2015年8月31日月曜日

BBC【ニュース】8月30日、国会前抗議行動と安倍政権の安保法制

BBC NEWS


抗議を招く日本の軍事法制改訂

2015830 Asia



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レポーター:日本で前例のないことが起こっているようです。日本の人たちは、政治に無関心だ、しらけていると批判されることが多いです。だが、いま自分たちの声を聴けと要求しています。

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第二次世界大戦後初めて、日本軍部隊を海外で戦闘させるという考えが、彼らを激怒させました。いまでは国民的アイデンティティの一部になっている彼らの平和憲法を守る必要があると彼らはいいます。

0:25
取材に答える女性:わたしは、安倍内閣が成立させようとしている法律に抗議するために、ここに来ています。この法律は、日本が戦争しに行くことを可能にするからです。直接にではないかもしれませんが、そうなる可能性が広がると思います。

0:45
ですから、わたしは怖いですし、将来、子どもたちに影響すると恐れます。だから、ここに来ています。

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リポーター:デモ参加者たちは総理大臣の退陣を要求しています。総理大臣は日本を再軍事化する意図はないと、日本の多くの人びとを、また率直にいって海外の人びとを納得させていません。

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先ほどの女性:わたしは日本が大好きです。でも、他の国ぐにもやはり好きです。中国とか、朝鮮など、他の国に対して攻撃的になれば、やり過ぎで、非常に危険だと思います。わが国は、もっと協調的になるべきです。

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レポーター:法案は現在、国会の参議院で審議されていますが、そこで決着しない場合、安部首相が多数派を占める衆議院に差し戻されます。そうなれば、法案は法制化されると予想されています。

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抗議者たちはあくまでも拒否しており、安倍晋三首相は参議院で法案を押し通そうとして、巨大な政治的リスクを冒しています。大きな問題は、総理大臣が、このような声に耳を傾けているかどうかです。

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火炎瓶テツさん:どもは、恥を知れ! みんなの願いは、総辞職!

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レポーター:抗議者たちは沈黙を拒否しています。これはやがて総理大臣が対処しなければならなくなる頭痛の種になるでしょう。BBCのヤルダ・ハキムがお伝えしました。



何千何万もの人々が日本の国会前に集まり、軍隊の海外派遣を認める新たな法制に抗議した。
軍事法制の変更によって第二次世界大戦後初めて、日本軍が海外で戦闘することが許されることになる。
法制はすでに日本の衆議院で可決されており、参議院で承認されると予想されている。
日本国は憲法のもと、自衛の場合を除き、紛争を解決する手段とする武力の行使を禁じられている。
だが、条文の解釈変更によって、「集団的自衛」――攻撃されている同盟国の防護――が許されることになる。
警官隊が街路に並び、抗議に加わる人たちに立ち去るように告げて、首都中枢部の混乱を最小限に抑えようとした。
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現場にて:BBC東京駐在員、ヤルダ・ハキム Yalda Hakim
通常の日本人はこれほど声高ではない
雨模様の天候にもかかわらず、抗議する人たちが何千何万と街路に詰めかけ、平和憲法を守れと要求し、首相の退陣を呼びかけた。
街路沿いに警察車両が並べられていたが、日本人がこれほど声高になるのが、どれほど前例のないことであるかを考えると、状況が制御不能になる恐れはまったくなかった。
このようなデモは、日本の平和憲法を守りたいという学生たちや若い人たちを主体に、この夏を通して実施されてきた。
若者たちは、政治に無関心だ、意欲がないと責められることが多いが、目覚めて、沈黙を強いられるのを拒否していることが明確になった。
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安倍晋三首相は日本を防衛するために変更は必要であるといっているが、世論調査は多数の日本人が変更に反対していることを示している。
この計画は、死者70,000人を出した19458月の長崎市に対する原爆投下を記念する先日の式典で批判された。
被爆者のひとり、86歳の谷口稜曄(すみてる)さんは、安倍氏の新法制を容認できないと語った。
  [注]Japan remembers Nagasaki atomic bomb, 70 years on, 当記事末尾にビデオを付録。
安倍氏はそれに先立ち、変更によって、海外の戦争に巻き込まれることはないと述べていた。
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集団的自衛権とは?


