フクシマ河川水系の放射能は太平洋沿岸海底に比べて最大200倍に達する高レベル
7月19日(水曜日)に公表されたグリーンピース・ジャパンの調査結果報告[English、日本語pdf]によれば、フクシマ浜通り地域沖合の海底の放射能汚染レベルは2011年以前に比べて数百倍も高くなっているが、地域内河川の汚染レベルは海底堆積物に比べて最大200倍も高くなっている。
「わたしたちが河川系沿いに認めた極めて高レベルの放射能は、フクシマ核災害に由来する環境汚染および一般人の健康リスク、双方ともに甚大であること、末永くつづくことを浮き彫りにしています」と、グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当活動家、柏木愛は語った。
2016年2月、宮城県にて、グリーンピースによる阿武隈川の堆積物試料採取。阿武隈川は宮城県内で太平洋に注ぎこむが、主として福島県内に5,172平方キロの集水域を有している。Greenpeace / Raquel Monton |
「これらの河川試料は、安倍政権が住民の居住にとって安全であると明言している各地で採取されたものです。ところが、結果は、この核の破局的事態のあと、正常に復することはないと告げています」と、柏木はいう。
南相馬市、新田川沿いの岸辺で採取した堆積物試料は、放射性セシウム(Cs-134+Cs-137)濃度が29,800ベクレル/kgと測定された。他の河川の堆積物試料もそうだが、新田川の試料は人間の居住が制限されていない場所で採取されたもの。福島第一核発電所から北に90キロ以上も離れた、宮城県の阿武隈川河口域では、堆積物試料の測定値が6,500ベクレル/kgもあって、とても高レベルだった。
2016年3月、福島第一核発電所沖の調査船上で、ROV(遠隔操作探査機)で採取した海底土サンプルを取り出すグリーンピースの放射線専門家、ヤコブ・ナミンガ。Greenpeace / Christian Aslund |
高レベルに汚染されたままの地域の避難命令が2017年3月に解除されることになっているが、これは人権危機を迫るものであり、とても許されるものではない。広大に汚染された森林や淡水系といった生態系には単純な除染が利かないので、予見可能な将来にわたり、永続的な放射能汚染源のまま残るであろう。
セシウム137の半減期は30年であり、数百年にわたり環境と人間の健康にリスクをもたらす。フクシマ核施設の近海で採取された海底土試料のセシウム137による汚染レベルは――2011年以前のレベル、0.3ベクレル/kgに対比して――最大120ベクレル/kgと測定された。さらにまた、福島第一核発電所から60キロ南の海域で認められた汚染のレベルは、発電所から4キロ圏内海域で認められたものと同等だった。数多くの海洋科学調査の結果、これら高レベルの測定値は、一部の海洋生物種が、海水中のバックグランド放射能レベルに比べて、高レベルのセシウム汚染値を示していることの説明材料になる。
太平洋に放射能を放出する福島県および隣接県の河川水系と沿岸地域。 |
グリーンピース・ジャパンの世界エネルギー上席担当、ケンドラ・ウルリックは、「福島県沿岸沖合の堆積物の放射能レベルは、陸地汚染レベルに比べて低いのですが、これはわたしたちの予想どおりであり、他の調査とも整合しています。太平洋の莫大な規模と強力で複雑な海流が合わさって、海洋環境への最大規模である単一の放射能放出が汚染の広範な拡散をもたらしたことになります」と述べた。
2011年3月時点における福島第一核発電所1~3号炉核燃料の放射能の大半は、事故現場に残っている。
ウルリックは、「科学界は、この災害の影響に関する研究を継続するために支援を供与されなければなりません」という。
彼女はつづけて、「森林と河川に由来して進行中の汚染に加えて、破壊された核施設の現場に膨大な量で存在する放射能が福島県沿岸の地域社会および太平洋にとって最大規模の核の脅威になっています。何十万トンもの高レベル放射能汚染水、地下水汚染を減らすための凍土壁の明白な失敗、反応炉3基の溶融炉心という前例のない課題、このすべてが複合して、収束からほど遠い核の危機として現存しています」と述べた。
放射能調査チームは、河川水系の試料を収集するとともに、調査船「あさかぜ」に乗り組み、グリーンピース旗艦船「レインボウ・ウォリア」の支援を受けて、今年2月21日から3月11日まで福島県沿岸海域の海底調査作業を実施した。試料の測定は東京の独立系研究所で実施した。
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【クレジット】
EcoWatch, “Radiation Along
Fukushima Rivers Up to 200 Times Higher Than Pacific Ocean Seabed,” posted by
Greenpeace on July 22, 2016 at;
【姉妹記事】
2016年7月23日土曜日
【関連サイト】
Greenpeace Japan
ハンギョレ新聞
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