2012年11月27日火曜日

【資料】国連人権理事会・特別報告者、アナンド・グローバー氏記者会見(ビデオ、テキスト、メディア報道)


 国連人権理事会に派遣され、1115日から26日にかけて福島県など原発事故に被災した各地の人権状況を調査してまわった「健康に対する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日の離日前におこなった記者会見は、健康に対する権利の保証に多方面にわたる不備があると指摘し、日本政府に適切な対応を厳しく求めるものになりました。
 来年6月に最終報告が国連人権理事会に提出される予定になっていて、今後、日本政府の対応が世界の注目を集めることになります。
 わたしたち、原発事故被災地の居住民にとって、みずからの踏みにじられた人権を回復するために重要な意味をもつ、この会見記録をビデオとテキストでここにまとめて再録しておくことにします。末尾に収録した報道各社の該当記事は、このまたもや被曝した国におけるジャーナリズムの実態をはかなくもみずから晒すものになっているはずです。



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日本記者クラブ
アナンド・グローバー 国連人権理事会特別報告者 2012.11.26



jnpc さんが 2012/11/26 に公開
Anand Grover, Special Rapporteur on the right of everyone to the enjoyment of the highest attainable standard of physical and mental health
 国連人権理事会特別報告者アナンド・グローバー(インド人弁護士)が1115日~26日まで来日した。政府関係者、医療従事者などへの調査を終え、東日本大震災後、被災­者などに対して"健康を享受する権利"が機能していたかどうかについて中間報告を発表し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)
通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)
プレスステートメント(国連広報センターHPより)
http://unic.or.jp/unic/press_release/2869/
国連人権理事会のページ
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/Pages/HRCIndex.aspx
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/11/r00025092/
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OPTVstaff さんが 2012/11/26 に公開
 東京電力福島第一原子力発電所事故に関連して1126日、国連人権員会の「健康に対する権利に関する特別報告者」のアナンド・グローバー氏が記者会見を開き、声明を発表した。
 アナンド・グローバー氏は、原発事故により、日本国内の健康に関する権利が守られているかどうか調査する目的で来日。1115日から26日の約10日、東京や福島に滞在­し、政府機関や自治体関係者、NGO、市民団体などを対象に、ヒヤリングを重ねてきた。
 グローバー氏はまず、日本における健康の権利状況について、事故後の安定ヨウ素が配布されなかったことや、SPEEDIの情報が公開されなかったと指摘。避難基準が年間2­0ミリシーベルトに設定されている現状について、放射線管理区域の設定やチャルノブイリ事故の基準、疫学的知見などの間に一貫性が見られないと厳しく非難した。
 また、健康調査については、対象地域が福島県に限られているのは問題だとして、汚染地域全体で実施するよう日本政府に要請。調査の項目が限られていることや、自分の医療記­録にアクセスできない状況も問題視し、包括的で、長期的な内部被曝調査やモニタリングを行うことを推奨した。
 このほかにも、原発作業員のモニタリングや避難の権利、食品の基準、除染について言及。避難や健康調査、除染などのあり方を決定するプロセスに、子どもや妊婦、障がい者、­高齢者など、社会的弱者を含めた被害地域の住民が参加できるようにすべきだとし、今年6月に成立した「子ども被災者支援法」の基本方針の策定に、まず、当事者を参画すべ­きだと求めた。
 グローバー氏の調査結果は来年3月に国連人権委員会に報告され、その後6月に最終報告書が国連人権委員会理事会に提出される。
カテゴリ: ニュースと政治
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国連人権理事会 特別報告者のプレス・ステートメント 
プレスリリース12-058-J 20121126
達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利に関する
国連人権理事会特別報告者
アナンド・グローバー

