2016年11月7日月曜日

スプートニク【ニュース】ロシアと日本、放射線被曝によるDNA損傷の世代間継承を共同研究へ


ロシアと日本、放射線が将来世代のDNAに作用する様相に関して共同研究へ

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ロシアと日本は核の破局的事故の影響が世代から次世代へと恒久的に受け継がれるのを防ぐ手立てとして、継代疾患医療研究の先導国になるために協力することになった。

ロシアと日本は両国ともに、ナガサキ、ヒロシマ、フクシマ、チェルノブイリの各事象による放射線医被曝に関わっていることから、この研究分野に当事国として関心がある。

国立研究開発法人・医薬基盤・健康・栄養研究所に付託される大阪大学の放射線生物学・医療遺伝学講座のプロジェクトリーダー、野村大成名誉教授は、「われわれに責任がある将来の世代との関連で、この研究は極めて重要です」という。

同教授はモスクワで1025日から27日にかけて開催された第15回「小児科学および小児外科における革新技術」会議に出席し、継代疾患医療に関して報告した。

同教授の報告は放射線被曝の影響がDNA変異によって世代間で受け継がれていく様相を解明するものである。DNAが損傷を受けると、将来世代への影響は深刻である。出生時異常、発達障害、免疫系の弱体化、癌発症リスクの上昇など、数多くの身体および精神の障害は、すべて将来世代へと受け継がれていく遺伝子変異の結果である。世代間で受け継がれる放射線被曝の影響について、目下のところ、ヒトを対象にした研究は広くおこなわれていないが、動物実験対象に認められる影響はそれより広く理解されている。

ネズミを対象にした野村名誉教授の実験は、放射線被曝の遺伝的作用が第58世代にまで遺伝子欠陥を引き起こしうることを証明した。問題は、ヒトの放射線被曝に関するデータが日本に著しく欠けていることである。

ロシアには、チェルノブイリ核惨事後に被曝した人びと、出生前に被曝した人びと、受胎前に両親が被曝していた人びとといった3世代分のデータベースが揃っており、これこそ、ロシアがそれを開いて協力できる分野である。かくして、ロシアと日本はいま最新技術を駆使して、動物およびヒトに対する放射線の作用に関する共同研究を実施できることになった。

子ども放射線防護科学・実践センターのラリサ・ナレワ所長はロシア・日本共同研究プロジェクトの重要性をスプートニク日本に語った。「放射線誘発性の遺伝的不安定性現象は、被曝した人びとだけでなく、その子どもたちの健康に対して、なによりも癌リスク上昇をもたらすなど、重大な作用をおよぼすとわたしたちは想定しています。わたしたちはすでに、被曝した人びとの子孫の第2世代における死亡率上昇を認めており、目下、第3世代を対象に研究しています。ロシアには現時点で、被曝し、あるいはある程度まで放射線に被曝した子どもたちが135,000人います」と彼女は述べた。

ナレワ所長は、日本の専門技能を活用することによって、放射線に被曝した人びとの後の世代における健康リスクを減らすことができると願っている。「そして、これが日本の同輩たちとわたしたちの共同研究の目標です」と彼女は語った。

【クレジット】

Sputnik News, “Russia, Japan Team Up to Study How Radiation Affects the Next Generation's DNA,” posted on November 2, 2016 at;

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