2018年10月21日日曜日

英紙テレグラフ【#フクシマ☢惨事】日本政府が「法定基準値を超えた」汚染水の海洋放出を目論む

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日本は「許容レベルを超える放射性物質を含む」フクシマ汚染水の海洋放出を目論む

津波で損壊した福島第一原発の構内に並ぶ汚染水保管タンクのそばを行く職員。CREDIT: TOMOHIRO OHSUMI/ BLOOMBERG

【東京発】ジュリアン・リオール Julian Ryall
20181016

原発を運営する東京電力の説明とテレグラフが閲覧した文書によって、損壊した福島第一原子力発電所から太平洋に放出することを日本政府が目論んでいる水には、法定許容レベルを遥かに超える放射性物質で汚染されていることが判明した。

政府にとって、日本の北東部を襲った地震と津波で施設が破壊されたあと、3基の核反応炉から溶け落ちた核燃料に接触した汚染水を保管する余地がなくなろうとしている。

目下、900基のタンクに保管されている、およそ109万トンの汚染水を太平洋に放流しようとする日本政府の目論みは、地元住民や環境保護団体だけでなく、歴史上二番目に過酷な核惨事に由来する放射能が自国の沿岸に打ち寄せると恐れる韓国や台湾の団体の凄まじい反発に火をつけた。

原発を運営する東京電力ホールディングスは、処理水に含まれている統計上有意な唯一の汚染物質は安全レベルのトリチウムだけであると、つい最近まで断言してきたが、これは飲料水にも少量ながら検出されることがあるものの、大量となれば、危険である。

日本政府は、日立製作所の原子力部門が動かしている高性能の多核種除去設備(ALPS*によって、他の放射性核種のすべてを「検出不能」レベルまで減らすことができると保証してきた。
* Advanced Liquid Processing System=直訳すれば、高度液体処理設備。

しかしながら、テレグラフが日本政府の部内情報源によって提供された文書によれば、ALPSが常日頃から、ヨウ素、ルテニウム、ロジウム、アンチモン、テルル、コバルト、ストロンチウムなど、他の放射性元素のカクテルを取り除き損なってきたことがうかがわれる。

日立は、同社の装置の運用実績報告に関する見解表明を拒否した。日本政府は、度重なる見解表明の要請に応じなかった。

日本政府は、高性能の多核種除去設備(ALPS)によって、トリチウム以外の放射性核種をすべて「検出不能」レベルまで減らすことができると請けあってきた。CREDIT:  SHIZUO KAMBAYASHI/AP POOL

やはりフクシマ事態事態対策の責任を担う日本政府の当事者からテレグラフに伝えられた1点の内部機密文書は、ALPSが放射性核種を「検出不能」レベルまで減らしていないことに当局者らは気づいていたことを示している。

これは、地方紙の河北新報が、2017年の試料84点のうち、45点でヨウ素129とルテニウム106の含有レベルが許容レベルを超えていたことを確定した研究を伝えた記事を補完するものだった。

ヨウ素106は半減期が157万年であり、甲状腺の癌の病原になりうる。ルテニウム106は核分裂で生成され、高用量で摂取されると有毒で発癌性がある。

東京電力は9月末になって、経済産業省が東京都と福島県で公聴会を開催し、地元の住民たちと漁業者らが政府の計画に抗議したあと、フクシマ現場で保管されている水の80パーセントほどが法定許容レベルを超える放射性物質を今でも含有していると認めることを余儀なくされた。

東京電力は今ごろになって、例えば、ストロンチウム90の濃度レベルが、ALPS浄化装置を通した65,000トンの処理水で法定許容レベルの100倍を超えており、構内の保管タンクの数基で政府設定レベルの20,000倍に達していたと認めた。

東京電力は、フクシマ現場で保管されている水の80パーセントほどが法定許容レベルを超える放射性物質を含有していると認めることを余儀なくされた。CREDIT:  REUTERS

米国ウッズホール海洋学研究所の海洋化学者、ケン・ビューセラー博士は、個々のタンクに存在する放射性核種の種類とその量を正確に確定することが肝要であると述べた。

ビューセラーは、「個々のタンクごとに存在する放射性核種の違いがわかるまで、汚染水を放出する計画と海洋にもたらすと予想される影響を評価するのは難しいです」とテレグラフに語った。

有識者らは、汚染物質の放出がもたらす危険は放射性核種と放出後の魚介類の汚染によって決まることで見解が一致している。

人間が摂食する可能性のある小魚の骨に存在するストロンチウムは重大な懸念の対象になるかも知れない。人間がストロンチウム90を摂取すると、骨に蓄積し、骨癌や白血病の病原になりうる。

