【エコロジスト誌】クリス・バズビー「癌だけではない!」☢#ストロンチウム90 による、ゲノムの不安定性、遺伝性遺伝子損傷 https://t.co/GdiUV2vKBH— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2016年3月22日
「わたしはピコキューリーを『サンシャイン』と呼び替える輩たちを全員ニュールンベルグ送りにしたい」
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癌だけではない!
放射線、ゲノムの不安定性、遺伝性遺伝子損傷
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凡例:(原注)、[訳注]、〔ふりがな〕
クリス・バズビー Chris Busby
2016年3月17日
癌は、核放射線による遺伝子損傷の結果のひとつであるに過ぎず、おそらく重要性が最も低いもののひとつだろうと、クリス・バズビーは書く。長期的にはるかに重大なものは、ヒトゲノムおよび他の生物種のゲノムの大規模な変異であり、その結果としてのゲノムの不安定性であり、それが世代を超えて受け継がれる遺伝性変異のねずみ算式連鎖の引き金になる。
放射線の作用を恐れる人たちは、いつも癌に注目している。だが、最も驚異的で深刻な放射線の影響は、遺伝子にかかわるものである。
癌は、人間の狂気、権勢欲、愚かさが築きあげた、地球上の生命にもたらせられる遺伝子損傷の氷山の一角から発せられる冷光の小さな侘びしい反映、一閃であるに過ぎない。
癌は、細胞レベルで発現する遺伝子疾患である。だが、遺伝作用は世代を超えて伝達される。
最も深刻な電離放射線の作用――被曝した両親の子孫に現れる遺伝的欠損――を1920年代に発見したのが、アメリカ人科学者、ハーマン・ジョーゼフ・マラー[ウィキペディア]だった。彼は、ショウジョウバエ――drosophila――にX線を照射して、後続世代に、形成異常、その他の障害が発現することを発見した。
マラーは研究によって、低線量被曝、したがって天然バックグラウンド放射線でさえもが、変異を誘発し、遺伝作用、あるいは癌誘発性には、無害の線量域がないと結論づけた。彼の業績は、1946年ノーベル医学賞で顕彰された。
マラーは1950年代、大気圏内核実験で生成される低レベル放射性汚染物質がヒト遺伝子プール[ウィキペディア]にもたらす影響について警告していた。わたしは彼の1950年報告の原本を所有しており、これは今ではレア物になっている。
マラーは著名な放射線専門家だったので、アイゼンハワー大統領が核エネルギーの大規模利用(メーターで測れないほど安価な電気)を発表した、ジュネーブの1955年「アトムズ・フォー・ピース」会議の発言者に指名された。しかし、主催者らは、マラーが核兵器実験のフォールアウトによる惑星汚染がもたらすヒト遺伝子プールの劣化について警告していることに気づき、彼の招待をキャンセルした。
オズの魔法使い
欧米諸国の政府は、もちろんのこと、放射線にそのような作用があることを認めている。被曝規制法制は、国際放射線防護委員会、ICRPのリスク・モデルに準拠している。
規則は、何人も年間1ミリシーベルトを超える人間活動による線量を受けてはならないと定めている。遺伝性作用に関するICRPの科学モデルは、マウスにもとづいている。これは、放射線がヒトになんらかの遺伝性作用をもたらす証拠がないとICRPが言うからである。
ICRPによれば、遺伝性損傷を2倍にするのに要する線量は1,000ミリシーベルトより高いという。このマウス頼みは、広島と長崎に在住していた人たちの子世代を対象にした日米合同の原爆傷害調査委員会(ABCC)による諸研究から引き継いだものである。
これら諸研究は1952年に始められ、原爆の爆発地点、すなわち爆心地からの距離に応じた様々なレベルで被曝した人たちの癌罹患率と、それにまた出産結果を比較するために、被爆都市の人たちを集団に組み合わせていた。放射線リスクの拠り所の全体が、ABCCの岩盤のうえに築かれていたのである。