訪日期間:2012 11 15 日~26
プレス・ステートメント
2012 11 26 日 東京
記者の皆様、ご臨席の皆様
最初に、日本にお招きいただき、興味深く充実した会合や各地の訪問調査プログラムを円滑に進められるよう手配いただきました日本政府の皆様に、心より感謝申し上げます。今回の訪問中、政府関係者の方々、東京電力株式会社の役員の方々、医療・法律専門家の方々、そして地域や市民社会の代表者の方々にお会いしました。福島県および宮城県で地震、津波および原発事故の被害に見舞われた地域も訪問しましたが、訪問する先々で常に温かく丁重に迎えていただきました。また、政府高官の方々とも率直な意見を交換いたしました。特別報告者としてのミッションが円滑に進むよう、手配いただいた政府・関係省庁の方々のご尽力に感謝しております。この場をお借りいたしまして、貴重なお時間をいただき経験を伝えて下さった皆様全員に感謝申し上げます。
達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利(「健康を享受する権利」)に関する国連人権理事会特別報告者としてのミッションを説明した簡単な資料を、この会場に用意しております。端的に申しますと、私は健康を享受する権利の実現に関して国連人権理事会および国連総会に報告・勧告する独立専門家です。国連人権理事会から任命を受けましたが、国連に雇われているわけではなく、名誉職という立場で今回の任務を遂行しています。独立専門家として、私なりの結論と提言をまとめるべく、専門的判断を下します。
本日の発表は、予備的考察の一部に限らせていただきます。詳細につきましては、2013 6 月に国連人権理事会に提示する最終報告で発表いたします。
ご臨席の皆様
今回の私のミッションは、対話と協力の精神を胸に、日本がいかに健康を享受する権利を実行しようと努めているか把握し、それを首尾よく実現させるための方策並びに立ちはだかる障害について理解することです。より具体的には、地震、津波、原発事故という三重の災害への対応に伴う課題と方策、そこから得た教訓やグットプラクティスに焦点を当てることなどを通じて、東日本大震災を経た現在の状況における、健康を享受する権利の実現に取り組んできました。
ここで本題に入る前に、まず大切なご家族を亡くされた方々に対して、心からお悔やみ申し上げます、そして地震、津波、原発事故の被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
2011 3 11 日、東北地方を地震、津波、そして人災による原発事故が次々と襲い、日本は未曾有の原発事故に見舞われました。死者約1 8000 人、負傷者は数千人に達した この非常事態に対して、積極的にリーダーシップを発揮した日本政府に敬意を表したいと思います。
また、政府による東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会および国会による東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(NAIIC)がまとめた報告書などの様々な報告書にも留意しています。この件について活発な議論を歓迎します。
原子力発電所で事故が発生した場合の災害管理計画について近隣住民が把握していなかったのは残念なことです。実際、福島県双葉町の住民の方々は、1991 年に締結された安全協定により、東京電力の原子力発電所は安全であり、原発事故が発生するはずなどないと信じてきたのです。
独立した立場からの原子力発電所の調査、モニタリングの実施を目指し、原子力規制委員会を設立した日本政府は賞賛に値します。これにより、従来の規制枠組みに見られた「断層」、すなわち、原子力発電所の独立性と効果的なモニタリング体制の欠如ならびに、規制当局の透明性と説明責任の欠如への対応を図ることが可能になります。こうしたプロセスは強く望まれるものであり、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告でも提言されています。従って、原子力規制委員会の委員長や委員は、独立性を保つだけでなく、独立性を保っていると見られることも重要です。この点については、現委員の利害の対立を開示するという方策が定着しています。日本政府に対して、こうした手順を出来るだけ早急に導入することを要請いたします。それにより、精査プロセスの独立性に関する信頼性を構築しやすくなるでしょう。
皆様、
原発事故の直後には、放射性ヨウ素の取り込みを防止して甲状腺ガンのリスクを低減するために、被ばくした近隣住民の方々に安定ヨウ素剤を配布するというのが常套手段です。私は、日本政府が被害にあわれた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、配布もしなかったことを残念に思います。にもかかわらず、一部の市町村は独自にケースバイケースで安定ヨウ素剤を配布しました。
災害、なかでも原発事故のような人災が発生した場合、政府の信頼性が問われます。従って、政府が正確な情報を提供して、住民を汚染地域から避難させることが極めて重要です。しかし、残念ながらSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射線量の情報および放射性プルームの動きが直ちに公表されることはありませんでした。さらに避難対象区域は、実際の放射線量ではなく、災害現場からの距離および放射性プルームの到達範囲に基づいて設定されました。従って、当初の避難区域はホットスポットを無視したものでした。これに加えて、日本政府は、避難区域の指定に年間20 mSv という基準値を使用しました。これは、年間20 mSv までの実効線量は安全であるという形で伝えられました。また、学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。
年間20 mSv という基準値は、1972 年に定められた原子力業界安全規制の数字と大きな差があります。原子力発電所の作業従事者の被ばく限度(管理区域内)は年間20 mSv(年間50 mSv/年を超えてはならない)、5 年間で累計100mSv、と法律に定められています。3 ヶ月間で放射線量が1.3 mSv に達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、作業員は当該地域での飲食、睡眠も禁止されています。また、被ばく線量が年間2mSv を超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。
ここで思い出していただきたいのは、チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、土壌汚染レベルとは別に、年間5 mSv 以上であったという点です。また、多くの疫学研究において、年間100 mSv を下回る低線量放射線でもガンその他の疾患が発生する可能性がある、という指摘がなされています。研究によれば、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。
残念ながら、政府が定めた現行の限界値と、国内の業界安全規制で定められた限界値、チェルノブイリ事故時に用いられた放射線量の限界値、そして、疫学研究の知見との間には一貫性がありません。これが多くの地元住民の間に混乱を招き、政府発表のデータや方針に対する疑念が高まることにつながっているのです。これに輪をかけて、放射線モニタリングステーションが、監視区域に近接する区域の様々な放射線量レベルを反映していないという事実が挙げられます。その結果、地元住民の方々は、近隣地域の放射線量のモニタリングを自ら行なっているのです。訪問中、私はそうした差異を示す多くのデータを見せてもらいました。こうした状況において、私は日本政府に対して、住民が測定したものも含め、全ての有効な独立データを取り入れ、公にすることを要請いたします。
