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「折れた矢」~核兵器事故
Broken
Arrows: Nuclear Weapons Accidents
http://www.atomicarchive.com/Almanac/Brokenarrows_static.shtml
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1950年からこのかた、32件の核兵器事故が発生しており、これを「ブロークン・アロウ("Broken Arrows" 折れた矢)」と称する。ブロークン・アロウは、核兵器に関連する想定外の事象で、核兵器の偶発的な発射、炎上、爆発、盗難、喪失を招くものと定義される。現時点までに、6発の核兵器が行方不明になっており、見つかっていない。
1950年代
1950年11月10日
カナダ、ケベック州
B50戦略爆撃機が、モントリオールの北東に約480キロ、リヴィエール・デュ・ルー近くのセントローレンス川にマーク4核爆弾を落とした。核兵器に装填された高性能爆薬が破裂した。基幹部材であるプルトニウム核心は装填されていなかったが、爆発によって45キログラム近くのウラニウムが撒き散らされた。その後、爆撃機はメイン州の米空軍基地に無事着陸した。
カナダ、ケベック州
B50戦略爆撃機が、モントリオールの北東に約480キロ、リヴィエール・デュ・ルー近くのセントローレンス川にマーク4核爆弾を落とした。核兵器に装填された高性能爆薬が破裂した。基幹部材であるプルトニウム核心は装填されていなかったが、爆発によって45キログラム近くのウラニウムが撒き散らされた。その後、爆撃機はメイン州の米空軍基地に無事着陸した。
1956年3月10日
正確な位置は不詳
フロリダ州タンパ近郊のマックディル米空軍基地から海外の基地へと無着陸で2器の核カプセルを空輸していたB47戦略爆撃機が行方不明と報告された。同機の2度目の給油のために、地中海上空で待機していた給油機に同機からの連絡はなかった。その後、同機の痕跡は見つかっていない。
正確な位置は不詳
フロリダ州タンパ近郊のマックディル米空軍基地から海外の基地へと無着陸で2器の核カプセルを空輸していたB47戦略爆撃機が行方不明と報告された。同機の2度目の給油のために、地中海上空で待機していた給油機に同機からの連絡はなかった。その後、同機の痕跡は見つかっていない。
1956年7月27日
英国
B47戦略爆撃機が訓練飛行中、イングランド、サフォークの レイクンヒース空軍基地の核兵器格納施設に衝突した。核兵器格納施設は「イグルー」と称され、マーク6核爆弾を3発収納していた。爆弾廃棄担当官らによる予備調査報告は、1発のマーク6核爆弾の露出した起爆装置が裁断されており、爆発しなかったのは奇跡であると記した。B47搭乗員らは死亡した。
英国
B47戦略爆撃機が訓練飛行中、イングランド、サフォークの レイクンヒース空軍基地の核兵器格納施設に衝突した。核兵器格納施設は「イグルー」と称され、マーク6核爆弾を3発収納していた。爆弾廃棄担当官らによる予備調査報告は、1発のマーク6核爆弾の露出した起爆装置が裁断されており、爆発しなかったのは奇跡であると記した。B47搭乗員らは死亡した。
1958年2月5日
米国ジョージア州沖合
B47戦略爆撃機が模擬戦闘任務中、ジョージア州サヴァンナでF86戦闘機に衝突した。核兵器を搭載したまま、ハンター空軍基地に着陸を試みたあと。その核兵器が海に落下した。その後、爆撃機は無事に着陸した。核カプセルは爆撃機に搭載されていなかったので、核爆発はありえなかった。その後の捜索で、核兵器は見つかっていない。
米国ジョージア州沖合
B47戦略爆撃機が模擬戦闘任務中、ジョージア州サヴァンナでF86戦闘機に衝突した。核兵器を搭載したまま、ハンター空軍基地に着陸を試みたあと。その核兵器が海に落下した。その後、爆撃機は無事に着陸した。核カプセルは爆撃機に搭載されていなかったので、核爆発はありえなかった。その後の捜索で、核兵器は見つかっていない。
