きのう3月8日、環境省の報道発表です――
1.調査の背景・目的
福島県が行う県民健康管理調査の甲状腺検査において、約40%の方に20.0mm以下の小さなのう胞等の所見が認められています。
こうした小さなのう胞等は精密検査を必要とするものではありませんが、これらの軽微な所見も記録することとした結果、かえって住民の方の不安を招いていると指摘されています。
このような大規模かつ精度の高い調査は世界初の試みであり、子どもでのう胞を認める頻度や、検査結果に生じうるばらつきについて、正確にはわかっておりません。
こうした状況の中、環境省においても、住民の皆様の理解促進に役立てることを目的に、福島県外の3県の子どもを対象に、県民健康管理調査と同様の検査を実施し、その結果の妥当性について、情報を提供することとしたものです。
2.調査の概要
(1)対象地域 ○青森県弘前市 ○山梨県甲府市 ○長崎県長崎市
(2)対象者 3~18歳の者 4,500名程度
(3)実施期間 平成24年11月~平成25年3月
(4)調査委託先 NPO法人日本乳腺甲状腺超音波医学会
(5)調査方法
○ 県民健康管理調査と同等の水準の甲状腺超音波検査を対象者に実施します。
○ 甲状腺超音波検査の結果については、県民健康管理調査と同様の基準で分類し、調査対象地域における甲状腺ののう胞等の頻度を算出します。
○ 県民健康管理調査と同等の水準の甲状腺超音波検査を対象者に実施します。
○ 甲状腺超音波検査の結果については、県民健康管理調査と同様の基準で分類し、調査対象地域における甲状腺ののう胞等の頻度を算出します。
3.調査結果
(注) この調査で実施された甲状腺超音波検査は、スクリーニング検査であり、診断の確定を目的とした検査ではありません。
***引用、おわり***
さっそく、「みなさまの」NHKが次のように報道しています。
原発事故を受けて、福島県が子どもを対象に行っている甲状腺の検査で、小さなしこりなどが見つかった割合が、福島県以外で行った検査の結果と同じ傾向だったことが分かり、環境省は、福島県での検査結果は原発事故の影響によるものとは考えにくいとしています。
……
……環境省は「福島の結果が原発事故の影響によるものとは考えにくいことが分かった。この結果が不安の解消につながることを期待したい」と話しています。
専門家「過剰に心配する必要ないと思う」
放射線が人体に及ぼす影響に詳しい放射線影響研究所の長瀧重信元理事長は、「最近の甲状腺の検査は精度が高く、福島以外の地域でも一定程度の人から甲状腺の小さなしこりなどが見つかることはこれまでも国内外のデータから予想されていた。福島と福島以外の検査結果が同じ傾向だったことは、今、福島で報告されている甲状腺のしこりなどは原発事故による被ばくの影響とは考えにくいことを示している。甲状腺にしこりなどが見つかった子どもやその保護者は過剰に心配する必要はないと思う」と話しています。
***引用、おわり***
短いニュースのなかで「(原発事故の、または被ばくの)影響とは考えにくい」と同じ表現を3度も繰り返しています。国費を使った調査事業の目的は、めでたく達成されたといっていいのでしょう。
ところで不思議で奇怪きわまりない事実があります。この調査は、環境省の発注した事業ではありません。発注者は、原発推進を業務としてきた経済産業省資源エネルギー庁なのです。
入札公告
次のとおり一般競争入札に付します。
平成24年8月10日
支出負担行為担当官
資源エネルギー庁長官官房総合政策課長 保坂 伸
資源エネルギー庁長官官房総合政策課長 保坂 伸
1.競争入札に付する事項
(1) 作業の名称
平成24年度原子力災害影響調査等事業(甲状腺結節性疾患有所見率等調査事業)
平成24年度原子力災害影響調査等事業(甲状腺結節性疾患有所見率等調査事業)
……
(4) 入札書・提案書の受領期限及び受領場所
平成24年8月30日(水) 15時00分
経済産業省電気・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課
平成24年8月30日(水) 15時00分
経済産業省電気・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課
……
3. 仕様書 PDFファイル
***引用、おわり***
ついでにいえば、事業を落札した特定非営利活動法人「日本乳腺甲状腺超音波医学会」の理事会に福島県立医大の鈴木眞一教授もバッチリ連なっています。
それにしても、福島の子どもたち3万8000人から小児甲状腺癌が3人、いや10人も見つかっているというのに、「原発事故の影響とは考えにくい」だって…!?
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