2018年6月15日金曜日

救援連絡センター【郡山通信】#フクシマ☢惨事:台湾ダイソーの不正輸入



国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。



郡山通信
台湾ダイソーの不正輸入

メディア報道が森友・加計問題などの安倍政権スキャンダル、日大アメフト騒動、米朝会談などでもちきりのなか、五月二四日付け毎日新聞の第三面に掲載された短信記事の見出し「『台湾ダイソー』の輸出入資格停止」が目を引いた。筆者も貧困層の例にもれず、一〇〇円ショップの雑貨をよく利用しているせいかもしれない。

記事によれば、大創産業の現地法人「台湾大創百貨」が貿易法違反により二年間にわたる輸出入資格の廃止処分と約一億五三〇〇万円の罰金を課せられたという。

台湾ダイソーは、台湾政府が輸入を規制しているフクシマ核惨事・被災五県(福島、茨城、栃木、群馬、千葉)から輸入した食品を他県産のラベルを偽って販売、二〇一五年に六か月間にわたる輸入禁止処分を受けていたが、その間も輸入申請書類に処分前の契約日付を偽って記入し、輸入を続けていたというのだ。

現地の英字紙、台北タイムズによれば、台湾政界の第三勢力「時代力量」党主席、黄国昌氏が四月、大創の不正輸入を暴露し、行政院経済部が見て見ぬふりをしていると糾弾した結果、今回の厳しい処分に追い込まれたようだ。

台湾の核開発

台湾でこれまでに稼働した発電炉は、台湾北端の核電(原発)一号、三号の計四基と南端の核電二号の二基。起工時期は一九七二年から七九年にわたり、いずれも国民党政権の戒厳令による開発独裁のもと、民意を無視して建設と稼働が強行されたことになる。

台湾電力は一九八二年、太平洋の海洋少数民族タオの島、蘭嶼(らんしょ)に低レベル核廃棄物貯蔵施設を「缶詰工場」と偽って建設した。

一九九〇年代には、第二原発の周辺海域で大量の奇形魚が発見され、また台北市内で集合住宅の建材用鉄筋に含まれたコバルト六〇による住民の被曝健康被害が露見し、大騒ぎになった。

民主化と脱原発

一九九九年には、台湾北端で核電四号の二基が相次いで着工されたが、時すでに遅し…第二次世界大戦の終結後、台湾に進駐してきた蒋介石の国民党政府は、四七年の二・二八白色テロを経て、長きにわたり戒厳令による恐怖政治と開発独裁を続けてきたが、死を賭した民主化闘争の結果、戒厳令は八七年に解除され、着工時には、すでに民主化が進展して久しかった。

そして二〇一一年の三・一一東日本大震災とフクシマ核惨事。台湾の人びとは世界最高額の義援金を寄せていただいたと聞くが、民衆、とりわけ若年層が受けた衝撃も大きかった。なにしろ台湾は九州ほどの小さな島である。放射能放出事故となれば、逃げ場もない。

二〇一四年、長年の民主化運動闘士によるハンストをきっかけに、「核電四号廃止」を要求する現地・街頭行動が大きく膨れあがり、当局は「一号機の稼働は見合わせ、二号機は工事停止する」と表明するまでに追いこまれた。そして一六年、民進党の蔡英文政権は脱原発政策に踏み切ることを表明した。

汲むべき教訓

今回の台湾ダイソー処分のきっかけを作った新興政党「時代力量」(日本語にすれば「時代の力」)は、二〇一四年に国民党・馬英九政権下の立法院で審議中だった台湾・中国間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准に反対する学生と市民が立法院を占拠し、国民党の選挙戦敗北を実現した「ひまわり学生運動」を結成母体としている。

台湾政府がフクシマ核惨事被災五県産の食品の輸入を禁止し、人びとがその政策を支持している理由は言うまでもないだろう。一国の首相が福島県産の果物や魚を食って見せ、強制ワイセツを問われたメンバーを切り捨てたTOKIOに対して、核惨事現地の県知事が「風評被害払拭」キャンペーン継続をお願いする、この国との落差は途方もなく大きい。

台湾大創百貨は五月二七日、台北市内で記者会見を開き、副社長が「ご迷惑をお掛けした」と謝罪した。大創産業、そして私たちが今回の不祥事から汲むべき教訓は大きい。


(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会・世話人。ブログ「原子力発電・原爆の子」、ツイッター<@yuima21c>)

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2018526日土曜日











中華民国経済部は523日、日本のディスカウント系列店舗を展開する大創産業が、輸入許可を得るために取引の日付を偽っていたとして、あらゆる商品の台湾への輸入を2年間にわたり禁止する措置を課せられたと発表した。

経済部は同社に対して輸入許可を取り消し、罰金4164万台湾ドル(15200万円)を課したと、台北の立法院で国際貿易局の李冠志副局長が述べた。

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