1958年2月28日
英国
イングランド、グレナム・コモンの米空軍基地に所属し、核兵器を搭載と伝えられるB47戦略爆撃機が火災を起こし、全焼した。1960年になって、原子兵器調査協会(AWRE)の科学者グループが基地周辺で高レベル放射能汚染の徴候を検出した。米国政府は事故に核弾頭が関与しているとは確認していない。
英国
イングランド、グレナム・コモンの米空軍基地に所属し、核兵器を搭載と伝えられるB47戦略爆撃機が火災を起こし、全焼した。1960年になって、原子兵器調査協会(AWRE)の科学者グループが基地周辺で高レベル放射能汚染の徴候を検出した。米国政府は事故に核弾頭が関与しているとは確認していない。
1960年代
1961年1月24日
米国ノースキャロライナ州
B52戦略爆撃機が空中待機中、右翼に構造的な不具合が生じ、その結果、核兵器2発を落としてしまった。1発はほとんど損傷もなく無事に着地した。2発目は自由落下し、ノースキャロライナ州ゴールヅボロ近くでばらばらになった。この核兵器のウラニウムの一部は回収できなかった。地域内で放射能汚染は検出されなかった。
米国ノースキャロライナ州
B52戦略爆撃機が空中待機中、右翼に構造的な不具合が生じ、その結果、核兵器2発を落としてしまった。1発はほとんど損傷もなく無事に着地した。2発目は自由落下し、ノースキャロライナ州ゴールヅボロ近くでばらばらになった。この核兵器のウラニウムの一部は回収できなかった。地域内で放射能汚染は検出されなかった。
1961年7月4日
北海
K16「ホテル」級のソ連軍原子力推進弾道ミサイル潜水艦がノルウェー沖合で、冷却システムの故障をきたし。乗組員、ミサイル、艦の一部が汚染した。艦載原子炉2基のひとつの温度が800℃に跳ね上がり、核燃料棒メルトダウンの危機が迫った。数人の死亡が報告された。
北海
K16「ホテル」級のソ連軍原子力推進弾道ミサイル潜水艦がノルウェー沖合で、冷却システムの故障をきたし。乗組員、ミサイル、艦の一部が汚染した。艦載原子炉2基のひとつの温度が800℃に跳ね上がり、核燃料棒メルトダウンの危機が迫った。数人の死亡が報告された。
1965年12月5日
太平洋
A4Eスカイホーク攻撃機がB43核兵器1発を搭載したまま、米空母タイコンデロガの甲板から転落した。パイロット、機体、核兵器は見つかっていない。
太平洋
A4Eスカイホーク攻撃機がB43核兵器1発を搭載したまま、米空母タイコンデロガの甲板から転落した。パイロット、機体、核兵器は見つかっていない。
1960年代中頃(日付未確定)
カラ海
ソ連の原子力推進砕氷船レーニンがカラ海に原子炉の投棄を余儀なくされた。いくつかの報告によれば、レーニンは原子炉メルトダウンに遭遇していたという。
カラ海
ソ連の原子力推進砕氷船レーニンがカラ海に原子炉の投棄を余儀なくされた。いくつかの報告によれば、レーニンは原子炉メルトダウンに遭遇していたという。
1966年1月17日
スペイン、パロマレス
核兵器4発を空輸中のB52戦略爆撃機が、空中給油中にKC135給油・輸送機と衝突し、スペイン、パロマレス近郊に墜落した。広範囲の捜索と回収作業の結果、核兵器1発は無事に地上で、もう1発は海中から回収された。残りの核兵器2発は地表に激突し、高性能爆薬が爆発した結果、放射性物質が放出された。1400トンを超える土砂が認可済みの貯蔵所に送りこまれた。
スペイン、パロマレス
核兵器4発を空輸中のB52戦略爆撃機が、空中給油中にKC135給油・輸送機と衝突し、スペイン、パロマレス近郊に墜落した。広範囲の捜索と回収作業の結果、核兵器1発は無事に地上で、もう1発は海中から回収された。残りの核兵器2発は地表に激突し、高性能爆薬が爆発した結果、放射性物質が放出された。1400トンを超える土砂が認可済みの貯蔵所に送りこまれた。
1968年4月11日
太平洋
