2012年4月29日日曜日

放射線値~公的測定と私的測定のとてつもないギャップ

【更新】
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今日(4月28日)、実に久しぶりの快晴、しかも車のクーラーをかけるほどの高温…窓を開けて走るほうが気持ちよいのでしょうが、そうする気になれない理由は皆さん先刻ご承知でしょう。
予約していた開沼博さんの『フクシマ論~原子力ムラはなぜ生まれたのか』の貸し出し準備ができたということで郡山市中央図書館にいきました。
カウンターで本を受け取って、正面玄関から出ると驚きました。ガラス自動ドアすぐ横の壁際、ヒサシが張り出した飲料自動販売機の奥、表通り(文化通り)の歩道からずいぶん奥まった、並木や植え込みからほど遠い、しゃれた舗装の車寄せのその奥に放射線モニタリング・ポストが設置されているのです。


そのデジタル・ディスプレイの数値は(写真では読み取りにくいでが)0.273μSv/hを示していました。

県の郡山合同庁舎、福島地方裁判所郡山支部、NHK郡山支局、公会堂、中央公民館、市民文化センター、福島中央テレビなどが散在するこの一帯は高線量ゾーンとして知られているのに、この数値です。庇の下の壁際で、しかも広大な舗装の上、洗浄機除染も容易でしょうし、屋内線量とさほど変わらないのも無理ありません。
そういえば、JR郡山駅西口のモニタリング・ポストも、郡山一のノッポビル、ビッグアイ一階壁の凹みの奥に設置されています。
たまたま放射線測定器 RADEX1503 を持参していましたので、周辺の線量を測定してみることにしました。
まず、Google Map の航空写真で郡山市中央図書館の位置を示しておきましょう。

左下のA=図書館 右上にJR郡山駅
次いで図書館周辺に絞りこんでみましょう。◯囲み数字は測定箇所を示します。



① 図書館玄関脇モニタリング・ポスト 0.273μSv/h 

② 玄関前、文化通り歩道       0.76μSv/h
奥の自動販売機に隠れるようにしてモニタリング・ポスト。自動販売機は高性能ガンマー線バリアになるとお役人や設置業者もご存知のはず。ソーラーパネルも日陰のなか。


すこし西に移動してみます。 
③ 図書館前バス停(文化通り)   0.86μSv/h


④ 図書館駐車場西の歩道      1.11μSv/h


暑さを感じるほどのこの日、桜はすでに花の盛りをすぎ、夏の装いに移ろうとしていました。奥の時計台は、東洋のウイーンを名のる音楽都市、郡山市の誇り、国指定有形文化財の公会堂です。



図書館周辺散歩の最後に、文部科学省「放射線モニタリング情報」サイトを覗いてみましょう…


なんと!測定地点をしめす●印の位置がずれていますね。
恥ずかしくないのですか、文科省のお役人さん!
東側の壁のそばには、高線量で名高い麓山公園緑地がありますよ。

【付録】
次の記事はずいぶん話題になったので、覚えておられるかたは多いでしょう。

Gendai.Net

【政治・経済】
2011129日 掲載



設置業者が怒りの告発
「文科省が放射線測定器の数値“改ざん”を求めてきた」――。福島の小学校に放射線測定器の設置を進めてきた業者が怒りの告発だ。この業者は、測定器設置の事業を落札したアルファ通信」(東京)。11月中旬、測定器の「欠陥」や「納期遅延」を理由に文科省から契約を解除されたのだが、豊田勝則社長(66)は「解除された真相は全く違う」と反論するのだ。
文科省は現在、福島県内の学校、公園などの放射線量を測り、結果をホームページで公開する事業を進めている。測定器は2700台の設置を予定し、このうち600台を落札したのが「アルファ通信」だった。豊田社長がこう言う。
「文科省は、契約を解除したのは『測定数値が4割低いなど誤差が大きい』『技術仕様に沿っていない』と説明していますが、とんでもない。納品したのは米軍でも使われている測定器です。性能に問題はありません。それに文科省も入札時の技術審査で認めたからこそ、契約したはずです」
確かにその通りだ。「アルファ通信」は10月上旬、県など行政関係者が見守る中で「福島第一小学校」への公開設置も行っている。測定器が「欠陥」なら、文科省はもっと早く指摘できた。
「納期遅延」も原因は文科省にあるという。
「600台中、130台の納品が遅れたのは事実です。しかし、それは文科省がムリな仕様変更を迫ったからです。測定器は測った放射線量の数値をそのまま表示するわけではなく、機器に内蔵されたソフトで計算して表示します。文科省はそのソフトに『補正』を求めてきた。米国製の測定器は、他の測定器と比べて数値が高く表示される。これを嫌がったのでしょう。文科省は表示される数値を2割程度、低くするように言ってきました。2割も補正するなんて、数値改ざんです。案の定、測定器メーカーに相談すると、『世界仕様なのになぜ、日本基準にする必要があるのか』と断られました。そうこうしている間に納品が遅れたのです」(豊田社長)
これが本当なら驚きだ。文科省に事実確認すると、こう答えた。
「第三者機関の放射線計測協会で検査したところ、誤差が大きかった。(ソフトに)数値の補正を求めたかどうかはともかく、仕様書にのっとっていないと判断して解除しました」(原子力安全課)
放射線測定器の性能をめぐるバトルで設置が大幅に遅れるのは確実。福島県民もタマったもんじゃないだろう。


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2 件のコメント:

  1. 尚子です。
    こんなニュースがありましたよね
    “文科省が「放射線量低く見せろ」 要求に応じず解約になったオンライン線量計”
    http://www.j-cast.com/tv/2011/11/24114166.html?p=4
    この計測器のニックネームが「オバQ」だと最近知って、妙に納得しています。

    モニタリングポストの肩を持つわけではありませんが、私の職場のものは割と数値が高い場所にあり、他の機種との誤差はあまりありませんでした。
    線量計にはそれぞれ特徴があって、出る数値がみんなバラバラなのが気になります。
    特に、β線も拾うものとγ線だけのものではすごく違ってきます。
    期待のガイガーHUKUSHIMAはちょっと高めに出る感じですが、取説を読むと「機械本体のバックグラウンドが0.04μSv/hある。低線量の場合は差し引くこと」とちゃんと書いてありました。

    あちこちでみんなが測定値を公表しているのですが、機種の違いがわからないので混乱を招くこともあるように感じています。

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