2017年11月6日月曜日

香港紙『南華早報』#フクシマ☢惨事:避難民は日本政府に見捨てられている

EDITION: INTERNATIONAL
 フクシマ惨事


フクシマ避難民は日本政府に見捨てられている

園田ミツコは、2011年の原子力発電所災害のあと、いまだに放射線レベルが高いままであるにもかかわらず、日本政府がそのような地域に帰還するよう、避難民に圧力をかけており、人権を侵害していると述べる

20171011日水曜日

郡山にて20113月、福島第一原子力発電所近くの避難区域から逃げてきた女性に話しかける防護服姿の当局者。Photo: Reuters

【寄稿】園田ミツコ Mitsuko Sonoda

わたしは夫と子どもとともに、福島で健全な地域社会を抱いた夢のような自然環境に包まれて暮らしていました。それも、2011311日の地震と津波が沿岸部の地域社会を破壊し、何万人もの人びとが死亡したまでのことでした。

大震災の後も、余震が絶えませんでした。福島第一原子力発電所が爆発したとき、震災はさらなる重大な恐怖をわたしたちに負わせました。わたしたちはわが子を守るため、西日本に避難しようと決めました。

政府は「許容」放射線被曝基準を核作業従事者向けの基準――国際的な公的基準の20倍――と同じレベルに引き上げました。わたしの息子は、原発作業員ではなく、幼い男の子で、大人よりも放射線の影響に弱いのです。

フクシマ核惨事から6年近くたった2月、福島県富岡町で見かけた汚染土壌バッグの山。Photo: Xinhua

引き上げられた緊急事態レベルより低くても、許容限度を超えて高い汚染地域から、多くの人たちがわが家と同じように逃げました。わたしたちは「自主避難者」のレッテルを貼られました。いくばくかの住宅支援を別にして、わたしたちは賠償金支払いを受けたことがありません。


避難民の子どもたちの一部は、これまでと違った環境に適応するのに苦しんできました。その子どもたちは、家族、友だち、以前の学校と離れて、いつも寂しい思いをし、新たな住み処の子どもたちによるイジメにあってきました。「伝染病」の噂までたてられたのです。

多くの子どもたちはまた、父親が仕事の都合で福島に残ることが多く、ほんとうに寂しい思いをしています。

母親たちは、自分自身と子どもたちの健康問題をはじめ、これらさまざまな問題に口をつぐんだまま対処してきました。時おり私たちは、神経過敏、無分別、過保護のレッテルを貼られ、放射線不安は無視されました。別居や離婚はありふれたことになりました。

福島県大熊町にて20113月、損壊した福島第一原子力発電所。Photo: AP / Air Photo Service


わたしたちはこれまでずっと、親類援助、友人たち、わたしたちが暮らしていた懐かしい地域社会と自然環境を恋しく思ってきました。

今年の3月、政府が避難命令を解除し、自主避難民の住宅支援が打ち切られました。県民は福島に帰還するように仕向ける圧力をかけられています。調査結果は、放射線レベルがいまだに政府の長期目標を超えていることを示しています。

東京電力が申立人たちに損害賠償金を支払うように命じる裁判所決定を示す垂れ幕を掲げる、フクシマ核惨事被災者の代理人弁護士たち。Photo: Kyodo

避難命令が解除されたので、東京電力も被災者に支払う賠償金を20183月に打ち切ることになる。どのような暮らし向きであっても、安定した生活を維持するために、この住宅支援がわたしたちには必要なのです。

フクシマ以前には、彼らは大事故が起こるはずがないと言っていました。今、その彼らが放射線は問題ないと言っています。彼らは、賠償なんて必要ないと言っています。なぜ、わたしたちが放射能汚染地域で生きるために帰還しなければならないのでしょうか? 核の被災民は放射線から逃れる権利を享受できないようです。


わたしは今週、ジュネーブに赴き、日本に対する国連人権理事会審査の事前会合で証言します。安倍晋三首相の再定住プランは人権を侵害しています。日本政府が核惨事被災者を支えなければ、将来において、他の諸国が同じことをするのを、なにが阻止するのでしょうか?

園田ミツコは、フクシマ核事故の被災者・避難民。彼女は目下、核惨事被災者の権利を求めて活動し、グリーンピース・ジャパンの支援を受けて、国連人権理事会の会合に望む。

This article appeared in the South China Morning Post print edition as: Abandoned after Fukushima

【クレジット】

South China Morning Post, "Fukushima evacuees have been abandoned by the Japanese government," by Mitsuko Sonoda, posted on 11 October, 2017 at;



South China Morning Post, “Fukushima evacuees have been abandoned by the Japanese government,” by Mitsuko Sonoda, posted on Wednesday, 11 October, 2017 at;
South China Morning Post, “Fukushima evacuees have been abandoned by the Japanese government,” by Mitsuko Sonoda, posted on Wednesday, 11 October, 2017 at;
South China Morning Post, “Fukushima evacuees have been abandoned by the Japanese government,” by Mitsuko Sonoda, posted on Wednesday, 11 October, 2017 at;

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フクシマからの核避難民が今週、ジュネーブにおける国連機関の証人聴取で、日本政府が2011年の核惨事後に自宅から避難した人びとの人権を侵害していると訴える。
園田ミツコは福島第一原子力発電所の核反応炉3基がメルトダウン状態に陥った数日後に、彼女の夫、10歳の息子とともに自分の村から自主的に避難しており、国連人権理事会を前に、避難民が経済的苦境に直面していることから、惨事後7年近くたった今でも危険であるに違いない地域に帰還することを強いられていると述べることになる。

【グリーンピース・ジャパン】

プレスリリース - 2017-10-12
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