2014年9月13日土曜日

郡山市議会「屋内遊び場の新設は『郡山市は危険だ』という間違った情報発信になる!」



郡山市では、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、放射能汚染地帯にある他の市町村の例にもれなく、数多くの親子が県外に自主避難しましたが、様々な事情からやむを得ず残った家族も放射線被曝による健康不安を免れているわけではありません。子どもたちの外遊びが自由にできなくなり、ストレスや生育の遅延など、さまざまな心身の健康への悪影響が問題になってきました。
そこで、郡山市は前町長時代に市政の施策として、震災以前に閉鎖されたホテルを活用した郡山市こども総合支援センター(ニコニコこども館)の活動内容の充実を図るとともに、流通大手の提供を受けた遊休大型商業施設を改装して屋内遊戯場「ペップキッヅこおりやま」を開館し、市民に開放しました。
人口30万の郡山市では、これら2施設だけでは十分とはいえず、新たな複数の施設の設置が構想されていましたが、目下、開会中の平成26年郡山市議会9月定例会(会期:91日~30日)において、議案「屋内運動施設等の整備について(案)」が提案されました。
お役所の文書では、「等」という1字がクセモノ…当初の構想では、郡山市内の東西南北4か所に屋内遊戯・運動場が開設されるはずでしたが、屋内は1か所のみ、残り3カ所は「自然と親しむ」ための屋外運動場。
この構想をまとめたのは「子どもの遊びと運動に関する検討会」という諮問機関だそうですが、この検討会は郡山市サイト内を検索してもヒットせず、メディア報道もこれまでなかったはずです。
伝え聞く委員会の審議では、屋外運動施設の必要性について次のような答弁があったそうです。すなわち、①「保護者の原子力災害に対するマイナスイメージを払拭」、②「放射線の影響を危惧する保護者も利用したくなる」。さらにまた、次のように言い切ったそうです…
③「屋内運動施設を4ヶ所整備することで、『郡山は危険だから屋内の遊び場を作った』などと間違った情報発信になる可能性がある
たしかに、自然の四季のなかでのびのびと外遊びするのは、すてきです。また、復興の掛け声に乗って、「金目」を惜しまずに造られる遊び場は楽しいものになるでしょう。ただし、それも放射線被曝の不安を忘れることができればという但し書き付きの話です。
この素案は委員会で了承され、18日の本会議において、反対するのは共産党会派と市民会派を合わせて6議員のみ、公明党、社民党を含む残りの全会派の圧倒的多数の賛成によって、成立する見込みだという。
(井上利男・記)



825日(月曜日)に、郡山市役所5-1会議室で、品川市長の定例記者会見を開催しました。
歳出の主なものとしては、私立幼稚園の屋外遊具を更新する「子ども元気復活遊具更新事業」をはじめ、屋内水泳場及び屋内遊び場等整備事業など、子育て支援・教育関連経費のほか、防災・安全安心関連経費として、民間気象情報サービスを活用する郡山市減災プロジェクト事業、公共施設へのAED設置に要する経費、雇用・産業振興関連経費として、人材育成及び就業支援などを行う地域人づくり事業、また、市民・福祉生活関連経費として、道路の補修などの維持管理及び除雪に要する経費や、女性ネットワーク構築などを実施する女性活躍推進事業などを計上するものです。
屋内遊び場等整備事業…71,242千円
子どもの運動能力の向上等を図るため、市内4か所の屋内及び屋外運動施設整備に係る実施設計委託等に要する経費です。
  • 屋内1か所(カルチャーパーク)
  • 屋外3か所(大安場史跡公園、大槻公園、旧行健第二小学校跡地)
【質疑応答】
質 問
子どもの遊び場の整備事業についてであるが、昨年度から話のあった市内4か所に整備する事業と同一のものか。
市 長
その通りである。
質 問
当時はいずれも屋内施設の整備だったと思うが、方針が変わったのか。
市 長
復興庁の予算を使わせていただく訳だが、状況の変化や全て屋内施設でいいのかという議論もあり、多用なニーズに応えるという事も含め、このような案になった。今後、実際にオープンしてみて、改善すべきものや提案など、いろいろな状況の変化に機敏に対応できるよう、準備を進める。
質 問
状況の変化とは具体的にどういったものか。
市 長
震災当初は屋内施設の希望が多かったが、現在は屋外の施設も必要という意見も出てきている。その時々により市民の皆さんからいろいろな声が出てくるので、それに対応するということである。
質 問
屋内1か所と屋外3か所は確定なのか
市 長
予算についてはそれらの設計に基づき確定である。
副市長
これまで、医師や臨床技師、保護者や幼稚園、学校関係者の方などと検討会を開催してきたが、当初は、放射線の遮蔽ということで屋内施設の整備を念頭に置いた訳だが、その後、子どもの肥満や運動不足といったことが問題だという意見が多数あり、「ペップキッズこおりやま」のような小さなお子さんだけの施設ではなく、屋内・屋外を含めて比較的大きなお子さんも楽しめる施設を考えていったらいいのではないかという声が大きくなった。この4か所については、それぞれ屋内を主体としたものと、屋外を主体としたものに分かれるが、屋外施設でも一部屋内的な部分も設けることをベースに置き、実施設計を進めるというものである。
市 長
必要であるということで造ったこれまでの施設を見ると、実際の稼働率は意外と低く、設置した時の社会環境とどんどん変わっている。これからは、利用者の範囲を広げるなど、市内全体の施設の柔軟な有効活用の中で、この4か所の施設の位置付けや利用方法等も考えていければいいと思っている。

