2015年6月29日月曜日

グリーンピース「IAEA報告はフクシマ惨事の規模と結果を正しく反映していない」

Greenpeace International





機密扱いのIAEAフクシマ事故報告をグリーンピースが公開

ブログ記事投稿:ジャスティン・マッキーティング Justin McKeating 201561

国際原子力機関の報告は、フクシマ惨事の規模と結果を正しく反映していない。


国際原子力機関の理事会は68日に会合を開き、その機密扱いの福島第一事故報告概要について議論する。報告はそれ自体を「2011311日に勃発した日本の福島第一原子力発電所における事故の原因と結果に関するアセスメント」と表現している。

グリーンピースは報告の1部を入手し、先週のうちにそれを公開した。わたしたちはまた、報告に対する第一次分析を実施したが、その知見は芳しいものではない。

天野之弥IAEA事務局長は、その報告が「事故の原因と結果、ならびに教訓に対する、事実に準拠し、偏りのない、権威ある評価」であるという。

ところが、当方の専門家たちは、その報告が、不正確だったり、不確実だったりする箇所だらけであり、いくつか非常に重要な事柄に言及していないことに気づいた。わたしたちは当方の知見を天野氏に書き送った。

以下に、例をいくつか列挙してみよう――

  • IAEAは、フクシマ惨事勃発直後の日々に、放射線モニタリングが適切に機能していなかったと認めている。

  • このことによる不確実性にもかかわらず、報告は大勢の事故被災者の健康リスクを軽視している。

  • これは、福島の住民が被曝した放射能レベルの見積もりが信用するに足りないことを意味している。

  • 日本の新しい安全規制に関するIAEAの分析は、よく言って皮相的であり、IAEA報告書は日本の核産業が世界最高水準の核安全規制にもとづいて操業している証拠をなんら示していない。

  • 現実として、日本の核規制には重大な不備があり、地震、その他の核施設の安全にかかわる脅威が無視されたり、過小評価されたりしている。

  • 科学研究が地域の動物相に対する測定可能な影響に関する知見を得ているにもかかわらず、報告は動物に対する事故の環境的影響を否定している。

  • 報告は、いまだに事故の原因にまとわりついている不確実性を認めていない。メルトダウンした反応炉の内部にある基幹システムの多くはまだ点検されていない。

以上は、当方の初回知見の一部にすぎない。これからもっと多く見つかるだろう。

You can read our full analysis of the report here. グリーンピース「福島第一原子力発電所事故に関するIAEA報告概要:予備的な分析」日本語訳稿は次の4部構成:「グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告」はじめに1.放射線と健康2.環境への影響3.安全リスク解析の欠陥The five part IAEA report is here: part one, part two, part three, part four, part five.

つまり、わたしたちは、チェルノブイリ核惨事以後に見たのと同じように、フクシマが健康と環境におよぼしている影響を極小化し、核安全規制が効果的になったなど、教訓を強調する言い草を繰り出すIAEAの姿を見ているのである。

要するに、IAEAはフクシマ惨事に暮らしを破壊された人びとや今後の核事故で被災するかもしれない人びとを守るのではなく、核産業を擁護するために動いている。

これは別に驚くべきことではなく、IAEAの中心的な役割は原子力の世界的な拡大路線を推進することである。日本の商業用核反応炉のすべて――総計43基――が停止したままであるという事実がIAEAの任務に直にのしかかる課題なのだ。これが、IAEA報告の行間に読み取らなければならない文脈である。

フクシマの惨事は4年後のいまも進展中であり、何十年も対処しなければならない。大規模な被害を一掃する仕事をできるだけ効率的にやりとげ、今後の事故をできるだけ回避することを期するなら、IAEAはみずからの運営方法を変革できることを実証しなければならず、これは喫緊の課題である。

現状のIAEAは、核産業の利益だけ、また原子力の失敗が課した究極の代償を払わされた人びとを犠牲にする利益追求だけに奉仕している。

グリーンピースは天野氏とIAEAに対して、報告の知見に関する考察を中断するように呼びかけている。日本国民の意見、それに独立科学者たちの見解を考慮する、オープンで透明な段取りを決めなければならない。わたちたちは、当方の深刻な懸念について議論するために、いつでもIAEAの代表のみなさんに会える用意ができている。

ブログ記事投稿:ジャスティン・マッキーティング Justin McKeating

ジャスティン・マッキーティングは2008年から核産業のメルトダウンに関するブログ記事をグリーンピース・インターナショナルのサイトに寄稿。英国ブライトンに在住。
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