米国NRC:原子力規制委員会、公衆放射線防護の原則を「#線形閾値なし」仮説から「放射線 ホルミシス」理論に乗り換える方針を検討…「#放射線 は体によい」といった類の核産業の与太話 http://t.co/Hpp4CYAcme via @stapf @1Earth1Sea1Sky
— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2015, 9月 9
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カウンターパンチ
事実を告げ、実名を明かす
事実を告げ、実名を明かす
2015年9月8日
核産業の「放射線は体によい」の類いの与太話
米国の原子力規制委員会(NRC)は、米国が長年、放射線防護の基礎にしてきた「線形閾値なし」(LNT)説をお払い箱にして、「放射線ホルミシス」理論――低線量の放射線は体によいと考える説を代わりに採用しようと考えている。
この変更は「核推進の狂信者――としか言いようのない輩たち――の集団」によって後押しされていると、ワシントンDC近郊の団体、核情報資料サービス(NIRS)*は非難している。
*[訳注]Nuclear Information
and Resource Service:NIRSは核エネルギー、放射性廃棄物、放射、持続可能エネルギーなどの課題に関連する、市民や団体のための情報ネットワークセンター。1978年設立。ツィートによる紹介…
SC regulators approve $900 million cost increase for new nuclear units, reward overruns with utility profit increase. http://t.co/AZVTIIxSQy
— NIRS (@nirsnet) 2015, 9月 4
「ホルミシス・モデルが採用されると、必要のない死と病気を招く結果になるでしょう」と、NIRSのマイケル・マリオット代表はいう。核施設事業者は公衆の被曝線量を「合理的に達成可能な限り」削減しなければならないという、米国で現在採用されている要件は、「窓から投げ捨てられるでしょう。緊急計画ゾーンは大幅に縮小されるか、全面的に廃止されることになるでしょう。核事業者は放射能の放出を抑えるために金を使うのを余儀なくされなくなり、増収分を懐に入れるでしょう。おまけに、NRCがこの放射線モデルを採用すれば、環境保護庁(EPA)などの政府機関もやはりLNTモデルに準拠していますので、政府全体の放射線防護規則が混乱状態に突き落とされるでしょう」。
「なにはともあれ、NRC放射線量基準は強化されるべきなのです」と、マリオット氏はいう。
通常の郵便で意見を送ることもできる。送付先: Secretary, U.S. Nuclear Regulatory Commission,
Washington, DC 20555-0001, Attention: Rulemakings and Adjudications Staff.
Docket ID. 封筒にコード「NRC-2015-0057」を記入する必要があるので、ご注意。
NRCが変更に同意する場合、オンライン出版物、ニュークリア・ニュース(Nuclear-News)が、「これは最も重要で警戒する必要のある米国政府の核放射線政策の変更になるだろう」と伝える。「電離放射線被曝は――それが核爆弾によるものであれ、核発電所、劣化ウラニウム、X線、福島によるものであれ――体によいと原子力規制委員会は決めるかもしれない。防護措置も、公衆安全警告も必要だと考えられなくなる。浄化措置も急激に縮小されるかもしれない…ある意味で、これはすでに政府がやっていること――国民を守らず、核放射能のばらまき――を合法化するだろう」とニュークリア・ニュースは記す。
第二次世界大戦中に原子爆弾を作るために米国が総力を尽くした事業、マンハッタン計画と――核発電所をはじめとする――その副産物の結果、しばらくの間、ある放射線量値の「閾値」が存在し、それ以下の放射能は危険でないと信じられていた。
ところが、何年か後になって、閾値が存在しないこと――いかなる量の放射線であっても、傷つけたり殺したりすること、「安全な線量」がないこと――が明らかになった。
低レベルの放射能は、人間を即座に病気にしたり、死亡させたりしない。だが、数年間の「潜在」または「潜伏」期間のあと、被曝が病気や死亡の原因になることがあると判明した。
かくて、1950年代をはじめとして、「線形閾値なし」基準が、米国、その他の諸国、国際機関によって採用された。
この基準は、放射線は線量と正比例して健康被害――特に癌――の原因になり、「閾値」はないと定める。しかも、放射線の効果は蓄積するので、数回分の低レベル被曝線量を合計すれば1回分の高レベル被曝線量とみなせるのであり、これを「応答線形性」という。
LNT基準は、核技術の開発に携わる人たち、とりわけマンハッタン計画のために設立された――ロスアラモス、オークリッジ、アルゴンヌの――国立核研究所、また後にマンハッタン計画が米国原子力委員会に改組されたさいに設立された機関で働く人たちに重大な問題を突きつける。
一方で、オークリッジ国立研究所の所長、アルヴィン・ワインバーグ博士が1972年、ニュー・サイエンティスト誌に「癌の治療法が発見されるなら、放射能基準の問題は消える」と書いた。
他方で、他の核支持者らが、LNT基準は間違っており、少量の放射能は「体によい」と主張する「放射線ホルミシス」と名付けた理論を吹聴しはじめた。
