「ふくしま集団疎開裁判」の会 郡山連続講演会
第2回 アレクセイ・V・ヤブロコフ博士講演
『チェルノブイリ被害の全貌~福島への教訓』
『チェルノブイリ被害の全貌~福島への教訓』
日時 2013年5月20日(月)午後6時30分~
会場 郡山市総合福祉センター5階集会室
講師 アレクセイ・V・ヤブロコフ博士
(岩波書店『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』編著者)
主催 ふくしま集団疎開裁判の会
チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チーム
会場 郡山市総合福祉センター5階集会室
講師 アレクセイ・V・ヤブロコフ博士
(岩波書店『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』編著者)
主催 ふくしま集団疎開裁判の会
チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チーム
【講師略歴】
Алексей Владимирович Яблоков
生物学博士。ロシア科学アカデミー評議員。欧州放射線リスク委員会(ECRR)協議委員会委員。チェルノブイリ事故当時、ゴルバチョフ書記長のアドバイザーを務め、被曝者のその後について25年以上追跡調査。下記書籍を編著、同事故による死者数は1986年から2004年の間で少なくとも98万5000人に達するとの推計を発表。福島事故後、被曝による健康への影響の過小評価を警告。
生物学博士。ロシア科学アカデミー評議員。欧州放射線リスク委員会(ECRR)協議委員会委員。チェルノブイリ事故当時、ゴルバチョフ書記長のアドバイザーを務め、被曝者のその後について25年以上追跡調査。下記書籍を編著、同事故による死者数は1986年から2004年の間で少なくとも98万5000人に達するとの推計を発表。福島事故後、被曝による健康への影響の過小評価を警告。
【新刊案内】「フクシマ後」を生きるすべての人びとのために
アレクセイ・V・ヤブロコフ、ヴァシリー・B・ネステレンコ、アレクセイ・V・ネステレンコ、ナタリヤ・E・プレオブラジェンスカヤ〈著〉/チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チーム〈訳〉/崎山比早子〈日本語版序〉/星川 淳〈監訳〉
大惨事から27年、北半球全域を覆った放射能による死者数は約百万にのぼり、その環境被害は今も進行中である――。多年にわたる調査と5,000以上の文献に基づき、衝撃的な被害の全貌を報告した決定版データ集、待望の翻訳。
【英語PDF版リンク】
講演ツアー案内(チラシより転載)
アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会
2013年5月
18日(土)東京
19日(日)盛岡
20日(月)郡山
21日(火)外国特派員協会(東京)
22日(水)京都
1986年のチェルノブイリ原発事故は、北半球全体に膨大な放射性物質を飛散させ、人間と生態系に即時から中長期にわたる放射線被曝をもたらしました。とりわけ原発から至近距離にあるベラルーシ、ウクライナ、ロシアの被害は深刻で、汚染地では健康な子どもの割合が20%以下になったと言われるほどです。しかし、IAEA(国際原子力機関)やWHO(世界保健機関)による“公式”な報告は組織的に事故の影響を過小評価し続けてきたため、被害の実態を知る医師や研究者たちが強く異を唱えるようになりました。それらの声とデータを徹底的に拾い上げたのが、ゴルバチョフの科学顧問を務めたヤブロコフ博士とベルラド研究所を創設したネステレンコ博士が中心になってまとめ、ニューヨーク科学アカデミーから2009年に英訳版が刊行された『チェルノブイリ――大惨事が及ぼした人と環境への影響』です。
今回、その邦訳『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)が4月26日に刊行されたことを受けて、主著者であるヤブロコフ博士に同書の内容と、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染に対処する上でチェルノブイリから学ぶべきものをお話しいただきます。教訓の一つは、大規模かつ継続的な被曝の影響が甲状腺がんにとどまらず、幅広い疾病や症状として表れることであり、それらに対する適切な監視と手当てを行うには国内外の英知と資源を結集しなければならないことです。
【リンク】
IWJ Independent Web Journalビデオ
郡山会場 5/20ふくしま集団疎開裁判の会 ヤブロコフ博士 郡山講演会 文字おこし(講演部分)
ブログ『みんな楽しくHappy ♡ がいい♪』東京会場 <講演部分>アレクセイ・ヤブロコフ博士5/18(内容書き出し)
「ふくしま集団疎開裁判」公式ブログヤブロコフ 博士郡山講演会プレゼンテーション資料(PPTスライド画像。本稿の姉妹版。日本語訳表記のみですが、シンプルに一覧できます)
ブログ『みんな楽しくHappy ♡ がいい♪』東京会場 <講演部分>アレクセイ・ヤブロコフ博士5/18(内容書き出し)
「ふくしま集団疎開裁判」公式ブログヤブロコフ 博士郡山講演会プレゼンテーション資料(PPTスライド画像。本稿の姉妹版。日本語訳表記のみですが、シンプルに一覧できます)
2013年5月18~22日 日本講演ツアー
東京/盛岡/郡山/京都
東京/盛岡/郡山/京都
福島に伝える
チェルノブイリの教訓
(人間と環境に対する影響)
チェルノブイリの教訓
(人間と環境に対する影響)
アレクセイ・V・ヤブロコフ
モスクワ、ロシア科学アカデミー
(yaburokov@voxnet.ru)
(yaburokov@voxnet.ru)
ヤブロコフ2013年
Solid cancers incidence in Russia
Bryansk (heavily contaminated) and Kaluga (less contaminated) provinces
(Ivanov
et al., 2004)
Dynamics of the thyroid cancer morbidity after Chernobyl :
Belarus and Ukraine
チェルノブイリ事故後の甲状腺癌死者数の動向:
ベラルーシとウクライナ
Dynamics of the breast cancer
morbidity, under
different levels of radioactive contamination
(Nat. Belarusian Report, 2006)
(Nat. Belarusian Report, 2006)
1 - liquidators families; 2 - Ryazan province (Russia)
(Lyaginskaya et al., 2007)
Number of the newborns with congenital malformations, 1983 – 1996, Luginy district, Zhytomir province, Ukraine(Godlevsky, Nasvit, 1999).