健康を享受する権利に照らして、日本政府は、全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、放射線汚染区域における、放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置をとるべきです。この点に関しては、日本政府はすでに健康管理調査を実施しています。これはよいのですが、同調査の対象は、福島県民および災害発生時に福島県を訪れていた人々に限られています。そこで私は、日本政府に対して、健康調査を放射線汚染区域全体において実施することを要請いたします。これに関連して、福島県の健康管理調査の質問回答率は、わずか23%あまりと、大変低い数値でした。また、健康管理調査は、子どもを対象とした甲状腺検査、全体的な健康診査、メンタル面や生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査に限られています。残念ながら、調査範囲が狭いのです。これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、年間100 mSv を下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。健康を享受する権利の枠組みに従い、日本政府に対して、慎重に慎重を重ねた対応をとること、また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。
自分の子どもが甲状腺検査を受け、基準値を下回る程度の大きさの嚢胞(のうほう)や結節の疑いがある、という診断を受けた住民からの報告に、私は懸念を抱いています。検査後、ご両親は二次検査を受けることもできず、要求しても診断書も受け取れませんでした。事実上、自分たちの医療記録にアクセスする権利を否定されたのです。残念なことに、これらの文書を入手するために煩雑な情報開示請求の手続きが必要なのです。
政府は、原子力発電所作業員の放射線による影響のモニタリングについても、特に注意を払う必要があります。一部の作業員は、極めて高濃度の放射線に被ばくしました。何重もの下請け会社を介在して、大量の派遣作業員を雇用しているということを知り、心が痛みました。その多くが短期雇用で、雇用契約終了後に長期的な健康モニタリングが行われることはありません。日本政府に対して、この点に目を背けることなく、放射線に被ばくした作業員全員に対してモニタリングや治療を施すよう要請いたします。
報道関係者の皆様、
日本政府は、避難者の方々に対して、一時避難施設あるいは補助金支給住宅施設を用意しています。これはよいのですが、 住民の方々によれば、緊急避難センターは、障がい者向けにバリアフリー環境が整っておらず、また、女性や小さな子どもが利用することに配慮したものでもありませんでした。悲しいことに、原発事故発生後に住民の方々が避難した際、家族が別々にならなければならず、夫と母子、およびお年寄りが離れ離れになってしまう事態につながりました。これが、互いの不調和、不和を招き、離婚に至るケースすらありました。苦しみや、精神面での不安につながったのです。日本政府は、これらの重要な課題を早急に解決しなければなりません。
食品の放射線汚染は、長期的な問題です。日本政府が食品安全基準値を1kgあたり500 Bq から100 Bq に引き下げたことは称賛に値します。しかし、各5県ではこれよりも低い水準値を設定しています。さらに、住民はこの基準の導入について不安を募らせています。日本政府は、早急に食品安全の施行を強化すべきです。
また、日本政府は、土壌汚染への対応を進めています。長期的目標として汚染レベルが年間20 mSv 未満の地域の放射線レベルは1mSv まで引き下げる、また、年間2050 mSv の地域については、2013 年末までに年間20 mSv 未満に引き下げる、という具体的政策目標を掲げています。ただ、ここでも残念なのは、現在の放射線レベルが年間20 mSv 未満の地域で年間1mSv まで引き下げるという目標について、具体的なスケジュールが決まっていないという点です。更に、他の地域については、汚染除去レベル目標は、年間1 mSv を大きく上回る数値に設定されています。住民は、安全で健康的な環境で暮らす権利があります。従って、日本政府に対して、他の地域について放射線レベルを年間1mSv に引き下げる、明確なスケジュール、指標、ベンチマークを定めた汚染除去活動計画を導入することを要請いたします。汚染除去の実施に際しては、専用の作業員を雇用し、作業員の手で実施される予定であることを知り、結構なことであると思いました。しかし、一部の汚染除去作業が、住人自身の手で、しかも適切な設備や放射線被ばくに伴う悪影響に関する情報も無く行われているのは残念なことです。
また、日本政府は、全ての避難者に対して、経済的支援や補助金を継続または復活させ、避難するのか、それとも自宅に戻るのか、どちらを希望するか、避難者が自分の意志で判断できるようにするべきです。これは、日本政府の計画に対する避難者の信頼構築にもつながります。
訪問中、多くの人々が、東京電力は、原発事故の責任に対する説明義務を果たしていないことへの懸念を示しました。日本政府が東京電力株式の大多数を所有していること、これは突き詰めれば、納税者がつけを払わされる可能性があるということでもあります。健康を享受する権利の枠組みにおいては、訴訟にもつながる誤った行為に関わる責任者の説明責任を定めています。従って、日本政府は、東京電力も説明責任があることを明確にし、納税者が最終的な責任を負わされることのないようにしなければなりません。
訪問中、被害にあわれた住民の方々、特に、障がい者、若い母親、妊婦、子ども、お年寄りなどの方々から、自分たちに影響がおよぶ決定に対して発言権がない、という言葉を耳にしました。健康を享受する権利の枠組みにおいては、地域に影響がおよぶ決定に際して、そうした影響がおよぶすべての地域が決定プロセスに参加するよう、国に求めています。つまり、今回被害にあわれた人々は、意思決定プロセス、さらには実行、モニタリング、説明責任プロセスにも参加する必要があるということです。こうした参加を通じて、決定事項が全体に伝わるだけではなく、被害にあった地域の政府に対する信頼強化にもつながるのです。これは、効率的に災害からの復興を成し遂げるためにも必要であると思われます。
日本政府に対して、被害に合われた人々、特に社会的弱者を、すべての意思決定プロセスに十分に参加してもらうよう要請いたします。こうしたプロセスには、健康管理調査の策定、避難所の設計、汚染除去の実施等に関する参加などが挙げられるでしょう。
この点について、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が2012 6 月に制定されたことを歓迎します。この法律は、原子力事故により影響を受けた人々の支援およびケアに関する枠組みを定めたものです。同法はまだ施行されておらず、私は日本政府に対して、同法を早急に施行する方策を講じることを要請いたします。これは日本政府にとって、社会低弱者を含む、被害を受けた地域が十分に参加する形で基本方針や関連規制の枠組みを定める、よい機会になるでしょう。
ご清聴ありがとうございました。
*****
【メディア報道】1127日現在、Googleニュース検索結果