米国でホルミシスを提唱する先導者は、トーマス・D・ラッキー博士である。ミズーリ大学コロンビア校の生化学教授にして、アルゴンヌ国立研究所の客員研究員である彼は、著作に“Hormesis and Ionizing
Radiation”[ホルミシスと電離放射線]、“Radiation Hormesis”[放射線ホルミシス]、その他に多数の論文を執筆している。そのうちのひとつ、論文「放射線ホルミシス概論(Radiation Hormesis Overview)」のなかで、「われわれには電離放射線被曝を、抑制するのではなく、増やす必要がある。電離放射線が必須要素であることを示す証拠は検証済みである…実証ずみの利点がある」と強調する。ラッキー博士はさらに、「世界の核廃棄物管理で見積もられる数兆ドルのコストを数十億ドルに削減し、安全な低線量放射線治療を提供して、われわれの健康を改善することができる」と唱える。そして彼は、「低線量放射線治療による健康増進効果と平均寿命の延長を示す証拠が恐怖に置き換わるはずである」と書いた。
セントルイス・ポスト特報(St. Louis Post Dispatch)サイトが2011年に掲載した記事によれば、ラッキー博士は「もっと放射線を浴びれば、もっと健康な生活ができる」といい、彼の寝室の棚に「小ぶりのボーリング球サイズで、ウラニウムの小片が点在し、目に見えない光を放射している」岩を保管していた。ラッキー博士は「最近、彼の腰背部に小さな赤いシミができているのに気づいた。それは軽い日焼けのように見え、放射線が強すぎる最初の兆候だった。そこで彼は、念のため安全を考え、数インチばかり、棚の奥のほうに岩を押し込んだ」と記事は伝えた。
米国原子力委員会が1947年、核技術の民間利用法を開発し、原子科学研究を実施するために設立したブルックヘブン国立研究所(BNL)において、非常に積極的なホルミシス提案者であってきたのが、ルドヴィッヒ・E・ハイネンデジェン博士である。彼は出身国のドイツで教授の地位を保持し、BNLの研究員でもあり、ホルミシスを提唱する夥しい数の論文を執筆している。彼は英国放射線学誌(the British Journal of Radiology)に掲載された2005年の論文に、「有益な低線量放射線効果」について書き、「癌リスクに関するLNT仮説は科学的な根拠がなく、閾値またはホルミシスにとって有利なことに、無効であるように見受けられる」と断言した。
LNT基準を廃棄し、ホルミシス理論をそれに代えて採用するように求める3通の請願書をNRCに提出したのが、団体「正しい放射線情報を求める科学者たち(Scientists
for Accurate Radiation Information)」を代表するモハン・ドス博士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学大学院のキャロル・マーカス博士、サンディア国立研究所の保健物理学者、マーク・ミラー氏である。
核情報資料サービスは、米国環境保護庁、つまりEPAがLNTを全面的に支持していると指摘している。
同庁がLNT――および同基準の歴史――を支持する理由は、放射線防護局長、ジェローム・プーシキン博士が2009年に詳述している。
プーシキン博士は、EPAが「公衆を環境放射線被曝から守る責任を担っている。本庁はこの目標を達成するために、空中、水中および土壌中の放射性核種濃度の規制基準を設けている」と述べる。同庁はその「防護被曝限度」を「米国科学アカデミー、国際放射線防護委員会、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、全米放射能防護測定委員会など、科学諮問機関」にもとづき、「独自の検証結果を加味して」設定している。LNT基準は、これらすべての機関によって「繰り返し支持されてきた」と彼は書く。
プーシキン博士は、「LNTが低線量におけるリスクの重大な大幅過剰評価をしていることを示す説得力のある証拠がない限り、この手法を緩和することは思いも寄らない」とつづけ、全米科学アカデミーのBEIR VII委員会による決定の見解に「そのような変更は予想されえない」と書いている。(BEIRは、Biological Effects of Ionizing Radiation[電離放射線の生物影響]の略語)
BEIR VII委員会の座長であり、ハーバード大学公衆衛生学部の副学部長、リチャード・モンソン博士は2005年、その報告書の発刊の辞に「科学研究基盤は、それ以下の低レベル電離放射線が無害または有益であることが認められるような被曝閾値が存在しないことを示している」と述べた。
ヨーロッパの放射能に関する有識者、イアン・フェアリー博士は英国政府の職員として放射線リスク関連の職務に従事し、欧州議会、その他の政府機関の放射線問題に関する顧問を務めており、LNTを廃棄し、ホルミシス理論を採用するように求める請願書に対して詳細に述べた意見書をNRCに提出した。
フェアリー博士は、「LNTの科学的証拠は潤沢であり、強力で説得力があります」と述べている。彼は、BEIR VIIを含め、ヨーロッパと米国で実施された数多くの研究を集約している。NRCに提出された請願書について、「わたしの結論は、真剣に考察しても、なんのメリットもないというものです。(請願書は)反対の方向を指し示す科学的証拠というより、先入観に、あるいはイデオロギーにすら基づいているように見受けられます」と記している。
