2017年8月14日月曜日

【#郡山通信】#フクシマ☢惨事のリアリティ 東京オリンピップ大会のファンタジー


国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。


郡山通信

フクシマ核惨事のリアリティ
東京五輪のファンタジー

「無理が通れば、道理が引っ込む」という。六年半近く前、フクシマでパンドラの箱が暴発的に開いたとき、放射能の雲が噴き出しただけでなく、放射能リスクを覆い隠す嘘が大手を振って通用するようになってしまった。

当時の枝野幸男官房長官は、放射線量について「直ちに人体や健康に影響を与える数値ではない」と記者会見で繰り返していたが、「長期的な影響は否定できない」と解する余地を残していただけ、まだましだった。

福島県の内堀雅雄・現知事は事故当時、佐藤雄平県政の副知事として一一日夜から詰めていた原発オフサイトセンターが機能しなくなって、六日に撤退するさい、プルームが流れた飯舘村方面を忌避して、いわき市・郡山市経由で大幅に遠回りして福島市内の県庁に帰任したという。そのころ一般県民はSPEEDI(放射能影響予測システム)データも知らされず、広域的な断水のため、各地の給水所の長い行列に一家総出で並んでいた。

野田佳彦首相は事故後一年にも満たない十二月、「原子炉が冷温停止状態」に達したとして、「発電所の事故そのもの」の収束を宣言した。言うまでもなく、避難地域を再編し、核事故の社会的影響の収束を本格的に推進するためである

民主党政権の自滅のあとを襲った安倍晋三首相は、二年後の二〇一三年九月、ブエノスアイレスIOC総会の壇上で、「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」と世界に向かって広言し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の東京招致をものにした。

以上、過去のビッグニュースを並べてみたが、先月二四日、オリンピックまで丸三年の節目を迎えた現在、状況はどうなっているだろうか。

今年二月のことだが、リオデジャネイロ五輪体操競技の金メダリスト、内村航平氏が復興庁の嘱託「復興応援大使」として福島県庁を訪問し、内堀知事と歓談、「福島に行ったことがない人に行きたいと思ってもらえるよう、魅力を伝えていきたい」とリップサービスを献上した。

その一方、三月末に帰宅困難区域を除いて避難指示が解除されるとともに、福島県による「自主避難者」への住宅提供が打ち切られることになり、抗議団が「帰還を迫るやり方は生きる権利を否定する暴挙だ」として県庁に押しかけたが、内堀知事は会おうともしなかった。そもそも避難指示の解除基準そのものが、一般人の年間被曝限度の二〇倍「年二〇ミリシーベルト」以下の被曝なら安全というファンタジーの産物であり、これがフクシマの現実なのだ。

内堀知事は六月に上京して丸川珠代五輪担当相に面会し、福島県は五輪を風評被害払拭の機会と捉え、GAP(農業生産工程管理)の第三者認証取得を進めていると説明した。丸川大臣は「(福島産食材を)選手村などで積極的に活用していただけるよう国としてしっかり後押しする」と言質を与えた。

ちなみに前知事の佐藤雄平氏もオリンピック組織委員会の森喜朗会長と会談したさい、聖火リレーの国道六号線乗り入れや各国選手団合宿の県内実施を要望している。森会長は、「(各国選手団が福島に)風評被害で来ないということはあってはならない」と応えた。

現時点では、野球・ソフトボール競技の予選が福島県営あづま球場で実施されることが決定している。森氏は、「オリンピックの野球・ソフトボールを福島で行うことにより、震災よりおよそ10年後の復興した姿を世界にみせるよい機会となるだろう」とコメントした。

ところが海外に目を向ければ、たとえば二〇一五年十月付けUPI通信によれば、韓国で日本産葉タバコを検査したところ、検体の六八%から放射性セシウムが検出され、騒ぎになったという。

福島県などの汚染都県からの食品輸入が規制されている国ぐにもいまだ数多い。新国立競技場の突貫工事で過労自殺者を出すようなありさまのいま、国際社会はフクシマ核惨事と二〇二〇年オリンピック大会の東京開催準備の現状をどのように見ているのだろうか。

(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会世話人。ブログ「原子力発電・原爆の子」、ツイッター<@yuima21c>)


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