次に、屋内遊び場等整備事業についてでありますが、本市ではこれまで、学識経験者や幼稚園教諭、臨床心理士などからなる「子どもの遊びと運動に関する検討会」を立ち上げ、設置場所、施設の形態等について幅広く検討を行うとともに、復興庁など関係機関との綿密な協議を重ねてまいりました。
この結果、震災後3年が経過した現況を踏まえ、子どもたちの発達段階に応じた運動施設を提供することが、体力の向上等に重要であるとの認識に至りました。
施設整備の具体的な内容については、郡山カルチャーパークに雨天時及び冬季にも利用できる屋内運動施設を整備するとともに、大安場史跡公園、大槻公園、旧行健第二小学校跡地には、屋外運動施設を基本とした施設整備の方針を固めたところであります。今後とも、早期供用に向けた準備を進めてまいります。

平成26年9月補正予算の特色(一般会計) pdf.
主な事業
1《子育て支援・教育振興関連経費》
単位:千円
留守家庭児童会施設整備事業
6,734
子ども元気復活遊具更新事業(私立幼稚園7施設の屋外遊具)
159,656
民間認可保育所設置事業
47,543
屋内遊び場等整備事業
71,242
屋内水泳場整備事業
97,460

9月補正】子育て支援・教育振興関連経費
項目名
④【拡充】屋内遊び場等整備事業
こども部
内 容
屋内及び屋外運動施設を整備するための実施設計等に要する経費
・実施設計委託等
屋内1箇所(郡山カルチャーパーク)
屋外3箇所(大安場史跡公園、大槻公園、旧行健第二小学校跡地)
補正額
71,242,000
財源区分
単独

【比較参照のために】
項目名
【新規】屋内遊び場整備事業 (ソフト事業) 
《未来を担う人づくりプログラム》    
こども部
内 容
屋内遊び場の整備に要する経費
平成25年度 基本設計
補正額
20,464,000
財源区分
単独