2012/11/27 日本経済新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故後の日本政府による健康対策などの調査のため来日している国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は、福島県が実施している健康管理調査について「対象が県民などに限られ範囲が狭い」と述べ、政府に対し、より広範囲での調査実施を求める考えを示した。26日に東京都内の日本記者クラブで記者会見した。
 グローバー氏は15日から来日し「健康を享受する権利」の保護を目的に宮城、福島両県の被災者や政府関係者らからヒアリングを実施。来年6月、人権理事会に最終報告書を提出する。
 健康調査の拡大について、具体的な範囲は明示しなかったが「放射能汚染区域全体での実施」を要請した。短期雇用の原発作業員への長期的な健康調査が行われていないとも指摘し「政府は目を背けず、被曝(ひばく)した作業員全員へのモニタリングを行うよう求める」とした。
 また、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を十分活用できなかった点など、事故直後の政府の対応を「残念だ」と批判した。〔共同〕




 東京電力福島第1原発事故被災者の健康を巡る問題を来日調査していた国連の専門家「健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日、東京都内で記者会見し「福島県の健康管理調査は(対象地域や項目の)範囲が狭い。子どもの甲状腺検査の診断書を受け取れない親もいる」などと問題点を指摘した。日本政府の反論も踏まえ来年6月、国連人権理事会に報告書を出す。
 会見では同調査のうち、県民の外部被ばく量を推定する調査の回答率が「わずか23%」と批判。一方、内部被ばくについて研究者間でも評価が異なるとして「政府は用心深い姿勢に立ち、長期間の調査を行うべきだ」と注文を付けた。同調査検討委員会が秘密裏に開いていた準備会(秘密会)を巡っては「専門家だけではなく地域社会も関わらなければいけない」とプロセスの透明化を求めた。
 また、日本政府に対し、避難か帰宅か避難者が選べるような経済的支援や、高線量地域の除染計画の明確化などを要請するとした。
 インド出身弁護士のグローバー氏は15日来日。同県や、自主避難者が多い山形県などで被災者らに聞き取りをした。福島県郡山市の男性(54)は同氏に、市が進める除染作業で▽住民の被ばく対策が不十分▽汚染土類の保管場所がない−−と安全管理の不備を訴えた。取材に男性は「権利が侵害されている状態を第三者の立場から判断してほしい」と報告書への期待を語った
 特別報告者は国連人権理事会に選ばれた独立専門家で、中立の立場で問題状況を調査・報告する。【日野行介、蓬田正志】