ところが、その岩盤は煙幕と鏡像でできていて、疫学にまつわるあらゆることがデタラメである。癌に関する被爆者生涯追跡調査について、対象が生存者集団に絞られている、線量が外部被曝に限られている、残留汚染が無視されている、始まったのが原爆投下イベントの7年後、元来のゼロ線量集団は「健康に過ぎる」として除外されている、その他、数多くの理由により批判されている。
だが、本稿で、われわれが懸念しているのは、遺伝性作用、出生異常、先天性形成異常、流産、死産である。ここで問題は、遺伝性の損傷作用が発現する前提が、出産であるということである。放射線被曝線量が増大すると、たちまち不妊になり、妊娠することもなくなる。このことは、核実験に動員された経歴のある退役兵の例で判明した。
次に低線量の場合、精子が傷つくと、胎児の損傷と流産という結果になる。母親と父親がともに被曝すると、出生異常を目にする前に、流産と死産ということになる。だから、線量反応関係が線形でなくなる。高線量の場合、影響はなくなる。影響はすべて、最低レベルの線量で発現する。
悪質な疫学の簡単な手品
ABCC研究について言えば、疫学に関して、もうひとつ深刻な(わたしに言わせれば、不実な)錯誤がある。あの人たちは、対照区集団として、低線量集団に依怙贔屓〔えこひいき〕して、あるべき対照区集団を捨ててしまった。
これは、誠実な査読者なら唖然として息を呑むほど悪質な疫学である。だが、査読者はいない。あるいは、少なくとも気にする人はいなかったようだ。たぶん、彼らはじゅうぶん深く掘り下げなかったのだろう。ちなみに、これと同じ手法がいま巨大規模のINWORKS核労働者研究[当ブログ内記事]で使われており、だれもこの点を問題にしていない。
いずれにしても、遺伝研究を担当していたABCCの科学者たちは、彼らなりの被曝集団と対照区集団の悪性出産結果の発現率レベルが同じであると認め、放射線の影響はなかったと結論づけた。
ICRPはこのナンセンスにもとづき、「人間集団における放射線誘発性の遺伝疾患は実証されていない」と、彼らの最新2007年リスク・モデル、ICRP報告103附属書B.2.01に書きこんだ。
だが、実証済みだ。この米国に支配され、核産業・軍部複合体に統制された原爆障害調査から離れ、目を現実世界に向けると、マラーが心配したのは正当だったとわかる。惑星の放射能汚染は、何千万人もの新生児を殺し、不妊の大激増の原因になり、ヒト種、その他、地球上の衆生の遺伝学的な負担をさらに重くしてきたのだ。
そしていま、真実が公に!
本年の1月、ブレーメン大学のインゲ・シュミッツ=フォイアハーク教授、ドイツ放射線防護協会のセバスチャン・フルグバイル博士、そしてわたしは、名高い審査済み論文誌“Environmental
Health and Toxicology”[環境衛生・毒物学]で特別課題論文を発表した。論題は、'Genetic Radiation Risks - a neglected topic in the
Low Dose debate'[遺伝性放射線リスク~低線量論争で看過された論点]である。
われわれはこの論文で、日本で排他的に幅を利かせているABCC研究以外に発表された論文の証拠を収集し、放射線被曝の遺伝性影響を計算した。結果は厳しいものだったが、予想外ではなかった。
チェルノブイリから核実験退役兵、さらに放射線技師の次世代にわたる広範な証拠を用いて、内部汚染による1ミリシーベルトの線量が先天性形成異常の50%増加を引き起こしうることを示すことができた。このことは、ICRPおよび現行規制基準の1,000倍におよぶ錯誤を突き止めている。そして、われわれはこれをはっきり書いた。論文の結論は次のとおりである――
「低線量の電離放射線に被曝した集団の子どもたちにおける、遺伝誘発性の形成異常、癌、その他、おびただしい数の健康に対する影響が、科学調査によって、明確に実証された。