グリーンピースの核専門家、ショーン・バーニーもまた、東京電力のトリチウムは実質的に無害であるという主張に反論する。

彼は、「人の体内にあるトリチウムのベータ粒子は、大概のX線やガンマ線よりも有害です」といい、次のように付言した――

「海洋生物に摂取され、さらに食物連鎖を通して人間に摂取される放射性トリチウムがもたらす長期的影響については大いに不確実性があります。

「東京電力が計画している数十億ベクレル規模の放出は、海洋環境と人間の健康にリスクをおよぼさない行為だとはとても考えられません」

日本の当局者らは、汚染水を海洋に放出する目論みに対する地域住民の反対の強烈さに不意を突かれた形だが、今のところ、彼らの計画を諦めていない。

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【クレジット】

The Telegraph, “Japan plans to flush Fukushima water 'containing radioactive material above permitted levels' into the ocean,” by Julian Ryall, posted on October 16, 2018 at https://www.telegraph.co.uk/news/2018/10/16/japan-plans-flush-fukushima-water-containing-radioactive-material/?WT.mc_id=tmg_share_tw?icid=registration_eng_nba158433_personalised.

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[注]すべての案に、枕ことば、または原発マフィアの常套句で「安全性を確保した上で」と断り書きされているのが笑わせる

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#英紙ガーディアン【#フクシマ☢惨事】「ここには希望があります」――ツーリズムに向かうフクシマ




「ここには希望があります」――核メルトダウンのあと、ツーリズムに向かうフクシマ

この地域には永久に破局的事態がつきまとうかも知れないが、一部の住民は、暮らしがつづくことを世界に知ってほしいと願う

ジャスティン・マッカリー【福島発】
Justin McCurry in Fukushima
201810 17

常民の暮らしの装いが地域の一部に戻りつつある。Photograph: Justin McCurry for the Guardian

凄まじい地震と津波が福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こしてからほとんど8年たった今でさえ、惨事の物理的遺産を避けることは不可能である。

2011311日の午後、フクシマ1,600人を含めて――日本の北東部3県一帯で18,000人を殺した津波の侵入域に横たわる不毛の水田の合間に、内部を破壊された家屋の外殻が建っている。

福島ブランドには、いつまでも核の破局的事態がつきまとうかも知れないが、一部の住民たちは、この地域を短期訪問するだけでも危険だという根強い風評に怒り、一部の人間にとって、フクシマの暮らしはつづくことを世界に発信するために、ツーリズムに向かっている。

県の職員で、少人数の訪問客にツアーを提供している団体のひとつ、Real Fukushimaのガイドとしても働くShuzo Sasaki*は、「この辺の人間は、あの人たちは『ダーク』な場所で暮らしているという考えに、いい気がしません」という。
*[訳注]ご本人のものと思われるFBアカウントの表記に従う。

ジョージア工科大学の学生グループのガイドを務め、来年はデンマークの高校生グループを引率することになるSasakiは、「これは福島なのだから、危険に違いないという考えは、完全に間違っています」と付け加える。

フクシマの風評を変えたくてたまらない住民が直面する課題が今年の夏、ニュージーランドのジャーナリスト、デイヴィッド・ファリアが主催するネットフリックス*動画シリーズ『ダーク・ツーリスト』が公開されるに及んで浮き彫りになった。
* Netflixは、アメリカ発祥の映画、ドラマなどのオンデマンド動画配信サイト。

そのエピソードの1本で、ファリアをはじめ、数人の外国人ツーリストがミニバスで地域を周回し、目がガイガーカウンターに釘付けになっていると、放射線計測値が跳ね上がり、何人かは目に見えて苦悶の表情を浮かべた。

ツーリストらが嫌々ながらレストランで昼食を食べていると、福島産食品に含まれる放射性物質の公式限度値*EUと米国のそれより大幅に低いにもかかわらず、ファリアは自分が食べているものは汚染されているかもしれないと思った。
*ふくしま復興ステーション“Japanesestandards on radioactive substances in food and overseas indexes”(食品含有放射性物質の日本の基準および海外の指標)。日本語版サイトには同内容のページは見当たらない。

フクシマの除染済み地域の一部では、政府目標の1時間あたり0.23マイクロシーベルトまで放射線値が下がり、個人が1日のうち、屋外で8時間、屋内で16時間を過ごすと仮定すると、年間1ミリシーベルトになる。ちなみに比較すれば、人間の電離放射線被曝レベルの世界平均値は年間2.4ないし3ミリシーベルトである。

南相馬市小高区の民宿「ランタンハ」を経営するリアルフクシマのガイド、Karin*は、ネットフリックス実録動画は放射線リスクを誇張し、地域の否定的な光景に固執して描いていると断言する。彼女は、「この場所は絶望的だという印象を与えます。でも、ここには希望があります」という。
*宿泊所紹介サイトAirbnb(エアビーアンドビー)の表記に従う。

