メディアが報道しない現実――
イスラム教徒が核発電所で勤務すれば…テロの時代に核エネルギー経済と世界の安全保障は両立しない Nuclear Free by 2045?: Working in Nuclear while Muslim https://t.co/qZbt2XWF1R
— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2015, 11月 27
2045年に核のない世界?
この質問の答はイエスであると読者の皆さんに確信していただこうとする200本以上の記事と評論。1945年7月16日のトリニティ核爆弾実験の100周年記念日の前に、すべての爆弾と反応炉を解体しよう。その時期は早ければ早いほどよいが、人間は100周年が好きなので、カレンダーのこの日付に印を付けておいてほしい。
凡例:(原注)〔ルビ〕[訳注]
デニス・リッチス Dennis Riches
2015年11月24日
核エネルギーの草創期のころから、反核評論家たちは計画的な破壊工作に対する核発電所の脆弱性を警告してきた。最近のできごとは、世界が地球規模で不安定になる時代が間近に迫っており、このような状況では、意図的にしろ、非意図的にしろ、核災害を勃発させる非国家集団に対して防衛できないことを示唆している。
今週、タタール人過激派グループがクリミアに配電するウクライナの送電線を攻撃した。ウクライナ政府がクリミアの領有権をめぐって、ロシアとの紛争を抱えているのは周知のことだが、数百万の民間人の生活を脅かし、さらなるロシアとの緊張を生みだす、そのような戦争犯罪を実行する意図はおそらくもっていない。了見の狭い攻撃者たちは自分たちの攻撃がウクライナの核発電所にもたらす影響に明らかに気づいていなかったが、それでもなお、2か所の核発電所が送電網から遮断され、予備電源を使用しなければならなくなったのである。状況の深刻さについて、ロシア・ツデーの報道記事は、ウクライナの電力会社役員の次のような発言を伝えた――
ウクライナの電力会社、ユクレナーゴのユーリー・カティチ第一副社長によれば、ウクライナのヘルソン地方における明白な破壊行為のため、数か所のウクライナの核発電所が非常用電源喪失を余儀なくされ、非常に危険な状況になりえた[1]。
福島第一の反応炉3基のメルトダウンと4号炉の使用済み燃料の溶融を引き起こしたのが、予備電源の喪失であったことは有名な話である。したがって、ウクライナの施設はメルトダウンの一歩手前の状況にいたっているが、この場合、非常用電源は送電鉄塔が修復されるまで維持できるようである。それにしても、この事件は今後、同じような事態が発生し、予備用発電機の燃料供給が途絶え、主電源の送電線が復旧しない異常な状態に陥れば、さらに状況が悪化するだろう。
フランスの場合、社会不安も一要因である。2015年11月13日のパリにおける攻撃は、集団暴力行為を実行する機会を虎視眈々と狙っているフランス国籍者グループを探索し、粉砕する治安当局の無能ぶりを浮き彫りにした。パリ近郊に潜む彼らを見つけることができなければ、核発電所の作業員のなかから、そういう輩を見つけることができると、果たして思えるのだろうか? この問題は、2015年11月22日付け Le Journal du Dimanche*記事(下記に翻訳)で表沙汰になった。その報道は、フランスの治安当局が核発電所入構を拒否する理由として信仰する宗教を挙げていたと伝えていた。
*[訳注]フランスの週刊紙『日曜新聞』。発行部数:2010年12月時点で257,280部。
核発電所が悪意の攻撃から安全に守られていることは、だれしも望むところだが、あらゆるリスクを排除しようとしても、深刻な問題が潜んでいる。治安当局は犯意や共謀を公的に告発することなく、排除の根拠に所属先を挙げているのだ。けだし、事業が非常に危険なものであるため、破壊行為を避けるためという儚〔はかな〕い願望を根拠にして、社会構成員の大きな部分がその事業で働く権利を否定されなければならないとすれば、こんな事業はいったい存在すべきなのかと問うべきである。水を沸かしたり、水を沸かして発電したりするための、もっと安全な方法はあるのだろうか?
