2015年9月21日
グリーンピース「これは実行可能である」
2050年までに100%再生可能エネルギーを達成する方途を示す新報告
グリーンピースは、世界の指導者たちが、クリーンで安全なエネルギーの未来に向かう、不可欠な――そして達成可能な――道程に化石燃料産業が立ち塞がるのを許してはならないという。
ジョン・クエアリー Jon Queally, staff writer
世界需要を再生可能エネルギーで100%賄う目標は2050年までに達成可能であり、世界が破局的な気候変動に陥るのを防ぐ唯一の方策であるとグリーンピースはいう。 (Photo:
fotolia.com)
世界中の科学者や専門家らがパリ気候会議を目前に控えて、「これを達成しなければならない」とますます切迫した調子で世界の指導者たちに告げている一方で、新たな報告書は「これは達成することができる」と告げている。
地球温暖化がもたらす惑星規模の影響が日ごとにますます明らかになり、100%再生可能エネルギーで動くエネルギー・システムを構築し、維持する目標が、世界の環境・気候正義運動の動機となる要求のひとつになる折から、グリーンピースが21日(月曜日)に公開した新たな報告は、政治力を結集しさえすれば、人類が2050年までに化石燃料と核エネルギーを廃絶した世界を構築するのを妨げる技術的制約も経済的障壁も存在しないことを示している。
「わたしは、『それは達成不可能だ』とおっしゃる皆さんに、この報告をお読みになり、これは達成可能であり、世界の人びとの福利のために達成しなければならないとご理解いただくことをお願いしたいのです」――グリーンピース、クミ・ナイドウ
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グリーンピースUSA気候・エネルギー・キャンペーンのケリー・ミッチェル代表はこう語る――「化石燃料の段階的廃絶と再生可能エネルギーへの移行は、必要であるのみならず、今世紀中頃までに世界規模で達成可能になります。わたしたちは米国において、風力やソーラーといったクリーン・エネルギーへの移行に拍車をかけつつ、石炭、石油、ガスを地中に残す運動を優先しなければなりません。そうすることによって、新規雇用を生みだすことになりますし、同時に未来の世代により健全な惑星を保証することになり、一挙両得です」。
報告書によれば――
世界需要を再生可能エネルギーで100%賄う目標は2050年までに達成可能であり、世界が破局的な気候変動に陥るのを防ぐ唯一の方策である。ダイナミックな変化がエネルギー部門で進行している。再生可能エネルギーが大多数の国ぐにで主流になっており、価格も劇的に下落している。この報告は、わたしたちがエネルギー供給を転換し、再生可能エネルギーに移行できたことを示しており、これは、2020年までに世界のCO2排出量を安定化し、2050年までにゼロ近くまで排出量を抑えることができることを意味している」
新しいグリーンピース報告――World Energy
[R]evolution: A Sustainable World Energy Outlook 2015[『世界エネルギー改革(革命)~維持可能な世界エネルギー展望2015年版』]――は、最新版の世界エネルギー事情分析であり、よりクリーンなエネルギー源への転換をこれからの数十年間で達成することが可能であるだけでなく、これほど大規模な転換を実行する実際の経済的コストが、気候変動を前にして、「汚いエネルギー」の現状を維持する場合に比べて、実際に安上がりになることを示している。
グリーンピースは、この計画を実施するコストが「巨額」になると認めているが、「節約額のほうがさらに大きくなる」という。見積もりによれば、2050年までに再生可能エネルギー開発に必要な追加投資額の世界平均値は年間約1兆ドルになる。しかしながら、再生可能エネルギーは継続的な燃料投入を必要としないので、同期間中の節約額は年間1兆700億ドルに達し、初期投資に要するコストを相殺して余りある。
グリーンピース提案は今世紀中頃までの化石燃料と核の両エネルギーの戦略的・段階的廃絶を求めながら、石油やガスといった比較的に汚染の少ないエネルギー源に矛先を移す前に、炭素排出量が最も大きな――褐炭や石炭など――化石燃料に狙いを定めている。
グリーンピース・インターナショナルのクミ・ナイドウ事務局長は次のように述べた――「再生可能エネルギーへの転換は、クリーンで安全なエネルギーの未来を招来するための最も効率的で公正な方途であり、化石燃料業界のロビー活動が前途に立ち塞がるのを許してはなりません。わたしは、『それは達成不可能だ』とおっしゃる皆さんに、この報告をお読みになり、これは達成可能であり、世界の人びとの福利のために達成しなければならないとご理解いただくことをお願いしたいのです」。
このエネルギー転換はさらにまた、無数の雇用を生みだす源になり、石炭、石油、ガス産業の閉鎖で失われる雇用を補って余りあるだろうとグリーンピースはいう。
報告によれば、再生可能エネルギー部門の力強い成長と投資のおかげで、現時点から2030年までの期間中にこの部門の新規雇用数は2000万人近くに達すると報告は記す。太陽電池(PV)産業だけでも、現時点の石炭産業の雇用者数と同じ970万人の雇用を生みだすと研究は見積もっている。風力部門――近年、未曾有の成長を見せている業界――において、雇用者数の増加が継続し、今日の石油およびガス産業の雇用者数の2倍、780万人を超えることになるだろう。
グリーンピース報告の筆頭執筆者、スヴェン・テスケはこういう――「ソーラー・風力産業も成熟し、今では石炭産業に匹敵するコスト競争力を備えています。これらの産業が今後10年以内に、雇用とエネルギー供給の両面で石炭産業を追い越す可能性が大いにあります。化石燃料産業にとって、労働市場の変化に備え、善後策を講じる責任があります。新規化石燃料事業に投資するのは、1ドルごとに高リスク資本になり、不良債権に終わりかねません」。
グリーンピースはパリの国連気候会議がいよいよ近づくいま、近年、科学界と市民社会のリーダーたちが声を高めながら発信しているメッセージに応えて、政界のリーダーたちがついに行動する――それも大胆に行動する――ように駆り立てられるほど、危機は切迫しているという。
ナイドウは、実行可能なことの青写真としての新報告に関連して、「パリの気候問題協定は、今世紀中頃までに石炭、石油、ガスと核エネルギーを段階的に廃絶し、人類の全員の手に届く100%再生可能エネルギー目標を達成する長期展望を示さなければなりません」と述べた。
【クレジット】
Common
Dreams, “'It Can Be Done': New Report Details Path to 100% Renewables by 2050,”
by Jon Queally, staff writer
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