2018年7月14日土曜日

人民新聞【書評】『原発被ばく労災――拡がる健康被害と労災補償』

People's News Web Magazine.

本 BOOK
『原発被ばく労災――拡がる健康被害と労災補償』

評者 黒田 節子(原発いらない福島の女たち)
1653号, 社会・文化運動
2018年7月11日


三一書房/2018年6月刊


声を上げる被ばく労働者

原発は「トイレのないマンション」といういい方がある。それは使用済みの核廃棄物などのことを言っているわけだが、この「マンション」は、建築資材を調達するところからウラン採掘での原住民や労働者を被ばくさせる。

あるいは、高橋哲也の表現した「犠牲のシステム」。しかし、この被ばく労働の問題は脱原発運動の中でも光が当たりにくい。それはどうしてなのか、ウッスラ考えながら読んでいた。

本書は、第1章に原発労働者の声、第3章に被ばく労災をめぐる闘いの記録、第2・4章に労災補償、原子力損害賠償をめぐる制度上の問題点と新たな提起、という構成内容。

第1章では、あらかぶさん(仮名)、岩田守さん(仮名)、池田実さんが、それぞれ自らの体験を語っている。

あらかぶさんは最初に法廷に立ったとき、こう意見陳述する。「この裁判を起こした理由は、東電らに自らの責任としっかり向き合ってほしいからです。私は、福島の原発事故収束作業に従事した多くの労働者の一人として、他の作業員たちのためにも、今声をあげる責任があると思い、この裁判に踏み切りました」。

被ばく労働は、裁判のこの言葉に集約されているのではないか。働く仲間を思いやる気持ちと、「東北や福島の人のために働きたい」と家族の心配を押し切って現地入りしてくれたあらかぶさんたちには、福島に暮らす者として感謝の思いでいっぱいだ。 あらかぶさん裁判は続く。どうか注目と支援を!

闘いの記録が明らかにする労働者使い捨ての構造

第3章では、日本で最初の原発被ばく裁判で、放射線皮膚炎かどうか、被ばくがあったかどうかが争点の「岩佐訴訟」が紹介される。

1981年3月30日、大阪地裁での原審判決は、放射線被ばくと健康障害の因果関係の立証の難しさを示したものだった。

賠償をスムーズにして被災者を保護するための原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)による裁判であるにもかかわらず、原告の岩佐さんと被告の日本原電の主張はことごとく対立。控訴審でも敗訴判決を受ける。

しかし、70万人にのぼる被ばく労働者(医療従事者なども含む)の健康影響の問題を提起した意義は大きい。

さらに、1993年に実名で労災申請した最初の人=嶋橋伸之さんの労災認定までの経緯と闘病の記録は胸を打つ。日本の原発で白血病患者が出たという正式な発表がなかった頃のこと、長い闘病生活の後、息子さんを亡くした両親が、国や企業・労働基準監督署の対応に大変悔しい思いをされる。

それは、「もし労災が認められたら遺族補償給付に相当する分を返還しろ」という不誠実な対応に、腹わたが煮えくり返る思いをしながら闘いとった労災だった。文は、伸之さんの母・嶋橋美智子さんによるものだ。

他に長尾光明さん(多発性骨髄腫)、喜友名正さん(悪性リンパ腫)、梅田隆亮さん(急性心筋梗塞)の記録と続く。重たい真実が語られる。圧巻だ。

私たちは人々の闘いの歴史から何を学び、何を得ることができるのだろうか。第2・4章は、日本の労災補償と裁判制度の説明。専門的だが、実際の現場に役立つだろう。

労働者を被ばくさせていながら、労働者使い捨ての多重構造で被害が見えにくくなっている。

東電らにとって、被ばく労働問題は最大の弱点だ。だから、これを闇に葬り、絶望的なシステムの維持に懸命なのだろう。脱原発の私たちは、原発で働く人たちとつながり、現場で何が起きているかを知らなければならない、と改めて思った。

長年、被ばく労働者を取材している樋口健二氏の発言で締めくくりたい。

「鉱毒など昔からさまざまな公害や労働災害がありますが、原発ほどの暗黒労働はない。放射線渦巻く中に底辺労働者を突っ込んで収奪し、殺していく産業です。なにがなんでもなくさないといけない。命をかけても、なくしたいと思っています」(『原発崩壊』より)

