ニューヨーク・デイリーニュース NEW YORK DAILY NEWS
更新:2017年8月13日2:20
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ヴァージニア州の学生街で8月12日の土曜日、白人至上主義者の集会に抗議して集まった人びとにネオナチの車が突進、32歳の女性を殺し、他にも少なくとも19人を負傷させた。
夕刻になって、乱闘を監視していた州警ヘリコプターが数マイル離れた場所で墜落――当局によれば、乗員2名が死亡――シャーロッツヴィルの流血は、なお一層のこと悲劇的になった。
殺戮〔さつりく〕は、数百人の白人国家主義者らがヴァージニア大学の本拠地に集合――そして暴力沙汰の勃発につながり、知事が非常事態を宣言――した混乱の24時間のうちに発生した。
敵対意識が燃えあがり、抗議者たちが衝突、シルバーのダッジ・チャレンジャーがカウンター抗議グループに突っこみ、人びとを路面になぎ倒し、空中に跳ね上げた瞬間、恐怖は最高潮に達した。
(ヴァージニア州の白人至上主義者集会で車が抗議者グループに突っこみ、死亡者1名)
(アルベマーロ郡シャーロッツヴィル地方拘置所)
クリステン・リーは、「わたしは群衆の外れに立っていて、人体が跳ね上げられるのを見ました。車がわれわれを突き抜けました…人体が空中を飛んでいました」と語った。
当局者らによれば、フィールズは第二級殺人、故意傷害3件、命に関わる事故を起こしながら停車しなかった容疑で起訴された。
フィールズは当日の先刻、国家主義スローガン「血と土」を唱え、米国は「白人アメリカ国民」のためにあると信じる憎悪扇動集団「ヴァンガード(先陣)アメリカ」に同調することを示す盾を抱えている姿を撮影されていた。
(ビデオ:トーチを掲げてヴァージニア大学構内を行進する白人国家主義者グループ)
フィールズの母親は、彼が先週、自分はヴァージニアの「オルタナ右翼」集会に出かけるといったが、それ以上、自分は問いたださなかったと述べた。
「気をつけてね、と彼にいいました。集会をするのなら、彼が平和的な集会にしなきゃと念を押したのです」と、彼女は言い添えた。
ジェフ・セッションズ司法長官は12日遅く、司法省は事件に対して連邦公民権調査を開始すると発表した。
(GO NAKAMURA FOR NEW YORK DAILY NEWS)
ただ一人の犠牲者は、近隣のグリーン郡から来た弁護士補助職、ヒーザー・ヘイアーと特定され、彼女のフェースブックに、“If
you’re not outraged, you’re not paying attention”(あなたが怒り心頭でないなら、あなたは無関心ということ)と最後のメッセージが書き残されていた。
当局者らによれば、衝突で負傷した19人のうち、5名は重体、4名は重傷、6名は軽傷、4名は健康状態良好という。
他にも15人ほどが、路上の暴力事件の前後に勃発した乱闘で負傷したと当局者らは述べた。
ヴァージニアのテリー・マッコーリー知事は、鋭いことば遣いの演説で、「本日、シャーロッツヴィルにやってきた白人至上主義者らとナチスたち」に向けて直に語りかけた。
(ヴァージニアの弁護士補助職、白人至上主義者集会に対して抗議中に殺害)
(RYAN M. KELLY/THE DAILY PROGRESS VIA AP)
マッコーリフは、「われわれのメッセージは簡単明白だ。とっと帰れ。君たちはこの偉大なコモンウエルス(州土)で不要だ。恥を知れ。君たちは愛国者を装っているが、その実、愛国者とはほど遠い」といった。
トーチを掲げた白人至上主義者らが11日(金)夜、シャーロッツヴィル中心街に近い大学構内を行進してはじまった「右翼団結」ウィークエンドの幕開け当初から、この南部の都市の神経は張り詰めていた。
フェースブック投稿によれば、この物議をかもすイベントは、「南部人と白人がみずからの利害のために組織化する権利を確認する」ために手配された。
(シャーロッツヴィル近郊のヘリコプター墜落事故でヴァージニア州警察官2名が死亡)
(GO NAKAMURA/NEW YORK DAILY NEWS)
白人国家主義者、ネオ南部連合主義者、オルタナ右翼活動家らが、「白人の暮らしが大事」、「われわれの代わりはいない」と唱える声が聞こえた。ナチ集会の有名な合言葉、「血と土」のフレーズを唱える者も少数ながらいた。
デモ行動主導者のなかに、世話人のジェイソン・ケスラー、オルタナ右翼指導者のリチャード・スペンサー、元クー・クラックス・クラン(KKK)最高指導者のデイヴィッド・デュークがいて、後者は、集会規模の大きさが自分とその人種主義者仲間がトランプ政権のもとで意気軒昂である様相を表していると豪語した。
デュークは、「われわれはドナルド・トランプの約束を実現するのだ。ドナルド・トランプはわが国を取り戻すといったので、だからこそ、われわれは彼に投票した」といった。