しかし、津波と核メルトダウンがもたらした荒廃を思い起こさせるものもある。

フクシマの放置された住宅。Photograph: Justin McCurry for the Guardian

太平洋を眺望する丘の上で、慰霊碑が浪江町で津波に流されて死亡した182名の名前を連ねて刻印している。津波の壊滅的な到達範囲のすぐ外側、内陸部には別種の悲劇の形跡が見受けられる。損壊した原発からほんの2キロ、熊町小学校では、教室に避難命令が発令された時に放棄された本、カバン、その他の私有物が残され、時の流れのなかで凍りついている。外では、イノシシ、タヌキが人間に邪魔されずにうろついている街路に野草や雑草が伸び放題にはびこっている。

三重メルトダウンの避難者150,000人のうち、少人数の人たちだけが、政府が安全と考えた地域に帰還した。一部の地域では、放射線レベルが政府断言する数値より高いことを示す証拠に鑑みて、一部の親たちは子どもの長期放射線被曝を心配している。他にも、他の土地で新たな生活を築いて、災害で暮らし向きが台無しになった地域に帰還する是非ともない理由が見当たらない人たちがいる。

だが、津波の前に農産物や魚介類で知られた町や村の一部に、常民の暮らしの装いが戻りつつある。今年の夏、福島第一原発の40キロ北に位置する海水浴場が7年ぶりに再開された。農民は米や他の作物を作付けし、漁民は海に戻った。巨大な除染事業の期間中に地域から除去された放射性表層土を詰めた推定1600万袋が置かれているために規模縮小を余儀なくされてはいるが、放棄された農地にソーラー発電所が築かれた。

福島市は2020東京オリンピックの野球・ソフトボール競技開催地になり、Jヴィレッジは、メルトダウンの余波で何千人もの作業員やその装備品のために徴用されていたが、サッカーのトレーニング・センターとしての元の役割を回復した。

「わたしたちはツーリストに来てもらって、自分の目で見てほしい」

大熊町で役場職員の志賀秀陽は同僚らとともに、来年4月に予定されている町の新庁舎のオープン、避難命令解除後のアパートや店舗の開設に向けて準備をしている。また、伝統的な和風家屋を改装し、Airbnbを利用して宣伝するおおまかな計画もある。

福島県当局の数値によれば、県内に2016年、52,764人の観光客が訪れ、これは災害前年値の92%を超えている

志賀は、「初めてここに来る人たちは、実際に人が住んでいるのでビックリします」という。

菅野貴祐は、南相馬市の沿岸部に立地する自分のホテルが、原発や除染事業の作業員宿舎からツーリストや学童グループがめざす宿に様変わりするのを見た。彼は、こういう――

「来る気になっていただくのは、まだ難しいですが、あえて来る人は、原子力発電所にこれほど近い場所に住んでいる人が再び当たり前の暮らしをしているのを見て、ビックリします」

夫のビリー、娘のシアラと一緒にこの地を旅しているオーストラリア人、ノラ・レドモンドは、放射線がもたらすリスクに関する「自分たちの宿題をすませた」のであり、福島第一原発に近接した土地で過ごした数時間、自分たちの健康に不安がないといった。

地元ツアーガイド、Shuzo Sasakiと来訪客、ビリー、シアラ・レドモンド。Photograph: Justin McCurry for the Guardian

レドモンドはいう――

「わたしたちはこの土地が人口減少で苦しんでいると聞きましたので、ここで幾ばくかの時間とお金を使うのは、いい考えだと思いました。

「人びとの歴史がそっくりなくなるなんて、わたしは荒廃の規模を理解していませんでした。わたしたちはあちこち車で回って、20軒の家が倒壊しているのを見たはずです。美しい木製のインテリアを見ることができました…それがガラクタに変わり果てようとしていたのです。それがわたしにとって最も胸打つことでした」

フクシマの住民は、彼らは被災者だという言われかた――放射線レベルが政府設定目標値まで引き下げられた地域社会で芽生える経済活動の余地を無視したレッテル貼りにがっかりする。原子力推進ロビー団体、世界原子力協会によれば、ヨーロッパの平均バックグラウンド放射線被曝値は、英国の1年あたり2ミリシーベルト以下からフィンランドの7ミリシーベルト以上までばらつきがある。

菅野は、次のように認める――

「この地区や他の地区が災害前の姿を取り戻すまで、何年もかかるでしょう。わたしたちはその間、旅行客がやってきて、自分の目で見て、この地の実情を学んでほしいのです。でも、これが出発点にすぎません」

Topics

【クレジット】

The Guardian, “'There is hope here': Fukushima turns to tourism after nuclear meltdown,” by Justin McCurry, posted on October 17, 2018 at https://www.theguardian.com/world/2018/oct/17/there-is-hope-here-fukushima-turns-to-tourism-after-nuclear-meltdown?CMP=share_btn_tw.

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20181017日水曜日
政府は、住民に帰還を納得してもらうために被災地訪問を奨励している。ほぼ70,000人の人びとが今も仮設住宅に住んでいる。いまだに多くの住民は、帰還しても安全だと説得する当局者らに不信を抱いている。日本のダーク・ツーリズムは、別に目新しいものでもない。よく知られた観光サイト、青木ヶ原の森林は自殺願望者を惹きつけることで有名である。