ソ連のディーゼル推進「ゴルフ」級弾道ミサイル潜水艦が、ハワイ諸島オアフ島から北西に約1200キロの海域で沈没した。報告によれば、潜水艦は核弾頭・弾道ミサイル3発と核魚雷数発を搭載していた。潜水艦の一部は、CIA特製で建造された深海サルベージ船「グローマー・エクスプローラ」を使って引き上げられたと報告されている。
太平洋
ソ連のディーゼル推進「ゴルフ」級弾道ミサイル潜水艦が、ハワイ諸島オアフ島から北西に約1200キロの海域で沈没した。報告によれば、潜水艦は核弾頭・弾道ミサイル3発と核魚雷数発を搭載していた。潜水艦の一部は、CIA特製で建造された深海サルベージ船「グローマー・エクスプローラ」を使って引き上げられたと報告されている。
1969年11月
白海
米海軍原子力推進潜水艦ガトーが、1969年11月14日または15日、白海の入口でソ連潜水艦と衝突したと伝えられている。
白海
米海軍原子力推進潜水艦ガトーが、1969年11月14日または15日、白海の入口でソ連潜水艦と衝突したと伝えられている。
1970年代
1970年4月12日
大西洋
ソ連「ノヴェンバー」級原子力推進攻撃潜水艦が、スペインから北西に約480キロの太平洋で核推進機関の明白な問題に見舞われた。ソ連ブロックの商船による曳航を試みたが、明らかに潜水艦は沈没し、52名の死者を出した。
大西洋
ソ連「ノヴェンバー」級原子力推進攻撃潜水艦が、スペインから北西に約480キロの太平洋で核推進機関の明白な問題に見舞われた。ソ連ブロックの商船による曳航を試みたが、明らかに潜水艦は沈没し、52名の死者を出した。
1975年11月22日
イタリア、シシリー島沖合
米海軍航空母艦ジョン・F・ケネディと米巡洋艦ベルクナップが演習中、夜間の荒れた海で衝突した。この衝突には「核兵器事故の恐れ」があると明言されたが、消火・救助作戦のあいだ、その結果としての放射能汚染は検出されなかった。
イタリア、シシリー島沖合
米海軍航空母艦ジョン・F・ケネディと米巡洋艦ベルクナップが演習中、夜間の荒れた海で衝突した。この衝突には「核兵器事故の恐れ」があると明言されたが、消火・救助作戦のあいだ、その結果としての放射能汚染は検出されなかった。
1980年代
1986年10月3日
大西洋
ソ連「ヤンキーⅠ」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦が、バミューダ諸島から東に約770キロの海域でミサイル格納管1基の爆発と火災に見舞われた。潜水艦は曳航中の10月6日、水深が約5500メートルの海中に沈没した。潜水艦には原子炉2基と推定34発の核兵器を搭載していた。
大西洋
ソ連「ヤンキーⅠ」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦が、バミューダ諸島から東に約770キロの海域でミサイル格納管1基の爆発と火災に見舞われた。潜水艦は曳航中の10月6日、水深が約5500メートルの海中に沈没した。潜水艦には原子炉2基と推定34発の核兵器を搭載していた。
1989年4月7日
大西洋
ノルウェー沿岸から北に約480キロの海域で、ソ連の原子力推進攻撃潜水艦が火災を起こし、沈没した。同艦の原子炉、核兵器魚雷2発、乗組員69名のうちの42名が失われた。
大西洋
ノルウェー沿岸から北に約480キロの海域で、ソ連の原子力推進攻撃潜水艦が火災を起こし、沈没した。同艦の原子炉、核兵器魚雷2発、乗組員69名のうちの42名が失われた。
1985年8月10日
ロシア、ウラジオストック近海
「エコー」級のソ連原子力推進潜水艦が、ウラジオストックから約56キロのチャヅマ湾修理施設に停泊中、原子炉爆発を起こした。爆発で発した放射性プルームがウラジオストック方面に流れたが市街に達しなかった。爆発で士官らが死亡した。
ロシア、ウラジオストック近海
「エコー」級のソ連原子力推進潜水艦が、ウラジオストックから約56キロのチャヅマ湾修理施設に停泊中、原子炉爆発を起こした。爆発で発した放射性プルームがウラジオストック方面に流れたが市街に達しなかった。爆発で士官らが死亡した。