状況において、さらに問題になるのが、放射線に対して胎児と小児が「最も弱く」、女性が「男性よりも弱い」ことであると、変更に反対を表明するためのオンライン請願署名サイトの投稿に記されている。これは、やはりワシントンDC近郊の町の団体「ビヨンド・ニュークリア」がキャンペーンを設定したものである。NRC宛てに“Protect
children from radiation exposure!”[子どもたちを放射線被曝から守れ!]と呼びかけており、「NRCに告げよう~ほんのわずかな放射能でも体に悪い。癌、その他の病気の発症原因になりかねない」と訴えている。キャンペーンはさらに、「NRCは『少量の放射能は体によい』モデルを採用するべきではない。NRCはむしろ、最も弱い子どもたちを全力つくして守るべきであるが、現状ではそうなっていない」と訴える。
NRCの委員たちは、どのようにこの案件を決めるのだろうか? NRCは出身母体である原子力委員会と同じく、臆面もない核技術の支援者であり、放射能の危険性の矮小化に久しく全力あげて貢献してきた。放射能が体に「よい」とするNRCの決定に対する市民の断固たる意思表明――多数の反対意見――がNRCの見解に影響をあたえるかもしれない。
【筆者】
カール・グロスマン(Karl Grossman)は、ニューヨーク州立大学ニューヨーク校のジャーナリズム教授であり、著書に“The Wrong Stuff: The Space Program's Nuclear Threat to Our Planet”[厄介物~わが惑星に宇宙計画が突きつける核の脅威]。グロスマンは、メディア監視集団、Fairness and Accuracy in
Reporting (FAIR=報道の公正さと正確さ)の協賛メンバー。アンソロジー“Hopeless: Barack Obama and the Politics of Illusion”[望みなし~バラク・オバマと幻想の政治]に寄稿。
英語表記ですが、簡単に署名など必要事項を記入できます…
米国NRC(原子力規制委員会)宛て請願キャンペーン「#子どもたちを被曝から守れ!」…「NRCは『少量の放射能は体によい』モデルを採用するべきではない」https://t.co/kKZidFzHE3
@change_jp
— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2015, 9月 10
【関連記事】
2015年9月9日
【2015年9月8日、メリーランド州タコマ・パーク発】核発電施設にともなう、健康、安全、環境にまつわる危険を記録する米国の先導的なNGO、ビヨンド・ニュークリア(「核を超えて」)は本日、癌の発症例と死亡率、およびその米国の核施設との関連を調査する研究を取りやめるという、米国の原子力規制委員会による言語道断の決定を公的に非難しました。
「ヨーロッパでは、研究に次ぐ研究が操業中の核発電施設周辺における小児白血病の明白な増加を明らかにしておりますが、それなのに、原子力規制委員会(NRC)はこの命に関わる情報をアメリカ国民に隠すことに決定しました」と、ビヨンド・ニュークリアの放射線と健康の専門家、シンディ・フォーカースは述べました。この研究は2009年に着手され、全米科学アカデミー(NAS)の支援を受けて実施されてきており、すでに第1局面を完了し、コストが800万ドル(9億6200万円)と見積もられる研究事業として、全米7か所の試験的な核施設現場を調査していました。
2014年6月11日
福島第一原発の破局的な核惨事の勃発から3周年を来週に控えて、災害をめぐる意図的な途方もないウソ――情報の抑圧、歴史的次元の不誠実な企て――がつづいている。
登場するのは、国際的な機関、とりわけ国際原子力機関(IAEA)、現職の総理大臣が率いる政府機関、有力な核産業、科学者らの「核の権威筋」、その他もろもろの原子力に利権をもつ集団である。
策略は原子力推進の発足時から、それに組み込まれていた。じっさいの話し、わたしが核技術についての初めての本“Cover Up: What You Are Not Supposed to Know About Nuclear Power”(仮題『隠蔽~あなたが原子力について知ってはならないこと』)を開いたとき、こう書かれていた――「あなたは原子力に関する情報を与えられていない。説き聞かされていないのだ。それは目的あってのことである。原子力の推進派は、大衆を目隠ししておくことが成功のための必須条件であると考えた。政府、科学界、私企業の原子力を推進する連中は、国民が事実を知らされ、原子力の影響を知れば、支持しないだろうとわかっていた」。
…つづきを読む
【特別付録】
カール・グロスマンによるインタビュー:
1968年のチェルノブイリ核事故の結果、100万人が死亡したと、書籍『調査報告:チェルノブイリ被害の全貌』の編集補助にかかわった毒物学者、ジャネット・シャーマン医学博士は説明する。ニューヨーク科学アカデミーが出版した同書の執筆陣、アレクシー・ヤブロコフ博士、ワシリー・ネステレンコ博士、アレクシー・ネステレンコ博士は、執筆時点で入手可能だった医療記録を検証し、その結果、チェルノブイリ事故による死者数はおそらく4,000名程度だろうとする国際原子力機関の主張の虚偽を暴きだす。
Enviro Close-Up # 610 (29分)
岩波書店サイト『調査報告:チェルノブイリ被害の全貌』
Amazon:調査報告 チェルノブイリ被害の全貌 |
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