2012年8月26日日曜日

20mSv/年被曝を強いる国際的陰謀の連鎖:ICRP・文部科学省・山下俊一


……委員会は、緊急時被曝状況および現存被曝状況における電離放射線被曝に対して適切な程度の防護を保証するための最適化および参照レベル使用を勧告しつづけている。
委員会は、緊急時期間中の公衆の防護のために、20ないし100ミリシーベルトの線量帯において最高限度計画残存線量としての参照レベルを設定することを国家当局に勧告しつづけている(ICRP2007、表8)。
放射線源が制御下にある場合、汚染地域が残っているかもしれない。当局は多くの場合、そうした地域を放棄するよりも、人びとが居住しつづるのを許容するためにあらゆる必要な防護手段を提供するであろう。委員会はこの場合、年間1ないし20ミリシーベルト帯域内の参照レベルを選定し、年間1ミリシーベルトへの参照レベル引き下げを長期目標とすることを勧告する(ICRP2009b、第4850項)……
クレア・カズンズ ICRP委員長
クリストファー・クレメント ICRP科学事務局長
(参照)20111128日「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」
クリストファー・クレメントによるプレゼンテーション
スライド9
参照レベル
l         最適化は参照レベルが指標となる
(福島に関連した時間枠を示す)
l         公衆防護
・緊急時被曝状況(月単位):20100ミリシーベルト
・現存被曝状況(数年):120ミリシーベルトの最低限
・長期(10年またはそれ以上):年間1ミリシーベルト
l         参照レベル値と時間枠は、地域条件によって場所ごとに異なる
文部科学省生涯学習政策局長   板東久美子
                                                 初等中等教育局長  山中伸一
                                           科学技術・学術政策局長   合田隆史
                                                 スポーツ・青少年局長  布村幸彦
……国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)によれば,事故継続等の緊急時の状況における基準である20100mSv/を適用する地域と,事故収束後の基準である120mSv/年を適用する地域の併存を認めている。また,ICRPは,2007年勧告を踏まえ,本年321日に改めて「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル(※1)として,120mSv/の範囲で考えることも可能」とする内容の声明を出している。
このようなことから,幼児,児童及び生徒(以下,「児童生徒等」という。)が学校に通える地域においては,非常事態収束後の参考レベルの120mSv/年を学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくことが適切であると考えられる。
……また,児童生徒等の受ける線量を考慮する上で,16時間の屋内(木造),8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると,20mSv/年に到達する空間線量率は,屋外38μSv/時間,屋内(木造)152μSv/時間である。したがって,これを下回る学校では,児童生徒等が平常どおりの活動によって受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる。さらに,学校での生活は校舎・園舎内で過ごす割合が相当を占めるため,学校の校庭・園庭において38μSv/時間以上を示した場合においても,校舎・園舎内での活動を中心とする生活を確保することなどにより,児童生徒等の受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる……
(1)    文部科学省による再調査により,校庭・園庭で38μSv/時間(幼稚園,小学校,特別支援学校については50cm高さ,中学校については1m高さの数値:以下同じ)以上の空間線量率が測定された学校については,別添に示す生活上の留意事項に配慮するとともに,当面,校庭・園庭での活動を1日あたり1時間程度にするなど,学校内外での屋外活動をなるべく制限することが適当である……
(2)    文部科学省による再調査により校庭・園庭で38μSv/時間未満の空間線量率が測定された学校については,校舎・校庭等を平常どおり利用して差し支えない……
2011年5月23日、文部科学省中庭に座らせられた福島の父母たち

国会事故調「学校再開問題」

……文科省が校庭利用制限の目安値として定めた空間線量3.8μSv/hという値は、ICRP 2007年勧告の非常事態収束後の一般公衆の受ける線量の参考レベルとして定められた120 mv/の上限値を採用して算出されたものである。しかし、その数値は、ほぼ同時期の422日に設定された計画的避難区域の設定の前提である積算線量20mv/年と同等の値だったため、子どもの安全を図る目安値が避難を根拠づけるレベルと同等では高すぎるのではないかと、国民世論の強い反発を呼んだ。
……文科省は、空間線量3.8μSv/hを超えない学校について、校庭使用制限や開校延期など、合理的に実行可能な被ばく低減策を行っていない。放射線被ばくは、合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるというICRPの考え方を前提にすると、空間線量の目安値を超えない学校についても、何らかの被ばく低減措置を考慮しなかった文科省の態度については、問題があったと考えられる。
◇「親の声を謙虚に聞く」
福島医大で甲状腺検査の責任者を務める山下俊一副学長に、課題を聞いた。
−−検査の目的は
◆県民の健康増進のための医療サービスで、決して調査研究ではない。WHO(世界保健機関)の推計で、福島住民の被ばく線量はどんなに高くても100ミリシーベルト。100ミリシーベルト以下の健康リスクは明らかには証明されていない、または非常に小さいというのが科学者の国際的合意だ。
−−県外でセカンドオピニオンを求める保護者が増えているが
◆改善策を考えなければならない。医師の考え方とお母さんの立場にギャップがある。謙虚に声を聞き、信頼関係を築きたい。
−−放射線の影響をどう判断するのか
◆小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。
2011年8月26日付け毎日新聞

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