2015年2月1日日曜日

いまこそ憲法9条を2015年ノーベル平和賞に @JapanFocus

アジア太平洋ジャーナル:ジャパン・フォーカス
アジア太平洋…そして世界を形成する諸勢力の批判的深層分析

憲法9条を2015年ノーベル平和賞に
2015119
アレクシス・ダデン Alexis Dudden
ノーベル平和賞委員会は昨年4月、長年にわたり国の交戦権を禁止してきた日本国憲法の条文、第9条の保全に努めてきた日本国民を授賞候補に採用した。
いまさらながら、元来の定義付けが時には役に立つ。スウェーデンの化学者、アルフレッド・ノーベルは18951127日付けで記した遺言で、彼の財産の大部分を5分野の賞のために使うこと――そして、説明を付さずに、その一つを「平和」賞とすること――と定めた。そのため、セオドア・ルーズベルトやヘンリー・キッシンジャーなどに賞を授けることになり、このような人物らは多くの人が戦争を連想するので、賞の徳を眉唾ものにしてしまった。それにしても、ノーベルが定めた元来の条件は、「国家間の友愛関係の促進、常備軍の廃止・縮小、平和のための会議・促進に最大または最善の貢献」をした人物に賞を授けるというものであり――2014年のあっぱれな受賞者、マララ・ユスフザイおよびカイラシュ・サティーアーティ、以前のやはり立派な受賞者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、アルバート・シュバイツアーなどのように――希望を表すことには変わらない。
アルフレッド・ノーベル書簡のことばに込められた意図に従うなら、第9条に定める、暴力の極致を遂行する国権の放棄の保全に努める日本国民を措いて、最もふさわしい個人や集団はいないようである。
その条文は、理想としても、また道義の多様なありかたを想起するためにも、ここに書き留めておく価値があり、それに日本で異論にさらされつづけている――
9 
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
9条支持グループは昨年の受賞を逸したが、その候補指名は国内的な支持と国際的な支持[ニューヨーク・タイムズ英文記事]を集め、論争の的にもなり、独自のウィキペディア項目[日本英語版]さえも登場している。
今年の賞のエントリー締切日は201521日である。指名手続きをもっと知りたかったり、関わったりしたい読者のみなさんは、次のリンクを参照のこと――
委員会の候補指名ルールは、みなさんのお好きな草の根型のものではない。2013年に鷹巣直美が立ち上げたオンライン署名運動は手始めに広範な支持を国内的にも国際的にも集めたが、この種の運動は、ノーベル平和賞委員会が候補に指名してからのみに手続きとして有効になる。第9条の意義を説く論文や論説も同じように、候補指名リストが――一般的に4月初めごろ――公表された後でのみ、委員会の協議にとって重要になる。
ノーベル賞委員会の定める資格基準――たとえば、特定学問分野の教授や平和学研究所の幹部――に適格であり、本年の受賞運動に参画なさりたい読者の方は、「九条の会」と「日本被団協~日本原水爆被害者団体協議会」のいずれか、または両者を日本国民の第9条保全運動を代表する実務的な支持団体に指定するべきである。
ノーベル賞委員会はこれら両団体を、第9条指名を支持する日本国民を代表する正統な組織に認定している。安倍政権とその支援者らが第9条を目下の政治的攻撃目標に定めているいま、第9条の指名はとりわけ時宜にかなっている。昨年、首尾よく指名されたあと、中傷の好きな輩たちは指名手続きをあれこれ詮索しはじめた。彼らの中傷の企みは――ノーベル賞委員会のルールによれば、ノーム・チョムスキーのような人たちによる支持が有効であり、おそらく、その過小評価できない理由により――不首尾に終わった。だが、第9条を葬り去ろうとしている連中は、その大義を傷つける取り組みを一層強め、民主党の小西洋之参議院議員、実業家の浜地道雄、ノーベル文学賞作家の大江健三郎など、日本国内で第9条を擁護する人びとの決意を固めさせており、今年の指名手続きは確実なものになるだろう。
【筆者】
アレクシス・ダデン(Alexis Duddenは、コネティカット大学の歴史学教授、アジア太平洋ジャーナルの寄稿・編集者。著書に“Troubled Apologies Among Japan, Korea, and the United States”[『日本・韓国・米国間で紛糾する謝罪』]、“Japan's Colonization of Korea: Discourse and Power”[『日本の韓国植民地化~会話と権力』]。
Also see Dudden's op-ed The Shape of Japan to Come published in The New York Times.
APJ関連記事】
Klaus Schlichtmann, Article Nine in Context – Limitations of National Sovereignty and the Abolition of War in Constitutional Law 

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