「福島周辺で蝶の突然変異体」ル・モンド紙オンライン
Des papillons mutants autourde Fukushima
LE MONDE | 15.08.2012 à 14h24 • Mis à jour le 17.08.2012 à 15h15
福島周辺で蝶の突然変異体
ル・モンド 2012.08.15 更新:08.17
湾曲し、あるいは余分に生えて、萎縮した羽。折れ曲がった触角。へこんだ眼。変色。できそこないの模様。不妊…。これは、ネイチャー誌出版者発行のオンライン誌、サイエンティフィック・レポートに公表された、琉球大学の日本人研究チームによる記事に付された福島地域に生息する蝶の診断画像である。
これらの蝶は、2011年5月(福島原発事故の2か月後)に144匹が採集されたシジミチョウ科のヤマトシジミという種の小さな青い蝶の成体のものである。標本は、8万の人びとが避難した半径20キロの立ち入り禁止区域よりはるかに遠い200キロにまでおよぶ10か所の地点(白石、福島、本宮、郡山、広野、いわき、高萩、水戸、つくば、東京)で捕集された。
研究チームは蝶のうち12%に、生息環境を探索するために用いる翼、眼、触角を含む器官の形態異常を観察した。次いで研究者らは、生殖のため、この昆虫を研究室で飼育した。次世代では、同様な異常が蝶の18%に見られた。第3世代では、この鱗翅目昆虫の33.5%に達した。
核事故から6か月、9月にふたたび238匹の蝶を捕集した。今回の異常率は28%だった。次世代では、52%に急増した。
論文執筆者らは、重大事故によって放出された放射能が昆虫の「生理的・遺伝的損傷の原因」となったと結論した。
他の蝶試料による知見
研究論文は「生物に対する放射線の生物学的影響が生態系の変化をもたらし、永続的な疾患を引き起こしかねない」という。青い蝶の事例は手掛かりになるかもしれない。この蝶は日本語でヤマトシジミ、つまり日本最初の王朝・大和を冠して「ヤマト蝶」と呼ばれる――この種は列島全域にわたって分布し、比較ができる。
さらに、この蝶の羽の色は、たとえば地球温暖化などの環境変化の影響を非常に受けやすい。その意味で、2011年5月に日本各地12か所で捕集された蝶と原発周辺各地の蝶を検証することは意義深いと、研究を主導する琉球大学の自然科学者、大滝丈二はいう。
大滝丈二の研究チームは核心をつかむために、他の地域の(したがって被爆を免れている)蝶を調べる実験を実施し、実験的に低線量の放射能に被曝させた。試料昆虫は、福島地域の第1世代の蝶と同じ異常を示した。
2011年5月に福島で捕集された蛾が、幼虫期のうちに放射線に被曝させられた。それでも、次世代に関しても、形態異常は遺伝的に受け継がれるはずと研究者らは論じる。重大事故で放出された放射性核種への直接被曝に、葉を摂食することによる汚染が加わるとも研究者らは信じる。
「放射線被曝」
大滝氏はル・モンドの質問に対し、福島の蝶に観察される形態異常と原発事故との相互関係を確定することに慎重な態度を崩さない。「過去にわたしが見た損傷は、福島の蝶が示す損傷とはじっさいに異なっていました。科学において、100パーセント確実であることはありえませんが、福島の蝶の羽に見つけたもののような損傷はこれまで見たことがありません」と、大滝氏はいう。
彼は、「結論に跳びつくことなく、観察された形態変化に注意を向けるべきです。こうした現象と原発が近くにあることとの相互関係は明確ではありませんが、ありえないことではありません。はっきりしているのは、福島の蝶の遺伝子が影響を受けたことです。だが、わたしたちは他の種に対しても研究を広げなければなりません」ともいう。研究者はこのように、福島地域に生息する他の昆虫や小動物に対しても研究をつづけるように計画している。
アメリカの生物学者、サウス・カロライナ大学のティム・ムソー(Tim Mousseau)は、「この研究は、福島一帯の生物群集にとって、また人間にとって示唆するところがあるので重要です」と語った。チェルノブイリと福島で野生生物に対する放射線の影響を研究した、この研究者によれば、「これらの形態異常は、放射線被曝で説明できます」
現在のところ、福島の事故のあと、公的には放射線のせいでだれも死んでいない。だが、多くの専門家たち(医師や生物学者ら)は、放射線の影響はただちに目に見えるようになるものでなく、それは広島・長崎の原爆投下後の被爆者たちの事例で、明白な特定の症状がなかったのと同じであると論じる。避難した8万人の地域住民と損傷した原発の現場に雇用された作業員たちについて危惧される。
フィリップ・ポンス (Philippe Pons:東京特派員)
|
ル・モンド8月16日付け第6面 |
【参照記事】
中日新聞メディカルサイト
(2012年8月11日)
【北陸中日新聞】【夕刊】【その他】
死ぬ確率高く 雄の羽小さく
東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で、チョウの1種「ヤマトシジミ」に遺伝的な異常が出たとする調査結果を琉球大の大滝丈二准教授(分子生理学)らの研究チームがまとめ、11日までに英科学誌電子版に発表した。
ヤマトシジミは人が生活する場所に多く生息する。チームは昨年5月と9月、福島県内のほか茨城、東京など計10カ所で採集した。
5月に集めた成虫144匹から生まれた卵をふ化させて育て、孫の世代まで調べたところ、いわき市や広野町など福島県内のチョウは、子の世代で死ぬ確率がほかの地域に比べ高かった。線量が高い地域ほど雄の羽のサイズが小さくなっていた。子の世代では全体の約2割で羽の配色パターンや斑点の数などに異常があり、親の世代よりも1.5倍高い発生頻度だった。
9月に採集した成虫約240匹では、子の世代の約5割で異常が見つかった。
【関連記事】
「原発事故でチョウに遺伝的異常」 准教授論文に異論相次ぐ (2/2) : J-CASTニュース −【私の論評】衒学(げんがく)的言動には惑わされることのないように気をつけよう!!
返信削除ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
http://goo.gl/GgoYK
こんにちは。ある原発事故でチョウに遺伝子異常があると発表しましたが、この人は2年ほど前に、この異常を温暖化によるものとして発表しています。自然科学においても、このようなことはいくらでもあります。衒学という言葉があります。これは、学を衒(てら)うことです。ある事項/事象に関して知識があることを、必要以上に見せびらかすこと又はその物言いのことです。特に内容のない事項について、さも重要であるかのように見せ、さらに発言者自身が重要性を有するように見せる技法の一つです。この人のものいいは、衒学的なのかどうかは、まだはっきりしませんが、いずれにせよ、いまの段階においても、鵜呑みにはできないことは、はっきりしていると思います。本当に重要なことは私たち自身が、自分の頭で考え、自分で情報を集め、自分で判断する必要がありそうです。そうすれば、理屈・道理にかない歴史などさかのぼって信じられる事実に巡りあうことができます。そういうことが増えてくると、何事にも確信を持って、自分の意見を持つことができます。あなたは、どう思いますか?詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
コメントをありがとうございます。ですが…
削除論文筆者は、フィールド調査と実験にもとづいて執筆しています。反論は同じように証拠にもとづくものでなければならないはず。あなたの反論は、ただ印象にもとづいているようです。
黒目カマキリ 翌年 2012年 黒目カマキリ無数 in nishiizu
返信削除http://www.facebook.com/media/set/?set=a.287448201277642.70029.202567283099068&type=3
返信削除