2017年5月14日日曜日

グリーンピース・ロシア消防団員【ブログ】#チェルノブイリ☢汚染地帯の森林火災は「時限爆弾」

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放射能まみれのチェルノブイリ森林火災は「時限爆弾」

ブログ記事:アントン・ベネスラフスキー Anton Beneslavsky 2016415

わたしは現在まで5年間にわたり、訓練の行き届いたボランティアに支えられ、グリーンピース・ロシア専従職員で編成された消防専門職グループの一員であり、消火活動のためにロシア全域を何千キロも旅してきた。消火活動は常に危険だが、放射能汚染地域の消火活動となれば、危険性は大幅に高くなる。

 ブリャンスク州汚染地域の森林火災

チェルノブイリによって汚染された地域では、野火はごくありふれている。こうした地域では行政の管理も行き届かず、毎春のように、地元住民の焚き火によって火災が発生し、数千ヘクタールにもわたって焼きつくしかねない。近年になって、気候温暖化と乾燥化が進行し、火災が発生する頻度が高まり、被害も大きくなっている。

 重度に汚染された地域の野山で毎春、火災が発生している。

 このスタリ・ヴィシュコフ村の家屋は、地元住民が失火した野火で燃えてしまった。

わたしは目下、スタリ・ヴィシュコフ村の近辺で活動している。この村は汚染レベルが高く、避難地域を宣告されてはいるが、今でも300人の住民が暮らしている。彼ら村民のような人たちは何百万人もして、汚染地域で生活し、常にリスクにさらされている。わたしたちの消防チームは地元の緊急対応部局やボランティアたちと協力し、村外れの汚染泥炭地で野火発生の予防活動をしている。

グリーンピース消防団は火災拡大の阻止のために奮闘している。

わたしと他の消防団員たちは、政府が国民保護にしくじっているので、この仕事を引き受けている。ロシア全域で当局による森林管理は弱体であり、当地では当局が高レベル汚染を無視しているので、問題はさらに深刻である。このような地域には防火のための特別体制と安全規則が必要である。

ルドミラ・コモゴルステワは、「チェルノブイリ汚染森林は時限爆弾です」とわたしにいう。科学者にしてブリャンスク――チェルノブイリで高レベルに汚染された地域――の前州議会副議長、ルドミラはチェルノブイリ放射性降下物にともなうリスクをよく知っている。彼女はこういう――

「樹木や泥炭が放射能を蓄積しており、いつ何時でも、いかなる草の燃えあがり、いかなる煙草のポイ捨ても、あるいはキャンプ・ファイアも、新たな災害の口火になりかねません」

 防護服を着用したグリーンピース・メンバーがガイガカウンターを手にしている。

ブリャンスク湿地の泥炭は放射能をたっぷり集積しており、放射性廃棄物と考えられる。火災のさい、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウムなどの放射性核種が空気中に舞い上がり、風に乗って移動する。これら不安定な原子を吸引すると、放射線で内部被曝するので、これは健康にとって懸念材料になる。

 放射線レベルを表示するガイガカウンター。

こうした放射線リスクのために、野火に対する消火活動はとんでもなく困難である。わたしが活動してきた一部の地域は、汚染レベルが高く、わたしたちが被曝している放射線を完全に遮断できる防護服は存在しない。そのことが、時には消火活動が維持可能な選択肢であるとはいえない理由であり、防火がはるかに有益である。

偵察計画は衛星データにもとづいている――が、それでもわたしたちは確認のために現場に出動する必要がある。わたしたちは通常、朝の時間帯に火災を探しはじめるが、見つけるために目視を必要とすることは滅多にない。先ず煙の匂いを感じるのである。匂いが燃え、くすぶっている現場に連れていってくれる。

政府のたるんだ姿勢もまたお抱えの――クラウド・ファンディングや自前でボランティアが調達するのと同じ安全装備を供与されていない――消防隊員らをリスクにさらしている。

森林調査・巡察官、ニコライ・マカレンコは、彼の部局の職務はブリャンスクにおける野火を報告することだけだが、消防隊の到着に余りにも時間がかかるので、調査員らが自分たちで危険に立ち向かうのだが、防護はたいがい日常の上着とブーツだけだと、わたしに語った。一度など、火勢が余りにも大きくて、彼は二日間ぶっとおしで立ち働き、汚染森林で睡眠することを余儀なくされた。

 ズルィンカの町の森林局職員、高レベル汚染森林のピクニック用地にて。

公職者らが消火する必要のある火災があると認めるのを渋ることさえ頻繁にある。昨年のこと、わたしたちは2か月かけて、彼らに泥炭大火災の撲滅を働きかけた。

政府は見境がなく、汚染地域で暮らしている人びとに適正な保護を提供していない。彼らは、切に求められているモニタリング、医療、汚染されていない食品を保証する防護計画を切り詰め、これらの地域における泥炭火災に対処する適切な解決策を持ち合わせていない。

 地元女性に事情を聴取している緊急事態省職員。

チェルノブイリに由来し、現在進行中のリスクから地域社会を防護しようと努めている、わたしたちのような人びとと連帯して、どうか立ち上がってください。ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの指導者たちに、適切な支援を提供し、もうひとつのチェルノブイリのような惨事を二度と起こさないと保証しろと告げてください。核エネルギーは過去の遺物として埋葬すべきである。

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【筆者】

Anton Beneslavsky
アントン・ベネスラフスキーは、グリーンピース・ロシアの森林保護活動家にして消防団員。

【クレジット】

Greenpeace International, “Radioactive Chernobyl forest fires: a ticking time bomb” by Anton Beneslavsky, posted on April 15, 2016 at;

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