[注]本稿は執筆者の了解を得て、人民新聞サイトの書評記事を転載。




2018年6月16日土曜日

シアトル・タイムズ【研究論文】#ハンフォード 作業員6名の住宅で微量の放射性汚染物質




【研究論文】ハンフォード作業員6名の住宅で微量の放射性汚染物質が見つかる

2018年6月14日

リッチモンド近郊のハンフォード核保留区で、プルトニウム・ウラニウム抽出施設(右)が、放射性廃棄物を収納し、土砂で被覆された鉄道トンネルに隣り合っている。 (Nicholas K. Geranios/AP)

レベルは低いが、作業員またはその家族が微粒子のいくらかを吸引または摂取すれば、放射性の塵芥が「内部放射線被曝の潜在的な原因物質」になると、論文の著者は書く。

ハル・バーントン Hal Bernton 
Twitter ID: @hbernton
シアトル・タイムズ専属記者


今月、環境工学科学ジャーナルで公開された研究によれば、ハンフォード核施設の作業員6名の自宅で採取された塵芥に微量の放射能汚染物質が含まれていた。

レベルは低いが、作業員またはその家族が微粒子のいくらかを吸引または摂取すれば、放射性の塵芥が「内部放射線被曝の潜在的な原因物質」になると、土木工学専門家、マルコ・カルトフェンは書いており、彼の査読済み該当論文によれば、ニューメキシコ州のロス・アラモス国立研究所、コロラド州の元ロッキー・フラッツ施設に近い核関連作業員の住宅で採取された塵芥試料からも放射性粒子が見つかっている。

その粒子は、核関連作業員らの住宅および近隣住民の住宅で数年にわたり収集された試料から見つかった。ウラニウム、トリウム、プルトニウム、アメリシウムを含む粒子を吸引すれば、癌のリスクが増大しかねない。

カルトフェンは、ハンフォードの住宅の数軒では、塵芥が示す公衆衛生リスク・レベルが国際放射線防護委員会の定める許容レベル基準を上回っていたとシアトル・タイムズに語った。

マサチューセッツ州のウースター工科大学に在籍するカルトフェンは、「これら放射性粒子は細かくて、数インチも離れようものなら、見分けるのが難しくなります。ですが、体内に入ると、わたしたちの人体組織からの距離は実質的にゼロです」と述べた。

カルトフェンは、彼の調査の結果、他の住宅の何軒かでも低レベルの放射能で汚染されていることが類推されるといい、さらなる検査を推奨した。

タイムズは今週の12日、ワシントン州政府保健省・放射能空中放出部門のジョン・マーテル主査に論文を提示し、コメントを求めた。

マーテルは一読したあと、当該研究で見つかったレベルは低いようであり、「当局にとって、公衆衛生リスクというほど、大袈裟なものではありません」といった。それでも彼は、研究で報告されている数値は、彼の見慣れているフォーマットの数値とは別物であり、いまも彼のスタッフが検証しているとして、次のように付言した――

「肝心なのは、万事OKと確信できるようにしたいということです。わたしたちは公衆衛生を真剣に考えています」

カルトフェンは、極めて低レベルの放射性粒子を検出できる電子顕微鏡法と特殊なX線分析の両方が介在する独自の技術を用いた。

塵芥が集中的に試験された6軒の住宅は、トリシティとハンフォードに近い地域に所在し、試料を提供した住宅36軒の大グループの一部だった。小グループは、初回検査の結果、放射性粒子の存在が疑われるものとして選別された。

「特殊な人たち」

カルトフェンは、リッチランド近郊、562平方マイル〔1,456 km2〕の連邦所有地における、数十年にわたる原子爆弾用のプルトニウム生産の連邦による除染にまつわる説明責任を求めて活動するシアトルの団体、ハンフォード・チャレンジとの長年の共同作業によって、試料の多くを入手した。

ハンフォード・チャレンジのトム・カーペンターは、「家に入れてくれるなら、誰彼かまわず、試料を採取しました」といい、雑巾と掃除機の助けを借りて、塵を集めたともいった。

