6月11日、1324人の福島原発告訴団は福島地方検察庁に福島第一原発事故の刑事責任を問う告訴状を提出しました。事故から1年以上たったいまも、責任を負うべき東京電力や行政など、いわゆる原子力ムラが勢力温存に専念するのを許され、事故被災者らが泣き寝入りを強要される。この第1次告訴は、事故被災地のわたしたち99%が反撃に打って出る画期的なステップとなるでしょう。
原発事故責任者の刑事裁判を求め、福島地方検察庁へ告訴状の提出に向かう 福島原発告訴団=福島市で2012年6月11日、石井諭撮影【共同通信】 |
東京電力福島第1原発事故で被ばく被害を受けたとして、発生時の福島県民1324人が11日、東電の勝俣恒久会長や原子力安全委員会の学者ら33人について、業務上過失致傷容疑などで福島地検に告訴状を出した。原発事故の責任を問う大規模告訴は初めて。【清水勝】
◇業過致傷容疑などで
市民団体などが東京地検に同様の告発をしたが立件されていない中、被害者である県民が自ら処罰を求めた形だ。避難中に亡くなった入院患者や自殺者を巡っては同致死傷容疑で告発状も出した。地検は内容を精査して捜査するかどうか判断する。
33人は▽勝俣会長や清水正孝社長(発生時)ら東電幹部15人▽原子力安全委員会の班目春樹委員長、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長(同)ら国の機関の責任者ら15人▽県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・県立医大副学長ら専門家3人。
告訴状は、東電幹部らが津波による過酷事故の対策を怠ったと指摘。事故後、国の責任者らは「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)データを公表せず、専門家は「安全」との説明を繰り返して、避難を遅らせ多くの人を被ばくさせたと主張した。東電と東電幹部については放射性物質を排出させた公害犯罪処罰法違反容疑でも訴えた。
東電広報部は取材に対し、班目委員長は記者会見で、いずれも「詳細を知らないのでコメントは控えたい」などと話した。
集団告訴は今年3月結成の「福島原発告訴団」が呼びかけた。今後も告訴人を募る。同県浪江町も、業務上過失致死容疑で国担当者の告発を検討している。
◇告訴団「傷、あまりに深い」
「原発事故の責任をただす」と記された横断幕を先頭に約200人の告訴人らが11日、福島市の福島地検を訪れた。告訴・告発状を担当者に手渡した後、弁護団の河合弘之弁護士が地検前で「刑事責任を問う世論を作る一歩」と声を上げる。続く記者会見や報告集会で参加者は、怒りや悔しさを口にした。
告訴団長の武藤類子さん(58)は会見で「県民が一つになり『黙っていないぞ』と行動することで力を取り戻したい」と話した。
保田行雄弁護士は「家族がバラバラにされ、古里を奪われた罪深さを問う必要がある」と意義を語った。
福島県浪江町で被災し、避難所など9カ所を転々とした告訴人の橘柳子さん(72)は集会で「私は国策によって2度も棄民された」と訴えた。1度目は、中国東北部・旧満州からの引き揚げのこと。敗戦後、生活を立て直そうと苦労していた両親に、今の避難者の姿がダブり、「国に捨てられた」と感じるという。
告訴人は、裁判とは縁のない生活を送ってきた市民たち。集会では「被災者はもっと怒りを表すべきです。事故によって受けた傷は、あまりにも深すぎます」との声も聞かれた。原発事故で県民は、10万2045人が県内に、6万2038人が県外に避難し、3万2589人が仮設住宅の生活を余儀なくされている。【清水勝、深津誠、三村泰揮】
【YouTube】福島の1300人が告訴状提出~東電会長ら33人
OPTVstaff さんが 2012/06/11 に公開
東京電力福島第1原発事故で放射線被ばくの被害を受けたとして福島県内の1324人が11日、東電の勝俣恒久会長ら計33人について、業務上過失致死傷と公害犯罪処罰法の容疑で福島地検に告訴・告発状を提出した。
告訴・告発状によると、東電や国は想定を超える津波が襲う可能性が指摘されていたにもかかわらず、予防措置を怠り今回の原発事故を発生させた責任があると指摘。原子力安全委員会や原子力安全・保安院、原子力委員会も対策を指示しなかったとしている。
33人には勝俣会長や清水正孝前社長ら東電幹部のほか、原子力安全委員会の班目春樹委員長、保安院の寺坂信昭前院長、山下俊一福島医大副学長ら県放射線健康リスク管理アドバイザーの3人が含まれている。
福島原発告訴団の団長、武藤類子さんは、今回の告訴の意味について「責任を問うことは、これからの社会をつくる若い世代に対して責任を果たすこと」であると説明。「様々な事故で分断されたつながりを取り戻すきっけになればと話した。
弁護団の保田行雄弁護士は、福島地検の対応について「感触は非常に良いものがあると思う」と評価。「住民たちがふるさとを奪われ、家族が散り散りバラバラなっている原因はなにか。それは健康被害です。被ばくの問題が、毎日、怯えながら暮らさなければならなくなっているのが、今回の事故の最大の問題、罪深さがある。これを正面から問うもの」とした。また、河合弘之弁護士も、「検察はこの告訴を握りつぶすことはできない。」「日本で一番、大事な問題が原発の問題だ。私たちは今、日本で一番大切な問題に取り組んでいるという誇りと自信をもってこの運動を広げていってもらいたい」と告訴団に向けて呼びかけた。