「われわれはチェルノブイリ効果のデータを用いて、遺伝性形成異常の新たな過剰相対リスク(ERR)が、1mSv被曝の場合にmSvあたり0.5から、10mSv被曝の場合にmSvあたり0.1に下落し、その後はおおむね一定のまま推移することを明らかにした。もっとも、これはセシウム137の外部被曝と定義した混合核分裂生成物の場合である。
「この結果は、現行の放射線リスク・モデルが数多くの観測を予測したり説明したりできないでいることを示しており、そのようなモデルは捨てるべきである。過去のデータのさらなる研究と分析が推奨されるが、線形線量反応の演繹的仮定、すなわち内部被曝は外部リスク因子を用いてモデル化できるとか、慢性被曝と急性被曝が同等なリスクをもたらすといった推論、そして最後に高線量を扱うABCC研究に頼ることがすべて、安全でない手順であると見受けられる」
放射線はゲノムを不安定に
証拠の大半は、チェルノブイリ事故で汚染された諸国、それもベラルーシとウクライナだけではなく、線量が1msv未満だった、より広範なヨーロッパを含んだ国ぐにで報告された影響に準拠している。他にも核実験退役兵たちの次世代から得られた証拠にも言及している。
わたしが2014年に発表した、英国核実験退役軍人協会(BNTVA)会員たちの次世代に関する研究において、子どもたちに9倍の過剰な先天性疾患を認めたが、予想に反して、孫たちにも8倍の過剰が認められた。このことは、ハーマン・マラーが予想しなかった、新たな驚くべき不安な見通しを浮上させている
最近の15年間で、放射線がゲノムを不安定にすることが明らかになった。屋内実験と動物研究によって、放射線被曝がある種の遺伝スイッチを押し、それが全般的な変異率の非特異的な上昇をもたらすことが示されている。
このようなゲノムの不安定性が発見されるまで、遺伝機序はグレゴール・メンデルの法則に従うと考えられていた。優性遺伝子変異と劣勢遺伝子変異があり、それが後続世代に受け継がれ、子孫の婚姻による二項混合過程によって希薄化するのである。
しかし、放射線学者らと癌研究者らはバックグラウンド変異率を加齢によるリスク増大に整合させることができなかった。数値が合わなかったのだ。ゲノム不安定化作用の発見が謎の答だった。この発見によって、無秩序な変異が起こっており、これで観測結果をじゅうぶん説明できることがわかった。
20年ないし10年前に[劣化ウラニウム弾使用によって]被曝地となった[イランの]ファルージャ、その他の地域で、いまだに高リスクの出生異常が絶えないが、ゾッとするような説明ができるのも、これによる。チェルノブイリの動物たちでも、次世代に受け継がれる同様な影響が、いくつか観測されている。
核兵器時代の新生児死亡率
では、われわれはどんな世界に置き去りにされたのか? われわれにどんなことができるのか? われわれはどんな折り合いがつけられるのか? これがどのように物事を変えてしまうのか? まず、これら放射性汚染物質の単一のものとして最大規模の注入事象、1952年から1963年にかけて実施された一連の大気圏内核実験に目を向けてみよう。核実験の頻発が出生時欠損および遺伝子損傷をもたらしたとすれば、データを見て、なにかわかるはずだ。われわれは調べてみた。結果は、身も凍るような代物である。新生児に傷害があれば、出産後または直前に死亡する。必要不可欠な統計データを収集し、公開している国であれば、これを見れば、このことがたちどころにわかる。
図1.このグラフの黒ダイア形は、米国における1936年から1987年の1,000出産例あたり出産当日の新生児死亡率を示す。折れ線は大気圏内核実験フォールアウトが降り注いだ期間の前後のバックグランド死亡率が低くなっていることを示す。赤色の線は英国におけるストロンチウム90のミルク中濃度、青色の線は0~1歳児の骨の蓄積量。死亡率データの出処:ロビン・ワイト論文。注:ミルクと骨では尺度が異なる。ミルク中のストロンチウム90(赤線: Bq/gCa++ x 10)、骨のストロンチウム90について、英国原子力公社の場合(青線: pCi/gm Ca++,「サンシャイン単位」)。1pCi = 0.037Bq.