放射性粒子のある種の特質的なパターンを割り出すために、ハンフォード施設内でも塵芥試料を採取し、住宅内の発見物と比較できるようにした。

カーペンターによれば、粒子は、作業員の車、または衣服を介在して、あるいは暴風によって、さらにはハンフォードで燃えあがった野火で舞い上がって、施設の外部に拡散したのかもしれない。

リッチランドのエネルギー省広報官がカルトフェンの研究に対するコメントを求める要請をワシントンDCの本省に伝達した。本省は返信メールで、「第三者が実施した研究」に対して、コメントしないと書いて寄こした

エネルギー省はハンフォードで、空気、水、土壌、魚類および野生生物における放射性核種の蓄積を測定する環境モニタリングを担っている。エネルギー省の文書によれば、この業務は「ハンフォードの汚染物質の線量とリスクが十分に把握されていることを一般市民に理解していただくため」のものである。

カルトフェンは研究の過程で、ハンフォード作業員らの住宅3軒の塵芥から最高レベルのトリウム放射能を3件見つけた。これら塵芥試料のうちの2点は、1940年代にハンフォード作業員のためにリッチランドで建築された古い住宅から収集されていた。

3軒目は、トリシティ地域の外部の新しい郊外住宅であり、放射性・化学廃棄物を保管するタンク群で働くハンフォード従業員の持ち家だった。

カルトフェンは、上記3軒の住宅の所有者らに判明した事実を告げたといった。彼は、こういう――

「わたしたちは、非常に特殊な人たち――ハンフォードで働いていた人びと――を相手にしています。その人たちは仕事に何らかのリスクがあると理解していると思いますが、例の物が帰宅する彼らに付いてくると理解するのは面白くないでしょう」

保留にされた解体爆破

カルトフェンの研究で扱われた試料はすべて、プルトニウム最終工程棟の解体爆破のさい、放射能汚染が拡散しかねないので、施設外への汚染拡散を懸念する声が高まり、作業が保留に追いこまれた年、2017年より前に採取された。

エネルギー省は昨年、数百人の作業員らを対象にバイオアッセイ――物質の効果の蓄積度を測定する生物学的検定――を実施し、42名の作業員らが非常に少量の放射性汚染物質を摂取・吸引していたと報告した。エネルギー省の担当官が今年に公表された声明で、その量は、健康に悪影響をおよぼすと考えられるレベルより低く設定された規制限度の1パーセント以下であると述べた。

2017年12月のこと、何らかの汚染が作業員の車で検出された。連邦政府エネルギー省によれば、6軒以上の住宅で検査が実施されたが、汚染の兆候は検出されなかった。

州政府の保健省もまた、モニタリングに参画していた。

米国エネルギー省担当官に宛てて送付された、州政府保健省の書記官補、クラーク・ハルヴォーソンの1月30日付け書簡によれば、空気試料捕集による「上昇結果」は検出されなかった。

州政府の当局者らにとって、際だった懸念対象はアルファ放射性物質汚染であり、これは先立つ年月にカルトフェンの研究のために収集された塵芥でも検出されていた。

ハルヴォーソンは、この汚染は検出が困難であり、粒子が人間の体内に入りこめば、「生涯の内部汚染」になる可能性があると記していた。


【クレジット】


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2017年8月10日木曜日



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2016年11月22日火曜日
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2018年6月15日金曜日

救援連絡センター【郡山通信】#フクシマ☢惨事:台湾ダイソーの不正輸入



国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。



郡山通信
台湾ダイソーの不正輸入

メディア報道が森友・加計問題などの安倍政権スキャンダル、日大アメフト騒動、米朝会談などでもちきりのなか、五月二四日付け毎日新聞の第三面に掲載された短信記事の見出し「『台湾ダイソー』の輸出入資格停止」が目を引いた。筆者も貧困層の例にもれず、一〇〇円ショップの雑貨をよく利用しているせいかもしれない。

