2016年5月2日月曜日

【海外メディア報道】#フクシマ☢凍土壁の工事責任者「遮水は完璧ではない」


フクシマ凍土壁の工事責任者「遮水は完璧ではない」

カレン・グラハム Karen Graham     Environment掲載:201651

東京】日本の当局者たちは数週間前に、地下水が反応炉に流入するのを食い止める試みとして、福島第一核発電所を1.5キロにわたって取り囲んで構築した凍土壁の一部を起動した。

 福島第一核発電所にて、凍土遮水壁工事の最終仕上げをする作業員たち。TEPCO

災害が福島第一核発電所を襲った20113月のあの日以来、これまで5年間にわたり、反応炉から放射能汚染水が流出してきた。

地下水が発電所の反応炉に流入し、流出する前に放射能で汚染される。東京電力株式会社は汚染水を巨大なタンクで保管してきた。現時点で、1,000基あまりのタンクが発電所敷地を覆っており、さらに建造されているとディジタル・ジャーナルの記事は伝えた。

31200万ドルをかけた凍土壁は先月に工事が完了し、1.5キロにおよぶ構造物の一部が44日に起動し、残りの部分は今後数か月かけて起動することになっている。だが、この大事業の工事担当責任者である岡村祐一氏は、この凍結壁が損壊した反応炉に流入する地下水のすべてを食い止めるわけではないという。凍土壁が全面的に稼働すると13,000戸の世帯の供給量に相等する電力が必要になる。

津波で被災した東京電力株式会社福島第一核発電所のメディア取材ツアーのさい、放射能汚染水保管タンクの前でノートを取る防護服・マスク着用の作業員。Toru Hanai, Pool/AFP/File

「ゼロではありません」と、岡村氏は先週、AP通信のインタビューで語った。彼は、凍土壁が予想どおりに機能したとしても、壁に隙間があり、降雨のために連日50トンもの汚染水が発生するので、損壊した反応炉に流入する水をすべて遮蔽するわけではないと指摘した。

岡村氏は東京電力の原子力・立地本部長代理も務めている。彼は、作業員たちが反応炉が加熱するのを防ぐために水を絶え間なく撒布するパイプを設置したと話した。もちろん、最も頭の痛い問題は、汚染水をどうするかということである。溜まりきっており、漏れはじめているのだ。

これが貯水タンクを使う理由であり、今では敷地全体が汚染水のタンクでいっぱいなのである。さらにもっと必要なのだ。岡村氏は水に関連した問題について、「これは、イタチごっこのような悪循環です。弊社は、数多くの想定外の問題に直面しています」と語った。

水は、東京電力が向き合っている唯一の問題なのではない。福島第一施設を解体するのに40年以上かかるし、施設内の核デブリそのものを見た人間はいない。なぜか? 放射線量があまりにも高くて、人間が接近できないからである。

東京電力の技術者たちは、反応炉の内部に進入して、デブリの画像を送ってくるロボットを開発しているというが、先月の報道が伝えたように、放射線レベルが高いので、施設の内部に送り込まれたロボットは、これまでのところ、すべて「死んで」しまった。東京電力が、反応炉の内部に残された放射性デブリの正体と量を確認できたとしても、その除去作業をどのようにして管理できるのだろうか?

20151月、フクシマ2号炉の炉心内部を一瞥した画像。Youtube

高レベル放射性廃棄物を考えると、遠隔操作と遮蔽物使用など、人間による特別な予防措置が必要になるだろう。それに加えて、今でも反応炉の過熱を防ぐために、水が使われ、それがすでに手をつくしている問題よりも大きな災害の原因になっているという事実がある。

ことの初めから、凍結壁は中傷の槍玉にあげられていた。福島県の会津大学の名誉教授であり元学長、角山茂章氏は、災害の直後に施設に近い丘陵の地下にコンクリート壁を建造していれば、地下水問題を最小限に抑えられていたという。

角山氏は、フクシマに地下水が遍く存在しているので、日量50トンに水量を抑えても、ほんの8か月でスリーマイル・アイランドの出水総量に匹敵するようになると付け加えた。東京電力は地下水問題が2020年までに解決すると言っているものの、角山氏は、「下から湧き出てくる地下水はゼロになりません。完璧な答えはありません」と電話取材に答えた。

【クレジット】

The Digital Journal, “Chief architect for Fukushima ice wall — It is not water-tight,” by Karen Graham, posted on April 30, 2016 at;



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