2015年9月3日木曜日

英紙ガーディアン【#東京電力】2008年に波高15.7メートルの津波を予測




東京電力は「津波対策を強化する必要があると気づいていたが、なにもしなかった」

社内文書が開示され、東京電力は2011年の災害によってメルトダウンを起こした原発を守るために可能な限りあらゆる手段をつくしたという同社の説明に疑問が投げかけられた。

長崎からジャスティン・マッカリー Justin McCurry
2015年6月28日

4年前に津波が襲来し、チェルノブイリ以来、25年ぶりに世界最悪となった核事故を引き起こした福島第一原子力発電所の一部。Photograph: Shizuo Kambayashi/AP

企業内文書によれば、日本の破壊された福島第一原子力発電所の事業者は、2011年3月災害の2年以上前に津波に対する施設の防護策を改善する必要があると気づいていたが、手をこまねいたままに終わっていた。

壁のようにそびえる津波に襲われたあとの三重メルトダウンを起こした施設について、東京電力株式会社はそれを防護するためにできることはすべてやったと主張するが、文書の開示によって、この主張が疑わしいものになった。

チェルノブイリ以来、25年ぶりに世界最悪となった核事故によって、膨大な量の放射能が放出され、150,000人を超える住民が避難を強いられ、その大多数は帰還の目処が立っていない。

社内文書によれば、東京電力の役員らは2008年9月――災害の2年半前――に原発で開かれた説明会で、地域で記録された以前のものよりも高い津波から施設を守るための防波堤の建造が「不可避」であることに同意していた。

事業会社は今週、40名以上の東京電力の株主らが経営陣に総額5兆5000万円の賠償金支払いを求めて提訴した事件の法廷で文書を開示する羽目になった。

【ビデオ】フクシマから4年「核の力と人間は共存できない」

東京電力は、2011年3月に日本の北東部沿岸に襲来し、16,000人近くの死者を出した規模の津波に対して予防措置を講ずるには、無力であったと常に主張してきた。

たとえば、同社は2012年4月、地域における以前の津波に関する有識者の知見にもとづき、2011年3月の惨事は「予見することができず、東京電力もまた、この地震につづいた津波の高さ(規模)が予測不可能なものだったと考える」と述べている。

同社は東京地方裁判所で係争中の損害賠償事件で同じような主張を繰り返してきたが、共同通信は、社内文書は東京電力が「(2008年時点で)津波対策を避けられないことを明らかに認識しており、これはこれまでの同社による説明と矛盾している」ことを証明していると原告側の弁護士が語ったと伝えた。

その文書は、東京電力が津波防潮堤の改善の必要性を「避けるわけにはいかず、わが社は現在の予測より大きな津波を想定せざるを得ない」と認識していたことを示していたと日本のメディアは報じた。

原告側は、東京電力が2008年6月、沖合の大地震の結果、福島第一原発が最大15.7メートルに達する波高の津波に襲われうると予測していたことを示す政府報告を引用した。東京電力は、その予測に則り、また3か月後に福島第1原発で開かれた会議で幹部たちが議論した結果の内部報告で提起されていた懸念にもとづいて措置しなかった。

東京電力はそれに反論して、「地震(の規模)予測は専門家の間でも意見が定まっておらず」、2008年の津波予測は施設の安全対策の改善を同社に迫るものだったとはいえないと法廷で主張したと朝日新聞は伝えた。


【関連報道】

2015年6月18日付け朝日新聞

2015年7月8日付け週刊金曜日

2015年6月20日付け日刊ゲンダイ

2015年6月18日付け NHK NEWS

電力工学専門誌PEi【核産業ニュース】IAEA、フクシマ最終報告を公表


Power Engineering International (PEi)
[電力工学インターナショナル、世界の発送電・専門家向け月刊誌・ウェブサイト:Wikipedia]

IAEA、フクシマ最終報告を公表

2015年9月3日
ティルディ・ベイアー Tildy Bayar

国際原子力機関(IAEA)は今週、日本の2011年フクシマ核惨事に関する総合的な最終報告を公表した。

IAEAの天野之弥事務局長は報告の巻頭言で、この報告は「人的、組織的、技術的要因を考察したうえで、なにが起こったのか、なぜ起こったのか、理解する素材を提示しており、世界各国の政府、規制機関、核発電事業者が行動の指針にできる必要な教訓を提示しております」と述べている。