第二次世界大戦後の日本国憲法は、自衛の場合を除き、紛争を解決する手段としての武力の行使を禁じている。
安倍政権は、以下の3条件を満たす場合、日本の軍隊の海外動員が許されるように、法律を改定する変更を求めてきた。
 日本が攻撃され、または緊密な同盟国が攻撃され、その結果、日本の存続が脅かされ、国民に明白な危険がおよぶ場合
 攻撃を撃退し、日本の存続を確保し、国民を守るために取ることのできる他の適切な手段がない場合
 武力の行使が必要最小限に限定される場合

【付録】


2015年8月30日日曜日

アルジャジーラ【動画】日本人の原子力贔屓を煽ったマンガ



Blog

日本人の原子力贔屓を煽ったマンガ

アストロ・ボーイ(鉄腕アトム)のようなキャラクターが核エネルギーの利点をほめたたえ、2011年に惨事が勃発したさい、衝撃をなお過酷なものにした。


201589 10:46 GMT | Arts & CultureAsia PacificJapan


レポーター:ハリー・フォーセット Harry Fawcett

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レポーター:ナガサキは70年前、世界で二番目の核攻撃の標的になりました。二つの都市が放射能を帯びた廃墟となり、日本政府は降伏計画を立案しました。

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その後70年、ナガサキの復興は、日本の驚くべき変化を反映しています。日本の指導者たちが自国を打ち倒した技術を、復活に必要な電力源として受け容れる変化です。

0:20
吉見俊哉(よしみしゅんや)東京大学教授:日本は被害国だ、わが国は原爆攻撃を受けた…だから、われわれには原子力の可能性を追求する権利があるというわけです。

0:34
アイゼンハワー演説:合州国は意志する以上に多くのことを実行します…

0:35
レポーター:それは、ドワイト・アイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」構想と表裏一体となる政策であり、宣伝のための展覧会が日本各地で繰り広げられました。

0:44
売り込み口上は、米国が一連の核兵器実験を実施したために難しくなりました。

0:49
日本の漁船、第五福竜丸がビキニ環礁で実施された米国の核実験のフォールアウトで被爆したのでなおさらのことでした。

0:56
大石又七さんは最初、奇妙な雪が降ると思いましたが、後になって、症状が出ました。

1:03
大石又七さん:わたしの顔が黒くなり、皮膚が剥がれ落ちはじめましたが、だれにも隠していました。わたしの家族と私自身が差別される羽目になりたくなかったからです。

1:12
レポーター:その年、蘇った核の恐怖が映画の形で表現されました。核実験のために深海で目覚めたゴジラは、日本の都市を無差別に破壊しました。

1:22
だが、日本が1960年代に原子力発電所を建造しはじめると、まったく違った象徴が出現しました。アストロ・ボーイ(鉄腕アトム)は、倫理的な科学の申し子でした。核反応炉を動力源にした救世主のようなロボットだったのです。

1:34
アストロ・ボーイの生みの親は常々、そのロボットが核のシンボルであることを否定していましたが、それでも核産業は、アストロ・ボーイのイメージをパンフレットなどで利用しました。この冊子では、アストロ・ボーイが核施設をはるか遠くのジャングルまで運ぶのですが、それが寒さに凍える動物たちを救い、地震と津波に襲われても無傷で耐えます。

1:50
レポーター:核エネルギーを電力源とした日本の工業は、世界に向けて製品とノウハウを輸出するとともに、日本経済は数十年にわたり、国民的な自信の高揚を後押ししていました。そのような宣伝文句が、この国の人たちが経験していたことを謳いあげていました。2011年に、核エネルギーとその安全を保証するために仕組まれていた制度とが根底から揺らぎます。

2:12
フクシマ惨事の余波を受けて、日本の核反応炉は順次すべて閉鎖され、国民世論の大多数が原発の再稼働に反対しています。

2:21
日本の安部晋三首相は、そのような心配は、1950年代とまったく同じように、核反応炉が資源の乏しい国に供給するエネルギーによって克服されると明言しました。

2:32
元核技術者・小倉志郎さん:人びとの意見が分かれている。しかし、以前は原子力のことを考えていなかった人たちが、事故のあとに考えはじめ、危険性を理解しはじめています。

2:43
レポーター:川内原発の反応炉が今週中に、フクシマ以降で初めて再稼働し、それによって、原子の力に対する日本の70年間にわたる偽りの関係も復活することになります。

東京から、アルジャジーラのハリー・フォーセットがお伝えしました。


【本文テキスト】


【参考文献】

47NEWS特集『原発と国家』
番外編・アトムの涙 手塚治虫が込めた思い   
1
「僕のアトムじゃない」

2
電力会社がPRに利用

3
科学とエゴのはざまで