まず、次の2013年5月12日付け福島民報記事をお読みいただきたい――
2013年5月12日
記事の導入部を引用してみよう――
県と福島医大は6月から、東京電力福島第一原発事故に伴う甲状腺検査に関し、「本県が他県と比べて特異な状況にない」とした環境省の調査結果について情報共有化を推し進める。県内全ての小中学校、高校、保育所、幼稚園の計1700カ所余りの父母、教職員らを対象に検査の内容や意義などを伝える説明会を開き、リスクコミュニケーションを本格化させる。県民、教育関係者の放射線への不安解消につなげる。
出だしを読むだけで、福島県と県立医大のねらいが、子どもたちの甲状腺癌発症から県民の目をそらすための新たな放射線安全キャンペーンにあることは明らかである。ちなみに、記事中の調査結果は環境省の発表とされているが、調査事業「平成24年度原子力災害影響調査等事業(甲状腺結節性疾患有所見率等調査事業)」の入札公告官庁は資源エネルギー庁、問合せ・応札窓口は経済産業省電気・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課となっている――
福島民報記事によれば、説明会の実施要項は次の通り――
実施会場:
公立の小学校 472校
中学校 232校
高校(全日制・定時制) 93校
公立幼稚園 201施設
認可保育所 317施設
私立小学校 3校
私立中学校 8校
私立高校 17校
私立幼稚園 147施設
認可外保育所 213施設
施設単位の開催を基本とするが、地域単位で実施することも想定。
中学校 232校
高校(全日制・定時制) 93校
公立幼稚園 201施設
認可保育所 317施設
私立小学校 3校
私立中学校 8校
私立高校 17校
私立幼稚園 147施設
認可外保育所 213施設
施設単位の開催を基本とするが、地域単位で実施することも想定。
受講対象者:
①在校児童、生徒とその保護者、
②乳児を持つ地域の父母らも受け付ける方向で調整、
③県外避難者への対応も検討、
④教育関係者向けには、保護者からの問い合わせに対応できる問答集をマニュアルとして作成し、配布することも視野に。
①在校児童、生徒とその保護者、
②乳児を持つ地域の父母らも受け付ける方向で調整、
③県外避難者への対応も検討、
④教育関係者向けには、保護者からの問い合わせに対応できる問答集をマニュアルとして作成し、配布することも視野に。
講師:
福島医大放射線医学県民健康管理センターの甲状腺検査担当者ら、
県内の甲状腺検査の実務担当者20人程度を活用、
県外の専門家の協力、
県内各地の医師を説明担当者として養成。
福島医大放射線医学県民健康管理センターの甲状腺検査担当者ら、
県内の甲状腺検査の実務担当者20人程度を活用、
県外の専門家の協力、
県内各地の医師を説明担当者として養成。
説明内容と目的:
環境省がまとめた他県との比較調査をはじめ、県内の検査結果の概要、生涯にわたり子どもの健康を見守る甲状腺検査の意義などを説明する。放射線の影響に関する知識も伝え、正しい理解を促す。
環境省がまとめた他県との比較調査をはじめ、県内の検査結果の概要、生涯にわたり子どもの健康を見守る甲状腺検査の意義などを説明する。放射線の影響に関する知識も伝え、正しい理解を促す。
資金の手当て:
平成24年度に政府から交付されたリスクコミュニケーション対策費約6億円の一部を充てる。
平成24年度に政府から交付されたリスクコミュニケーション対策費約6億円の一部を充てる。
いかがだろうか? 福島県と県立医大は、疑問に満ちた環境省発表を好材料として前面に押し立て、新たに包括的で大規模な安全・安心キャンペーンを推進しようとしている。また福島民報記事は、次のような解説を付記して、キャンペーンの一翼を担っている――
■A2判定本県、3県より低く
県内の子どもの甲状腺検査結果は【表①】、環境省が実施した青森、山梨、長崎の3県の甲状腺検査結果は【表②】の通り。小さなしこりなどがある「A2判定」(二次検査の必要なし)の割合は41・2%だった本県の甲状腺検査結果の方が低かった。同省は「検査人数の違いなどを総合的に考慮すれば、ほぼ同様の結果。福島に特異な状況は見られない」とした。
念入りなことに、用語解説も添えている――
※リスクコミュニケーション 放射線や化学物質など健康への影響が心配される物・事象について、事業者や行政が説明会などで住民に正しい情報を伝え、互いに意思疎通を図った上でリスク(危険性)の軽減に取り組むこと。
福島県の場合、この解説文を次のように校正すべきだろう――
※リスクコミュニケーション 放射線や化学物質など健康への影響が心配される物・事象について、事業者や行政が説明会などで住民に歪曲した情報を伝え、互いの意思疎通の混乱と遮断を図った上でリスク(危険性)を隠蔽すること。
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