「住民参加で意思定を」=震災後の健康問題-国連報告者
東日本大震災後の日本における「健康を享受する権利」を調査するため来日した国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は26日、都内で記者会見し、健康管理調査の策定や除染、避難所の設計など住民に影響する意思決定プロセスに「地域住民が十分に参加することが必要」だと訴えた。
 グローバー氏は会見で、東京電力福島第1原発事故後に放射能の拡散を推測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報などを政府が直ちに公表しなかったのは「残念だ」と批判。政府の健康管理調査が対象を福島県民らに限っていることについても「調査範囲が狭い」とし、「汚染区域全体で実施すべきだ」と求めた。
2012/11/26

【関連記事】
日本からの訪問者、ジュネーブの人権理事会で放射線障害を証言(「WHOの独立のために」記事日英対訳)
ジュネーブ国連人権理事会のニュース、拾い読み

2012年11月23日金曜日

福島の女たちから全国の、世界中の皆さんへ「IAEA抗議アクションにご参加ください





     「原発いらない福島の女たち」から全国の、世界中の皆さんへ
女たちはIAEA(国際原子力機関)と政府主催の「原子力安全に関する福島閣僚会議」に抗議し、次のような非暴力アクションを全力で展開します。どうぞ、それぞれの地からつながって下さい。共に行動に参加して下さい。
  女たちの主張:「私たちを抜きに、福島のことを決めるな!」
1214日(金)】
       県庁前行動&デモ
(呼びかけ:原発いらない福島の女たち)
13:30
申し入れ&スピーチ
14:00
かんしょ踊り
15:00
オープニングデモ行進 
       広瀬隆講演会
(主催:脱原発福島ネットワーク、ハイロアクション福島原発40年実行委員会)
18:00
郡山市労働福祉会館

1215日(土)】
       ビッグパレット包囲行動
(呼びかけ:原発いらない福島の女たち、他)
午前~午後 歌・ダイイン・リレートーク・かんしょ踊り、ヴィジー(無言の監視)等
       IAEAへの申し入れ
(主催:フクシマ・アクション・プロジェクト)
       脱原発をめざす首長会議
(主催:脱原発をめざす首長会議)
13:00
郡山市労働福祉会館
       フリーステージ&交流会 
18:00
ビッグアイ(郡山駅西口駅前)

1216日(日)】
       フクシマ・アクション・プロジェクト市民会議
(主催:フクシマ・アクション・プロジェクト)
13:00
郡山女子大学
       フリーステージ&交流会 
18:00
ビッグアイ(郡山駅西口駅前)