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核発電はイスラム過激派潜入を免れない
フランス語原文――
日曜新聞 Le Journal du Dimanche
マシュー・ピチュベルティ Matthieu Pechberty
2015年11月22日
過激化はEDF(フランス電力庁)の操業する核発電所に影響をおよぼしている。当局は今年初めからすでに数十人の従業員の入構を拒否している。
国家当局は(2015年11月13日の)攻撃以来、EDF施設におけるイスラム過激派の台頭に直面し、警戒態勢に入っている。核セキュリティ防衛に関する高等委員、クリストフ・クアンタンは核安全保障の透明性と情報に関する高等委員会(HCTISN)の会合のさい、詳しいことは述べなかったが、とりわけイスラム過激派と関係しているという理由により、従業員らが核発電所入構を拒否されていると認めた。CGT(一般労働組合連合:Confédération Général de Travail)のミッシェル・ラリー代表は、「彼の答弁は責任逃れだが、確かに過激化について話していた。安全保障にとって、なにが懸念事項なのか、正確なところはさっぱりわからない」と決めつけた。
クアンタン氏の補佐官、リアク大佐は会議で、当局側の透明性欠如の正当性を強調した。会議に出席していたグリーンピースの代表、ヤニック・ルースレは、「彼は、1名の従業員について、入構拒否の理由はいわないとはっきり言った。これは、彼が頻繁に過激派と接触しているからなのかもしれない」と語った。他にも2名の当局者に連絡したが、応答を得られなかった。
フラマンヴィル従業員1名ずつDGSIの標的に
クリストフ・クアンタンは11月4日、重要な発表をおこなった。クアンタン氏は核施設の情報について語りあう昼食会の席で、「当局は過激化現象対策として1週間あたり1名ずつの人物を解雇している」と推測していると招待された人びとに語ったと参加者のひとりが伝えた。彼は、この査察はフランス人労働者に適用されたが、外国人労働者やEDFの請負契約労働者に適用されることは稀だったと説明した。国家当局機関は毎年、労働者73,000人(そのうち請負契約者は23,000人)に対して100,000回の行政尋問を実施している。
フラマンヴィルでEDF従業員のひとりが自身の物語を話した。10年間勤務してきた化学技師、クレマン・レイノーは2010年にイスラム教に改宗し、2012年に祈祷場所を与えてほしいと施設管理者に要請した。EDFは同じような事例を知らず、調査に長々と手間取ったあと、要請に応諾した。しかし、施設の警備部隊は情報機関の地域支局に警報を伝え、このことが事件にかかわることになった。レイノー氏はそれから1年半後、シェルブールのモスクを管理する協会の書記に就任した。ノルマンディの警察官が、「彼のファイルはDGSI(国土安全保障総局:Direction générale de la sécurité intérieure)によって国家レベル機関に送付されました。事件は重大であると判定されました」と説明した。クレマン・レイノーは12月1日、彼自身の個人的なイスラム教指導業務のために1年間の休職を取った。彼は、「わたしは、彼らが1日に5回の祈祷を実践し、クルアーンを読むための時間を確保するために暮らしを整えるため、お手伝いをしたいのです」と説明した。
2014年8月のこと、EDFの請負業者に雇用されたイスラム教徒の技師がノジャン=シュル=セーヌの核発電所への入構を拒否された。そこでもまた、県当局はこの決定の動機を説明しなかったが、宗教がその核心にあった。ベルギーの当局機関は1年前、シリアで戦闘に参加するために出国した人物が数年間、技師としてドエル核発電所に勤務し、反応炉建屋への入域権限を付与されていたことを突き止めた。その施設はフランス企業のエンジー(旧社名、GDFスエズ)によって運営されている。
* 記事原文のヘッドラインはdérivesという用語を使っており、これはradicals[過激派]よりも温和な意味合いを示しているが、似たような意味で一般的に使われている英単語を見つけるのは難しい。Dériveは、正しい道から外れたり、ふらふらしたり、見当違いだったりする人という意味合いをもつ。宗教の名のもとに暴力を用いる人を叙述するために。たぶんこういう単語を英語でも用いるべきなのだろうが、radical[過激]とかextremist[極端主義者]といった単語がもっと一般的である。
【脚注】
[1] "Ukraine nuclear
power plants ‘dangerously’ without power as towers feeding energy to Crimea
blown up," Russia Today, November 23, 2015, https://www.rt.com/news/323060-ukraine-nuclear-plants-danger/
【クレジット】
Nuclear Free by 2045? “Working in Nuclear while Muslim,” by Dennis Riches
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