IAEAは報告で、施設の脆弱性は単なる技術にとどまらないと指摘する。報告は、「人、組織、技術のあいだの複雑な相互作用を考慮に入れた統合的な手法が要請されている」ことを強調している。

この線にそって、反応炉が自然災害時に備えて設計され、安全性が評価された実状を考察するとともに、報告はまた、事故当時の安全管理手段、日本の核規制要項の実効性、人的および組織的要因、全般的な安全文化を考察している。

報告は、判明したことのひとつとして、外的な危険に対する福島第一原発の脆弱性が「系統的・統合的な形で再評価されることが、稼働期間を通してなく」、核発電事業者、東京電力株式会社が「津波に起因する複数電源喪失および冷却停止に完全な備えをしていなかった」と指摘している。

施設の運転員らは、「したがって、適切な訓練を受けたこともなく、関連するはずの過酷事故演習に参加したこともなかった」し、事故のあと、「運転員らが使えた設備は、悪化した施設の状況では、使い物にならなかった」。

IAEAは、「核緊急事態と自然災害の同時発生に対処するために連携して行動できるような備え」がなかったと指摘し、「どの組織に責任があるのか、どの当局が遅滞なく安全問題に対処するための拘束力ある指示を発するのか、完全に明確になっていなかった」と論じる。

報告の技術書によれば、建設に向けた事前調査は、建設用地が「地震活動の少ない地域」にあると結論づけていた。それでも、地震防護対策は実施されていた。報告は、3月11日の地震は「(苛酷さの)最高レベルの基準に合致する」ものであり、実施されていた安全対策は「制御室の状況の点検、構造、システム、構成要素の点検および施設全域巡視の実施の責任」、その他を求めるものだったと記す。

報告によれば、追加的な安全対策も実施されていた。自動減圧機能が「最近」2~6号炉に追加されていた(1号炉はすでに2基の高圧炉新冷却システムを備えていたので、追加されなかった)。冷却水を圧力容器に注入するための接続線と電動弁が設置されていた。過剰加圧による反応炉格納容器の破損と放射性物質の放出を防ぐために、新たなベント経路が設置されていた。隣り合う反応炉(1号炉と2号炉、3号炉と4号炉、5号炉と6号炉)のあいだに電源相互連結線が設置され、全電源喪失のさいに互いに電力を供給できるようにしていた。また、2007年の新潟・中越沖地震の教訓にもとづき、免震建屋のなかにガスタービン発電機を備えた独立電源設備が建造されていた。

しかしながら、津波による冠水が現場の電源を破壊したあと、これら緊急時システムの多くが作動しなくなり、運転員らには、機能不全の装置が残されただけであり、監視技術も機能しなかった。「交流および直流の全電源の喪失に備えた対策がなく」、施設の運転員らは「このような状況下で、現場全電源喪失に対処する方策に関して、具体的な指示を持ちあわせてはいなかった」と報告はいう。

1000ページを超える技術書と併せて発行される報告は、42か国の核専門家180名によってまとめられた。報告は9月中旬に開催されるIAEAの次回年次総会に提出される。
 
【資料】


【PEi記事】

2015年4月21日火曜日


【関連記事】

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グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告



2015年9月2日水曜日

グリーンピース【プレスリリース】放射能リスクを矮小化し、科学をないがしろにするIAEAフクシマ報告







放射能リスクを矮小化し、科学をないがしろにする
IAEAフクシマ報告

プレスリリース 2015年9月1日

【2015年9月1日付け東京発】8月31日(月)に公表された国際原子力機関(IAEA)フクシマ報告は、フクシマ核惨事が環境および健康にいまもなお、もたらしている影響を矮小化している。グリーンピース・ジャパンによれば、同報告は進行中の核惨事を正常化するという安倍政権の政治的意図に迎合している。

「IAEAは、フクシマ惨事の結果として、識別できる健康への影響は予想されないと結論づけていますが、放射線量と長期的影響の両方に関して、重要な不確実性が残ると認めています。災害勃発直後の日々に住民たちがどれほどの放射能に被曝したのか、だれにもわかりません。線量がわからずに、影響はないと結論することはできません。これに反したことを言えば、科学ではなく、政治的な発言になります」と、グリーンピース・ジャパンの世界エネルギー・キャンペーン担当幹部、ケンドラ・ウルリックは述べた。