Prevalence of trisomy-21 in
Belarus and West Berlin Change-point (“broken stick”) model (Sperling et al., 2008).
(Arynchyn and Ospennikova, 1999)
チェルノブイリ放射線被曝に関連する健康障害:
·
血液および循環器系;
·
内分泌系(糖尿病など);
·
免疫系;
·
呼吸器系;
·
複合疾患(同時に複数の健康障害)
·
泌尿生殖器官系疾患と生殖障害;
·
骨格系;
·
中枢神経系;
·
消化器官(歯など口腔内器官を含む);
·
成人および子どもの両方におよぶ早期老化;
·
突然変異;
·
出生時性別比率の変化(男児が減少);
·
複合疾患(同時に複数の健康障害)
Deviation of infant
mortality from the long-term trend in Germany (left) and Poland
(right) (Korblein, 2006)
Infant mortality
in Norway, Switzerland, Sweden and Finland,1980 - 2006, and undisturbed trend
line.
Based on official statistical data (Korblein, 2008)
Based on official statistical data (Korblein, 2008)
Total mortality in heavily and less contaminated areas, Russia, 1984 - 2004 (Khudoley et al, 2006)
放射線に対する不安が薄れていくにもかかわらず、
惨事のあと、死亡率が増大しつづけているので、
単純に心理学的要因(「放射線恐怖症」)が
確定的な理由とはならない。
惨事のあと、死亡率が増大しつづけているので、
単純に心理学的要因(「放射線恐怖症」)が
確定的な理由とはならない。
チェルノブイリの教訓
教訓1.
一般人に対する放射線の安全性に関する公的機関による通知を信頼してはならない;
教訓2.
独立機関による空気、食品、水の放射線モニタリング体制を確立しなければならない;
教訓3.
独立機関による各種の放射性核種を統合したモニタリング体制を確立しなければならない。
More than six years now, the Hippocratic Vigil has been held in front of the WHO headquarters (Geneva),
each working day between 8 am and 6 pm
すでに6年以上前からWHO本部(ジュネーブ)前で
1986年 WHO「直ちに危険はない」「癌発症リスクはありえない」
2005年 WHO:死亡者総数(1986~2056年)約9000人
疾病者数 約200,000人
疾病者数 約200,000人
フクシマ
2013年 WHO「放射線によって最悪の影響を受けた地理的範囲の外部であれば、福島県内であっても、予測されるリスクは低いままであり、基調となる比率内の自然変動幅を超える癌の増加は予想されない」
Infant mortality: Japan 2002 – 2012
(left)
Germany 1980 – 1994 (right)
Germany 1980 – 1994 (right)
(Korblein, 2013)
Decline in Live-Birth Numbers in 9 month after in
Kiev city
(Ukraine, 1987), and in Fukushima province (2012)
(Korblein, 2012)
増加:
- 染色体の突然変異(2011年から)
- 先天性奇形(2011年末から)
- 乳児および周産期死亡(2011~2013年)
- 白血病(2011~2014年)
- 甲状腺結節(2011年から)、甲状腺癌(2015年から)
- 血液・血管疾病(2012年から)
- 脳傷害(2012年から)
- 早期老化(2014年から)
減少:
- 精子の数(2011年から)
- 新生男児の数――男女出生数の変化(2011~2012年)
免疫系の障害――感染症など(2013年から)
ホルモン分泌系の障害――性的発達の異常、初経、
更年期障害、糖尿病など(2013年から)
更年期障害、糖尿病など(2013年から)
電離放射線レベルが上昇する
(植物の根が放射性核種を
根圏〔15~25cm〕から地表に運搬する)
- 染色体異常の数
- 眼球水晶体混濁の症例数
- 眼球水晶体混濁の症例数
- 口腔内と膀胱の上皮組織の細胞遺伝学的な特徴
- 免疫学的な試験
- 血液組成
- 精子量分析
- 新生児、死産、新生児の男女比率
- 死亡率(乳児死亡、突然死など)
- 出生時体重
- 先天性奇形の比率
現実的な各個人の安全は
各個人の放射線負荷量を反映する。
各個人の放射線負荷量を反映する。
推測するための設問:
最初の数日/数週間の線量は?
