2015年11月29日日曜日

VICEニュース【詳報】アヴィ・アシャー=シャピロ「イスラエルが12歳児の投獄を法制化へ」

Israel May Soon Start Jailing Kids As Young As 12

Photo via EPA
イスラエルが12歳児の投獄を法制化へ

20151126

イスラエルのクネスト[国会]は、「民族主義的な動機」による犯罪行為に対して、ほんの12歳の児童の投獄を許容するという、物議をかもす法案を上程した。水曜日[1125日]にイスラエルの国会の予備投票で採択された法案は、子どもの権利を侵害するとして、子どもの権利の擁護を唱える向きの批判の的になっている。

児童防護インターナショナルのブラッド・パーカー氏は、「少年司法の観点からいって、この法律は国際基準を逸脱しています。国際法は、18歳以下の子どもの場合、刑罰にではなく、社会復帰に重点を置くべきであると明確に規定しています」と述べた。

この法案は、右翼与党、リクードに所属するクネセト議員、アナト・ベルコ氏が提出したもので、その狙いは、パレスチナの青少年らがおこなう暴力行為に対抗するイスラエルの措置の強化にあるという。「パレスチナ人たちはイスラエルの法律が本気で対応していないと知りながら、若年者を募っているのです」と、彼女はいった。

これまでの数か月にわたり、西岸地区におけるパレスチナ人住宅の焼き討ち、イスラエル本国における襲撃事件の増加など、暴力の渦巻くなか、数人の子どもたちがイスラエル人を刺したとして告発された。

イスラエル政府のアイレト・シャケド司法長官は新法案の有力な支持者であり、これは「テロ行為に手を染める若者に容赦しない」と告げるシグナルになるといった。

「われわれは、殺人、殺人未遂など、数多くの重大犯罪を目にしており、14歳以下の若年者が故殺を実行しているのです。これを終わらさなければなりません」と、シャケド氏は述べた。

パレスチナの人権擁護活動家たちは、この法律は酷すぎるという。イスラエル国内のアラブ少数民族の権利を擁護するアダラー司法センターのソウサン・ザヘル弁護士は、「この法案は、ほんの12歳の若年者に刑を宣告し、収監することが基本的に可能である、世界に数えるほどしかない国々のひとつにイスラエルを加えることになるでしょう。それだけではなく、このような法案が人種差別にもとづいており、パレスチナ人の若年者に狙いを定める意図があることは、明らかです」と語った。

ザヘル氏はとりわけ、12歳児を投獄すれば、その子どもたちが社会復帰する機会を否定され、思春期前に一生の監獄暮らしを基本的に宣告することになると心配している。「子どもたちは、別のチャンスを与えられ、自己変革する機会を提供されるべきです。これが少年司法の指導原則であるべきです」と、彼女はいった。

現在のイスラエルの法律のもとでは、14歳未満の子どもたちに実刑を宣告することができず、収監に代えて、懲罰の意味合いが薄く、子どもたちの社会復帰を目標に掲げた、特別な拘束施設に収容することになっている。しかしながら、西岸占領地に住んでいる子どもたちは、このような権利を適用されず、すでに刑務所送りが通例になっている。パレスチナのNGO、囚人支援人権協会によれば、すでに少なくとも320名のパレスチナ人の子どもたちが鉄格子の中にいる。イスラエルは10月に、デモ行為に対する弾圧の一環として、またテロ攻撃の容疑をかけて、177名の子どもたちを逮捕した。

ここ数か月にわたり、何人かのパレスチナの若年者がイスラエル人刺傷容疑で逮捕されており、イスラエル国内で厳罰的な姿勢を求める圧力が蓄積している。イスラエルの警察は10月、イスラエル人の少年を刺そうとした13歳のパレスチナ人、アーメド・マナズラーを取り押さえた。この少年に対するイスラエル警察の尋問――少年が泣きわめき、警察官が『黙れ!』と怒鳴りつけている様子――を捉えたビデオが、イスラエル国内とパレスチナ領内に出回った。シャケド司法長官は、新法案をことさらにマナズラーの事件に結びつけ、この少年のような子どもたちは適正に罰せられると保証することが必要であると発言した。

児童防護インターナショナルのパーカー氏は、少年犯罪が増加する様相が示されているとしても、イスラエルが1991年に署名した国際協定である子どもの権利条約にもとづく義務を、イスラエルが免除されるわけではないと反論した。彼は、人権に関する国際的な規範に照らして、合格レベルに届かない一連の法律の制定を強行するために、現在の緊張状態を利用しているとイスラエルを糾弾した。「ここ数か月、暴力が拡大するにつれ、イスラエル政府が遵守すると約束している国際法に違反する政策や措置が目に付きます」と、彼は述べた。

イスラエルは今まで数か月にわたり、投石したとして取り押さえたパレスチナ人に厳罰を課し、イスラエルによる占領に抗議して継続中のデモ行動の渦中で逮捕された子どもの親たちへの年金支給を拒否する動きに出ている。人権派のザヘル弁護士は、これら一連の新たな措置を、「パレスチナ人を選んで、罰するための法の鎖」と名付けた。この見解は、クネセトで法案を阻止しようとしているパレスチナ人議員たちにも共有されている。

「(彼らは)他の若い下手人を投獄しろと求めているわけでなく、パレスチナの若者が石を投げれば、投獄したいと願うのであります。これは、相変わらずパレスチナ国民に敵対する扇動の一環なのです」と、クネセトのパレスチナ人議員、オサマ・サーディ氏は法案審議の場で発言した。

法案を起草したアナト・ベルコ議員はすかさず反論し、テロを抑止するために、拘禁年齢限度の引き下げが必要であるといった。「今日、子どもたちが(テロに)使われており、われわれは、イスラム国グループの子どもたちが人びとを斬首し、年齢11歳のパレスチナ人テロリストたち、子どもたちが学校の入口で勧誘されているのを目撃しております。この法律は、抑止と防止を可能にします。この法律は、ユダヤ人とアラブ人を分け隔てすることなく、イスラエル国民の安全保障の拡大に寄与します」と、彼女は発言した。


【クレジット】

VICE NEWS, “Israel May Soon Start Jailing Kids As Young As 12,” by Avi Asher-Schapiro;

【付録】

قصة أحمد مناصرة..


パレスチナ24FM放送 


2015/11/11 に公開
アーマド・マナズラーの短編物語映像

-       イスラエル占領当局は年間500ないし700名のパレスチナ人児童を法廷に送付している。
-       イスラエル軍は201510月、900名余りの子どもたちを逮捕しており、その大部分はエルサレムでの事件である。
-       拘束された子どもたちは、睡眠の剥奪に加え、暖房、温水、適切な食事のない虐待的な条件下に留置されている。
-       45日足らずのあいだに、18名のパレスチナ人児童が殺害され、数百名がイスラエル占領軍に銃撃された。

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