2016年3月28日月曜日

【海外ニュース】ニューヨーク市の核発電所はハドソン川に「制御不能な放射能汚染水の流れ」を漏らしている

ニューヨーク市の核発電所はハドソン川に「制御不能な放射能汚染水の流れ」を漏らしている




レイシー・クーク Lacy Cooke



ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は先日、ハドソン河畔のインディアン・ポイント核発電所が放射性物質を漏出しており、それが地下水系に流れ込んでいると報告したのを受けて、綿密な調査を要求した。現地の地下水系から新たに採取された試料によって、汚染レベルが前回採取の試料より80パーセント上昇していると認められたいま、有識者たちが、この漏出汚染水が拡散しており、「災害が発生するのを待っている状態」にいたっていると主張し、同発電所の完全閉鎖を要求する事態になっている。インディアン・ポイント核発電所はニューヨーク市から北方、ほんの40キロに位置しており、2300万人あまりの居住人口を擁するニューヨーク大都市圏に欠かせない電力供給源になっている。

インディアン・ポイントはニューヨーク市の上流に立地しており、監視団体 Riverkeeper[河川保全グループ]によれば、地域全体の脅威になっているという。Riverkeeperのポール・ギャレイ代表は、「災害の発生を待っている事態であり、閉鎖されるべきです」とCBSニュースに語った。インディアン・ポイントは40年間ばかり操業しており、ニューヨーク州ウエストチェスター郡とニューヨーク州の電力需要の約25パーセントをまかなっている。このエンタージ社所有の発電所は、放射性物質であるトリチウムを漏出している。インディアン・ポイント構内の井戸40本のうち、3本で放射性物質が増加しており、そのうち1本で65,000パーセントの増加が認められた。エンタージ社は、地下水が同社所有地内にあるので、この漏出によって、地域住民に被害がおよぶことはないという。インディアン・ポイントの元免許審査官であり、公認健康物理学者、ジョン・J・ケリー氏は、トリチウムは水素の派生物であり、自然に存在するという。「これは、環境の問題というより、規制の問題です」と、ケリー氏は語った

だが、この発電所の問題は、今回が初めてではない。この1年間、停電、火災、警報異常に祟られてきたのである。クオモ知事は、「インディアン・ポイントにおける、この最近の異常事態は容認できるものではなく、漏出の範囲、推測される期間、原因、環境と公衆衛生に対してありうる影響を究明するため、わたしは州環境保全部のバジル・セゴス執行部長および保健部のハワード・ザッカー部長に対し、この事故を完全に調査し、原子力規制委員会と共同で対処するなど、あらゆる可能な措置を講ずるように指示しました」と公式談話で述べた。


「エンタージ社のインディアン・ポイント核施設は40年余りにわたり、ハドソン川河口域の沿岸資源に害を与えてきました……ニューヨーク州は、4か所の営利核施設を抱えています。立地が適切であり、安全に機能するなら、これらの施設は重要な電力供給源とみなせるでしょう……しかしながら、当部局としては、インディアン・ポイントに関して、その立地、ならびに操業実績の理由により、他の施設と同一視することができません」と、シーザー・ペラレス州務長官は語った

インディアン・ポイントは過去にも漏出を起こした前歴があり、調査は今後の運転継続の可否に影響するかもしれない。


【クレジット】

Inhabitat.com, “New York City’s nuclear power plant leaking ‘uncontrollable radioactive flow’ into Hudson River,” by Lacy Cooke, posted on February 29, 2016 at;

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201628日月曜日


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