福島原発告訴団は、2次の告訴も予定しており、次回は、福島県民以外も参加できる見込み。締め切りは9月頃。
福島原発告訴団
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/
告訴声明
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2012/06/blog-post_6667.html
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さて、当日、郡山から駆けつけたわたしの感想を若干…
- 1324人を代表する200名ばかりの大規模な告訴団。なぜかデモなどのさいに先頭にたってしまうことの多いわたしは、集合場所の福島市市民会館から福島地検に向かうさい、偶然にも大きなバナーの端っこを持つことになりました。大げさにいえば歴史的節目となるはずのこの行進の先頭に立ち、とても誇らしい体験でした。
- メディアの注目するなか、大告訴団を迎える地検はかなりピリピリしていたようです。警察機動隊の警備こそ要請していなかったようですが、ガードマンと職員の総力をあげて警戒にあたっていました。入庁を許されたのは代表5人のみ。ためしにトイレ借用を申し入れると、職員ひとりの案内がつき、その彼はご苦労なことに、用足しが終わるまで廊下で待ってくれていました。
- 記者会見と告訴報告集会は熱気に包まれていました。大手メディアと独立系ジャーナリストが対等に扱われる記者会見はとても気持ちいいものです。保田、河合両弁護士の解説などはとても明解でわかりやすいものでした。「理解しやすさ」ということも、事の意義を示す指標になるのかもしれません。
きりがないので、感想などは以上で終わりにしておきますが、わたしの告訴人陳述書を再録しておきます――
2012年5月19日
福島地方検察庁 特捜部直告斑担当者様
告訴人 井上利男
告訴人 住所: 福島県郡山市xxxx xxxx
職業: 翻訳業氏名: 井上利男
生年月日:19xx年xx月xx日
電話: xxx-xxx-xxxx
陳 述 書
わたしこと告訴人は2006年以来、郡山市に居住し、生活、文化、自然などすべての面で環境の良好な、この街がすっかり気に入ったので、この地を終の住み処と思い定め、平穏な生活を築いてきたものである。わたしには、喜多方市山都町に居住する娘があり、月に一度ばかり娘が幼い孫たちをつれて、わが家を訪れ、一泊か二泊ばかり滞在していた。いうまでもなく、わが家に孫たちを招くのは、わたしおよびつれあいにとって、なによりの楽しみだった。
しかるに昨年3月11日、東京電力株式会社が福島第1原子力発電所の事故を引き起こし、環境中に天文学的に膨大な量の放射性物質を環境中に放出せしめ、そのプルームが郡山市にも到来するにおよんで、わたしの生活を取り巻くすべてが一変してしまった――
- 若い娘と幼い孫たちを、わが家に迎えるわけにはいかなくなった。
- 近郊の山歩きや街路の散歩の楽しみを奪われた。
- 鮮魚や新鮮野菜の買い物の楽しみを奪われた。
- 屋外で深呼吸する楽しみを奪われた。
告訴人個人の被害のみを考えても、事故によって奪われものは数限りなくある。
しかるに東京電力株式会社は、社内外から歴史上の地震および津波被害の先例による警告を受けていたにもかかわらず、今回の事故を引き起こしたのであり、その罪状は未必の故意による犯罪であると断ぜざるをえない。
告訴人は東京電力株式会社とその歴代の経営重役たちを告発し、厳重に処罰することを望むものである。
もうひとつ、福島原発告訴団公式サイトから告訴声明を引用します――
「福島原発告訴団」告訴声明
2012年6月11日
今日、私たち1324人の福島県民は、福島地方検察庁に
「福島原発事故の責任を問う」告訴を行ないました。
事故により、日常を奪われ、
人権を踏みにじられた者たちが
力をひとつに合わせ、怒りの声を上げました。
告訴へと一歩踏み出すことはとても勇気のいることでした。
人を罪に問うことは、
私たち自身の生き方を問うことでもありました。
しかし、この意味は深いと思うのです。
・この国に生きるひとりひとりが大切にされず、
だれかの犠牲を強いる社会を問うこと
・事故により分断され、引き裂かれた私たちが
再びつながり、そして輪をひろげること
・傷つき、絶望の中にある被害者が
力と尊厳を取り戻すこと
それが、子どもたち、若い人々への責任を
果たすことだと思うのです。
声を出せない人々や生き物たちと共に在りながら、
世界を変えるのは私たちひとりひとり。
決してバラバラにされず、
つながりあうことを力とし、
怯むことなくこの事故の責任を問い続けていきます。
「福島原発告訴団」告訴人一同
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