記事によれば、大創産業の現地法人「台湾大創百貨」が貿易法違反により二年間にわたる輸出入資格の廃止処分と約一億五三〇〇万円の罰金を課せられたという。

台湾ダイソーは、台湾政府が輸入を規制しているフクシマ核惨事・被災五県(福島、茨城、栃木、群馬、千葉)から輸入した食品を他県産のラベルを偽って販売、二〇一五年に六か月間にわたる輸入禁止処分を受けていたが、その間も輸入申請書類に処分前の契約日付を偽って記入し、輸入を続けていたというのだ。

現地の英字紙、台北タイムズによれば、台湾政界の第三勢力「時代力量」党主席、黄国昌氏が四月、大創の不正輸入を暴露し、行政院経済部が見て見ぬふりをしていると糾弾した結果、今回の厳しい処分に追い込まれたようだ。

台湾の核開発

台湾でこれまでに稼働した発電炉は、台湾北端の核電(原発)一号、三号の計四基と南端の核電二号の二基。起工時期は一九七二年から七九年にわたり、いずれも国民党政権の戒厳令による開発独裁のもと、民意を無視して建設と稼働が強行されたことになる。

台湾電力は一九八二年、太平洋の海洋少数民族タオの島、蘭嶼(らんしょ)に低レベル核廃棄物貯蔵施設を「缶詰工場」と偽って建設した。

一九九〇年代には、第二原発の周辺海域で大量の奇形魚が発見され、また台北市内で集合住宅の建材用鉄筋に含まれたコバルト六〇による住民の被曝健康被害が露見し、大騒ぎになった。

民主化と脱原発

一九九九年には、台湾北端で核電四号の二基が相次いで着工されたが、時すでに遅し…第二次世界大戦の終結後、台湾に進駐してきた蒋介石の国民党政府は、四七年の二・二八白色テロを経て、長きにわたり戒厳令による恐怖政治と開発独裁を続けてきたが、死を賭した民主化闘争の結果、戒厳令は八七年に解除され、着工時には、すでに民主化が進展して久しかった。

そして二〇一一年の三・一一東日本大震災とフクシマ核惨事。台湾の人びとは世界最高額の義援金を寄せていただいたと聞くが、民衆、とりわけ若年層が受けた衝撃も大きかった。なにしろ台湾は九州ほどの小さな島である。放射能放出事故となれば、逃げ場もない。

二〇一四年、長年の民主化運動闘士によるハンストをきっかけに、「核電四号廃止」を要求する現地・街頭行動が大きく膨れあがり、当局は「一号機の稼働は見合わせ、二号機は工事停止する」と表明するまでに追いこまれた。そして一六年、民進党の蔡英文政権は脱原発政策に踏み切ることを表明した。

汲むべき教訓

今回の台湾ダイソー処分のきっかけを作った新興政党「時代力量」(日本語にすれば「時代の力」)は、二〇一四年に国民党・馬英九政権下の立法院で審議中だった台湾・中国間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准に反対する学生と市民が立法院を占拠し、国民党の選挙戦敗北を実現した「ひまわり学生運動」を結成母体としている。

台湾政府がフクシマ核惨事被災五県産の食品の輸入を禁止し、人びとがその政策を支持している理由は言うまでもないだろう。一国の首相が福島県産の果物や魚を食って見せ、強制ワイセツを問われたメンバーを切り捨てたTOKIOに対して、核惨事現地の県知事が「風評被害払拭」キャンペーン継続をお願いする、この国との落差は途方もなく大きい。

台湾大創百貨は五月二七日、台北市内で記者会見を開き、副社長が「ご迷惑をお掛けした」と謝罪した。大創産業、そして私たちが今回の不祥事から汲むべき教訓は大きい。


(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会・世話人。ブログ「原子力発電・原爆の子」、ツイッター<@yuima21c>)

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2018年5月26日土曜日











中華民国経済部は5月23日、日本のディスカウント系列店舗を展開する大創産業が、輸入許可を得るために取引の日付を偽っていたとして、あらゆる商品の台湾への輸入を2年間にわたり禁止する措置を課せられたと発表した。

経済部は同社に対して輸入許可を取り消し、罰金4164万台湾ドル(1億5200万円)を課したと、台北の立法院で国際貿易局の李冠志副局長が述べた。