世界保健機関(WHO)は、1959年5月28日、国際原子力機関(IAEA)との間に協定「WHA12-40」を締結しました。
この協定の主な内容は:
- 国際原子力機関と世界保健機関は、提供された情報の守秘性を保つために、ある種の制限措置を取らざるを得ない場合があることを認める。
- IAEAとWHOの事務局長は、両者に関連のある全プロジェクトと全プログラムについて、相互に情報を交換することとする。
- WHOは、研究、その他全ての活動を含む国際的な保健衛生活動の推進、開発、支援、調整に取り組むWHOの権利を侵害することなく、全世界における原子力の平和利用の研究・開発・実用化を奨励、支援、調整するのは、主にIAEAの義務であることを認める。
- 両者の一方が、他方にとって大いに重要性のある、あるいはその可能性がある分野でのプログラムに着手する際には毎回、前者は合意の上で課題を解決するために、後者の意見を求める。
この協定の締結後、WHOは放射線防護に関する目標を遵守するための独立性や自主性を全く示していません。
それどころかWHOは、民間および軍事の原子力産業により引き起こされた放射能汚染の保健衛生的な影響に関して、人々に誤った情報を流す能力を示してきました。
WHOは、チェルノブイリ原発事故から5年経過後に、やっと高濃度汚染地域を訪れました。WHOは被害を受けた人々に避難命令も出さず、汚染されていない食料の供給も行いませんでした。
WHOは、特に1995年から2001年までの会議の議事録を公開しないことにより、この大事故の公衆衛生的な影響を隠蔽してきました。
WHOは、チェルノブイリ事故による死者数を常に約50人以下と見積もっており、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの人々の健康上の問題を放射能への恐怖心によるものとみなしています。
WHOは、チェルノブイリ事故による死者数を100万人近くと推測する、ニューヨーク科学アカデミーが2009年に発表した研究結果の有効性を認めていません。
福島についても、WHOはチェルノブイリに対するのと同様の態度を示しています。
世界保健機関(WHO)は、以下の原則に基づく世界保健機関憲章を守っていません。
「公衆が精通した意見を持ち且つ積極的に協力することは、人民の健康を向上する上で最も重要である」
「公衆が精通した意見を持ち且つ積極的に協力することは、人民の健康を向上する上で最も重要である」
第1章第1条:
「世界保健機関の目的は、すべての人々を可能な限り最高の健康水準に導くことである」
第2章 WHOの任務:
a) 国際保健事業の指導的且つ調整的機関として活動すること。
WHO‐IAEA協定の改正
改正は毎年5月に開催されるWHO総会で可決されなければなりません。この改正は前もって総会の議事日程に組み込まれなければなりません。議事日程は、執行理事会によりその年の1月中に定められます。WHO-IAEA協定の改正要求の議事日程への組み込みは、ある加盟国により、別の加盟国の支持を受けて執行理事会で行われなければなりません。その前段階で、著名なNGOの支援があることは、加盟国に改正を提案するよう説得する上で非常に有効であり、また最終投票に対しても効果があります。WHOの議事日程に課題を投げかけるということは、何年もかかりうる長いプロセスであるということを知っておくことが必要です。また逆に、強力な加盟国は非公式なルートを通して決定に影響を及ぼす力があるということも知っておかなければなりません。
世界保健機関にその義務を果たすように促すための無言の監視活動です。その名前は医療従事者のための倫理規則を定めたヒポクラテスに由来しています。原子力産業による影響の犠牲になった人々の公衆衛生を守ることに関して、世界保健機関はこれらの規則を無視しています。
2007年4月26日より、「ヒポクラテスの見張番」たちは交替でジュネーブにあるWHO本部の前に立っています。平日の朝8時から夜18時まで毎日常駐して、国連機関であるWHOに特にその憲章に記されているような義務の遂行を勧告しています。
国際原子力機関(IAEA)と世界保健機関(WHO)の間の協定
第1条 協力と協議
1.
国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合憲章で確立された全般的枠組みの中で、両機関それぞれの憲章に明記されている目的の効果的な達成を促すために、相互に緊密な協力の下に行動し、共通の関心事について定期的に協議することに合意する。
2.
世界保健機関憲章と国際原子力機関憲章、および国際連合との協定、またそれに関係する書簡の交換にもとづいて、また両機関それぞれの連携責任を勘案し、世界保健機関は、とくに、国際原子力機関が全世界の原子力平和利用の研究開発と実用化を促進、支援および調整する一義的責任を負うことを認める。ただし、これは研究を含むあらゆる面での国際的な保健活動を促進、開発および支援に携わる世界保健機関の権利を毀損するものではない。
3.
いずれかの機関が、他方の機関が重大な関心を持つか、持つ可能性のある計画または活動を企画するさいには、常に、前者は後者と協議し、相互合意にもとづく調整を図らなければならない。
第2条 相互代表
1.
世界保健機関の代表者は、国際原子力機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
2.
国際原子力機関の代表者は、世界保健機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、国際原子力機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
3.