「ホット・パーティクル」線量は?
まだらな汚染分布の影響は?
すべての放射性核種の線量なのか?
安全でないレベルは20ベクレル/kg(子ども)、
50ベクレル/kg(成人)以上である。
人間と環境に対するフクシマの負の帰結は
日本の現実となるだろう。
チェルノブイリ/フクシマの主要な教訓
わたしたちの惑星を原子力で危険にさらす
核産業の意志は、人類と地球に対する核兵器と
同等レベルの惨事という結果を招くだろう。
核産業の意志は、人類と地球に対する核兵器と
同等レベルの惨事という結果を招くだろう。
アレクセイ・ヤブロコフ
yablokov@voxnet.ru
Yablokov, 2013
********* 以下、補追 *********
理由:
- 地域汚染の点在(「ホット・スポット」)
- 放射能に対する感受性の個人的なばらつき
- 食品嗜好の個人的なばらつき
- 身体的活動の個人的なばらつき
- そして、時間と屋内・屋外のちがい
- そして、時間と屋内・屋外のちがい
- 線量を構成する、すべての放射性核種を考慮する推計のむつかしさ(α線、γ線、β線放射核種)
「ミリシーベルト/年」=「病院内平均気温」と同じ類い
Typical patchy fallout (Greece as example, E. Simopolous data),
and dynamics of Chernobyl’ radioactive contamination
and dynamics of Chernobyl’ radioactive contamination
· この地帯は「ブラック・ホール」にたとえることができる。
一部の生物種が、非汚染地域からの移動によって、その地で生き残ることができるだけかもしれない。
一部の生物種が、非汚染地域からの移動によって、その地で生き残ることができるだけかもしれない。
チェルノブイリ災害に起因する(死産数の増大を含む)世界の出産障害は、死亡者数に数十万人分を加えるはずである。
最初の数日/数週間の線量は?
「ホット・パーティクル」線量は?
まだらな汚染分布の影響は?
すべての放射性核種の線量なのか?
· 器官や組織の「平均荷重係数」はどれほど正しいのか?
· 空気、食品、水の「平均消費量」はどれほど正しいのか?
· 画一的な幻像(健康な白人男性、年齢20歳)を用いるのは、どれほど正しいのか?
チェルノブイリ惨事後の最初の3年半の期間における
医療統計の全面的な秘密主義/偽造
医療統計の全面的な秘密主義/偽造
「…緊急活動に従事した労働者にとって…心血管系失調症の診断は、
まさしく放射線に関連した健康状態の変化などありはしないといわれるに等しかった…つまり、診断は器質的神経性症状を除外していない」
まさしく放射線に関連した健康状態の変化などありはしないといわれるに等しかった…つまり、診断は器質的神経性症状を除外していない」
1987年1月付け、ソ連邦厚生省の秘密電報より(コワレフスカヤ、1995年)
BEIR(電離放射線の生物学的影響に関する諮問委員会)/UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の掲げる主要な前提条件である平均実効線量という概念は大量のデータに矛盾している。
· 個人の「実効(等価)線量」(mSv〔ミリシーベルト〕 – WHO〔世界保健機関〕/IAER〔国際原子力機関〕の主要な判定基準)は、人間に対する現実的な放射線照射レベルを判定するのに有効たりえない。
-
環境が同じであり、居住地の放射能汚染度だけが異なる住民集団の死亡率;
-
災害後の同じ人間集団の健康状態;
-
特に放射線と関連した障害についての同じ人間集団の健康状態(たとえば、安定染色体の異常)
Chernobyl radionuclides: 43% of Belarus, Ukraine and Russia
37% - other Europe, 20% - Asia, North America and Africa
37% - other Europe, 20% - Asia, North America and Africa
チェルノブイリ放射性核種: ベラルーシ、ウクライナ、ロシアに43%、その他のヨーロッパに37%、アジア、北アメリカ、アフリカに20%
plums in 10 days
after the Catastrophe
惨事10日後の
放射性プルーム
の分布
(Livermore Nat. Lab., 1992)
(リヴァーモア国立研究所、1992年)
Dynamics of the thyroid cancer morbidity after Chernobyl:
Greece and Romania
・汗、尿、糞便、毛髪、爪に含まれるa、γ、β放射能の測定
(安全でないレベルは、子どもで20 Bq/kg以上、成人で50 Bq/kg以上);
(安全でないレベルは、子どもで20 Bq/kg以上、成人で50 Bq/kg以上);
・ホール・ボディ・カウンターを用いたγ放射能蓄積量の測定;
・甲状腺、胸腺、眼球、鼠径、首、腋窩、鼠径リンパ節におけるγ、β放射能の測定;
・中期間または長期間、残存するa、γ、β放射能の(遺体火葬灰)測定;
フクシマ事故の影響に関するWHO報告から
(2013年2月)
(2013年2月)
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