東京電力は「津波対策を強化する必要があると気づいていたが、なにもしなかった」
社内文書が開示され、東京電力は2011年の災害によってメルトダウンを起こした原発を守るために可能な限りあらゆる手段をつくしたという同社の説明に疑問が投げかけられた。
4年前に津波が襲来し、チェルノブイリ以来、25年ぶりに世界最悪となった核事故を引き起こした福島第一原子力発電所の一部。Photograph: Shizuo Kambayashi/AP
壁のようにそびえる津波に襲われたあとの三重メルトダウンを起こした施設について、東京電力株式会社はそれを防護するためにできることはすべてやったと主張するが、文書の開示によって、この主張が疑わしいものになった。
社内文書によれば、東京電力の役員らは2008年9月――災害の2年半前――に原発で開かれた説明会で、地域で記録された以前のものよりも高い津波から施設を守るための防波堤の建造が「不可避」であることに同意していた。
事業会社は今週、40名以上の東京電力の株主らが経営陣に総額5兆5000万円の賠償金支払いを求めて提訴した事件の法廷で文書を開示する羽目になった。
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東京電力は、2011年3月に日本の北東部沿岸に襲来し、16,000人近くの死者を出した規模の津波に対して予防措置を講ずるには、無力であったと常に主張してきた。
たとえば、同社は2012年4月、地域における以前の津波に関する有識者の知見にもとづき、2011年3月の惨事は「予見することができず、東京電力もまた、この地震につづいた津波の高さ(規模)が予測不可能なものだったと考える」と述べている。
同社は東京地方裁判所で係争中の損害賠償事件で同じような主張を繰り返してきたが、共同通信は、社内文書は東京電力が「(2008年時点で)津波対策を避けられないことを明らかに認識しており、これはこれまでの同社による説明と矛盾している」ことを証明していると原告側の弁護士が語ったと伝えた。
その文書は、東京電力が津波防潮堤の改善の必要性を「避けるわけにはいかず、わが社は現在の予測より大きな津波を想定せざるを得ない」と認識していたことを示していたと日本のメディアは報じた。
原告側は、東京電力が2008年6月、沖合の大地震の結果、福島第一原発が最大15.7メートルに達する波高の津波に襲われうると予測していたことを示す政府報告を引用した。東京電力は、その予測に則り、また3か月後に福島第1原発で開かれた会議で幹部たちが議論した結果の内部報告で提起されていた懸念にもとづいて措置しなかった。
東京電力はそれに反論して、「地震(の規模)予測は専門家の間でも意見が定まっておらず」、2008年の津波予測は施設の安全対策の改善を同社に迫るものだったとはいえないと法廷で主張したと朝日新聞は伝えた。
【関連報道】
2015年6月18日付け朝日新聞
2015年7月8日付け週刊金曜日
2015年6月20日付け日刊ゲンダイ
2015年6月18日付け NHK NEWS
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