2014年12月4日木曜日

【ビデオ・写真特集】ドローンが上空から見せるチェルノブイリの「ゴースト・シティ」の忘れられない光景

ドローンが上空から見せるチェルノブイリの「ゴースト・シティ」の忘れられない光景
ウクライナ、プリピャチの新遊園地は、街のメーデー祝典の一環として198051日に開園されることになっていた。だが、同年426日のチェルノブイリ核惨事勃発から3日のうちに遊園地も街も避難区域になってしまった。20年以上も後のいま、遊具は残されたときのまま放置されている。
IMAGE: MASHABLE, CHRISTOPHER MILLER
【ウクライナ、キエフ】見捨てられたが、忘れられない遊園地。無人の集合住宅の屋上に、ハンマーと鎌をあしらったソ連の色あせた紋章。街の広場のひび割れから立ちあがる森。人のいない光景。
広がり、草木が伸び放題の朽ちていく光景、時のなかに凍りついたゴースト・シティ。

そのようなものが、上空をホバリングするドローンから見た、ウクライナのチェルノブイリ、そして世界屈指の核災害の故地、プリチャチの街の光景である。

英国の映画作家、ダニー・クーク(Danny Cooke)は今年はじめ、CBSニュース番組60 Minutesの仕事で、チェルノブイリ立入禁止区域(ゾーン)として知られる100平方マイルの放射能汚染地帯に入った訪問期間中に、信じられないほど素晴らしい空撮映像をものにした。
その結果が、『チェルノブイリ、プリピャチから届いたハガキ』("Postcards from Pripyat, Chernobyl")というタイトルの3分間ビデオであり、それは観る人を放棄された不気味な街の上空と内部に誘ってくれる。ドローンは保養センター内の水気のない朽ち果てた水泳プールの上を滑空しているが、その前には学校のホールの中へと降下して、生徒たちのノートブックが床一面に散乱する教室へと進入していたのである。
プリピャチ、いわゆる「ゴースト・シティ」はかつて、近くにあるチェルノブイリ原子力発電所4号炉が爆発し、31人の人びとが死亡し、ヨーロッパの広大な一帯に拡散することになる放射性の塵芥の雲を放出し、住民が逃げる以前には住民約50,000人の住処だった。
校内カフェテリアの床一面に散乱したガスマスク。背景にレジスターと手洗い用流し台。
IMAGE: CHRISTOPHER MILLER/MASHABLE
破局的惨事は1986426日に勃発し、史上最悪の原子力発電事故と呼ばれてきた。国際原子力事象評価尺度INES)レベル7に分類される事象は、他に2011年のフクシマ核惨事があるだけである。あの春の日、大気中に放出された放射能の量は、ヒロシマに投下された原子爆弾のそれの400倍だった。
プリチャチの保養センターのひとつの内部にある水泳プール
IMAGE: CHRISTOPHER MILLER/MASHABLE
惨事に由来するフォールアウトは何千人もの人びとの健康に慢性的な悪影響をおよぼした。ゾーンの近くに住む人びとに、それにまた現場の浄化作業に駆り出された何千人もの人びとに、放射能被曝の結果、稀な癌や他の病態が見つかった。
その一方、環境は人間が不在ななか、街の舗装やビルの割れ目から芽吹いた植物で活気に満ちた。動物も復活を遂げた。放射能を帯びたイノシシや野生化した犬がゾーンの全域を自由にうろついている。ナマズは、発電所の冷却水用の池に水を引く流れのなかで体長6フィートを超えるほど成長した。BBCによれば、ちょうど今週、科学者たちがヒグマの画像をものにしたが、それはチェルノブイリ地域で1世紀間の不在のあとで最初のものであると信じられている。
ホテル・ポリシャは、かつてプリピャチ中央広場の顔だったが、放置されてきた28年のあいだに植生に占拠されてしまった。
IMAGE: CHRISTOPHER MILLER/MASHABLE
「わたしは滞在中、わたしはたくさんの不思議な人たちに会ったが、そのひとりがわたしのガイド、イエフゲンであり、『ストーカー』の名でも通っていた」と、クークはビデオの解説で説明しているが、彼のいう、その男はゾーンの内部に忍び込み、金属スクラップや放置所有物を集めてくるのであり、あるいは単にゾーンの奇妙な美を楽しんでいるのだ。
「わたしたちは、チェルノブイリとその近くの放棄されたプリピャチの街を一緒に探訪して、その週を過ごした。この場所には、なにか静穏で、それでいて極めて不安にさせるものがある。時間が止まっていながら、過去のできごとの記憶がわたしたちの周囲に漂っているのだ」
クークはDJIファントム2型ドローンとビデオ撮影用にキャノン7Dを使っていた。「カメラとガイガー線量計測器で武装して、わたしは探検する」と彼はいう。
今日、ビジターは入域許可証を取得して、立入禁止区域内とプリピャチの街を終日周遊できる。他に入域を許されているのは労働者たちだけであり、惨事のあと、爆発した原子炉の周りに急拵えで建造されたが、崩れかけており、放射能が漏れ続けている石棺の上を覆う「新安全封鎖構造」を彼らが建造している。彼らは交代制で働き、その場で月ごとに限度が定められた時間数を消費している。科学者たちは、その地域がこれから20,000年のあいだ汚染されたままだろうと見積もっている。
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