2012年10月31日水曜日

福島県農業総合センターが実証した「不都合な真実」

11月07日最終更新


1】 報道
KFB福島放送 □福島県内ニュース
セシウム濃度を検証 県農業総合センター
20121030 0955分配信
農作物を乾燥させた加工食品の一部から高濃度の放射性セシウムが検出されている問題で、ちりやほこりが舞いやすい条件下で乾燥させると濃度が高まることが分かった。
29日、県農業総合センターが郡山市で開いた試験研究成果説明会で発表した。
柿などの農作物は乾燥すると水分がなくなり重量が軽くなるため、1キロ当たりの放射性物質の濃度が高くなる。
ただ、想定を大きく上回る放射性物質が検出されるケースもあるとして調査した。
センターが中通りの6カ所から取れたダイコンを使い、切り干し大根を作る過程で実験した。
ダイコンを乾燥機で元の重量の20分の1程度に乾かしても検出限界値以下だった。
しかし、センター内の軒下などで乾燥させた結果、最大で1キロ当たり3421ベクレルの放射性セシウムが検出されたという。
センターは、空気中のちりやほこりが付着したことが濃度を高めた原因と結論付けた。
濃度が高いものほど、ちりの付着が多かったという。
2】 資料
福島県農業総合センタ―
963-0531  福島県郡山市日和田町高倉字下中道116番地

農業分野における放射性物質試験研究について
平成241029日(月)、福島県農業総合センターにおいて『農業分野における放射性物質試験研究課題成成果説明会(第2回)』を開催し、農協・市町村関係者等約160名の方々に参加していただきました。
当日配布資料(PDF式 1296KB)
P.14
13
切り干し大根の放射性物質による二次汚染とその原因
  
(加工時の放射性物質の動態(切り干し大根))
乾燥加工品で乾燥による放射性物質の濃縮だけでは説明できない高い値が出ることがあります。そこで切り干し大根を対象にその原因を調べました。
1)       切り干し大根で検出される放射性セシウムは乾燥による放射性物質の濃縮ではない
県内6か所で採れた大根を元の重量の1/151/20に乾燥機で乾燥して、放射性セシウムの濃度を測定しました。いずれの乾燥品も放射性セシウムは検出されませんでした。
2)       切り干し大根で検出される放射性セシウムは乾燥時の塵の付着が原因である
大根を細切りにし、空間線量や風の通り方、位置(高さ)の異なる5か所の干し場(福島県農業総合センター内)で平成24 2 15 日から6 日間乾燥させ、放射性セシウムの濃度を測定しました。干し場は①松の樹幹そば(根元)、②乾燥小屋、③鉄筋ビルの軒下の壁際(①~ ③はいずれも地表に設置。③は①、②に比べ風通しが悪く風が吹き溜まる場所)、④乾燥小屋地表1m、⑤乾燥小屋地表2m、でした(図1)。試験の結果、切り干し大根を干す場所により検出される放射性セシウム濃度は異なり、また空間線量との相関はなく、放射性セシウム濃度が高いものほど塵の付着が多いことがわかりました。(図2、表1)
3)       塵の舞いやすい干し場を避けることで二次汚染を防ぐ
壁を背にした場所や地表で乾燥したもので塵の付着が多く、高い濃度の放射性セシウムが検出されました。これらの場所は塵が舞いやすい場所だと考えられます。乾燥には塵が舞いやすい干し場を避けることが重要です。
(注意)今回、放射性セシウム濃度は乾燥状態で測定しました。食品として切り干し大根を検査する場合、水で戻し測定する(重量変化率4.0)ため、放射性セシウム濃度は今回のデータの約1/4 の濃度となります。
図1 切り干し大根を干した干し場
図2 干し場による汚染の違い 
写真は切り干し大根の拡大。黒く見える部分が塵。写真下方の数値は切り干し大根の放射性セシウム濃度。③は風通しが悪く風が吹き溜まる場所。
表1 干し場の空間線量と切り干し大根の放射性セシウム濃度
サンプル
干し場の位置(高さ)
地表1mの空間線量(μSv/h
切り干し大根の放射性セシウム濃度(Bq/kg
乾燥機による乾燥
ND
松の木の樹幹
地表
1.8
220
乾燥小屋
地表
0.5
892
鉄筋ビルの軒下の壁際
地表
0.6
3421
乾燥小屋
地表1m
0.5
165
乾燥小屋
地表2m
0.5
90
(生産環境部流通加工科)
福島県農業総合センター入り口芝生 (写真提供: T. Y. 氏)
3】 解説
乾燥機を使用して加工した切り干し大根を測定すると、放射性セシウム量はND(検出限界以下)。ところが、乾燥小屋や軒下など屋外で6日間かけて自然乾燥させると、検出値は最大で3421ベクレル/kg
福島県農業総合センターが、空気中のホコリには少なからぬ放射性物質が含まれていることを実証しました。ほかならぬ県の公的機関が、知ってかしらずか空気中にただよう放射能を呼吸によって体内に取りこむ内部被曝という重大で「不都合な真実」を暴いてしまったというわけです。
市民と科学者の内部被曝問題研究会」会員、生井兵治さんによれば、空中微粒子(つまり、ちりやほこり)が呼吸によって体内に吸引されると、大きさの違いにより、おおまかにいって、それぞれ次のような挙動を示します。
1)       10μm以上の粒子は鼻腔内で除去
2)       5μmの粒子は気管支粘膜の繊毛で咽喉に戻されタンとともに体外に排出
3)       .5μm以下の粒子は肺に吸入され、肺胞に達して付着し、じん肺を起こしやすい。
4)       超微粒子(直径0.1μm=100nm以下のナノ粒子)は主として肺胞から血中に入る。
教訓として、マスク着用の励行やホコリの吹き溜まりを避けることなどが考えられますが、放射能汚染地に生きているかぎり、完全な防備は不可能でしょう。そして、マスク不要論を説く山下俊一氏や木村晋三氏ら、国際放射線防護委員会(ICRP)系の御用学者らに改めて怒りを禁じえません。
木村氏の発言をビデオで検証してみましょう。氏が、放射能放出責任者の立場から被爆者に受忍論を押し付けるICRPの説くリスク・ベニフィット論に依拠していることが歴然としています。
【テレビユー福島】 via YouTube
 テレビ講座「福島で日常を暮らすために#1」
聞き手:テレビユー福島報道部長、大森真氏
 答え手:獨協大学准教授、木村晋三氏



18301940 敬称略]
大森:いま、マスクは必要なのでしょうか?
木村:ええ、これもよく聞かれるのですが、これは風の強い日、冬場…それはやってくださいと…あくまでも自己防衛です。ひとつには単なる公衆衛生学的な考え方で、インフルエンザが蔓延しているときの空気感染、飛沫感染というものを防ぐことができますよということも含めて、安全側に考えていきましょうね、と。じゃあ、ほかはどうなのといわれたときには、夏は避けてください、と。夏場にマスクをしてください…息苦しさでやられてしまいます…熱中症になるでしょ、と…熱中症の死亡率を考えたばあい、そちらのリスクのほうがはるかに高いのです。だからこそ、あえての被曝も仕方なし、と…それはどちらが命につながっていくかということのリスクを考えていくことが大切じゃないのか、と考えております。

【追記】11月7日付け毎日新聞・福島版記事スクラップ
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【蛇足】同日付け毎日新聞・福島版には、次のような記事も…
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