世界保健機関の代表者は、必要に応じて国際原子力機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
4.
国際原子力機関の代表者は、必要に応じて世界保健機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。
5.
国際原子力機関と世界保健機関それぞれの主催により招集するその他の会合で、他方の機関が関心をもつ事項を協議する際には、相互代表について合意にもとづき適宜取り決めを行うものとする。
第3条 情報と文書の交換
1.
国際原子力機関と世界保健機関は、提供を受けた機密情報の保護のために、何らかの制限を適用する必要があると判断する場合があり得ることを認める。このため両機関は、本協定内のいかなる規定も、その情報を保有する側が、そのような情報を提供した加盟国等の信頼を損ねたり、自らの機関の業務の正常な遂行を阻害する可能性があると判断するような情報の提供を求めていると解釈されてはならないことに合意する。
2.
機密資料の保護のためにこのような取り決めが必要になる場合があり得るとの前提の下で、国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、双方が関心をもつ可能性のある活動計画や事業計画について充分な情報を相互に提供するものとする。
3.
世界保健機関事務局長と国際原子力機関事務局長、またはその代表者は、いずれかの側から要請があった場合には、相手が関心を持つ可能性のあるそのような特殊情報をいずれかの側が提供することについての協議の場を設けるものとする。
第4条 議案の提案
こうした予備協議を必要に応じて行った後に、世界保健機関はその総会議案または理事会議案に国際原子力機関が提案した項目を含めなければならない。同様に、国際原子力機関はその総会議案または理事会議案に世界保健機関が提案した項目を含めなければならない。いずれかの側が他方による検討を求めて提出する項目には、説明の覚書を添付しなければならない。
第5条 事務局間の協力
国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、両機関の事務局長の間で適宜合意される協定にもとづき緊密な業務関係を維持しなければならない。とくに、双方にとって重大な関心のある問題については、適宜合同委員会を招集して検討するものとする。
第6条 技術上ならびに運営上の協力
1.
国際原子力機関と世界保健機関は、職員と資源の最も効率的な利用と、競合または重複する施設や業務の設置・運営を避ける適切な方法について適宜協議することに合意する。
2.
国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が人事に関する協力を目的として行うあらゆる一般的取り決めの枠内で、両機関が講じる措置に以下のものが含まれることに合意する。
a
それぞれの機関の職員の採用に際して競合を避ける措置、および
b
それぞれの機関の業務を最大限に活用するために適宜一時的または恒常的な職員の交換を促進し、以て関係職員の年功、年金等の権利保護のための必要な規定を定める措置。
第7条 統計業務
統計の分野では、最大限の協力を行い、情報源となる各国政府その他の機関にかかる負担を最小化することが望ましいことに鑑み、国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が統計に係る協力を目的として行っている一般的取り決めを勘案しつつ、統計の収集、編纂ならびに公表をめぐる両機関の間での無用な重複を避け、統計分野における情報、資源および技術職員の有効活用と、共通の関心事項を扱うすべての統計計画について、相互に協議し合うものとする。
第8条 特別業務の財源
いずれかの機関から他方に対して行われた支援要請への応諾が、その要請に応える機関の多額の出費をともなうか、その可能性がある場合は、そのような出費をもっとも公平に負担する方法を決めるために協議を行うものとする。
第9条 地域事務局および支局
世界保健機関と国際原子力機関は、できる限り、いずれかの機関がすでに設置しているか、将来設置する可能性のある地域事務局および支局の施設、職員および共通の業務を他方の機関が利用することに関する協力準備に入るために、合同の協議を行うことに合意する。
第10条 協定の実施
国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の実施のために、両機関の業務経験に照らして望ましいと思われる取り決めを行うことができる。
第11条 国際連合への通知と保管・記録
1.
国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の実施のために、両機関の業務経験に照らして望ましいと思われる取り決めを行うことができる。
2.
本協定の発効後、本協定はただちに国際連合事務局長に提出され、国際連合の既存の規定にもとづいて保管・記録される。
第12条 改定と失効
1.
本協定は、世界保健機関と国際原子力機関のいずれかの側からの要請により両機関間の合意により改正することができる。
2.
改正の対象について合意が得られない場合、任意の年の6 月30 日までにいずれかの側が他方に対して通知を行うことにより、その年の12 月31 日を以て本協定を失効させることができる。
第13条 発効
本協定は、国際原子力機関総会と世界保健機関総会で承認されることにより発効する。
B. 議定書
本協定は、1958 年10 月1 日に国際原子力機関総会で、1959
年5 月28 日に世界保健機関総会でそれぞれ承認され、第XIII 条の規定にもとづき1959 年5
月28 日に発効した。
以上を証するため、国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の英文と仏文による等しく真正なる定本2部に署名した。
国際原子力機関を代表して:(署名)スターリング・コール
1959 年7 月13 日
1959 年7 月13 日
世界保健機関を代表して:(署名)M. G. キャンドーの代理としてP. ドロール
1959 年7 月24 日
1959 年7 月24 日
仮訳:真下俊樹(日本消費者連盟)
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