【連絡先】
黒田節子(郡山市)080-3195-0229
椎名千恵子(福島市)080-6554-1979
地脇美和(西郷村)090-7029-5617
橋本あき(郡山市)090-6257-0768
武藤類子(田村市)090-4477-8356
大賀あや子(会津若松市)080-1807-6999
原発いらない福島の女たちのブログ:http://onna100nin.seesaa.net/
             メール:onna100nin(a)yahoo.co.jp

IAEA②.pdf
IAEA②.pdf


【資料】#毎日新聞 が伝えた『福島県甲状腺検査の実態』(11月のスクラップ帳から)



毎日新聞 20121106日 0118
 

福島健康調査:秘密会で重要方針 情報公開、議事録で確認

毎日新聞 20121114日 0230
 

毎日新聞 20121119日 東京朝刊
 

毎日新聞 20121119日 地方版
秘密会の発覚後、初めて開かれた検討委員会で

「心からおわびしたい」と陳謝する山下俊一座長

=福島市で


毎日新聞 20121120日 東京朝刊
尿検査の議論隠す
矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授(物性物理学)の話 一般的に利用されているWBCは放射性物質を検出できる最低値(検出限界)が尿検査よりも5060倍高く、「不検出」になるケースが多い。将来的に住民に健康被害が生じても、尿検査を実施していなければ内部被ばくの記録がなく、被害者の切り捨てにつながりかねない。県が尿検査を巡る議論を除いていたのは被害を低く評価するため尿検査を見送りたい本音を見せたくなかったからでは。


子供の甲状腺検査結果が心配
主婦 三浦千寿子47(福島県二本松市)
震災から1年8ヵ月がたち、我が家の3人の子供たちに、先日の甲状腺検査の結果が医大から届いた。
 高2の長男は今のところ異常なしだったのでほっとしたが、中3の次男と小6の娘の結果は20ミリ以下の水庖、しこりがあるものの心配する値ではない、との所見だった。「うちもごつちも」と、多くのお母さんも不安かっていた。調べてみると約半数の子供の甲状腺に何らかのしこりがあるとの結果らしい。
 県や医大は通常なら異常なしとする値で、より厳密な基準にしたためこうなった、と火消しに躍気だ。でも通常の状態で検査した子供の半数にしこりや水庖が出たりするのだろうか? 内部被ばくにしても、甲状腺にしても、いずれも「今の段階で心配する必要はありません」という答えばかりだ。
 私たち福島の子供を持つ親が心配するのは、今ある放射能汚染の被害ばかりではない。チェルノブイリ事故のように数年たって子供たちに表れるかもしれない異常こそ心配だ。
【付録】YouTube



311akatuki さんが 2012/11/20 に公開
「フクシマの嘘」を作成したヨハネス・ハーノ氏のドキュメント番組
翻訳文:
 http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-991.html

2012年11月21日水曜日

【資料】WHOをIAEAに隷属させるWHA12-40協定

☆以下、WHOの独立のためにサイトより☆



世界保健機構(WHO)は、放射能汚染の犠牲者を守るという使命を果たしていません。

世界保健機関(WHO)は、1959528日、国際原子力機関(IAEA)との間に協定「WHA12-40」を締結しました。
この協定の主な内容は: 
  • 国際原子力機関と世界保健機関は、提供された情報の守秘性を保つために、ある種の制限措置を取らざるを得ない場合があることを認める。
  • IAEAWHOの事務局長は、両者に関連のある全プロジェクトと全プログラムについて、相互に情報を交換することとする。
  • WHOは、研究、その他全ての活動を含む国際的な保健衛生活動の推進、開発、支援、調整に取り組むWHOの権利を侵害することなく、全世界における原子力の平和利用の研究・開発・実用化を奨励、支援、調整するのは、主にIAEAの義務であることを認める。 
  • 両者の一方が、他方にとって大いに重要性のある、あるいはその可能性がある分野でのプログラムに着手する際には毎回、前者は合意の上で課題を解決するために、後者の意見を求める。
この協定の締結後、WHOは放射線防護に関する目標を遵守するための独立性や自主性を全く示していません。
それどころかWHOは、民間および軍事の原子力産業により引き起こされた放射能汚染の保健衛生的な影響に関して、人々に誤った情報を流す能力を示してきました。
WHOは、チェルノブイリ原発事故から5年経過後に、やっと高濃度汚染地域を訪れました。WHOは被害を受けた人々に避難命令も出さず、汚染されていない食料の供給も行いませんでした。
WHOは、特に1995年から2001年までの会議の議事録を公開しないことにより、この大事故の公衆衛生的な影響を隠蔽してきました。
WHOは、チェルノブイリ事故による死者数を常に約50人以下と見積もっており、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの人々の健康上の問題を放射能への恐怖心によるものとみなしています。
WHOは、チェルノブイリ事故による死者数を100万人近くと推測する、ニューヨーク科学アカデミーが2009年に発表した研究結果の有効性を認めていません。
福島についても、WHOはチェルノブイリに対するのと同様の態度を示しています。
世界保健機関(WHO)は、以下の原則に基づく世界保健機関憲章を守っていません。