1990年代
1991年9月27日
白海
「タイフーン」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦が発射試験中、ミサイル発射の誤作動が起こった。
白海
「タイフーン」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦が発射試験中、ミサイル発射の誤作動が起こった。
1993年3月20日
バレンツ海
米海軍原子力推進潜水艦グレイリングがロシアの「デルタIII」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦と衝突した。両艦ともに損傷軽微と伝えられている。
バレンツ海
米海軍原子力推進潜水艦グレイリングがロシアの「デルタIII」級原子力推進弾道ミサイル潜水艦と衝突した。両艦ともに損傷軽微と伝えられている。
1992年2月11日
バレンツ海
CIS(独立国家共同体)「シエラ」級原子力推進攻撃潜水艦と米海軍原子力推進攻撃潜水艦バトン・ルージュが衝突。両艦ともに損傷軽微と伝えられている。事故の位置がロシア領海の内外どちらかをめぐり、争いがある。
バレンツ海
CIS(独立国家共同体)「シエラ」級原子力推進攻撃潜水艦と米海軍原子力推進攻撃潜水艦バトン・ルージュが衝突。両艦ともに損傷軽微と伝えられている。事故の位置がロシア領海の内外どちらかをめぐり、争いがある。
2000年代
2000年8月12日
バレンツ海
CIS(独立国家共同体)「オスカーII」級潜水艦クルスクが大規模な艦内爆発を起こして沈没した。118名の乗員を救助する試みは失敗に終わった。魚雷の不具合が事故の原因であると考えられている。放射能レベルは正常値であり、核兵器は搭載していない。
バレンツ海
CIS(独立国家共同体)「オスカーII」級潜水艦クルスクが大規模な艦内爆発を起こして沈没した。118名の乗員を救助する試みは失敗に終わった。魚雷の不具合が事故の原因であると考えられている。放射能レベルは正常値であり、核兵器は搭載していない。
【出典】
米国防総省 U.S. Defense Department
核兵器廃絶キャンペーン Campaign for Nuclear Disarmament
国家安全保障アーカイブ National Security Archive
グリーンピース Greenpeace
プリンストン大学、ジョシュア・ハンドラー Joshua Handler, Princeton University
UPI通信 United Press International
AP通信 The Associated Press
仮題『盲人のこけおどし~語られることのなかったアメリカ潜水艦諜報戦の物語』
Blind Man's Bluff : The Untold Story of American Submarine Espionage
米国防総省 U.S. Defense Department
核兵器廃絶キャンペーン Campaign for Nuclear Disarmament
国家安全保障アーカイブ National Security Archive
グリーンピース Greenpeace
プリンストン大学、ジョシュア・ハンドラー Joshua Handler, Princeton University
UPI通信 United Press International
AP通信 The Associated Press
仮題『盲人のこけおどし~語られることのなかったアメリカ潜水艦諜報戦の物語』
Blind Man's Bluff : The Untold Story of American Submarine Espionage
(本稿は、公共教育目的により日本語訳して掲載)
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