment correspondent, BBC News
By Matt McGrath Environment correspondent, BBC News
ルパート・ウィングフィールド=ヘイズ
フクシマ汚染水の水源からレポート:
わたしがいまいる、この地点は山から半分ほど下った場所ですが、ここに東京電力が福島第1原発で直面している大問題が存在しています。というのも、わたしの後ろ、この谷をまっすぐ下って8km先に福島第1原発の白い排気塔と建屋をはっきり目視できます。これは基本的な物理学です。山に降る雨水は丘陵を流れ下り、海に向かいます。そのまさしく道筋に福島第1原発があります。だから、膨大な量の地下水が原子炉建屋の底部の流れこみ、汚染され、さらに海へと移動するのです。
フクシマ汚染水の水源からレポート:
わたしがいまいる、この地点は山から半分ほど下った場所ですが、ここに東京電力が福島第1原発で直面している大問題が存在しています。というのも、わたしの後ろ、この谷をまっすぐ下って8km先に福島第1原発の白い排気塔と建屋をはっきり目視できます。これは基本的な物理学です。山に降る雨水は丘陵を流れ下り、海に向かいます。そのまさしく道筋に福島第1原発があります。だから、膨大な量の地下水が原子炉建屋の底部の流れこみ、汚染され、さらに海へと移動するのです。
核の専門家は、現在のフクシマ汚染水漏出は当局の説明よりもずっと深刻と信じているとBBCに語った。
マイクル・シュナイダーは、かつてフランス、ドイツ両政府に助言していた独立コンサルタントである。
シュナイダーによれば、敷地のいたるところから水が漏れており、放射能レベルの正確な数値はわからない。
一方、日本の核行政当局の長は、さらなる漏出を恐れているといった。
最近になって、東京電力株式会社(東電)が原発サイト内の貯蔵タンクからの高レベル放射能汚染水・約300トンの漏出を認めて、進行中の課題が膨れあがった。
危機のとき
日本の原子力規制当局は、原子力事故の深刻度を評価する国際尺度である事象レベルを1から3に引き上げた。
これは、原発が2011年の津波のあとに相次いだ原子炉メルタダウン以来で最大の危機にあることを認定するものだった。
だが、問題は東電や日本政府が認めようとするよりも相当に深刻なのではないかと懸念する核専門家たちもいる。
専門家たちは、炉心冷却に用いられ、敷地内で保管されている汚染水の量の膨大さを心配しているのである。
水の保管のために約1,000基のタンクが建造されている。だが、容量の85%内外がすでに使用され、さらに毎日400トンの水が加わるのだ。
「彼らが扱っている水の量は、まったくもって膨大です」と、核問題に関してさまざまな団体や諸国のコンサルタントを幅広く務めてきたマイクル・シュナイダーはいう。
「さらに深刻なことに、いたるところで水が漏出しています――タンクからだけではありません。地階層から漏出し、あらゆる場所の裂け目から漏出しています。量を測定できるものはいません」
過去2年間のタンクの増加ぶりを示す衛星画像。原子炉冷却に用いられて汚染された水を保管している。
「われわれが信じこまされてきたことよりもずっと深刻、ずっと深刻なのです」と、『世界核産業現状報告』)の前文著者であるシュナイダー氏はいう。
日本の原子力規制当局の田中俊一委員長は記者会見で、さらに漏出するのではないかと恐れているといって、シュナイダー氏の懸念を裏付けた。
「一つ起これば、そういうことが起こることを前提にして注意深く対応する必要がある。無為に過ごす時間がない状況だ」と、田中委員長は記者団に語った。
水の状況にまつわる透明性の欠如のため、また東京電力が水の海中漏出を否定しようとしつづけたために、多くの研究者らはイラついている。
ケン・ビューセラー博士はウッズホール海洋学研究所の上席科学者であり、フクシマ周辺の海域を調査してきた。
「これは断然のこと、まだ収束していません。チェルノブイリは多くの意味で1周間の火災・爆発事象であり、海に関わる可能性とは無縁でした。
「われわれは2011年からずっと、建屋であれ、地下水であれ、あるいは新たなタンクの漏れであれ、原発サイトから漏出しているといってきました。敷地内の放射能汚染水のすべてを本当に閉じこめる方法はありません。
「汚染水が地下水に流入すれば、海に注ぐ川と同じで、地下水の流れを本当に止めることはできません。水を汲み上げることはできますが、いくつのタンクを敷地内に造りつづけることができるでしょうか?」
また何人かの科学者たちは、敷地内に貯蔵されている莫大な量の水の新たな地震に対する無防備ぶりについて、懸念の声をあげた。
貯蔵タンクからの漏出水が地下水まで浸透し、ついで海に流入する。海水汚染を防止するために化学剤による防壁を用いる企ては無益だった。
新たな健康不安
貯蔵問題は、周辺の丘陵から流れ降りてくる地下水の流入によって厄介になっている。地下水は原子炉の底部から漏れる放射能汚染水と混じりあい、流れをせき止めようとする東電の最善の努力にもかかわらず、一部は海中に浸出する。
水に含まれるセシウムなど、放射性元素の一部は地中で濾過される。他のものは通り抜けてしまい、これが、見守っている専門家らを懸念させる。
「われわれの目下最大の懸念は、ストロンチウム90といった、ほかのアイソトープの一部が移動しやすく、地下水層の堆積層を通り抜けることです」とビューセラー博士はいった。
「放射性アイソトープは、海産食品に蓄積し、新たな健康不安を引き起こすほどのレベルで海洋へと流入しています」
敷地内の冷却水プールで冷却され、貯蔵されている使用済み核燃料棒についてもまた、懸念される。マイクル・シュナイダーは、チェルノブイリの爆発のさいに放出されたものより、はるかに大量の放射性セシウムをこうした核燃料が含んでいるという。
「使用済燃料プールの壁に割れ目がないという保証は金輪際ありません。塩水が浸透すると、鉄筋は腐蝕するでしょう。腐蝕は基本的に壁を破裂させますが、それを見ることができません。プールにじゅうぶん近づけないのです」と彼はいった。
フクシマの「深刻化する状況」が日本の元スイス駐在大使を駆りたて、東京がオリンピック開催招致活動から撤退を要求させることになった。
村田光平氏は国連事務総長あて書簡で、東電発表の公式放射線測定値は信用できないという。日本および海外における危機感の欠如に極度の憂慮を覚えると彼はいう。
マイクル・シュナイダーも彼の見解を共有しており、フクシマのための国際特別委員会の創設を呼びかけている。
「日本人は問題を抱え、支援を求めています。これは大失策でした。日本人には支援が切実に必要なのです」
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