公衆が精通した意見を持ち且つ積極的に協力することは、人民の健康を向上する上で最も重要である
1章第1条:
世界保健機関の目的は、すべての人々を可能な限り最高の健康水準に導くことである
2章 WHOの任務:
a) 国際保健事業の指導的且つ調整的機関として活動すること
WHOIAEA協定の改正
改正は毎年5月に開催されるWHO総会で可決されなければなりません。この改正は前もって総会の議事日程に組み込まれなければなりません。議事日程は、執行理事会によりその年の1月中に定められます。WHO-IAEA協定の改正要求の議事日程への組み込みは、ある加盟国により、別の加盟国の支持を受けて執行理事会で行われなければなりません。その前段階で、著名なNGOの支援があることは、加盟国に改正を提案するよう説得する上で非常に有効であり、また最終投票に対しても効果があります。WHOの議事日程に課題を投げかけるということは、何年もかかりうる長いプロセスであるということを知っておくことが必要です。また逆に、強力な加盟国は非公式なルートを通して決定に影響を及ぼす力があるということも知っておかなければなりません。
世界保健機関にその義務を果たすように促すための無言の監視活動です。その名前は医療従事者のための倫理規則を定めたヒポクラテスに由来しています。原子力産業による影響の犠牲になった人々の公衆衛生を守ることに関して、世界保健機関はこれらの規則を無視しています。
2007426日より、「ヒポクラテスの見張番」たちは交替でジュネーブにあるWHO本部の前に立っています。平日の朝8時から夜18時まで毎日常駐して、国連機関であるWHOに特にその憲章に記されているような義務の遂行を勧告しています。


