2012年8月11日土曜日

【速報】「福島第一原発事故の生物学的影響がヤマトシジミ蝶に」 8月9日付けネイチャー誌オンライン公表論文

東京電力・福島第一原子力発電所事故の生物学的影響の実例を示す論文がネイチャー誌オンラインに掲載されました。国際原子力ロビー、わが国政府・原子力ムラ複合体が強力な放射線被曝リスク隠蔽・安全プロパガンダ体制を敷いているなか、この論文は、F1由来の放射性物質による遺伝子変異の証拠第一号であると思われます。
「人間は蝶々とは違う」などと誰かさんがいいそうですが、遺伝子研究はショウジョウバエを実験材料として発展してきたことを忘れてはなりません。
【論文データ】

The biological impacts of the Fukushimanuclear accident on the pale grass blue butterfly

Scientific Reports 2, Article number: 570 | doi:10.1038/srep00570
Received 06 June 2012 | Accepted 24 July 2012 | Published 09 August 2012
Figure 1: First-voltine collection and abnormalities.
【要約】
福島第一原子力発電所の事故により、大量の放射性物質が環境中に放出された。しかしその事故がもたらす生物学的インパクトの評価に資する迅速かつ信頼しうる実験系は現在のところ報告されていない。我々は、この事故が日本で普通にみられるシジミチョウの一種ヤマトシジミに生理的・遺伝的損傷をもたらしたことを明らかにした。
20115月、東京以北から福島にわたる地域で、事故後最初に羽化したヤマトシジミの成虫(第一化)を採集したところ、比較的軽度の異常が観察された。その第一化のメスから産まれたF1は、親世代よりも高い異常率を示した。この異常は次世代F2に遺伝した。
さらに20119月に採集した個体群からは、5月の結果より一層厳しい異常が観察された。同様の異常は、非汚染地域のヤマトシジミを用いた成育過程における低線量の外部照射実験と食草による低線量の内部被曝実験によっても再現された。
これらの実験結果から、福島原子力発電所から放出された放射性核種がヤマトシジミに生理的・遺伝的損傷をもたらしたと結論づけられる。
琉球大学大学院・理工学研究科
海洋自然科学専攻

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