「国際放射線防護委員会(ICRP)でさえも、放射能被曝に安全なレベルは存在しないと結論づけています。引き上げられた放射能レベルを核事故被害者たちに意図的に押し付けるのは、正当化できませんし、危機勃発後5年以上たってから、癌症例が増加したチェルノブイリの前例をわたしたちは見ていますので、なおさらのことです。

「IAEA報告は、核事故のあと、ものごとが正常に回復すると思わせようとする安倍政権と世界核産業の政治的意図を積極的に支えています。しかし、被災者たちが戻るように促されても、暮らし向きにしろ、被曝線量率にしろ、正常なものはなにもありません。明らかなのは、原子力規制委員会が川内原発の核反応炉の再稼働を許可するために未解決の安全問題を無視していることからもわかるように、日本政府がフクシマ核事故の教訓をまったく学んでいないことです」と、ウルリックはIAEA報告の3ページに関連して語った。

日本政府は、次々に汚染レベルがより高くなる地域で、避難指示を組織的に解除しており、フクシマ被災者が被曝を余儀なくされている放射線許容限度なるものに対する一般人の受忍限度を高めようとしている。

たとえば、グリーンピース・ジャパンが今年7月に実施した調査によれば、福島県飯舘村の森林と土地における放射能汚染が、住民が安全に帰宅するのが不可能であるほどに、広範に拡がり、高レベルであることが判明している。除染作業はわずかな地域に限定されており、膨大に広がる汚染された森林と河川域に対応する意図すらない。元住民の多くが環境汚染のために以前の生業に就くのが叶わないことを考えると、IAEA報告がほのめかしているように、被災者の生活にとって所得の不足が許容できる「制約」であるというのは、笑止千万である。

グリーンピース・ジャパンは5月にIAEA報告要約版に対する分析論文を公表しており、これはいまだにIAEA報告完全版に対する当方の予備的査読として適用できる。グリーンピースは目下、フクシマ報告と併せて公表された複数の技術報告および付属文書を検証中である。

【メディア連絡先】

Kendra Ulrich, Senior Global Energy Campaigner, Greenpeace Japan, kendra.ulrich@greenpeace.org, +81 80 5088 3351

Shaun Burnie, Nuclear Specialist, Greenpeace Germany, sburnie@greenpeace.org, +44 7716 501238

Elena K. Johansson, Global Communications Associate, Greenpeace Japan, elena.johansson@greenpeace.org, +81 90 6478 5408

Greenpeace International Press Desk, pressdesk.int@greenpeace.org, phone: +31 (0)20 718 2470(available 24 hours)

【脚注】

(1) “The Chernobyl Catastrophe: Consequences on Human Health” Greenpeace International. [グリーンピース・インターナショナル『チェルノブイリ惨事~人間の健康に対する影響』]2006.

(2) 放射線被曝によるリスクを計算するための国際的に認められたモデルである線形閾値なし(LNT)モデルは、放射線被曝に安全なレベルが存在しないと定めている。それに加えて、国際放射線防護委員会(ICRP)は2005年報告において、「…特定の体組織における放射線関連の癌の場合、低線量閾値の存在は考えられないようである一方、普遍的な閾値の存在を裏付ける証拠はない。LNT仮説は依然として、高線量の場合に推定されるDDREF(線量・線量率効果係数)の不明確さと併せて、低線量および低線量率の場合における放射線防護の堅実な基礎である」。参照:“Low-dose Extrapolation of Radiation-related Cancer Risk.”[『放射線関連の癌のリスクに関する低線量外挿法』] ICRP Publication 99. Ann. ICRP 35 (4), 2005. Publication 99.

(3) “The IAEA Fukushima Daiichi Accident Summary Report: A preliminary analysis.” Greenpeace Japan[グリーンピース・ジャパン『IAEA福島第一原子力発電所事故報告要約版:予備的分析』]2015. [下記の【関連記事】「グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告」参照] 

Categories nuclear


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グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告