☆以下、「NPO法人 市民放射能測定所(福島市)サイトより☆ 

国際原子力機関(IAEA)と世界保健機関(WHO)の間の協定
1条 協力と協議
1.       国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合憲章で確立された全般的枠組みの中で、両機関それぞれの憲章に明記されている目的の効果的な達成を促すために、相互に緊密な協力の下に行動し、共通の関心事について定期的に協議することに合意する。
2.       世界保健機関憲章と国際原子力機関憲章、および国際連合との協定、またそれに関係する書簡の交換にもとづいて、また両機関それぞれの連携責任を勘案し、世界保健機関は、とくに、国際原子力機関が全世界の原子力平和利用の研究開発と実用化を促進、支援および調整する一義的責任を負うことを認める。ただし、これは研究を含むあらゆる面での国際的な保健活動を促進、開発および支援に携わる世界保健機関の権利を毀損するものではない。
3.       いずれかの機関が、他方の機関が重大な関心を持つか、持つ可能性のある計画または活動を企画するさいには、常に、前者は後者と協議し、相互合意にもとづく調整を図らなければならない。
2条 相互代表
1.       世界保健機関の代表者は、国際原子力機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
2.       国際原子力機関の代表者は、世界保健機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、国際原子力機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
3.       世界保健機関の代表者は、必要に応じて国際原子力機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
4.       国際原子力機関の代表者は、必要に応じて世界保健機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
5.       国際原子力機関と世界保健機関それぞれの主催により招集するその他の会合で、他方の機関が関心をもつ事項を協議する際には、相互代表について合意にもとづき適宜取り決めを行うものとする。
3条 情報と文書の交換
1.       国際原子力機関と世界保健機関は、提供を受けた機密情報の保護のために、何らかの制限を適用する必要があると判断する場合があり得ることを認める。このため両機関は、本協定内のいかなる規定も、その情報を保有する側が、そのような情報を提供した加盟国等の信頼を損ねたり、自らの機関の業務の正常な遂行を阻害する可能性があると判断するような情報の提供を求めていると解釈されてはならないことに合意する。
2.       機密資料の保護のためにこのような取り決めが必要になる場合があり得るとの前提の下で、国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、双方が関心をもつ可能性のある活動計画や事業計画について充分な情報を相互に提供するものとする。
3.       世界保健機関事務局長と国際原子力機関事務局長、またはその代表者は、いずれかの側から要請があった場合には、相手が関心を持つ可能性のあるそのような特殊情報をいずれかの側が提供することについての協議の場を設けるものとする。
4条 議案の提案
こうした予備協議を必要に応じて行った後に、世界保健機関はその総会議案または理事会議案に国際原子力機関が提案した項目を含めなければならない。同様に、国際原子力機関はその総会議案または理事会議案に世界保健機関が提案した項目を含めなければならない。いずれかの側が他方による検討を求めて提出する項目には、説明の覚書を添付しなければならない。
5条 事務局間の協力
国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、両機関の事務局長の間で適宜合意される協定にもとづき緊密な業務関係を維持しなければならない。とくに、双方にとって重大な関心のある問題については、適宜合同委員会を招集して検討するものとする。
6条 技術上ならびに運営上の協力
1.       国際原子力機関と世界保健機関は、職員と資源の最も効率的な利用と、競合または重複する施設や業務の設置・運営を避ける適切な方法について適宜協議することに合意する。
2.       国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が人事に関する協力を目的として行うあらゆる一般的取り決めの枠内で、両機関が講じる措置に以下のものが含まれることに合意する。
a          それぞれの機関の職員の採用に際して競合を避ける措置、および
b         それぞれの機関の業務を最大限に活用するために適宜一時的または恒常的な職員の交換を促進し、以て関係職員の年功、年金等の権利保護のための必要な規定を定める措置。
7条 統計業務
統計の分野では、最大限の協力を行い、情報源となる各国政府その他の機関にかかる負担を最小化することが望ましいことに鑑み、国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が統計に係る協力を目的として行っている一般的取り決めを勘案しつつ、統計の収集、編纂ならびに公表をめぐる両機関の間での無用な重複を避け、統計分野における情報、資源および技術職員の有効活用と、共通の関心事項を扱うすべての統計計画について、相互に協議し合うものとする。
8条 特別業務の財源
いずれかの機関から他方に対して行われた支援要請への応諾が、その要請に応える機関の多額の出費をともなうか、その可能性がある場合は、そのような出費をもっとも公平に負担する方法を決めるために協議を行うものとする。
9条 地域事務局および支局
世界保健機関と国際原子力機関は、できる限り、いずれかの機関がすでに設置しているか、将来設置する可能性のある地域事務局および支局の施設、職員および共通の業務を他方の機関が利用することに関する協力準備に入るために、合同の協議を行うことに合意する。
10条 協定の実施
国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の実施のために、両機関の業務経験に照らして望ましいと思われる取り決めを行うことができる。
11条 国際連合への通知と保管・記録
1.      国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の実施のために、両機関の業務経験に照らして望ましいと思われる取り決めを行うことができる。
2.      本協定の発効後、本協定はただちに国際連合事務局長に提出され、国際連合の既存の規定にもとづいて保管・記録される。
12条 改定と失効
1.      本協定は、世界保健機関と国際原子力機関のいずれかの側からの要請により両機関間の合意により改正することができる。
2.      改正の対象について合意が得られない場合、任意の年の6 30 日までにいずれかの側が他方に対して通知を行うことにより、その年の12 31 日を以て本協定を失効させることができる。
13条 発効
本協定は、国際原子力機関総会と世界保健機関総会で承認されることにより発効する。
B. 議定書
本協定は、1958 10 1 日に国際原子力機関総会で、1959 5 28 日に世界保健機関総会でそれぞれ承認され、第XIII 条の規定にもとづき1959 5 28 日に発効した。
以上を証するため、国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の英文と仏文による等しく真正なる定本2部に署名した。
国際原子力機関を代表して:(署名)スターリング・コール
1959
7 13
世界保健機関を代表して:(署名)M. G. キャンドーの代理としてP. ドロール
1959
7 24
仮訳:真下俊樹(日本消費者連盟)