金曜日夕刻の行進はクー・クラックス・クランの底流基調が明白に現れ、抗議者らと反対派が共に唐辛子スプレーを吹きかけられたと主張するにおよんで、やがて警察によって解散に追いこまれた。
(イヴァンカ・トランプ、シャーロッツヴィルのできごととパパとの関わりを否定)
土曜日には緊張が破局点に達し、数百人が喧嘩しはじめ、互いに水ボトルを投げつけあった。
迷彩戦闘服を着用した男たちは、その多くがライフル銃、盾、南部連合旗を携帯し、密集隊形歩調で登場した。
群衆の多くはナチの制服を着用したり、そのシンボルを帯びたりしてした。少数ながら、アドルフ・ヒトラーの引用句をプリントしたシャツをこれ見よがしに着用している者もいた。彼らは街路を行進するとき、「一民族、一国家、移民断絶」と唱えていた。
デモ行進参加者らは、彼らの集会開催地点、撤去が計画されているロバート・E・リー南部連合軍司令官の肖像に到着する前に、何度かカウンター抗議者らと対峙する羽目になった。
(スカラムーチ、トランプはヴァージニアのネオナチスにもって手厳しくあたるべきだったと発言)
(FACEBOOK)
マッコーリフは、暴力鎮圧措置を実施可能にする緊急事態宣言を発布したと述べた。だが、暴動鎮圧装備で固めた地元と州の警察官らは、武装抗議団とその反対派の勢力増大に対する準備ができていなかったようだ。
その後、混乱のさなか、市街中心部のショッピング・モールの近くで開催中の人種主義者集会に対抗して行進していた反ファッシストと“Black
Lives Matter”(黒人の命が大事)運動参加者らの群衆に、車が突進した。
プラカードを掲げ、スローガンを唱えながら行進していた参加者らにダッジが突進し、完全に不意打ちをくらった様子を、目撃者らは容赦なき暴力と叙述した。
(著述家、ショウン・キング「シャーロッツヴィルは、2017年における人種主義蔓延の醜い象徴」)
「エンジン回転速度が急上昇するのが聞こえ、破片が空中を飛ぶのを見ました。車が加速したとき、微風を感じました」と、突進攻撃を受けたグループに近い歩道に立っていたシャーロッツヴィル女性がいい、匿名を要請して、次のように話してくれた――
「みなさんは叫び、みなさんは泣いていました。6人ばかり倒れているのを数えました。
「脚や足の怪我をたくさん見ました。(負傷の一症例は)複雑骨折のように見受けました。彼女の脚から脂肪がはみ出していたのです。少なくとも二人は意識不明でした。完全にアウト。おしまいです」
車が別の車両の後部にぶつかったとき、衝撃で数人の人たちが足元から薙ぎ倒された。あちこちに立っていた他の人たちは、金切り声をあげ、身の安全を図って、てんでばらばらな方向に走った。
目撃者のダン・ミラーは、車が20人ばかりの人たちと車両2台に突っこんだとき、時速40マイル(65 km)程度は出ていたと述べた。
(レッド・ウィングス*が白人至上主義者グループ非難を余儀なくされたわけ)
*[訳注]全米ホッケー・リーグ(NHL)所属、デトロイトのアイスホッケー・チーム
(GO NAKAMURA/NEW YORK DAILY NEWS)
ビデオ映像が次に起こった事態を捉えていた。運転者が殺戮現場からの逃走を図るさい、車がバックでスピードを上げて数街区を突っ走り、タイヤが甲高い悲鳴をあげ、フロント・バンパーが路面を引きずられていた。
負傷者のひとり、シャーロッツヴィルのブライアン・ヘンダーソン(40歳)は救急処置室を出るとき、びっこを引き、腕を吊っていた。「わたしは切り抜けました。うまくいかなたかった人たちに済まないと思います」と、彼はいった。
不穏な雰囲気の集会のあいだ、警察はフィールズに加えて、他に州外からの2名を含めて3名を拘束した。
テネシー州チャタヌーガのトロイ・ダニガン(21歳)は治安紊乱〔びんらん〕行為の罪を問われ、フロリダ州ゲインズヴィルのジェイムズ・オブライエン(44歳)は拳銃を隠したまま携帯していた罪で逮捕され、起訴された。ヴァージニア州ルイーザのジェイコブ・スミス(21歳)は暴行・殴打容疑で起訴された。以上3名がカウンター抗議グループと白人至上主義者グループのどちらに与していたのか、直ちには明白でなかった。
(メラニア・トランプ、シャーロッツヴィルについて大統領より先に発言)
ヘリコプター墜落事故の詳細はほとんど公表されていないものの、当局者らは死亡者らをジェイ・カレン中尉およびバーク・MM・ベイツ州警パイロットと特定した。
ヴァージニア州警察長官、W・スティーヴン・フラハティ大佐は、「わたしどもの州警察および法執行機関全般は、このすでに大変だった一日の、この悲劇的な結末を嘆いております」と述べた。
(GO NAKAMURA/FOR NEW YORK DAILY NEWS)
シャーロッツヴィルのマイク・サイナー市長は、白人国家主義者らが自分の町に来たことに嫌悪感を催すと発言し――そして、人種的偏見を煽りたてているとトランプを非難したうえで、次のようにいった――
