2016年6月9日木曜日

エコウォッチ【海外情報】済州島を世界初の炭素排出ゼロ行政区に

ENERGY RENEWABLES




済州島で世界初の炭素排出ゼロ化行政区を実現する韓国の計画

ケイティ・ポールマン Katie Pohlman 201667 

韓国南部の小島が世界最初の炭素排出ゼロの島になる栄誉をめざして頑張っている。そして、その目標が達成される日は、とても近い。

  西帰浦島の発電風車。Photo credit: Channel NewsAsia

人口177人の西帰浦(ソギボ)島の電力は、主としてソーラー風力に頼っている。2基の発電風車が設置され、500キロワットの電力を供給していると、西帰浦のジン・ミョンワン区長はチャンネル・ニュース=アジアに語った。島内の家屋97棟のうち、48棟がソーラー発電機を備えている。

「風力とソーラーで発電していますので、完全にソーラーと風力で賄っており、ディーゼル発電機を動かす必要はありません」と、ミョンワン区長はいう。

  西帰浦島。

住宅のソーラー・パネル設置の経費は、主として済州特別自治道政府が負担した。人口600,000人を擁する済州島は、同島自体の炭素排出量を2030年までにゼロにするため、西帰浦島をモデルにしたいと望んでいると、チャンネル・ニュース=アジアは伝えた。西帰浦島の炭素排出ゼロ化は、3局面で構成される2030年済州島炭素排出ゼロ化事業の第一局面である。

済州特別自治道政府は、1億ドルあまりの西帰浦島炭素排出ゼロ化を後押しする経費を支出した。この支援策のおかげで、住民たちは自宅のソーラー・パネル設置費――ざっと1200万ウォン(110万円)――に縛られていない。経費総額のほんの一部を支払うだけである。

チャンネル・ニュース=アジアによれば、西帰浦島に住んでいるキム・ブジェンさんは経費総額の10パーセントを支払うだけですんだという。キムさんは、次のように語った――

「このソーラー・パネルができるまで、エアコン、その他の家電製品を動かす場合、わたしは電気料金を40,000ウォンないし50,000ウォン(3,7004,600円)ぐらい支払っていました。ソーラー・パネルを設置してから、電気を多く使って、だいたい9,000ウォン、それほど多く使わない場合、8,000ないし7,000ウォン程度しかかかりません」

  西帰浦島の住宅に設置されたソーラー・パネル。Photo credit: Channel NewsAsia

島の発電容量は住民の消費電力量を超えている。余剰電力は配電網のスマート・メーターに蓄電されている。蓄電された電力は、気象条件が悪くて、ソーラーと風力による発電量が不足する日に使われる。島内マイクロ配電所の管理人、リー・ヨンスクさんは、チャンネル・ニュース=アジアの取材に、配電所は島の巨大な蓄電施設のようなものであると語り、次のようにいった――

「村全体で150キロワット使っているとします。風力発電機は暮らしで使う電力の3倍程度の電力を発電しています。風力発電機が500キロワットの電力を発電し、それを蓄電しておけば、風力発電が止まったときでさえ、十分な電力を村に供給できます」

島の炭素排出ゼロ化にさらに役立っているのが、自動車の不在である。最も一般的な交通手段は、徒歩と自転車なのだ。インハビタット誌の記事によれば、島内にある自動車は9台だけであり、そのうち4台は電気自動車である。

2030年済州島炭素排出ゼロ化計画

UNESCOサイト『再生可能エネルギーの未来』の記事によれば、目下のところ、済州島は消費電力総量の5パーセントを再生可能エネルギーで賄っている。炭素排出ゼロ化計画は、化石燃料を――陸上および海上のタービンによる――風力、ソーラー、水力で代替することになる。


この事業は、風力タービン発電容量を2.35ギガワット――現在の風力発電容量156メガワットの15倍――に拡大することを計画している。
島内では、電気自動車やスマート住宅の数も増える。済州島は、電気自動車(EV)の数を現在の852台から2030年には377,000台に増やすように計画している。英字紙コリア・ヘラルドの記事によれば、EV蓄電池リース制度が開設されるのに加えて、島民のEV使用に対する助成制度が用意されることになる。2030年までに、ざっと15,000か所の急速充電施設が2030年までに供用されることになると予測されている。現在の充電施設は79か所にすぎない。

UNESCOサイト『再生可能エネルギーの未来』記事によれば、再生可能エネルギー電源への転換は、40,000人ほどの雇用を創出すると予測されている。

同記事によれば、済州島の炭素排出ゼロ・エネルギー転換事業は次の3局面を経て実施されることになる――
  • 第一局面:西帰浦島の炭素排出ゼロ化を実現し、済州島炭素排出ゼロ化構想に先行する研究事例およびモデルとする。

  • 第二局面:エネルギー市場における新規・再生可能ネルギーのシェアを2020年までに50パーセントに拡大する。

  • 第三局面:2030年までに済州島の炭素排出ゼロ化と環境保全型経済成長を実現する。

済州島は、この目標に向けて事業を展開するために、2015年にLGグループと提携関係を結んだと、コリア・ヘラルド紙は伝えた。事業経費は6兆ウォン(5500億円)になると予測されている。

【クレジット】

WcoWatch.com, “South Korea’s Plan to Have World’s First Carbon-Free Island,” by Katie Pohlman, posted on June 7, 2016 at;


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