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図1で、1936年から1985年の米国における(出生)初日死亡率を示す。社会的条件の改善によって、初期から末期にかけての死亡率現象を読み取ることができ、回帰という統計処理を使って、当然であるはずのバックグラウンドの様相を計算することによって、このグラフが得られる。
バックグランド推定値が薄い青色の線で示されている。ミルクに含まれるストロンチウム90の濃度もまた赤色の線で、死亡した幼児の骨のストロンチウム90蓄積量が青色の線で示されている。グラフは米国における出産初日の新生児死亡率を示している。出処は、1992年刊の[英国医療誌]掲載、カナダ人(女性)小児科医、Robin Whyte[ロビン・ワイト]論文。この論文によれば、米国と英国における(出生1か月以内の)乳児死亡率および死産率に違いはない。ストロンチウム90の線量レベルは、0.5mSvより低い。
これは、われわれのチェルノブイリに関する論文の知見や他のヒト被曝事例と軌を一にしている。この問題を最初に提起したのは、放射線と闘う科学界屈指の戦士の先駆者にして、わたしの友人だった故アーネスト・スターングラス教授である。このような影響の隠蔽と否認は、人類史上で最大の公衆衛生スキャンダルのひとつである。
この影響は、あなたの近辺の現場にも届いている。わたしがエコロジスト誌で書いたように、われわれのヒンクリー・ポイント[英国サマセットのブリッジウォーターに立地する核発電所]に関する研究でも、バーナム・オン・シーの発電所風下地域において、乳児死亡率の有意な上昇が認められている。
公認の事実:子どもたちの遺伝子損傷は父親の有害な被曝の指標
この新たな審査済みの証拠についてできることはなにかと言えば、われわれは、2016年6月14日から3週間にわたり王立裁判所[ロンドン]で開催予定、サー・ニコラス・ブレイク高等裁判所判事が率いる法廷の核実験退役軍人らの年金訴訟尋問に、この証拠を提出できる(そして、そうするつもりである)。
わたしは申立人のうち2名の代理人をしており、父親の遺伝子損傷の証拠として、子どもたち、孫たちの遺伝子損傷を提示するつもりである。
われわれは、遺伝子論文の著者、インゲ・シュミッツ=フォイアハーク教授を有識者証人として招いている。判事は、子どもたちの遺伝子損傷が父親の有害な被曝の指標をあることをすでに認めている。判事はダンディ大学[スコットランド]に対して、退役軍人問診票の開示を命令している。その大学に保管されているのだ。
最後に一言、わたしは、軍と核事業のために働く似非〔エセ〕科学者たちの頭の中身を暴く覗き窓をあなたと共有しなければならない。死の灰のストロンチウム90がミルクと子どもたちの骨に集積し、測定されているので、この輩〔やから〕たちは、汚染の単位(カルシウム1グラムあたりSr-90ピコキューリー)を「サンシャイン[陽光]単位」と呼び替えた。
考えられますか? わたしはこのことだけでも、彼らを全員ニュールンベルグ[ナチス戦争犯罪法廷]送りにしたい。
論文 'Genetic Radiation Risks - a neglected topic in the
Low Dose debate'[遺伝性放射線リスク~低線量論争で看過された論点]は、Environmental
Health and Toxicology[環境衛生・毒物学]に掲載。
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【クレジット】
The Ecologist, “It's not
just cancer! Radiation, genomic instability and heritable genetic damage,”
by Chris Busby, posted on March 17, 2016 at;
【クリス・バズビー#フクシマ5周年記事】県民健康管理調査検討委員 清水修二・福島大副学長の大罪…#福島民報【寄稿】「遺伝への懸念」がもたらす悲劇 https://t.co/YRcug5tO1o— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2016年3月22日
甲状腺がんばかりが問題になっているが、ある意味でもっと深刻なのは、遺伝的な影響を心配する県民意識の現状…
2016年3月16日水曜日
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