【経緯】
1 屋内運動施設等の整備に関する検討会等の開催
1.      庁外委員による検討会(第1回)
(1)開催日時:平成26325日(火)
(2)場 所:開成山野球場会議室
(3)出席者数:10名(欠席3名)
2.      市長と菊池信太郎氏との懇談会
(1)開催日時:平成26327日(木)
(2)場 所:市長室
(3)出席者数:5名(市長含む)
3.      庁内委員による検討会(第1回)
(1)開催日時:平成2647日(月)
(2)場 所:多目的ホール1
(3)出席者数:11名(欠席2名)
2 屋内運動施設等 屋内運動施設等の整備にあたっての主な意見
現状認識・現状課題
   震災後、原子力災害の影響等により屋外活動が制限された結果、子どもたちは肥満傾向にあり、併せて運動能力も低下傾向にある。
   子ども達の発達段階に応じた運動施設を提供する必要がある。
【保護者の意見】
   親の感情として、砂遊び・泥遊び等の外遊びにまだまだ不安がある。
   屋外で風を切って走りたいと言っている子どももいる。
   転びやすい、まっすぐ走れない子どもが増えている。
屋内の運動施設の整備
   施設数は4箇所にこだわらず、良いものをつくれば1箇所でもよい。
   復興のシンボルとなるような大規模な屋内運動施設を整備し、子どもから高齢者(障がい者を含む)まで幅広い世代が利用できる施設とした方が良い。
   運動が得意な子はもとより、不得手な子にとっても運動してみたいと思わせる施設づくりも必要。例えば、1年を通して利用できるドーム型の屋内運動施設も必要と考える。
   日大工学部が提唱しているロハスや産業技術総合研究所の協力による再生可能エネルギーを取り入れた施設とし、遊びと学びを一緒にできる仕組みづくりが必要。
   幅広い世代が利用できるソフト事業の整備も重要。
   立地条件としては、開成山などの市街地が良い。
   小規模のものを数箇所整備するより、規模の大きいものを整備した方が、社会情勢の変化に対応。
屋外の運動施設の整備
   公園の除染を行ったが、除染はマイナスをゼロにするものであり、人を集める要因にはならない。
   震災後、公園で遊ぶ子どもが減少した郡山市では、親子が集い、思い切り体を動かし、そして体力の向上が図れる新たな公園づくりが必要と考える。
   屋外で思い切り遊べる場を提供したい。
   立地条件としては、開成山などの市街地が良い。
◆整備候補地の決定・公表(H261月)
・東部=大安場史跡公園(面積=約65,000㎡)
・西部=大槻公園(面積=約277,000㎡)
・南部=郡山カルチャーパーク(面積=約87,000㎡)
・北部=旧行健第二小学校跡地(面積=約6,700㎡)
【地元紙報道から】
「3.11大震災・断面」アーカイブ 
2013/12/14
子どもの肥満改善されず
運動不足…健康が心配 学校 機会拡大に全力 保護者 体動かせる場を
県内の子どもの肥満傾向が続いていることが明らかになった13日、県内の学校や保護者に戸惑いが広がった。現在、東京電力福島第一原発事故に伴う学校の屋外活動の制限はほとんどない状況。原発事故直後の屋外活動の減少が影響しているとみられる。学校側は児童・生徒が運動する機会を充実させながら、子どもの健康維持に全力を注ぐ。

東京電力福島第一原発事故を受け、福島市の福島大災害心理研究所の筒井雄二所長(共生システム理工学類教授)が実施している県内で暮らす小学生、幼稚園児、保護者に与えた心理的影響調査で、母親の放射線への不安とストレス、子どものストレスは過去3回の調査結果と比べて低減した。筒井所長が10日、同大で記者会見し発表した。

【既存の屋内遊び場の紹介】
郡山市サイトから
郡山市こども総合支援センター(ニコニコこども館)について
·        次代を担う子どもたちが、明るく健やかに成長する環境づくりのため、保健・福祉・教育が一体となって、子どもや子育て家庭のみなさんへ総合的な支援を行なう、子育て支援の拠点施設・「こども総合支援センター(愛称:ニコニコこども館)」を平成2141日(水曜日)にオープンしました。




【郡山市サイト】

ペップキッズこおりやまには、ペップアクティブ、ペップコミュニケーション、ペップキッチンと3つのエリアがあるよ。

  
【以下2枚、ネットで拾った写真】
   






屋内遊び場等整備事業予定地】





【外部リンク】


20140919日(金)【鈴木 博喜】

結局、本会議で明確に反対意見を述べたのは女性市議たちだけだった。
 岩崎真理子氏(日本共産党郡山市議団)は「今後、屋内遊び場を増やす意向がないことが明らかになった」「既存の屋内遊び場も順番待ちの状態。本来の子育てニーズを反映させるべき」などと反対意見を述べた。駒崎ゆき子氏(郡山の未来をつくる会)は「いつの間に子どもたちを守るという視点が無くなったのか」、「福島第一原発で何があってもおかしくない。子どもたちを守る取り組みは、注意しすぎるくらいやらないといけない」と批判。「北国にとって、全天候型の屋内施設は重要な施策」とも述べ、計画の全面的な見直しを求めた。「当局は住民説明会を開くと言うが、屋外遊び場を造るという方向性が決まってから住民の意見を聴いたって仕方ない」。
 「『屋内運動施設を4カ所整備することで、郡山は危険だから屋内の遊び場をつくったなどと間違った情報発信になる可能性がある』と挙げられているが、この意見に強い怒りを覚えた。これは、安全なのに放射線の影響を心配する方が悪い、風評被害になるから騒がないで欲しいということか。子どもを安全アピールの道具に使わないでいただきたい」
 そう強調したのは、滝田春奈氏(虹とみどりの会)。「将来どのような影響が出るか分からない中、不安を抱えながら子育てしている保護者や子どもたちの意見をしっかりと聞き、事業を再考するべきです」。

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(2014/09/30:最終更新)

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