「この件に関して、わたしは発言を控えるつもりはない。目下、ホワイトハウスの正しく玄関口にいるアメリカ人や、大統領を取り巻く連中について、さまざまに見聞することのせいだとわたしは明言する」
(ティキ*トーチを振りかざす白人国家主義者ら、Twitterで炎上)
*[訳注]tiki=ポリネシア文化で人類を創造した神。
名誉毀損防止同盟*の過激思想研究センターを運営するオレン・シーガルは、集会には、ネオナチ団体、スキンヘッド人種主義グループ、クー・クラックス・クラン諸派など、複数の白人至上主義者グループの構成員が参画していたと述べた。
*[訳注]Anti-Defamation
League=米国最大のユダヤ人団体。反ユダヤ主義と合法的に対決することを目的としている。
イマンシペイション公園*でイベントの挙行が計画され、市の当局者らが開催地を変更させようとしたが、これに対して、右翼ブロガーで集会世話人であるケスラーが提訴し、連邦地方裁判所のグレン・コンラッドがゴーサインを与えた。
*[訳注]emancipationとは、(隷属、制約、迷妄、圧迫などからの)解放。奴隷制度維持を主張したリー将軍のブロンズ像を撤去する計画の策定に伴って、「リー公園」から改称。
当局者らが安全上の配慮から集会開催地をより大きな会場に移すように命じたが、ケスラーはこれを言論の自由に対する権利侵害だとしてシャーロッツヴィル市を訴えた。彼は、リー像の撤去に応えて行進を企画した。
土曜日に暴力が拡大すると、政治的立場を超えた政界全体から政治家や指導者たちが懸念を表明した。
ポール・ライアン下院議長は、このようにtweetした――
「シャーロッツヴィルの演じものを囃したてるような見解は不快だ。この種の下劣な排他主義に対抗してアメリカ人を団結させるのに役立つ見識だけにしようではないか」
ファーストレディ、メラニア・トランプは彼女自身の見解を表明した。
彼女は、こうtweetした――
「わたしたちの国は言論の自由を奨励していますが、わたしたちのハートのうちで憎悪ぬきの交流を心がけようではありませんか。暴力から生まれるのは、碌〔ろく〕なものではありません。#Charlottesville」*
*[訳注]ハッシュタグのリンクは訳者による。蛇足ながら、上記tweet
2件を末尾の【付録】にエンベッド(埋め込み)しておく。
今回の衝突は、今年初め、市がリーの肖像の撤去を票決して以来、長らくシャーロッツヴィルを揺り動かしてきた紛争の連発の最近のものである。
5月には、白人至上主義者、スペンサー率いるグループが肖像の周辺でトーチを掲げて集会した。ノースカロライナを本拠にするKKK集団が先月、数百人のカウンター抗議グループと衝突した。
ケスラーは今週になって、土曜日の集会の目的は、部分的には南部連合支持者らのシンボル群の撤去に関わるものだったが、言論の自由および「白人主導」にもやはり関わっていたと語り、こう述べた――
「これは西洋世界の反白人風潮に関わるものであり、他の集団のように、白人が自己弁護権を享受する必要性に関わるものなのだ」
【クレジット】
New York Daily News, “Carnage in Charlottesville leaves 3 dead, 34
injured after white nationalist rally sparked violence, two crashes,” by Rich
Griset, Richard Foster, Denis Slattery and Rich Schapiro, updated on Sunday,
August 13, 2017, 2:20 AM at;
【付録】
The views fueling the spectacle in Charlottesville are repugnant. Let it only serve to unite Americans against this kind of vile bigotry.— Paul Ryan (@SpeakerRyan) 2017年8月12日
Our country encourages freedom of speech, but let's communicate w/o hate in our hearts. No good comes from violence. #Charlottesville— Melania Trump (@FLOTUS) 2017年8月12日
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2017年8月21日月曜日
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